食品の消費期限は、カビなどの雑菌対策の度合いが影響します。消費期限内のものにカビが発生したらたいへんです。場合によってはニュースになり、会社の信頼性に大きな悪影響を及ぼしてしまいます。
入念なカビ対策をしていても、いろいろな経路でカビ菌が入り込んできます。
食品工場では、床や機材は、毎日入念に清掃や洗浄されたり、防カビ剤を用いたりと、さまざまなカビ対策をされていることと思います。食品工場のカビ対策は、失敗が許されないことでもあります。
そういった日々の入念なカビ対策によって、私達が安全な食事を取ることができることに、感謝の念に堪えません。
この記事では、食品工場のカビ対策をもっと入念に行いたいとお考えの方に向けて、光触媒コーティングの魅力や防カビに効果的な光触媒成分など解説いたします。
食品工場で清掃が見落とされやすい箇所
さて、過去に食品工場の光触媒コーティングをしていて、すべての食品工場ではありませんが、清掃が見落とされやすい箇所は、
- 壁
- 天井
- エアコン内部やエアコンフィルター
- 照明器具
- スタッフが履いている防水エプロンや長靴
あまり清掃されない箇所は、油分や原材料などが付着していきます。油分にはホコリが付着して、カビの発生源になります。
特にエアコン内部は、冷房をしていると結露するので、カビの温床です。他の箇所は入念にカビ対策していても、エアコンがカビ菌をばらまく装置になってしまっていることもあります。
とある食品工場では、白色の防水エプロンや長靴を着用します。それらが部分的に黒く汚れていることもありました。機材はきれいに清掃していても、防水エプロンや長靴が汚れていることもあります。
そういった清掃が見落とされやすい箇所、清掃の行き届いていない箇所のカビ対策として、光触媒コーティングがおすすめです。
光触媒による防カビのメカニズムと条件
光触媒は、光エネルギーを受けると有機物を分解するOHラジカルやスーパーオキシドアニオンという活性酸素が発生します。OHラジカルは、非常に酸化力の強い成分で、カビ菌やカビの胞子といった微生物に付着すると、あっという間にそれらを酸化させ、分解してしまいます。
もちろん、カビ菌だけでなく、大腸菌や黄色ブドウ球菌といった菌にも強い抗菌力を発揮します。しかもその効果が、長期間続きます。
漂白剤や次亜塩素酸といったものは、一時的なものですので、工場内の環境によってはすぐにカビが発生することもあります。防カビ剤によっては、使用場所に制限があります。
光触媒コーティングは、使用場所にほとんど制限がありませんし、触媒による防カビですので、その効果は一時的なものではなく、継続的に長期間に及びます。後ほどご紹介する光触媒コーティング剤は10年、使用環境によってはそれ以上、防カビ効果が持続します。
強い抗菌力が発揮される光触媒ですが、その効果を得るためには条件があります。その条件とは、次のものです。
- カビ菌を分解できるほどの光触媒活性をする成分を用いること
- その光触媒成分が活性化する波長の光が当たっていること
- 活性化した光触媒にカビ菌が触れること
これらの条件がすべて合致したときに、光触媒成分が防カビ効果を発揮します。
光触媒成分には、いろいろな種類があります。光触媒成分によっては、効果が弱いものもあります。また、食品工場ではLED照明が用いられていることが多いと思いますが、そういった照明の光でも防カビ効果を発揮する成分でなければいけません。
さらには、光触媒にカビ菌やカビの胞子が触れることで、それらが分解されて防カビができます。そのため、部分的にではなく、食品工場全体を光触媒コーティングして、あらゆる場所の防カビをすることが理想です。
食品工場で防カビ効果の高い光触媒成分
光触媒成分は、いろいろな種類があります。その種類によって、活性化する光の波長や、活性化したときの防カビ効果の高さが異なります。
食品工場で防カビに効果のある光触媒成分は、結論から述べると「銅ドープ酸化チタン」が理想的です。その理由を解説いたします。
食品工場では酸化チタン光触媒だと防カビ効果なし
光触媒として、もっとも利用されている成分は、酸化チタンです。酸化チタンは、紫外線が当たると、とても強い防カビ効果を発揮します。
ところが、食品工場で防カビをしたい箇所は室内です。室内は紫外線がほとんどありません。最近ではLED照明であることが多いです。
除菌のために紫外線ランプが点灯されているところもありますが、天井に向けて照射されていることが多いので、効果が出るのは天井だけです。
食品工場の室内の光は、LED照明や蛍光灯の目で見える光、可視光しかありません。可視光でも光触媒の効果を発揮する光触媒成分を用いることが大事です。LED照明などから出る可視光で活性化する光触媒成分のことを、可視光応答型光触媒といいます。
可視光応答型光触媒なら何でもいいのか?
さて、可視光応答型光触媒もいろいろな種類があります。その代表的な成分が、酸化タングステンです。
酸化タングステンは、確かに可視光応答型光触媒なのですが、その効果はかなり弱いです。
以前に、酸化タングステンを用いた室内用光触媒コーティング剤を扱っていた施工店が、「塗装して1年も経たないうちにカビが生えて、たくさんのクレームに苦しんだ」とおっしゃっていました。
酸化タングステン以外の可視光応答型光触媒も、同じような効果のものが多いです。
さらに、食品工場ではオフィスと比べたら少し暗い部屋です。場所によっては影になっているところもあります。食品工場の防カビでは、そういった薄暗い場所でも、防カビ効果を発揮する可視光応答型光触媒を用いることが大事です。
ここで銅ドープ酸化チタンの登場です。
銅ドープ酸化チタンなら夜間でも防カビが可能
銅ドープ酸化チタンは、食品工場内の明かりでも防カビ効果を発揮することはもちろんのこと、夜間の消灯しているときにも防カビ効果を発揮します。
通常、光触媒は光が当たっていないと触媒の効果を発揮しません。驚くことに、銅ドープ酸化チタンは、暗所でも防カビ効果があります。
それは添加された銅がポイントです。
酸化チタンに銅を担持させたものです。この銅が、ナノサイズの酸化銅となって、強い触媒効果を発揮し、光が当たっていなくてもカビ菌を分解してくれるものと思われます。
そのため、銅ドープ酸化チタンであれば、エアコン内部やエアコンフィルターといった光が当たらない場所でも、防カビをしてくれるようになります。
弊社が開発した銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。この液剤は、効果の高さだけでなく安全性の高さも第三者機関の試験で実証さています。
食品工場で光触媒コーティング施工ができる箇所
光触媒コーティング施工ができる箇所をご紹介します。光触媒コーティング施工は、食品工場の製造ラインがある衛生区画だけでなく、あらゆる場所にできます。
この写真は、食品工場のエアコン内部に光触媒コーティングをしている様子です。
次のような場所の除菌・防カビはいかがでしょうか?
- 壁や天井
- エアコン内部やエアコンフィルター、吸気フィルター
- 防水エプロンや長靴
- ステンレスの機器
- 原材料倉庫
- 更衣室のロッカー
- スタッフ用のトイレ
ただし、光触媒ではホコリまで分解できませんので、ホコリを除去するための定期的な清掃は必要です。
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングで、食品工場全体の除菌・防カビを行うことで、さらに衛生的な食品工場になります。
食品工場内のカビでお困りの方は、ぜひ銅ドープ酸化チタンによる光触媒コーティングの導入をご検討ください。
まずは、テスト的に光触媒コーティング施工も行うことはいかがでしょうか。食品工場の一部にて光触媒コーティング塗装をテスト的に導入し、ルミテスターなどで効果の高さをご実感ください。
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング施工のご依頼は、弊社もしくは弊社製品を扱う施工代理店にご相談ください。施工代理店一覧は、室内の光触媒コーティング施工代理店をご覧ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。