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防カビなら銅が入った光触媒がおすすめ

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なぜ防カビは、銅が入った光触媒がいいのか?

防カビができる成分にはいろいろな種類があります。銅もその一種です。

銅は、身体にとって無害であることが知られているので、なるべく化学物質を使いたくない人にとっては銅を利用した防カビがおすすめです。

銅は確かに防カビの効果が高いのですが、室内を防カビしたいときは銅を壁紙に貼り付けるわけにはいきませんから、銅イオンが入ったコーティング剤を利用します。

このコーティング剤が光触媒として機能するのであれば、銅と光触媒の相乗効果で防カビ効果がさらに高まります。

この記事では、銅が入った光触媒の種類、銅ドープ酸化チタンの魅力などを解説いたします。

銅製品が防カビで利用される場面

排水口に利用された銅のゴミ受け

銅が防カビで利用される場面は、キッチンや洗面などの水回りです。

キッチンでは、排水口のストレーナーやゴミ受け、塩ビの三角コーナーなどがあります。洗面の流しやお風呂の排水口のゴミ受けも、銅製のものが市販されています。このように、水回りでは銅製品がよく利用されています。

これらの銅製のものを利用すると、カビによるヌメリが発生しなくなり、カビ対策ができます。

銅によって防カビができる理由は、一般社団法人銅センターの「銅の特徴」によると、銅の表面には「微量金属作用」という抗菌作用が発生するそうです。微量金属作用とは、金属の表面から微量の金属イオンが水に溶け出し、金属イオンによって細菌類の活動を抑えられる効果のことです。

この効果によって、病原性大腸菌O-157などに対する銅の超抗菌性能、新型コロナウイルス(COVID-19)の不活化も実証されているそうです。

このように、私たちの生活の中で、特にカビが発生しやすい水回りでは、銅製品がよく利用さて、高い防カビ効果があります。

カビが発生する場所は何も水回りだけではありません。室内の壁紙も、結露したり湿気がこもるなどしてカビが発生することがあります。そういった場合には、銅の薄膜を壁紙に貼り付けるわけにはいきませんから、銅が入ったコーティング液剤を利用することになります。

銅が入ったコーティング液剤

銅が入ったコーティング液剤

銅が入ったコーティング液剤は、ネット通販でも購入ができます。銅が入ったコーティング液剤は、銅イオンが入った液剤を壁紙などに塗布するものです。

コーティング剤は薄く塗布されるので、銅イオンの量が極端に少ないため、防カビ効果が短いようです。

排水口に設置する銅製のストレーナーは、銅の塊ですから、長い年月、銅イオンが溶けだしていってくれます。それに対してコーティング液剤の銅はすでにイオンとして入っているものですから、すぐに効果が無くなってしまいます。

壁紙にカビが発生しやすいシーズンは、冬から梅雨にかけてですから、11月頃に毎年塗装をしておけば良いのですが、ついつい忘れてしまうことがあり、うっかりカビを発生させてしまうことになります。

そのようなウッカリさんは、効果の長いコーティング液剤を利用することをおすすめします。

銅ハイブリッド酸化チタン

次に、銅ハイブリッド酸化チタンをご紹介します。

銅ハイブリッド酸化チタンとは?

銅ハイブリッド酸化チタンは、銅イオンが入ったコーティング液剤と似たものですが、酸化チタンも入っています。

ハイブリッドとは、「複数のものを組み合わせた」という意味です。銅ハイブリッド酸化チタンにおけるハイブリッドの意味には、「銅を入れた酸化チタン」という意味になります。

銅ハイブリッド酸化チタンは、アナターゼ型と言われる酸化チタン光触媒が入った液剤に銅イオンを入れたものです。

銅イオンが入ったコーティング液剤とは異なり、酸化チタン光触媒も入っているものです。

酸化チタン光触媒の性質

酸化チタン光触媒は、紫外線に反応して強い触媒の効果を発揮します。酸化チタンが光触媒活性をしているところに、カビ菌が接触すると、酸化チタンの表面に発生しているOHラジカルによって、カビ菌の表面にある成分や細胞壁が酸化分解されます。

すると、カビ菌の活動が弱まったり、カビ菌が死滅したりします。光触媒は、この効果によってカビの増殖を抑えることができます。

ここで酸化チタン光触媒に問題があります。その問題とは、「紫外線に反応して活性化する」ということです。

このことがなぜ問題なのかと言いますと、防カビを必要とされる場所は、主に室内ですから、紫外線が極端に少ないということです。

室内の明かりには、主にLED照明や蛍光灯が利用されています。これらの照明からは、紫外線がほとんど出ていないので、直射日光が当たりやすい窓辺はともかく、酸化チタンが光触媒活性をしません。

そもそも直射日光が当たりやすい箇所の壁紙は、カビが発生しにくいです。つまり、室内では、酸化チタン光触媒だけでは、防カビを必要とされる箇所の防カビができないのです。

銅ハイブリッド酸化チタンなら防カビが可能

そこで、酸化チタン光触媒の液剤に銅イオンを添加した「銅ハイブリッド酸化チタン」の登場です。

酸化チタンだと室内では光触媒の効果がないので、そこに銅イオンを加えることで、防カビができるようになるわけです。酸化チタン光触媒の弱点を銅が補っています。

ここで、良く考えてみると、そもそも室内では酸化チタン光触媒は効果が無いので、「銅イオンだけを添加した液剤で良いのではないか?」と思ってしまいます。

酸化チタン光触媒のコーティング液剤は、塗装をすると塗装面に強固に付着します。そのため、光触媒の性質は、そこに光触媒が固定化されていれば何年も光触媒の効果を発揮します。

ところが、銅イオンが染み出てきて、銅イオンが無くなってしまったら、カビ防止効果が終わってしまいます。壁紙に酸化チタン光触媒だけが残っていても、光触媒の効果を発揮しませんから、カビが発生してしまうのです。

そのようなことであれば、わざわざ値段の高い銅ハイブリッド酸化チタンを選ぶ必要はありません。

ここで、「室内でも光触媒の効果を発揮する光触媒成分はあるのか?」ということですが、あります。

銅ハイブリッド酸化タングステン

銅ハイブリッド酸化タングステンは、酸化タングステン光触媒に銅イオンが入れられたコーティング液剤です。

酸化タングステンの性質

酸化タングステンは、酸化チタンのように紫外線を吸収することで光触媒活性を示すのですが、さらに青色の光によっても光触媒活性を示します。

ですから、市販されている室内用の光触媒コーティング剤には、酸化チタンではなく酸化タングステンが利用されたものが多いです。

酸化タングステンにも問題があります。それは、「室内の弱い光では、防カビができるほどの光触媒活性が起きにくい」というものです。

確かに、酸化タングステンは青色の光で光触媒活性が起きます。そしてLED照明や蛍光灯には青色の光が出ています。それによって、光触媒の効果が発生しますが、カビ菌を酸化分解するほどのOHラジカルの量が出てこないようなのです。

とある酸化タングステン光触媒コーティング液剤を製造しているメーカーのホームページを見ていると、「1,000lxの室内と同じ光を当てたら除菌・消臭ができた」と謳っているものがあります。しかし、室内の光は200lxほどです。5倍もの強さの光を照射したら、除菌ができて当然のことでしょう。

銅ハイブリッド酸化タングステンならどうか?

酸化タングステンの防カビ効果の弱さを補うように、銅イオンを添加した銅ハイブリッド酸化タングステンですと、防カビ効果が高くなります。

先ほど解説した、銅ハイブリッド酸化チタンは室内では光触媒の効果がありませんから、それと比べたら酸化タングステンは弱いなりにも光触媒の効果を発揮します。それに銅イオンが加わるわけですから、防カビ効果が高くなるわけです。

ところが、銅イオンがあるうちは防カビ効果が得られるものの、やはり銅イオンは少しずつしみ出していくので、銅イオンを消費し切ってしまったら、防カビ効果が極端に弱くなってしまいます。

そのようなことから、「銅イオンがしみ出さずに、さらには室内の光で強力に防カビができるほどの高い光触媒活性を示す光触媒成分は無いのか?」ということになります。

そのような夢のような成分は、存在します。それは、次に解説する「銅ドープ酸化チタン」です。

銅ドープ酸化チタン

室内でも高い防カビ効果を発揮する銅ドープ酸化チタン

先ほど、銅ハイブリッド酸化チタンを解説いたしましたが、銅ドープ酸化チタンは、それとは異なる成分です。

銅ドープ酸化チタンは、弊社が世界で初めて発見した成分で、世界で初めて光触媒コーティング液剤や光触媒スプレーにして発売したものです。

ハイブリッドとドープの違い

ハイブリッドは「入れた」という意味でした、ドープも同じ意味でも利用されますが、光触媒の業界では「入れた」というよりも「担持させた」という意味で使われます。担持とは、「基材に別の成分を結合させた」という意味です。

銅ハイブリッド酸化チタンは、酸化チタンが入った液剤に銅イオンを入れただけです。銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンに銅を結合させたものが入った液剤です。

酸化チタンに銅を結合させるためには、単に銅イオンを入れるだけでは担持されないので、とても高い技術レベルが要求されます。

銅ドープ酸化チタンの性質

さて、銅が担持された酸化チタンはどのような性質があるのでしょうか?

先ほど、「酸化チタン光触媒は紫外線にしか反応しない」と述べましたが、銅を担持させることによって、酸化チタンが青色の光でも反応して、触媒の効果を発揮します。つまり、室内の光でも反応します。

酸化チタン光触媒と銅ドープ酸化チタン光触媒の光の反応の違い

酸化タングステンも青色の光で反応しましたが、それよりも数倍高い防カビ効果を発揮します。

弊社の光触媒製品を扱っている施工代理店様のエピソードで、「今まで酸化タングステンを使った光触媒コーティング剤を室内に塗装していがが、1年もしないうちにカビが発生して、クレームがたくさん入って困った。ところが、銅ドープ酸化チタンを使ってからクレームが1件も無くなった」というものがあります。

それだけ、銅ドープ酸化チタンは防カビ効果が高いようです。

銅ドープ酸化チタンの持続期間は?

銅ハイブリッド酸化チタンや銅ハイブリッド酸化タングステンでは、銅イオンがしみ出していって、銅イオンがなくなったら防カビ効果が弱まることを解説しました。

銅ドープ酸化チタンはどうなのでしょうか?

銅ドープ酸化チタンは、銅が酸化チタンに結合しているので、銅イオンが溶けだすことはありません。そして、光触媒の高い効果を発揮するので、銅イオンで防カビをしているのではなく、光触媒の効果で防カビをしています。

ですから、銅ドープ酸化チタンの成分が壁紙に付着している限り、効果は半永久的に続きます。

そして、弊社が開発した銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングは、無機系で強固に壁紙に付着する成分を採用しているので、実際に光触媒コーティングされたご家庭では、効果が10年以上持続しています。そしてその長さは、さらに継続しています。

銅ドープ酸化チタンは暗闇でも防カビができる

銅ドープ酸化チタンが、LED照明や蛍光灯の光が当たることで、防カビができることは解説いたしました。

では、光が当たらない暗闇はどうなのでしょうか?

よく考えて見たら、室内では暗闇の場所がけっこうあるものです。窓の無いお風呂場、押し入れやクローゼットの中、地下室、エアコンの内部、さらには普段は利用しない別荘の室内も暗闇です。

別荘では、久しぶりに部屋に入ってみたら「カビ臭かった」ということはよく聞く話です。

もし、銅ドープ酸化チタンが暗闇で防カビ効果が無いのであれば、暗闇では銅イオンが入ったコーティング液剤を選ぶ必要があります。

しかし、ご安心ください。銅ドープ酸化チタンは、暗闇でも防カビ効果を発揮します。

弊社の研究では、開発した後のさまざまな試験で、銅ドープ酸化チタンが暗闇でも防カビ、除菌、消臭の効果を発揮することを発見しておりましたが、長らくその理由は判りませんでした。

東京工業大学のニュースで「貴金属に匹敵する触媒活性を示す安価な錆びた銅」というページを発見しました。

この研究内容と弊社の銅ドープ酸化チタンは関係がありませんが、酸化チタンに担持された銅がナノレベルの酸化銅と存在するので、それによって触媒の効果が発揮されているものと推測します。

以上、銅を使った製品を利用して室内を防カビする方法や、どのようなコーティング液剤を利用すべきかを解説いたしました。

銅イオンは防カビにとても効果が高いのですが、壁紙の防カビをしたい場合は、この記事でご紹介したコーティング液剤を利用するのであれば、銅ドープ酸化チタンが最も効果が高く、持続期間も長いです。

銅ドープ酸化チタンをつかった光触媒コーティング塗装なら、イリスもしくは弊社の光触媒製品を扱う施工代理店にご相談ください。室内の光触媒コーティング塗装を扱う施工代理店一覧は、室内の光触媒コーティング施工代理店をご覧ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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