
光触媒塗料とは、光触媒成分を添加した塗料のことです。
光触媒成分を添加する理由は、「外壁を美しく保つことができるから」です。
光触媒は、日光と雨の力を利用して、外壁に付着する汚れを自動的に落とすことができます。
でも、光触媒塗料を塗っても、外壁に苔が発生してしまい、外壁が汚れてしまうこともあります。
その汚れは、緑色の汚れであることが多いので、「緑汚れ」とも言われます。また、苔が乾燥したら黒くなるので、黒い汚れであっても、苔の汚れの場合もあります。
この記事では、光触媒塗料の防汚メカニズム、苔が発生する理由と対策を解説します。
光触媒塗料とは?

光触媒塗料とは、光触媒成分を添加した塗料のことです。ペンキのように顔料が入った塗料です。
光触媒成分として、アナターゼ酸化チタンが用いられています。
「アナターゼ」とは酸化チタンの結晶構造の名称です。他にも、ルチルやブルッカイトといった種類がありますが、光触媒にはアナターゼが使われます。
光触媒塗料を利用すると、光触媒の作用によって、外壁の汚れが分解され、雨水で流れ落ちる効果があります。それによって、光触媒塗料を塗った外壁は、汚れにくく、美しさを保つことができます。
そのようにメリットの多い塗料ではありますが、デメリットもあります。後ほどわかりやすく解説するので、光触媒塗料の利用をお考えの方は、しっかりご理解ください。
なぜなら、施工代理店の人も、光触媒塗料のデメリットを知らないことが少なからずあり、トラブルが絶えないからです。
外壁が汚れる理由
外壁に付着する汚れには、主に
- 塵や埃の付着
- 雨垂れの跡
- 苔やカビの付着
この他にも、コンクリートの劣化によるエフロによる汚れもあります。
塵や埃の付着
外壁が汚れる理由は、空気中に浮遊する微量の油分と塵や埃です。油分は自動車の排気ガスなどから出ていて、都心ほどたくさん浮遊しています。
その油分が外壁に付着し、その粘性によって、外壁に塵や埃が付着します。
塵や埃は、本当にいろいろなものがあります。自動車や工場の排気ガスもありますし、アスファルトが削れた粉もあると思います。ゴビ砂漠の細かな砂埃や、工場の排気ガスに含まれるPM2.5などが、偏西風に乗って、日本に飛来してくるものがあります。
そういったものが、外壁に付着していき、外壁が次第に黒く汚れていきます。
水垂れの跡
外壁に排水口があったり、サッシがある場所では、雨垂れの跡が付着します。
雨垂れがある場所は、雨に含まれる油分や汚れの、濃縮されたものが付着するので、汚れが目立ってしまいます。
雨垂れを放置していると、黒く汚れるだけでなく、鏡やガラスにウロコが発生するように、外壁にも白い鍾乳洞にある硬いものが堆積していくこともあります。
苔やカビの付着
苔やカビの付着による汚れは、湿気の多い箇所、近隣に樹木が茂っている場所にある建物の外壁に多いです。
苔の発生は、風の流れでも異なり、「隣の家は大丈夫なのに、自分の家は苔が発生する」という場合もあります。
外壁の汚れの落とし方

外壁に付着した塵や埃などの汚れは、高圧洗浄機で汚れを落とす方法が一般的です。水の圧力によって、塵や埃を取り除くわけです。
苔やカビの汚れは、専用の洗浄剤を用いて洗い流します。
ホームセンターやネットショップなどで高圧洗浄機が売られているので、ご家庭でも手軽に外壁洗浄ができます。
ただし、2階などの高い場所の洗浄は、専門の業者に依頼するべきでしょう。
漆喰外壁の汚れは、高圧洗浄をすると、漆喰を傷めてしまうこともあるので、注意が必要です。
漆喰外壁には光触媒塗料を塗布することができません。漆喰外壁の汚れ防止については、「漆喰外壁の汚れ防止なら光触媒コーティング」をご参照ください。
光触媒塗料の防汚メカニズム
光触媒塗料の防汚メカニズムを解説します。光触媒に光が当たると、その表面に電子が飛び出します。その電子が、空気中の酸素や水と反応して、OH基を発生させます。
このOH基は、OHラジカルとなり、外壁に付着した油分を酸化分解してくれます。
OHラジカルは、苔やカビも酸化分解してくれます。この効果によって、苔やカビの抑制も期待できます。
また、光触媒塗料に発生したOH基は、水と馴染む性質があります。すると、雨が外壁に当たると、外壁と汚れの間に水が入り込んで、汚れを浮かせて流れ落ちます。

このように、外壁の汚れが自動的に流れ落ちる効果のことを、セルフクリーニングといいます。
光触媒がOHラジカルを発生させるメカニズムは、「光触媒からOHラジカル(ヒドロキシルラジカル)が発生する仕組み」をご参照ください。
光触媒塗料を塗っても苔が発生する理由
光触媒塗料を利用すると、OHラジカルが発生して、苔やカビが分解されます。その効果によって、「苔やカビが発生しない」と思われるかもしれません。
ところが、弊社にときどきご相談のあることで、「光触媒塗料を利用したのに苔が発生した。なぜでしょうか?」とご相談をいただくことがあります。
その理由は簡単です。「光触媒が機能しなかった」ということです。
酸化チタンが効果を発揮する条件とは?
光触媒が機能する条件は、光が当たることです。光と言っても、紫外線や可視光、赤外線の3種類があります。
光触媒塗料に含まれるアナターゼ酸化チタンは、「紫外線が当たったときのみ効果を発揮する」という性質があります。

苔やカビが発生するのは北側や薄暗いの外壁
そして、苔やカビが発生しやすい外壁は、湿気の多い場所であることと、北側や薄暗い場所の外壁であることです。
紫外線は、直射日光に含まれています。
北側や薄暗い場所の外壁には、直射日光が当たりませんので、紫外線がほとんど当たりません。そのため、光触媒塗料を塗っていても、苔やカビが発生してしまうことがあります。

弊社に相談のあった事例
とある大手工務店からご相談がありました。その内容とは、「2~3年前に光触媒塗料を使用したお客様から、『苔が発生して汚れてしまった』とクレームがあった。イリスの光触媒なら防苔ができるのか?」というものでした。
話を詳しく伺うと、やはり北側の外壁に苔が発生したとのことでした。
光触媒塗料をPRしたときに、「外壁が10年以上汚れない」と言って利用してもらったようです。ところが、2~3年で汚れてしまい、クレームになったようです。
苔やカビを防止できる光触媒の種類
光触媒には、アナターゼ酸化チタン以外にも、いろいろな種類があります。
外壁の苔やカビを防止するなら、紫外線が当たらない場所でも、ある程度の明るさがあれば効果を発揮する光触媒を利用します。
そのような光触媒の中で、もっとも効果の高い光触媒の種類は、銅ドープ酸化チタンです。
銅ドープ酸化チタンとは?

銅ドープ酸化チタンとは、アナターゼ酸化チタンの表面に酸化銅をくっつけたナノサイズの微粒子です。
アナターゼ酸化チタンは紫外線が当たったときでないと効果が出ません。
その酸化チタンに酸化銅を結合させると、銅が効率的に電子を移動させるようになり、可視光でも効果を発揮するようになります。
そのような、可視光でも効果のある光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。
可視光応答型光触媒にもいろいろな種類があります。実用化されている可視光応答型光触媒の中で、もっとも効果の高いものが銅ドープ酸化チタンです。
銅ドープ酸化チタンの利用方法

銅ドープ酸化チタンの利用方法ですが、今現在のところ光触媒コーティング施工のみです。
光触媒コーティング施工は、光触媒塗料とは異なり、銅ドープ酸化チタンが入った液剤を利用します。
この液剤のことを、光触媒コーティング剤といいます。
光触媒塗料と光触媒コーティング剤の違い
光触媒塗料は、ペンキのような塗料です。光触媒コーティング剤は、液体の塗料です。
光触媒塗料と光触媒コーティング剤の違いは、
| 性質 | 光触媒塗料 | 光触媒コーティング剤 |
|---|---|---|
| 色 | 顔料の色が付着 | 透明(クリア塗装) |
| 光触媒の種類 | 酸化チタンのみ | いろいろな種類がある |
| 用途 | 外壁用のみ | 外壁用、室内用など多様 |
| ニオイ | 溶剤のニオイ | 無臭 |
| 塗布方法 | 刷毛やペイントローラー | 専用のスプレー装置 |
| 自分での塗布 | できる | できない |
光触媒コーティング施工では、専用のスプレー装置を使います。弊社が推奨するスプレー装置は、ABAC(アバック)温風低圧塗装機です。
次の写真は、ABAC温風低圧塗装機SG-91です。

また、塗布するための施工技術を要します。そのため、光触媒コーティング施工は、弊社までご相談ください。
光触媒塗料を塗った箇所に苔やカビが発生したら?
苔やカビの汚れが発生したら、それを放置しておけば、塗装を傷めてしまい、外壁の劣化を早めてしまうこともあります。
光触媒塗料を塗った箇所に苔やカビが発生したら、専用の洗浄剤や高圧洗浄機を使って洗浄をします。
その洗浄によって外壁の苔汚れは落ちますが、そのまま放置しておけば、また1~2年ほどしたら汚れが発生します。
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング施工をする場合は、光触媒塗料の上から施工ができます。
施工の流れは、おおまかには
- 養生
- 外壁の洗浄
- 下地保護剤の塗布
- 光触媒コーティング施工
苔が発生した場所に手が届かない場合には、足場の設置が必要になります。
銅ドープ酸化チタンを使った苔防止施工なら、イリスまでお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。
