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【光触媒施工とは?】光触媒塗料と光触媒コーティング剤の施工比較

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【光触媒施工とは?】光触媒塗料と光触媒コーティング剤の施工比較

光触媒は、抗菌や防カビ、防汚、消臭といった効果を発揮しますが、どのような光触媒施工を行うのかによって、効果に大きな差があります。

耐久性が弱いものや、まったく効果のない製品を扱っている業者さえありますから、製品選びに注意が必要なのです。

この記事では、光触媒施工の種類や効果などの比較を解説しつつ、どのような光触媒成分を選んだら良いのかをご説明いたします。使用場所に適した効果の高い光触媒施工をお選びください。

光触媒施工とは?

光触媒施工とは、戸建てやマンション、ビル、店舗、病院といった建物の外壁や内装などに光触媒を塗装する施工のことです。施工の種類は、主に次の2種類がございます。

  • 光触媒塗料の施工
  • 光触媒コーティング剤の施工

それぞれどういった塗料なのかを解説します。

光触媒塗料とは?

光触媒塗料とは、ペンキのように顔料が入った塗料に、光触媒成分が添加されたものです。

ペイントローラーやハケで塗装することができるので、誰でも手軽に塗装できることが特長です。

光触媒成分としては、酸化チタンが使われていることがほとんどです。酸化チタンは、紫外線のみに反応して触媒効果を発揮する性質があるので、紫外線が当たるところ、多くは屋外で使用されます。

顔料が入ったペンキのようなものなので、顔料の色が付着するため、光触媒塗料が上塗りされることで、下地の質感が無くなり、ます。

光触媒塗料には、有機系の塗料と無機系の塗料があります。有機系とは樹脂を使った塗料のことです。無機系とは、例えば粘土のような無機質な材質でできた塗料のことです。

後ほど詳しく解説しますが、光触媒は有機物を分解する効果があるので、有機系の光触媒塗料は自分自身を分解することで、色あせや劣化が起こります。この性質は、とても大事ですから覚えておいてください。

光触媒コーティング剤とは?

光触媒コーティング剤とは、光触媒塗料とは違って水のような粘性の液剤です。塗装では、塗装機械とスプレーガンを用いて行います。

光触媒コーティング剤の色は半透明で、クリア塗装ができます。クリア塗装とは、透明な塗装のことです。塗装をしても下地の色が透過して見えるので、下地の質感を失うことがありません。

光触媒塗料のところで、「光触媒は有機物を分解する」と述べましたが、光触媒コーティング剤の場合には、明るい光の元では有機物の下地を劣化させる恐れがあります。下地を劣化させる恐れのある個所に光触媒コーティングをする場合には、先に下地保護剤(プライマー)を塗装します。

光触媒コーティング剤は、ほとんどすべてが無機系ですから、自らを劣化させることはありません。そのため、光触媒塗料よりも耐久性が高いです。

光触媒塗料と光触媒コーティング剤の比較

上記の解説でも少し触れましたが、2種類の光触媒施工、光触媒塗料と光触媒コーティング剤を比較したいと思います。

塗料の状態の比較

光触媒塗料は、ペンキのようなドロッとした粘性の塗料です。また顔料が含まれますから、顔料の色が着色されています。水色の顔料が入ったものですと、それを塗装したら塗装面が水色になります。

光触媒コーティング剤は、水のようにサラサラした透明な液剤です。塗装をすると透明になるので、クリア塗装ができます。

塗装方法の比較

光触媒塗料の塗装は、ペイントローラーやハケで行うことができます。厚く塗っても薄く塗っても、見た目は変わりませんから、誰でもDIY感覚で直感的に塗装ができます。

それに対して光触媒コーティング剤は、専用の塗装機械とスプレーガンを用います。スプレーガンのノズルは、φ0.3mmといった小口径のノズルを用います。

光触媒コーティング剤は、厚く塗り過ぎてしまうと、その部分が光触媒成分特有の色味が出てしまい、クリア塗装ができません。そのため、塗装は専用の塗装機械が必要になりますし、熟練者から教わることが大事です。

塗装後の見栄え

光触媒塗料は、ペンキのような顔料を含んだ塗料ですから、塗装をすると、その顔料の色で覆われることになります。それに対して、光触媒コーティング剤は、クリア塗装ができるので、下地の質感がそのまま見えます。

外壁で塗料の色で覆っても良い場所であれば、光触媒塗料を使用できます。室内塗装であっても、白色の光触媒塗料であれば、白い壁紙クロスには利用ができると思います。しかし、光触媒塗料は、紫外線にしか反応しない酸化チタンが用いられているため、室内で利用しても抗菌や消臭といった効果は得られません。

光触媒コーティングであればクリア塗装ができるので、打ちっ放しコンクリートといった下地の質感がそのままですから、下地の装飾性を失うことがありません。そのため、光触媒コーティング剤は、光s触媒塗料と比べて、塗装場所の制限が少ないため、幅広く利用ができます。

添加されている光触媒の種類

光触媒塗料と光触媒コーティング剤は、添加されている光触媒成分の種類が異なる場合があります。

光触媒塗料は、主に屋外で使用される塗料ですから、直射日光が当たると反応する光触媒が利用されることが多いです。その代表例が酸化チタンで、ほとんどの光触媒塗料には酸化チタンが添加されています。

それに対して光触媒コーティング剤は、酸化チタンが使われている製品もありますが、用途に合わせて酸化チタン以外にも何種類か利用されることが多いです。

光触媒成分の種類については、大事なところですので、後ほど詳しく解説いたします。

効果の比較

光触媒塗料と光触媒コーティング剤の効果の比較は、そもそも使用箇所が異なるので、比較は難しいですが、解説したいと思います。

光触媒塗料は、外壁塗料として利用されるものですから、外壁に期待する効果は、次の通りです。

  • 防カビ
  • 防苔
  • 防汚

これらの効果は、外壁用光触媒コーティング剤でも得られる効果です。ただし、光触媒塗料に使用されている光触媒の種類は酸化チタンですから、紫外線が当たるところでしか、これらの効果が得られません。

外壁にカビやコケが発生しやすい場所は、直射日光が当たらないジメジメした場所です。そのため、酸化チタンではあまり効果が出ないので、光触媒塗料を使用しても、カビやコケが発生してしまいます。そういったジメジメした箇所には、酸化チタンを使った屋外用光触媒コーティング剤も同様です。

その対策として、ジメジメした場所には、屋内用光触媒コーティングを使うと良いでしょう。

光触媒塗料と光触媒コーティング剤の効果の比較をすると、このように使用箇所によって使い分けができる光触媒コーティング剤の方が、効果が高いと言えます。

耐久性の比較

光触媒成分は、有機物を分解する性質があります。光触媒塗料や光触媒コーティング剤に利用されている接着成分(バインダー)や顔料などが有機系のものであれば、光触媒によって分解されるので、劣化が起きやすいです。

光触媒塗料は、無機系バインダーや無機系顔料を使用したものはありますが、製品の種類が少ないので、たいていの製品は有機系が使用されています。そのため、色あせが起きたり、チョーキングと言って白い粉が吹いたようになる、劣化現象が発生します。色あせやチョーキングは、製品によっては3~5年ほどで発生しますから、「外壁を美しい状態で保ちたい」という理由で光触媒塗料を利用された方は、ガッカリされることが多いです。

大手メーカーが、「10年以上美しさを保つ」と言われて販売した光触媒塗料がありましたが、5年で撤退していったことを考えると、劣化の問題は深刻だったのだと思います。

光触媒コーティングは、ほとんどの製品が無機系バインダーを用いています。弊社製品も無機系バインダーを使っています。ですので、利用場所をよく触ったり物がこすれたりといった摩擦や接触がなければ、耐久性は20年以上あると考えます。

実際に、弊社の光触媒コーティング製品を利用された外壁や天井などの人が触れない箇所では、20年以上も効果が持続しているところが多いです。

バインダーについて詳しくい知りたい方は、「光触媒に最適なバインダーは無機バインダー」をご参照ください。

光触媒塗料と光触媒コーティング剤の
メリット・デメリット比較まとめ

光触媒塗料と光触媒コーティング剤のメリットとデメリットを比較いたします。

メリットの比較

光触媒塗料と光触媒コーティング剤のメリット比較は次の通りです。

光触媒塗料光触媒コーティング剤
  • 塗装には塗装機械を必要としないため手軽に塗装ができる
  • 用途に応じて効果の高い光触媒コーティング剤を選べる
  • クリア塗装ができる
  • 摩擦や接触がなければ効果が20年以上持続する

デメリットの比較

光触媒塗料と光触媒コーティング剤のデメリット比較は次の通りです。

光触媒塗料光触媒コーティング剤
  • 直射日光が当たる屋外でしか効果がない(屋内では効果がない)
  • 有機系バインダーだと劣化してチョーキングが発生する
  • 有機系顔料は色あせが起きる
  • 塗装に専用の塗装機械が必要
  • 下地保護剤を用いないと塗装面を劣化させる場合がある

光触媒成分の種類と用途別の効果の高い光触媒

光触媒塗料に利用されている光触媒の種類は、ほとんどの製品が酸化チタンだということで、光触媒塗料は外壁で利用したときにしか、光触媒の効果が得られませんでした。

光触媒コーティング剤はさまざまな場所で効果のある製品があります。光触媒は、たくさんの種類がありますが、光触媒コーティング剤は、いろいろな種類の光触媒成分が使用されています。

次に、光触媒コーティング剤で利用されている光触媒の種類と、用途別にどの成分が効果が高いのかを解説いたします。

光触媒コーティング剤に利用される光触媒の種類

光触媒コーティング剤に利用されている光触媒の種類は、主に次のものがあります。

  • 酸化チタン
  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン
  • タングステン・ドープ酸化チタン
  • 銅ハイブリッド酸化チタン

それぞれで何が違うのかといいますと、反応する光の種類が違います。先ほど、酸化チタンは紫外線に反応することをお伝えしましたが、光触媒の種類によって、何色の光に反応するのかが異なります。

「ドープ」とは、「結合させた」という意味です。銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンに銅を結合させた成分です。銅や窒素を結合させる理由は、酸化チタンが紫外線にしか反応しないという弱点を克服し、可視光にも反応するようにするためです。

それぞれの成分で、反応する光の種類をまとめると、次のようになります。

酸化チタン紫外線
銅ドープ酸化チタン紫外線、紫色、青色、水色(シアン)
窒素ドープ酸化チタン紫外線、紫色~青紫色
鉄ドープ酸化チタン紫外線、紫色~青紫色
酸化タングステン紫外線、紫色、青色、水色(シアン)
タングステン・ドープ酸化チタン紫外線、紫色、青色、水色(シアン)
銅ハイブリッド酸化チタン紫外線

室内に光触媒を用いたい場合は、紫外線にしか反応しない光触媒成分を用いたら、まったく効果が無いことが予想できます。なぜなら、室内には紫外線がほとんど存在しないためです。

たまに窓から差し込む直射日光が当たって反応するかもしれませんが、最近ではUVカットガラスが普及しているので、酸化チタンは効果がありません。自動車の窓ガラスもUVカットガラスが使用されており、酸化チタン以外の可視光でも反応する光触媒成分を利用することが求められます。

ここで、銅ドープ酸化チタンと銅ハイブリッド酸化チタンの違いを、簡単に述べたいと思います。

「ドープ」とは、意味は「加えた」という意味ですが、光触媒では酸化チタンに銅を結合させた成分になります。それに対して「ハイブリッド」は、「組み合わせた」という意味になりますが、単に混ぜ合わせただけの意味で利用されます。

銅ドープ酸化チタンは、本来は紫外線にしか反応しない酸化チタンが、銅の補助的な効果によって、可視光にも反応する高性能な光触媒へと変貌します。銅ハイブリッド酸化チタンは、酸化チタンに銅イオンを混ぜただけですから、酸化チタンの性質そのものは変わりませんので、紫外線にしか反応しません。

銅ドープ酸化チタンと銅ハイブリッド酸化チタンの違いをもっと知りたい方は、「ハイブリッド光触媒とは?ドープとの違い」をご参照ください。

次に、用途別にどの成分を使った光触媒コーティング剤を選べば良いのかを解説いたします。

屋外用 ⇒【酸化チタン】

屋外用光触媒コーティング剤には、酸化チタンが利用されます。酸化チタンは、紫外線に反応して防カビや防汚といった効果を発揮しますが、屋外は直射日光が当たるので、紫外線もさんさんと降り注いでいるので、効果が出やすいです。

しかし、北側の外壁や日陰になりやすい外壁では、直射日光が当たらない場合があり、そういった外壁では、光触媒コーティングをしていてもカビやコケが発生する場合があります。

そういった紫外線が当たらない外壁の防カビや防苔をしたい場合には、屋内用光触媒コーティング剤を用います。屋内用光触媒コーティング剤は、用途が「屋内用」と記載されていますが、外壁にも利用可能です。

弊社の製品は、屋外用光触媒コーティング剤(BX01)です。

光触媒コーティング剤は、次のような外壁などに、その質感を損なうことなく塗装ができます。

  • 樹脂
  • 金属製の外壁
  • タイル
  • 石材
  • 看板
  • 石膏ボード
  • 漆喰
  • コンクリート

室内用 ⇒【銅ドープ酸化チタン】

屋内に光触媒コーティングしたい場合は、屋内の弱い光でも触媒効果を発揮しやすい光触媒成分を用いた製品を選ぶことです。その光触媒成分とは、銅ドープ酸化チタンでした。

銅ドープ酸化チタンでコーティングすると、明るさが200lxといった弱い光でも防カビや抗菌、消臭ができます。直射日光よりも、1/500ほどの明るさで効果があります。

弊社の銅ドープ酸化チタンを使った製品は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。

自動車や電車の車内用 ⇒【銅ドープ酸化チタン】

自動車や電車、バスといった乗り物の窓ガラスには、UVカットガラスが用いられています。そのため、直射日光が入る窓辺であったとしても、紫外線が含まれていない光ですから、酸化チタンだけの光触媒コーティングをしても、ほとんど効果がありません。

自動車などのUVカットガラスが使われた乗り物では、可視光に反応する光触媒成分を用いなければいけません。可視光でもっとも効果の高い光触媒成分は銅ドープ酸化チタンですから、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を用いてください。

また、自動車には屋内用光触媒コーティング剤は利用できません。その理由は、自動車のシートは黒いので屋内用を利用すると光触媒成分の白色が出やすいためです。

自動車の車内は強い光が入るので、銅ドープ酸化チタンを濃く入れなくても抗菌や消臭の効果を発揮してくれることもあり、クリア塗装ができるように成分が薄めに調合されています。

弊社の製品は、車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)です。

窓ガラス用 ⇒【タングステン・ドープ酸化チタン】

窓ガラスには、防汚効果やセルフクリーニング効果が求められます。セルフクリーニングとは、窓ガラスの汚れが雨水で自動的に落ちていく効果のことです。

セルフクリーニング効果が強く出るようにするためには、親水性の高い光触媒を用いることが大事です。親水性とは、撥水性の逆で、水と馴染む性質のことです。

親水性がもっとも高い光触媒成分は、タングステン・ドープ酸化チタンです。タングステン・ドープ酸化チタンとは、酸化チタンにタングステンを結合させた光触媒成分です。タングステン担持酸化チタンともいいます。

雨の日は紫外線量が少ないので、酸化チタンだけですとどうしても親水性が弱くなります。それを補うために、タングステンをドープすることで、雨の日でも高い親水性を発揮するようになります。

弊社のタングステン・ドープ酸化チタンを使った製品は、ガラス用光触媒コーティング剤(BTG01)です。

お風呂場や地下室などの暗所用 ⇒【銅ドープ酸化チタン】

お風呂場や地下室では、ジメジメしているのでカビが発生しやすい環境ですから、カビ対策が主な目的となります。黒い斑点が出現したり、カビ臭い臭いが発生したりしますが、それを「光触媒コーティングで防止できるのか?」ということが疑問になります。

酸化チタンは紫外線が当たることで防カビができます。酸化タングステンは、紫外線や紫色、青色、水色(シアン)といった色の光が当たれば防カビができます。ですが、さすがに光の当たらない場所では、防カビができません。

ところが、銅ドープ酸化チタンだけは暗所でも防カビや消臭の効果があります。

押し入れの中もそうですが、お風呂場や地下室といった、光が当たらない場所、あまり電灯を点灯させない場所では、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング塗装をすれば効果があります。

弊社の製品は、先ほどご紹介した屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。

以上、光触媒施工として、光触媒塗料の施工と光触媒コーティング剤の施工を比較し、用途別にどのような光触媒コーティング剤を利用したら良いのかを解説いたしました。

弊社は、光触媒コーティング剤のメーカー企業ですが、施工も請け負っています。弊社製品を使った光触媒コーティング施工をお求めの方は、弊社もしくは弊社製品を扱う施工代理店まで、お気軽にご相談ください。施工代理店一覧は、こちらのページです。

もし、光触媒コーティング施工をなさっている業者様で、「使用している製品では効果が弱い」とお悩みの方や、どのような光触媒コーティング剤を選んだら良いのか迷っている方がいらっしゃいましたら、弊社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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