部屋の臭いを脱臭する方法は、いろいろな種類があります。その中で効果の高い方法は、光触媒コーティングとオゾン脱臭です。
この記事では、部屋の消臭で効果の高い光触媒コーティングとオゾン脱臭を比較したいと思います。
結論からの述べると、どちらも一長一短あります。
光触媒コーティングとオゾン脱臭で、用途別の比較、脱臭効果の持続時間の比較、脱臭が可能な臭いの比較、メンテナンス性や手軽さでの比較などを解説いたします。
賃貸マンションでの特殊清掃後の消臭依頼事例
以前に、とある賃貸マンションを管理している不動産会社様から弊社に、特殊清掃後に「何を試しても臭いが取れないので、消臭できないか?」との脱臭のご相談がありました。
不動産会社様によると、「前に住んでいた人の臭いが取れないので、光触媒コーティングで消臭ができないか?」というものでした。
不動産会社様が所有する賃貸物件は、前に住んでいた人の臭いを脱臭するために、市販の消臭剤、漂白剤、リフォーム、特殊清掃用の専用消臭剤、オゾン脱臭など、いろいろな方法を試したそうです。どれも一時的には臭いが取れたそうですが、しばらくすると部屋に臭いが漂い始めたそうです。
その理由は、臭いの成分が建材にまでしみ込んでいたようで、またそこから臭いが湧き出ていたようです。そのため、いろいろな方法で消臭を試しても、効果がありませんでした。最後の望みということで、噂を聞いて弊社にご相談いただきました。
弊社としては、光触媒コーティング剤でそのような特殊清掃でも取れない臭いの消臭ができるかどうか、試したことがありませんでしたので、実験させていただきました。
光触媒コーティング塗装は、部屋全体と、特に臭いが強い部分は少し多めに塗装しました。その結果、スッキリと消臭ができ、不動産会社様はとても喜ばれました。部屋のカーテンにも塗装できたらもっと効果的です。
ここで、オゾン脱臭をしたときは部屋の強い臭いが消臭できなかったのですが、光触媒コーティングだと消臭ができたわけですが、その理由を述べつつ、この2つを比較したいと思います。
オゾン脱臭は一時的な脱臭
オゾン脱臭は、酸素原子が3つくっついたオゾンを発生させて、その酸化力でもって、臭い発生源や臭いの成分を分解するものです。オゾンは水に溶けにくいので、気体として放出されるものです。
オゾン発生器では、空気や水を電気分解した酸素を電極に通して帯電させたり、紫外線を当てたりして、オゾンに変化させます。それを吹き付ける装置です。
脱臭で利用されるオゾンが出続けると、部屋の中のオゾン濃度が高くなります。オゾンは毒性が高いといわれていますが、脱臭装置程度では、そこにいる人には害は少ないことと思います。そのような濃度では、空気中の臭いの成分なら分解できると思いますが、部屋の中にしみ込んだ臭いの成分を元から分解することはできません。
また、オゾンは臭いの成分を分解したら、オゾンも普通の酸素になってしまいます。そして、オゾンは臭いの成分に到達するまでに、自然に分解されてしまいます。
つまり、オゾン脱臭は一時的な脱臭なため、臭いの元が床や壁にしみ込んでいたら、一時的に部屋を脱臭できたとしても、装置を止めてしまったら、また臭いが部屋に充満し始めます。
そのために、不動産会社のご担当者様が特殊清掃後の消臭で「オゾン脱臭は一時的にしか効果がなかった」といわれた理由です。
光触媒コーティングは恒久的な脱臭
それに対して光触媒コーティングは、恒久的な脱臭です。光触媒成分は、臭いの成分や臭いの元を分解しても、組成が変化しないため、連続して消臭し続けてくれます。
部屋の建材の中にしみ込んでいた臭いの元から、臭いが出てきたとしても、部屋全体に光触媒コーティングをすると、壁から出てくる臭いが壁に付着した光触媒によって、分解されます。
部屋の中に臭いが出てくる前に分解してくれ、また部屋の中にただよっている臭いの成分も、壁に触れたら分解されるので、部屋を連続的に消臭してくれます。
光触媒コーティング剤は水性ですので、壁の中にしみ込ませることも可能です。すると、壁の中の臭いの元を分解してくれるようになります。
光触媒コーティングとオゾン脱臭の大きな違いは、消臭効果の継続時間になります。
部屋の中でも脱臭効果の高い光触媒コーティング剤とは?
光触媒コーティングは、光を受けることで触媒の効果が出ます。光触媒の効果の高い成分は、酸化チタンです。酸化チタンは、紫外線を受けると効果を発揮します。
室内では、紫外線量が少ないのに、弊社の光触媒コーティング剤が効果を発揮したのには理由があります。それは、銅ドープ酸化チタンを使ったからです。
銅ドープ酸化チタンは、本来は紫外線にしか反応を示さない酸化チタンが、室内の明かりでも強い光触媒効果を発揮する成分です。ちなみに、この成分は弊社が世界で初めて発見したものです。銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング製品は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。
この銅ドープ酸化チタンを用いないと、部屋の中の脱臭には効果がありませんので、ご注意ください。
この製品を専用の塗装装置とスプレーガンで部屋全体を塗装するのですが、特殊清掃されて入念に消臭したい箇所は、入念に塗装します。通常は1~2回の塗装をしますが、3~4回ほど塗り重ねます。先ほどの事例も、そのように塗り重ねることで消臭ができました。
弊社の光触媒コーティング剤で脱臭可能な臭い
弊社の光触媒コーティング剤では、特殊清掃での臭いだけでなく、次のような臭いの脱臭が可能です。
- カビの臭いや腐敗臭
- シックハウスの原因と割れる揮発性有機化合物(VOC)の臭い
- 油汚れの臭い
- スパイスやニンニクの臭い
- タバコの臭い
これらの臭い成分は、通常の光触媒成分では分解ができない場合が多いです。また、トルエンやキシレン、スチレンなどのベンゼン環の化学物質は、光触媒では分解ができないことが知られています。そういった中で、銅ドープ酸化チタンだけが、消臭・分解ができました。
ただし、これらの臭いが常に部屋の中で発生し続けている場合には、消臭が追い付かないので、臭いが消えない場合もございます。光触媒コーティングで消臭できないパターンは、次のものです。
- 油汚れやタバコの煙などの臭い成分が常に発生している部屋 ⇒ 臭い成分が供給され続けているため消臭が間に合わないため
オゾン発生装置の設置
オゾン発生装置は業務用や家庭用で、さまざまな種類があります。家庭用はAmazonでも購入ができます。
業務用では、たくさんのオゾンを発生させるために、特別な装置が組み込まれています。家庭用は、空気中の酸素に高電圧(電子)を加えるものが多いです。
業務用のオゾン発生装置は、家庭で導入するのにはとても高価ですが、たくさんのオゾンが出ます。ずっとオゾンが出続けたら、空気中のオゾン濃度が高くなり、健康に悪いかもしれませんので、オゾン発生装置のマニュアルに従って正しくご使用ください。
また、装置によっては、空気の吸い込み口のフィルターを清掃したり、装置に水を入れたり、電極の掃除をしたりと、メンテナンスが必要です。
それと比較して光触媒コーティングは、塗装時には専用の塗装装置とスプレーガンが必要ですが、塗装をしてしまったら、その後は特別な装置は必要ありません。そのため、装置が壊れることもありませんし、電源もいりません。
そういった意味で、光触媒コーティングは塗装後の手軽さがあります。
以上、光触媒コーティングとオゾン脱臭の違いを解説いたしました。
家庭用のオゾン脱臭機器はネット通販でも販売されていますが、そういった装置を置いておくことで、安心感を得ることができます。それに対して、光触媒コーティングはクリア塗装をしたら、「本当に効果が持続しているのだろうか?」と心配になる人もいるようです。
弊社では、光触媒コーティングをされた方には、脱臭効果ではありませんが、塗装面の雑菌の量を塗装前後で測定して、結果をご覧いただくようにしています。
特殊清掃後でも臭いが消えなくて困っている方はもちろんのこと、部屋の他の臭いが消えなくてお困りの方は、ぜひ光触媒コーティングをご利用ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。