
光触媒とは、光のエネルギーを受けることで、それに触れている有機物を分解する力のある物質のことです。有名なものとしては酸化チタンです。
酸化チタンには、何種類かの結晶構造を持ちますが、アナターゼとルチルといわれる2種類の結晶構造がよく知られています。アナターゼの酸化チタンの光触媒としての活性は、ルチルと比べて10倍ほどあるといわれています。
結晶構造については、日本酸化チタン工業会の「酸化チタン(ナノ酸化チタンを含む)の安全性等について」をご参照ください。
さて、酸化チタンなどの光触媒の効果を持つ物質を、コーティング剤として製造された液剤を塗装することで、塗装面に光触媒の効果を持たせることができます。光触媒コーティングとは、光触媒をコーティング塗料として塗布することを言います。
以下、光触媒コーティングのメリットや塗装方法、光触媒コーティング剤の選び方、塗装での注意点などを解説いたします。
光触媒コーティングとは?
光触媒コーティングとは、外壁や内装、ガラスなどを光触媒でコーティングする塗装のことです。光触媒コーティング施工には、クリア塗装ができる光触媒コーティング剤を塗布します。
光触媒コーティングの効果とは?
光触媒コーティングの効果には、次のようなものがあります。
- 除菌
- 防カビ
- 消臭
- 防汚
- 有機化合物(VOC)の分解
光触媒には、有機物を分解する効果があります。病原菌やカビ菌は、微細な有機物ですので、光触媒コーティングによって分解・除去ができます。臭いの成分が有機物であれば、分解ができます。ペットや加齢臭などの臭いは有機物ですので、もちろん分解ができます。
つまり、人体にとって有害な微生物もその例外ではありません。対象物としては、ビルや住宅などの建物への施工が多いですが、河川や池などの水質浄化にも利用できます。
また、光触媒には親水性の効果があり、外壁やガラスに光触媒コーティングをしたら、雨水と光触媒が馴染むので、その水が外壁やガラスに付着した汚れの間に入り込んで汚れを浮かせて、雨水といっしょに洗い流してくれる効果があります。
光触媒コーティングによって、外壁やガラスに付着した汚れを分解してくれる効果もあるのですが、汚れが分解されるまで時間がかかってしまいます。しかし、親水性の効果によって汚れを流してくれる効果もあるので、外壁やガラスの防汚ができます。
これらの効果が得るためには、「光触媒コーティング剤を適切に選ぶこと」が大切です。
光触媒コーティングの効果は、「光触媒コーティング塗装の効果とは?」にて詳しく解説しているので、そちらのページもご参照ください。
製品を適切に選ぶと消臭できる臭いの種類
光触媒コーティング剤や光触媒スプレーを適切に選ぶことができたら、高い効果が得られます。間違った製品を選んでしまったら、まったくと言ってよいほど効果がありませんから、ご注意いただきたいと思います。
光触媒コーティング剤や光触媒スプレーを適切に選べば、次のような臭い成分を分解することができます。
- アンモニア
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- エチレン
- トルエン
- キシレン
- スチレン
- イソプロパノール
- 酢酸
- トリメチルアミン
- メチルメルカプタン
- アルコール類
要するに、トイレの臭い、新築や新車の臭い、加齢臭、ペットの臭い、下駄箱やブーツの臭いといった、いろいろな臭いの消臭が可能です。
光触媒コーティングは身体に安全か?
ここで、光触媒に用いられている酸化チタンは「人体にとっても有害なのか?」という疑問を持たれた方もいらっしゃることでしょう。身体に有害なものであるならば、外壁はもちろんのこと、屋内の内装に使用はできません。
しかし、ご安心ください。酸化チタンは、日焼け止めクリームや化粧品などにも使用されている成分で、人体には安全な物質として知られています。口や目に入っても問題ないとされています。もちろん、光触媒コーティング剤として塗装されたものであれば、そこに触れても問題はございません。
光触媒が分解できる有機物には、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドのような有機系の化学物質も含まれます。建材に含まれる化学物質によるシックハウス症候群などのアレルギーを持った人が、化学物質対策として光触媒コーティングをされることもあります。
光触媒コーティングは、身体に有害な物質を分解してくれる効果もあります。簡単なご説明でしたが、「光触媒コーティングとは、とても有益なものだ」とご理解いただけたことと思います。
光触媒コーティングが活躍する場所
光触媒コーティングが活躍する場所はさまざまです。光触媒コーティングが活躍する場所と効果について、いくつかの施工事例を交えてご説明します。
外壁の防汚
外壁に光触媒コーティングすることによって、外壁をカビの発生や汚れから守ってくれます。汚れを防止してくれることを「防汚(ぼうお)」と言います。
次の写真をご覧ください。この写真は、とある鉄道会社様からご依頼があって、駅の壁面に光触媒コーティングして、20年以上経過したものです。

右側の写真が、駅の壁面に光触媒コーティングをした側(南側)です。左側の写真は、コーティングしていない側(北側)です。
コーティングされた側は、人の出入りが頻繁な正面側です。南側に位置するので、陽の光が良く当たることもあり、光触媒の効果が発揮されて、汚れが目立っていません。ところが北側の壁面は、光触媒コーティングをしていないことや、やや北側で太陽の光が直接射さないこともあり、汚れが目立っています。
もし、南側も光触媒コーティングをしていなかったら、おそらくは北側と同様に汚れていたはずです。壁面を清掃したりペンキの塗装をし直したりしていたはずで、そのコストがかかっていたものと思われます。
このお客様は、今後さらに10年ほどはメンテナンスをしない状態で壁面を美しい状態に保てることと思います。
たまたま駅の外壁を解説しましたが、外壁の光触媒コーティングの実績としては、ビルやマンション、店舗、学校、住宅など、多数の実績がございます。
厨房の除菌や防カビ
光触媒コーティングは、除菌や防カビの効果を塗装面に付与できます。その効果は、厨房にとってはとても魅力的ではないでしょうか?
厨房に光触媒コーティングをすると、もちろん除菌や防カビの効果がありますが、油汚れが落ちやすくなるという効果もあります。
ここでご注意いただきたいことは、「酸化チタン(アナターゼ)は、紫外線や紫色の光にのみ反応して光触媒の効果が出るため、厨房では効果なし」ということです。屋内では、紫外線や紫色の光の量が極めて少ないので、酸化チタンそのままでは光触媒の効果はほとんど無いため、せっかく光触媒コーティングをしても効果が出なくてクレームになることもあります。
そこで弊社では、酸化チタンに銅を加えることで、可視光や光の量が少ない場所でも効果が出る銅ドープ酸化チタン(銅担持酸化チタン)を使った光触媒コーティング剤を開発し、特許を取得しました。このような、可視光でも効果のある光触媒コーティングのことを、「可視光応答型光触媒コーティング」と言います。
可視光応答型光触媒コーティングは、蛍光灯やLEDライトなどの室内の明かりしかなくても、光触媒の効果を発揮する性質を持っています。
ここで、厨房では水を頻繁に流したり、清掃したりするので、「光触媒コーティングが落ちてしまうのではないか?」とご心配される方もいらっしゃることと思いますが、ご安心ください。

弊社の内装向けに開発された光触媒コーティング剤「屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)」は、ステンレスの表面にもしっかり定着するので、一度定着すると研磨剤で磨くことをしないと落ちないくらいの耐久性です。研磨剤が入ってない洗剤を使っての拭き掃除であれば、光触媒コーティングが5年以上持つと思います。
また、「銅は体に悪いのではないか?」とお考えの方もいらっしゃいます。銅が体に悪いのであれば、10円玉を持ち歩くことや銅鍋を利用することが危険であることを意味します。反対に銅は必須ミネラルとして厚生労働省が認めていますし、東京大学医学部の実験でも安全性が証明されています。日本銅センターの「銅の安全性」をご参照ください。そして、光触媒コーティング剤に入れている銅はほんの微量ですし、塗布面にしっかり定着するので、ご安心ください。
自動車の車内の除菌・消臭
自動車の車内は、掃除機などでの掃除はできても、洗浄まではなかなかできないので、汗などの臭いが染みつく場合もあります。その場合は、可視光応答型光触媒コーティングで、車内の除菌・消臭ができます。
自動車の車内の除菌・消臭は、いろいろな方法があります。自動車の車内は、夏場はかなりの高温になるので、その車内に消臭剤を入れておくことは、エアゾールのものは爆発の危険がありますし、ハンドスプレータイプのものは蒸発してしまいます。また、それらの製品は、頻繁に使用しないと効果がありません。
光触媒コーティングはどうかと言うと、自動車のガラスは紫外線防止がなされているので、酸化チタン(アナターゼ)だけの光触媒コーティングでは、光触媒の効果が出にくいです。
そこで、先ほど解説した「可視光応答型光触媒コーティング」ならいかがでしょうか?

弊社が開発した自動車の車内用光触媒コーティング剤「車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)」を塗装すれば、5年以上光触媒の効果が持続しますので、除菌や消臭の手間がかかりません。お客様からは「夜間でも消臭効果が持続しています。」とご実感いただいています。
ちなみに弊社の製品は、国内有名自動車メーカーの高級車の内装にも純正品として採用さています。また、トラックの大手メーカー様にも採用されています。
自動車の新車を購入すると、車内は独特の臭いがします。この臭いの原因は、プラスチックや接着剤などから発せられている化学物質です。可視光応答型光触媒コーティングすると、この臭いを低減してくれます。新車を購入されたときが、光触媒コーティングをするタイミングです。
賃貸物件への塗装
弊社が開発した可視光応答型光触媒コーティング剤は、賃貸マンションや賃貸アパートなどの賃貸物件にもよく利用されます。
賃貸物件は、入居者が退去したら壁紙を新しいものに交換することが多いと思います。ところが、壁紙を交換しても臭いが消えないこともあります。
そういったときには、可視光応答型光触媒コーティングがおすすめです。壁紙に可視光応答型光触媒コーティングをすると、壁紙の変色を抑えてくれ、室内の臭いを消臭し、カビの発生を抑えてくれます。
とある賃貸マンションで、アジア出身の方が数年間お住まいになられ、退去時にスパイシーな臭いが充満していたことがありました。大家さんは壁紙を交換したり、清掃業者に清掃を依頼したり、オゾンによる脱臭も行われたのですが、スパイシーな臭いが消えなくて困っていました。
そこで弊社にご相談があり、可視光応答型光触媒コーティングを塗装したところ、スパイシーな臭いがすべて消えてしまいました。壁にしみ込んだスパイシーな臭いが、壁紙を通じて出てこようとしたら、壁紙に塗装した光触媒コーティングによって連続的に消臭されていったことが、消臭の要因だと思われます。
また、光触媒コーティングには防カビ効果があるので、賃貸物件の内装だけでなく外壁にも塗装することで、カビの発生を抑え、物件の価値を長持ちさせることができます。
臭いやカビが抑えられる物件は、入居者にとってもメリットが大きいものです。入居者が不快に感じない居心地の良い住居に、長く住み続けてもらえることにもつながります。可視光応答型光触媒コーティングされた物件であることを訴求すると、利用者にとって入居の決め手になるかもしれません。
ペットを飼っている室内の除菌・消臭
ペットは非常にかわいく癒しにもなるのですが、ペットは生物なので、食べた後は必ず排泄物を出します。この排泄物の処理はどこのご家庭でもしっかりとされていますが、困るのは排泄物の臭いです。
ペットの臭いは、壁や床などに染みついたように臭ってくることがあります。
そこで、可視光応答型光触媒コーティング剤を壁面や床面に塗布する事により、ペットの排泄物の臭いを無くすことが出来、ペットとの快適な生活を実現することが出来ます。
光触媒コーティングは、消臭のみならず除菌効果もあるので、ペットの健康にも良いと思います。
ブリーダーの中は、マンションの一室でペットを飼育されている方もいらっしゃいます。そういった部屋では、部屋全体を光触媒コーティングすると部屋の除菌・消臭・防カビができるので、ペットの健康維持にも役立ちます。
ペットショップなどでも利用される弊社の光触媒コーティングをお試しください。
飲食店のトイレの抗菌・消臭コーティング

飲食店のトイレは多くの人が利用するので、汚れてしまいます。特に大手ファーストフード店や大手カフェチェーンの男性の便器周りは、頻繁に清掃をしないと、独特の臭いが付着してしまいます。
光触媒コーティング施工によって、トイレ全体や便器周りなどを抗菌・消臭コーティングしておくことで、それらの臭いを抑えることができます。
もちろん、飛び散ったものは掃除をしないといけませんが、掃除をした後だと臭いが消えやすいです。
有機化合物の分解
弊社がもともと光触媒の研究を始めたのは、エチレンガスの分解からでした。当時、弊社では農業関連の事業を行っており、玉名農協の指導員から「農家が野菜や果物を収穫して農協の冷蔵倉庫に入れてから、出荷までの間に、野菜や果物が劣化し腐敗する物が出てくるので、この野菜や果物の劣化・腐敗を少しでも少なくしたいので、何か方法がないのか」というご相談から、野菜の熟成を進めるエチレンガスを分解することを考えました。
その研究にて、光触媒を使ってエチレンガスが分解でいることを確認し、装置も開発しました。
弊社の光触媒コーティング剤は、アンモニアはもちろんのこと、ホルムアルデヒドや芳香族系の臭いが分解できるので、そういった有機化合物の分解もできることを意味しています。また、後に弊社の光触媒コーティング剤にてホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどのVOCも分解できることを確認しました。
シックハウス症候群や、自動車の新車特有の臭いはホルムアルデヒドなどのVOCが原因といわれています。それらの有機化合物の分解できます。
弊社製品では次のガスにて試験し、ガスの分解を確認しました。
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- トルエン
- キシレン
- スチレン
石油系の有機物も分解ができるので、土壌汚染や水質汚染にも光触媒が利用されることもあります。分解したい化学物質がございましたら、弊社にて研究代行いたしますので、お気軽にご相談ください。
エアコン内部の除菌・防カビ・消臭

光触媒でエアコン内部に塗装することで、エアコン内部の除菌・防カビ・消臭ができます。
食品製造工場や雑菌を嫌うようなものを製造している工場では、雑菌やカビ菌の対策をされいているところが多いと思いますが、意外に工場内の冷暖房用のエアコン内部の除菌をしているところが少なからずあります。
エアコン内部でカビが繁殖していたら、カビ菌をエアコンから室内にバラまくことになるので、エアコン内部の除菌・防カビは大事です。
エアコン内部は光が届きにくいので、光触媒の効果が低いように思われがちですが、弊社が開発した屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)なら除菌・防カビが可能です。大型エアコンであれば、エアコン内部にLEDライトや紫外線ランプなどを設置することで、より効果的な除菌・防カビが期待できます。
大型空調機の不織布フィルターへの光触媒加工も可能です。お気軽にご相談ください。
クリニックや介護施設の除菌・消臭

弊社は、施工代理店を含み、クリニックや介護施設の部屋や廊下など、施設全体の光触媒コーティングの実績が多数ございます。
近年では、新型コロナウイルスの感染症が流行しました。そういった背景もあり、「クリニック全体に光触媒コーティングをしてもらいたい」という需要も増えてきました。
弊社の光触媒コーティング剤は、新型コロナウイルスやノロウイルス、大腸菌などに対しての効果や、毒性を試験しており、効果や安全性を確認しています。クリニックや介護施設でもご安心して導入していただけます。
光触媒コーティング塗装をするときは、写真のようにガラスなどの光触媒コーティング剤がかかってはいけない箇所を養生(マスキング)してから行います。
火事の臭いの消臭

火事があると、その後の清掃だけでなく、消臭も問題になります。わずかでも火事の臭いが残っていると、その部屋では生活しにくいものです。
火事の後はスケルトンの状態にして、あの手、この手で消臭をしようとしますが、なかなか消えません。
そこで、特殊な光触媒成分「銅ドープ酸化チタン」を、清掃後のスケルトンの状態でコーティング塗装します。すると、臭いがほぼゼロになります。
そして、リフォーム後に壁紙クロスやタイルなどの上から、もう一度、念のためコーティング塗装しておけば、その部屋に住む人は、火事があったことが判らないくらいに臭いが消えます。
光触媒コーティングのメリット
光触媒コーティングには、除菌や防カビ、消臭、有機化合物の分解などの効果がありますが、それらの効果に関するメリットは、ご理解いただけたことと思います。効果以外のメリットには、次のようなものがあります。
- 効果が長期間持続
- 塗装するだけでメンテナンスフリー
効果が長期間持続
光触媒コーティングは、塗装するだけで効果が出てきます。しかも、その効果が長期間持続します。
光触媒そのものの効果は半永久です。しかし、光触媒をコーティング剤として塗装したものであれば、コーティングされた光触媒が使用状況によって落ちていってしまいます。そのため、光触媒コーティングがどの程度持つのかが、持続力になります。
メーカーによっては、光触媒コーティングの耐久性が1年ほどのものもあるようですが、弊社の製品は、正しく塗装していただけたら、使用状況にもよりますが10年以上の持続力があります。外壁塗装では、20年以上持つこともあります。
塗装するだけでメンテナンスフリー
また、光触媒コーティングは塗装するだけで、メンテナンスフリーというメリットがあります。もちろん、塗装面が汚れたら掃除をしていただいた方が良いですが、基本的には塗装した後のメンテナンスは必要ありません。
部屋の消臭を次亜塩素酸や空気清浄機で行いたい場合は、薬剤をずっと供給し続けたり、機械をメンテナンスしたりする必要があります。それに対して、光触媒コーティングは塗装した後は、放置するだけです。
この手軽さが、光触媒コーティングをおすすめする理由でもあります。
ただし、光触媒コーティングする塗装面にカビが発生しているときは、しっかり清掃してから塗装をしてください。また、光触媒コーティングは埃を除去できませんので、塗装前に溜まった埃を掃除するようにしてください。
光触媒コーティング剤の選び方
最後に、光触媒コーティング剤の選び方について解説いたします。上記のような効果やメリットを得るためには、光触媒コーティング剤に光触媒の成分がしっかり添加されていること、そして塗装した面にしっかり定着する耐久性があるものを選ぶことが大事です。
用途別に効果の高い光触媒成分を用いた製品を選ぶ
光触媒コーティング剤が用いられる場面は、おおよそ次の4種類に集約されます。
- 室内の抗菌・消臭
- 外壁の防汚
- ガラスの親水性コーティング
- 化学物質の分解
それぞれの用途で効果の高い光触媒成分の種類は次の表の通りです。
用途 | 効果の高い光触媒成分 |
---|---|
室内の抗菌・消臭 | 銅ドープ酸化チタン |
外壁の防汚 | 酸化チタン |
外壁の防カビ・防苔 | 銅ドープ酸化チタン |
ガラスの親水性コーティング | タングステン担持酸化チタン |
化学物質の分解 | 酸化チタンもしくは銅ドープ酸化チタン |
この他にも、光触媒コーティング剤として実用化されていない成分もありますが、一般的にはこの組み合わせがもっとも効果があると考えます。
プライマーを製造しているメーカーの製品を選ぶ
プライマーとは、下地保護剤のことです。光触媒コーティング塗装をすると、光触媒成分が下地を劣化させてしまう恐れがあります。劣化が懸念される場所には、あらかじめプライマーを下地塗装しておき、その上から光触媒コーティング塗装をします。
光触媒コーティング剤のメーカーは、光触媒コーティング剤の開発に苦労されたと思います。プライマーの開発も苦労させられます。
プライマーの開発が出来ていないメーカーの光触媒コーティング剤は、光触媒の効果を弱めて、下地が劣化しないようにしている製品も見受けられます。もちろんそのような製品は、光触媒の効果が弱いと言えます。別のメーカーでは、「下地が劣化することは、光触媒では当たり前のことだ」と豪語していたところもありました。
光触媒コーティング剤のメーカーによっては、ほとんど効果のないものを販売していたり、効果がありすぎて塗装面が劣化しやすくなる場合があります。液剤を選ぶときは、効果があることはもちろんのことですが、下地を劣化させないためのプライマーも販売しているメーカーのものを選ぶことが大事です。
光触媒成分を分厚く塗装すると効果は高まるが白くなる
効果の高い光触媒コーティング剤を選ぶときの間違った基準として「酸化チタンがたくさん入っているものを選ぶ」とお考えの方がいらっしゃいます。
もちろん、光触媒成分がほとんど入っていない光触媒コーティング剤よりは、光触媒コーティング剤に含まれる光触媒の濃度が高かったり、厚く塗ればそれだけ光触媒の効果が高くなることは事実です。
ところが、分厚く塗り過ぎると塗装面が白くなってしまいます。
適切な光触媒コーティング剤を選ぶと、薄く均一に塗装しても高い効果が得られるので、特別な場合を除いて白くなるくらい分厚く塗装する必要はありません。また、特別な場合を除いて、分厚く塗装しないと効果が出ないような光触媒コーティング剤は、選ぶべきではありません。

光触媒成分の濃度が高過ぎる製品も塗装面を変色させる
また、光触媒成分の濃度が高すぎる製品を用いると、塗装面に虹色のまだらな光沢や曇りが出たり、光触媒成分の白色が目立ってしまうなどして、塗装後の見た目が悪くなってしまいます。
何度も申しますが、光触媒コーティングをクリア塗装するためには、用途別の製品を使用し、適切な量を均一に塗布をすることが大事です。内装に光触媒コーティングしたい場合は内装用を、外壁に光触媒コーティングしたい場合は外壁用を利用してください。
メーカーによっては酸化チタンを内装用に利用している製品が見受けられます。先ほど、「酸化チタンは室内では効果がほとんど無い」とご説明しましたが、メーカーによっては「酸化チタンは効果が弱いので大量に添加した」という製品を販売している場合があります。そういった製品を使用すると、塗装面が白色に変色したり、シミが付着したようになって、内装の見栄えが損なわれてしまいます。
この辺りは、メーカー各社は開発に苦労しているところです。
内装に利用する場合は、内装で効果の高い「銅ドープ酸化チタン」を使い、成分が適切に添加された可視光応答型光触媒コーティング製品をお選びください。
特に、ガラス面、光沢のある石材やステンレスなどに塗装するときは、正しい光触媒コーティング剤を選ぶことと、適切な量を均一に塗布をすることが大事になります。
以上、光触媒コーティングの意味や効果、メリット、使用方法、液剤の選び方などをご説明してまいりました。
弊社は、光触媒一筋20年の光触媒コーティング剤メーカーです。光触媒コーティングの施工やODM製品開発、光触媒コーティング事業の導入支援なども承っております。
光触媒コーティングのことなら、イリスにご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。