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光触媒コーティング剤が効果を発揮するための条件

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この記事でお伝えしたいこと
光触媒コーティング剤が効果を発揮するための条件

光触媒コーティング剤が効果を発揮したら、塗装面に次のような効果が得られます。

  • 除菌
  • 防カビ
  • 消臭
  • 化学物質の分解(VOCの分解)
  • 防汚

これらの中で、求める効果が得られて初めて「効果が発揮された」と言えます。これらの効果が得られるためには、条件があります。

その条件が満たされなければ、光触媒コーティング剤を塗装する意味がありません。場合によっては、まったく効果が無いこともあります。

以下、その条件をわかりやすく解説するので、光触媒コーティングをお考えの方は、施工後に「失敗した」となる前に、しっかりとご理解ください。

【条件1】
使用されている光触媒成分に
「効果を発揮する光」が当たること

いきなり難しいことを述べていますが、わかりやすく解説いたします。

光触媒は、光が当たると効果を発揮します。このことは「当たり前だ」と思われたかもしれません。しかし、どのような光が当たっても効果が出るとは限らないのです。

光にはいろいろな種類の色があります。赤色、黄色、緑色、青色、紫色とあります。それらの光の色がすべて集まって白色になります。また、光には目に見えない光もあります。その光のことを、紫外線や赤外線といいます。

酸化チタン光触媒は「紫外線」にしか効果がない

光触媒成分の種類によっては、紫外線にしか反応しないものがあります。その代表が酸化チタンです。酸化チタンは、とても触媒効果の強い光触媒なのですが、紫外線が当たったときのみ反応して、上記の効果を発揮します。

紫外線量が多い屋外であれば、効果を発揮するので、直射日光が当たる場所では酸化チタン光触媒を選ぶことは欠かせません。

ところが、除菌や消臭を必要とするのは、紫外線量が極端に少ない室内です。

「室内に酸化チタンを室内にコーティングしたら、除菌・消臭ができる」と詐欺的なPRしている塗装業者の言葉に騙されないようにしてください。

室内でも効果のある光触媒成分は?

室内で効果のある光触媒コーティングは、室内の光でも除菌・消臭ができる光触媒成分を使っていることが条件となります。屋内用として市販されている光触媒コーティング剤に使用されている成分は、弊社が把握しているものは次の通りです。

  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン

これらの成分は確かに部屋の中でも効果が期待できるものがあります。あくまでも「期待できる」というレベルのものもあります。その理由を次に述べたいと思います。

【条件2】
効果が出るくらいの明るい光が当たること

光触媒コーティング剤が効果を発揮するためには、光触媒が反応する光が当たっていることでしたが、他にも光の明るさが関係します。

光触媒成分が反応する光が当たっても、その光の明るさが暗いと、光触媒の効果がちょっとしか出ませんから、上記のような効果を実感するほどには至らないのです。光触媒が反応する光で、なおかつ充分な量の光が当たることで効果を発揮します。

以前に、酸化タングステンの光触媒コーティング剤について調べていたら、「蛍光灯の光を1,000lxの明るさで照射したら除菌ができた」とPRをしている製品がありました。一般消費者がそれを見たら、「蛍光灯の光で除菌ができるのであれば、わが家に施工してもらいたい」と考えることでしょう。

ところが、ところがです。

「lx(ルクス)」とは、照明の明るさを表す単位です。そして、1,000lxという光の明るさは、実は手術室くらいの明るさなのです。この記事をご覧の方の部屋は、手術室くらいの明るさでしょうか?

明るいオフィスであれば、1,000lxのところもあると思います。しかし、夜の室内の食卓では、せいぜい200lxくらいの明るさしかありません。昼間で部屋が明るかったとしても、手術室よりも暗いものです。ですから、「その1/5程度の明るさで、本当に除菌ができるのだろうか?」疑問になりました。

そのような詐欺的なPRをしている光触媒メーカーがあるので、注意が必要なのです。

【条件3】
効果の高い光触媒成分を使用していること

先ほど、屋外の直射日光が当たるところでは、酸化チタンを選ぶことが必須でした。そして光触媒の種類によっては、明るい光を当てないと効果が実感できないものもありました。

では、室内では、どの光触媒成分を選んだら良いのでしょうか?

それは、「銅ドープ酸化チタン」です。

窒素ドープ酸化チタンは、大手自動車メーカーのグループ会社が主に研究している成分です。その本体である自動車メーカーは、グループ会社が研究している成分を選ばずに、銅ドープ酸化チタンを高級自動車の光触媒コーティング剤に選び、それ依頼ずっと銅ドープ酸化チタンを標準品として採用し続けています。そのことからも、窒素ドープ酸化チタンと比べて、銅ドープ酸化チタンの方が、効果が高いと言えます。

鉄ドープ酸化チタンは、確かに可視光でも反応はしますが、弊社の試験では除菌や消臭が実感できるほどの効果が無かったので、採用しなかった経緯があります。「これほど効果の低い成分を、なぜ光触媒コーティング剤としてリリースしているのか?」と疑問になるほどです。

酸化タングステンは、先ほど解説した通りですが、銅ドープ酸化チタンと効果を比較すると、銅ドープ酸化チタンの方が、数倍効果が高いです。つまり、酸化タングステンで手術室ほどの光を当てたときと、銅ドープ酸化チタンにご家庭の蛍光灯を当てたときを比較すると、おそらく銅ドープ酸化チタンの方が、効果が高いと思われます。

光が当たらない場所でも効果を発揮する光触媒
「銅ドープ酸化チタン」

光触媒は、基本的に光が当たらないと効果を発揮しません。当たり前のことです。さらには、先ほどそれぞれの光触媒成分ごとに効果が発揮される光が当たらないといけませんでした。そして、光の明るさが求められました。

実は、光触媒コーティング剤として利用されている光触媒成分の中で、暗闇でも効果を発揮する成分が存在するのです。

その成分とは、先ほどからご紹介している「銅ドープ酸化チタン」です。

銅ドープ酸化チタンは、室内でも数倍もの効果を発揮し、なおかつ暗闇でも触媒の効果を発揮するという、常識はずれの成分なのです。

暗所でも効果を発揮するということは、地下室やお風呂場などの普段は明かりを消している場所、エアコンや空気清浄機の内部といったところでも除菌や防カビ、消臭の効果を発揮します。

銅ハイブリッド酸化チタンはどうか?

銅ドープ酸化チタンに似た名称の成分で、「銅ハイブリッド酸化チタン」というものがあります。

銅ドープ酸化チタンは、銅が酸化チタンと結合して酸化チタンの性能を高めている成分です。それに対して銅ハイブリッド酸化チタンは、単に酸化チタンコーティング剤に銅イオンを混ぜただけのものです。

銅ハイブリッド酸化チタンは、銅と酸化チタンが結合していないので、酸化チタンが室内の光では機能しません。そして、銅イオンのみが抗菌などの効果を発揮するので、効果の持続期間がとても短いです。

はっきり言えば、室内に利用するなら、「機能しない酸化チタンを入れないで、銅イオンだけをコーティングした方が良いのではないか?」とさえ思えます。

本物の「銅ドープ酸化チタン」と、まがい物の「銅ハイブリッド酸化チタン」を間違えないようにご注意ください。

利用場所に応じた光触媒コーティング剤の正しい選び方

まとめに入りたいと思います。酸化チタンは直射日光が当たる場所で効果があります。そして、室内では銅ドープ酸化チタンを利用すると良いでしょう。

光触媒コーティング剤を利用する場所に応じて、どのような光触媒成分の液剤を用いたら良いのかは次の表の通りです。

 効果の高い光触媒成分
直射日光が当たる外壁酸化チタン(銅ドープ酸化チタンも可)
北側の日陰になる外壁銅ドープ酸化チタン
室内銅ドープ酸化チタン
暗い場所銅ドープ酸化チタン

外壁に光触媒コーティングをするときは酸化チタンを、日陰になる外壁や屋内、地下室などの暗い場所には銅ドープ酸化チタンを利用した光触媒コーティング剤を選ぶと良いでしょう。

本音で言えば、銅ドープ酸化チタンは製造技術の特許を取得している弊社の製品をご利用いただいた方が良いと思います。

屋外用の酸化チタンを使った光触媒コーティング剤は、いろいろなメーカーから販売されています。しかし、そのメーカーからプライマーが販売されているかどうかで、効果の高さが左右されます。詳しくは、「外壁の光触媒コーティングに最適な光触媒成分や液剤とは?」をご参照ください。

以上、光触媒コーティング剤が効果を発揮するための条件を解説しつつ、用途別に効果の高い光触媒成分をご紹介しました。

最後に弊社の光触媒製品の名称だけお伝えして終わりたいと思います。

業務用光触媒コーティング剤の開発や利用、光触媒加工のご相談、光触媒コーティングの施工のご依頼は、弊社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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