
抗菌加工された製品を利用したときに、抗菌効果に疑問を抱いたことはありませんか?
ドラッグストアでも市販されている抗菌スプレーもありますが、抗菌は今一つ、効果の高さが気になることと思います。
先日、物産展で抗菌加工された今治タオルを見ました。
店員さんに「どのような抗菌をしているのですか?」と訊ねると、「わからない」とおっしゃっていました。
このように、抗菌という言葉は知っていても、店員さんでさえどのような抗菌加工をしているのか判らないことが現状です。
この記事では、抗菌加工をしたいとお考えのタオルメーカー様に、光触媒による抗菌はほとんど効果が無い理由や、抗菌効果の高い光触媒の種類を解説いたします。
銀イオンや銅イオンは抗菌消臭効果が高いのか?
抗菌消臭と言えば銀イオンが多く利用されています。銀イオンはテレビCMの影響もあって、世間一般には銀イオンが入っていると抗菌や消臭をしてくれそうなイメージです。
弊社の試験では、銀イオンはそれほど抗菌消臭効果が高くありません。実のところ、抗菌は多少効果があったとしても、消臭ができないのです。銅イオンも同様です。
銀イオンや銅イオンは、イオンの状態で存在していることで抗菌効果があり、水に溶けて初めて効果が現れます。イオンは水に溶けている状態ですから、「洗濯をしたら、イオンが流れていってしまって、効果が持続するのだろうか?」という疑問もあります。
効果が高くても耐久性が悪いものは、気休め程度のものと言えます。
酸化チタンの抗菌消臭効果はどうか?
抗菌消臭と言えば、次に酸化チタンがあります。酸化チタンによる抗菌消臭加工は、酸化チタンの微粉末が入った液剤をタオルに塗布します。
酸化チタンは、紫外線に当たると強い抗菌・消臭効果を発揮しますから、紫外線が当たる環境では高い効果が得られます。
酸化チタンに紫外線が当たると、酸化チタンの表面にOHラジカルが発生します。OHラジカルの強い酸化力によって細菌類やウイルス、臭い成分が酸化分解されるので、抗菌や消臭ができるわけです。
しかし、タオルを利用する場所は、ほとんどが室内ですから、屋外で利用するときや、直射日光が当たる場所に干したときに抗菌消臭効果が発揮されます。
銀と酸化チタンをハイブリッドさせたものも、可視光ではあまり効果を発揮しませんから、室内では抗菌や消臭の効果は弱いです。
このように、酸化チタンによって抗菌消臭加工されたタオルは、抗菌効果が発揮される場所が限られます。
耐久性が高く室内利用で抗菌消臭効果の高い成分は?

耐久性が高く、室内利用で抗菌消臭効果の高い成分は「銅ドープ酸化チタン」と言われる成分です。
銅ドープ酸化チタンとは、特殊製法によってナノサイズの酸化チタン結晶の表面に酸化銅を結合させた成分です。銅ハイブリッド酸化チタンに分類される特殊な光触媒成分です。
酸化チタンが含まれているので、もちろん紫外線が当たる場所では高い抗菌消臭が得られます。ナノサイズの酸化銅の作用によって、紫外線でない可視光であってもOHラジカルが発生し、室内でも抗菌消臭力を発揮します。
さらに、ナノサイズの酸化銅は、それ単体でも抗菌消臭効果を発揮します。光が当たったときの方が高い抗菌消臭効果が得られるのですが、暗所でも抗菌ができることは、タオルに要求される性質です。
銅ドープ酸化チタンを使った抗菌消臭コーティング剤

銅ドープ酸化チタンを使って抗菌消臭加工をする場合は、コーティング剤を塗布します。
弊社が開発した銅ドープ酸化チタンを使ったコーティング剤は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)という名称で販売しております。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の成分は次の表の通り、無機成分のみで構成されています。
光触媒成分 | 銅ドープ酸化チタン |
---|---|
接着成分 | アモルファス酸化チタン |
その他の成分 | 水 |
銅ドープ酸化チタンの抗菌・抗ウイルス試験
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を使って行った抗菌・抗ウイルス試験は、次の通りです。
これらの試験で、抗菌・抗ウイルスが確認されました。これらの試験結果については、それぞれのリンク先のページをご覧ください。
銅ドープ酸化チタンで消臭できる臭いの種類
銅ドープ酸化チタンは、次のような臭い成分を消臭できることを確認しております。
- トイレの臭い/尿やアンモニアの臭い
- ペットの臭い
- カビ臭
- タバコの臭い
- 油の臭い
- 生ごみの臭い
- 揮発性有機化合物(VOC)の臭い
- 汗の臭い
- 加齢臭
- 生乾き臭
銅ドープ酸化チタンを加工したタオルは、普段使いだけでなく、介護の現場やペットの飼育、キッチン、スポーツなどでも喜ばれることと思います。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を
使った抗菌消臭加工の方法
タオルに屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を使ってコーティング加工する方法は、この液剤をタオルの表面にスプレーするだけです。やり方を覚えていただけたら、タオルメーカー様でも施工が可能です。
加工方法は、液剤をタオルに均一にまんべんなく塗布します。均一にまんべんなく塗布するためには、スプレー装置を用いることをおすすめします。手軽に塗布する場合は、弊社指定のハンドスプレーで塗布されてもかまいません。
塗布後は、タオルを干して液剤が乾かすだけです。
塗布方法については、いろいろと条件があるため、案件がございましたらご説明させていただきます。少ない枚数の試験的な抗菌加工は、弊社でも承っております。
抗菌消臭加工の耐久性
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)に含まれる銅ドープ酸化チタンは、ナノサイズの結晶ですから、タオル地の繊維の奥まで入り込んでいくので、かなりの耐久性があると思います。
正式に試験したわけではありませんので、洗濯回数は控えさせていただきますが、洗濯には何回も耐えます。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)のご購入
タオルメーカー様で屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)をご利用になられたい方は、弊社までお問い合わせください。液剤の性質や加工方法など、何でもご相談ください。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の50cc無料サンプルをご用意しているので、「タオルにテスト加工してみたい」という方もお気軽にご連絡ください。

この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。