光触媒コーティング塗装では、光触媒コーティング剤の塗装前に、下塗りが必要となる場合があります。
下塗りをする塗料のことを、プライマーといいます。
この記事では、下塗りをする液剤がどのようなものなのか、なぜ下塗りが必要な場合があるのか、その条件を解説いたします。
光触媒コーティング塗装を事業として取り入れたい方は、下塗りの知識を身に着けて、お客様にご満足いただける施工を目指してください。
光触媒コーティングの下塗りとは?
屋外であれ、室内であれ、光触媒コーティング塗装をするときは、光触媒コーティング剤を塗装するわけですが、その前に下塗りが必要となる場合があります。
下塗りは、プライマーと言われる下地剤を使用します。
光触媒コーティング剤に合わせて、専用のプライマーが存在し、ある一定の条件の場合に、プライマーを先に下塗りします。
なぜ下塗りが必要なのか?
光触媒コーティング剤を塗装する前に、下塗りが必要な理由は、光触媒が下地を劣化させる場合があるからです。
光触媒は、光エネルギーを受けて、有機物を分解する性質があります。すると、光触媒コーティング剤を有機物の塗装面に直接塗装すると、下地を分解してしまい、下地が劣化していきます。
それを防ぐために、プライマーを下塗りしておいてから、光触媒コーティング剤を塗装します。プライマーを先に塗装しておくことで、光触媒が下地に直接触れないようになり、光触媒による下地の劣化を防ぐことができます。
プライマーには、光触媒で分解されない無機成分が使われており、一般的にはアモルファス酸化チタンが用いられています。
下塗りが必要になる条件
光触媒コーティング施工をするときは、必ずしもプライマーの下塗りが必要とは限りません。
下塗りが必要となる条件は、次のすべてに当てはまる場合です。
- 効果の高い光触媒コーティング剤を利用している
- 下地が有機物である
- 強い光が当たる場所である
タイル外壁塗装の場合
タイル外壁塗装の場合は、酸化チタン光触媒コーティング剤を用います。弊社製品は、屋外用光触媒コーティング剤(BX01)です。
酸化チタン光触媒コーティング剤は、直射日光が当たると、強い触媒の効果を発揮します。そして、屋外は直射日光が当たるため、とても強い光が当たります。しかし、タイルは無機物ですから、光触媒によって劣化しません。
タイル外壁塗装の場合は、プライマーの下塗りは必要ありません。
サイディング外壁塗装の場合
サイディング外壁は、樹脂でできたものが多いです。樹脂は有機物ですから、光触媒によって劣化します。
樹脂が劣化したら、白い粉が吹いたような状態になります。この現象のことを、チョーキングといいます。
チョーキングが発生したら、サイディングの色が白っぽくなったり、樹脂が割れやすくなったりしますから、下塗りが必要です。
弊社製品の外壁用プライマーは、屋外用プライマー(ASS01)です。
室内塗装の場合
室内塗装の場合、一般的な光触媒コーティング剤を利用されるのであれば、下塗りは必要ありません。
しかし、弊社の製品、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を利用される場合で、窓辺の直射日光が当たる壁紙クロスは、下塗りが必要となります。また、テーブルやカーテンに光触媒コーティング塗装をする場合にも、直射日光が当たる場合が多いため、下塗りが必要です。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、銅ドープ酸化チタンといわれる強力な光触媒成分を利用しているため、直射日光が当たる箇所では下地を劣化させてしまう恐れがあります。
弊社製品の室内用プライマーは、屋内用プライマー(AS01)です。
反対に言えば、下地を必要としない一般的な光触媒コーティング剤は、光触媒の効果が弱いと言えます。
自動車の内装塗装の場合
自動車の内装に光触媒コーティング塗装をする場合には、一般的な光触媒コーティング剤では下塗りが必要でないことが多いですが、弊社の光触媒コーティング剤を塗装するのであればプライマーの下塗りが必須となります。
弊社の光触媒コーティング剤は、車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)です。この液剤の光触媒成分にも、銅ドープ酸化チタンが用いられています。
自動車の車内に使用されている装備は、自動車のシートやフロアマット、ハンドルやパネル、ドア部分など、すべてプラスチックです。そして、自動車の車内には、紫外線防止ガラスで紫外線量は少ないものの、直射日光の明るい光が射しこむので、光触媒の効果が強く出てしまいます。
弊社の光触媒コーティング剤を利用する場合は、必ずプライマーを下塗りしてください。
自動車の内装用のプライマーは、車用プライマー(ASR02-C)です。
以上、光触媒コーティング施工での下塗りについて解説いたしました。
光触媒コーティングでお客様にご満足いただける施工をするためにも、ぜひとも覚えておいてください。また、プライマーの下塗りに悩んだら、弊社までお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。