

外壁を光触媒コーティングしたい場合、利用する光触媒コーティング剤には、外壁用を用いることが基本です。
しかし、外壁の条件によっては、外壁用ではなく室内用を用いた方が良い場合があります。
もし、室内用を用いた方が良い条件の外壁に、外壁用を用いてしまったら、光触媒の効果が出なくて、外壁が汚れやすくなったり、カビやコケが発生するなどして、クレームになってしまうことがあるからです。
この記事では、光触媒コーティング施工を新規事業として取り入れたいとお考えの企業様や、外壁に光触媒コーティング施工を行ってもらいたいとお考えのユーザー様に向けて、外壁に屋内用光触媒コーティング剤を利用した方が良い条件をご説明いたします。
なぜ屋外に屋内用光触媒コーティング剤を利用するのか?
屋内用光触媒コーティング剤は、室内でも触媒効果を発揮する光触媒成分を用いています。
室内の光は、外壁のように直射日光が当たることは南側の部屋窓際に限られます。そのため、屋内用光触媒コーティング剤は、直射日光が当たらなくても触媒効果が出るように、成分を調整してあります。
このような屋内用光触媒コーティング剤を、外壁のどの部分に利用するかと言いますと、外壁でも北側で直射日光が当たらない外壁や、隣の建物が近くて陰になっている外壁といった、薄暗い外壁です。
このような外壁は、直射日光が当たって効果を発揮する外壁用光触媒コーティングでは、効果が出にくいため、カビやコケなどが発生し、外壁が汚れてくることがあるのです。
薄暗い外壁の防汚なら銅ドープ酸化チタン
屋内用光触媒コーティングに用いられている光触媒成分は、外壁用光触媒コーティング剤のそれとは成分が異なります。
外壁用には主に酸化チタンが用いられており、それ以外の光触媒成分が使われた光触媒コーティング剤は見たことがありません。それに対して屋内用光触媒コーティング剤に利用されている光触媒成分は、主に次のような種類があります。
- 銅ドープ酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン
これらの光触媒成分の中で、薄暗い場所で最も効果の高い成分は「銅ドープ酸化チタン」です。銅ドープ酸化チタンの効果の高さは、200lxという薄暗い廊下ほどの明るさで他の成分と比べると、10倍以上の効果を発揮します。
ちなみに「ドープ」とは、「添加する」という意味です。銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンに銅を結合させた特殊な成分で、紫外線にしか反応しない酸化チタンが、薄暗い光でも触媒効果を発揮するようになります。
屋外用と屋内用の使い分け
通常であれば屋外用光触媒コーティング剤を用いるところを、薄暗いところでは屋内用光触媒コーティング剤を用いないと効果が弱いことをご説明しました。では、「どの程度の暗さの外壁に屋内用光触媒コーティング剤を使ったら良いのか?」という疑問が出てきます。
「太陽光がまったく当たらない外壁は、屋内用光触媒コーティング剤を用いる」ということは、すでにお気づきのことと思います。
季節によって日光の当たり方が異なる場合はどうでしょうか。外壁の方角によっては、夏には直射日光が当たるけれども冬は当たらない場所があります。南中高度によっては、その逆もあるはずです。そういった場所でも、屋内用光触媒コーティング剤を用いてもかまいません。
昼間になればいつも直射日光が当たる外壁の場合には屋外用光触媒コーティング剤を用い、季節によってはいつも日陰になるような外壁は屋内用光触媒コーティング剤を用いてください。どちらか分からない場合には、念のため屋内用光触媒コーティング剤を用いると良いと思います。
直射日光が常に当たる場所にて屋内用光触媒コーティング剤を用いたとしても、屋外用よりも効果が若干落ちますが、高い効果はあるのでご安心ください。
外壁に屋内用光触媒コーティング剤を
利用しても良いのか?

光触媒コーティング剤のメーカーによっては、「外壁に屋内用光触媒コーティング剤を用いないでください」と記載されているものもあるかもしれません。そういった場合には、屋内用光触媒コーティングを外壁に使用しない方が良いです。
弊社製品では、外壁用と屋内用の違いは、光触媒成分として酸化チタンを用いているか銅ドープ酸化チタンを用いているかの違いだけですから、屋内用光触媒コーティング剤を外壁にご利用いただけます。成分については、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)をご覧ください。
ただし、外壁に利用する下地保護剤(プライマー)は、日陰であっても屋外用プライマー(ASS01)をご利用ください。
以上、外壁の光触媒コーティングに、屋内用光触媒コーティング剤を用いた方が良い条件をご説明いたしました。
外壁でも日陰になる場所では、直射日光に反応するように開発された屋外用光触媒コーティング剤では効果が弱くなってしまいます。そこで、弱い光でも効果を発揮する屋内用光触媒コーティング剤を用います。
もし、「このような場所はどちらを利用したら良いのか?」という疑問が出ましたら、弊社までお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。