
マンションでは室内が全焼しても、内部を清掃したら部屋を利用できます。
木造住宅でも、火災が部分的であれば、特殊清掃や修理をして利用可能です。
火災の後は特殊清掃をしますが、それでも匂いが消えない場合があります。火災後の匂いの消臭方法は、主にオゾン脱臭があります。
この記事では、火災の匂いを消す方法として、光触媒コーティング塗装をご紹介したいと思います。
一般的な光触媒コーティングでは火災の匂いは消すことができませんが、消臭効果の高い特殊な光触媒「銅ドープ酸化チタン」を利用すると、オゾン脱臭よりも短期間で火災の匂いを消すことができます。
銅ドープ酸化チタンによる火災の匂いを消す方法について解説いたします。
火災の匂い対策はオゾン脱臭よりも光触媒がおすすめ
火災の匂いの消臭には、主にオゾン脱臭が用いられます。
オゾン脱臭とは?

オゾン脱臭とは、オゾンガスを散布して脱臭する方法です。オゾンとは、地球のオゾン層でも有名ですが、酸素原子が3個くっついた酸素分子です。オゾンは、酸素原子2個の方が安定しているので、他の物質に酸素を渡して、酸素原子2個の分子に戻ろうとします。その性質を利用して、火災の匂いを脱臭します。
火災の匂い成分は、燃えかすが不完全燃焼したときの煙のようなものです。それをオゾンの酸素と結合させて完全燃焼させ、水や二酸化炭素といった臭いのない成分に酸化分解します。
オゾン脱臭の方法は、オゾン脱臭機を火災の匂いを消臭したい室内に設置し、起動させます。すると排気口からオゾンガスが出てきます。オゾンガスの製造方法には、おもに放電が利用されています。
オゾン脱臭は時間がかかる!?
オゾン脱臭は、装置を起動させている間しか消臭ができませんから、匂いが消えるまで装置を使用し続けます。毎日匂いを確認して、匂いが消えたら終了なのですが、匂いがまた出てくる場合もあるので、例えば2週間~4週間と少し長めに消臭し続けることもあります。
いつ消臭ができるかどうかわからないので、リフォーム工事も「消臭ができてから予定を立てる」ということになり、工事の開始までも時間がかかります。
オゾン脱臭中は臭う!?
オゾン脱臭機は、主に放電によってオゾンを発生させています。紫外線ランプによってオゾンを発生させる装置ですと窒素酸化物は発生しませんが、オゾンの発生量が少ないので、一般的には放電が用いられます。
放電ですと、オゾンガスと同時に窒素酸化物のガスも発生します。窒素酸化物にも刺激臭があり、オゾンと合わせて呼吸器疾患の原因になるとも言われています。
以前にオゾン脱臭をしても匂いが消えない物件のご相談があり、オゾン脱臭中の部屋の中に入ったことがありますが、喉が痛くなりむせてしまった経験があります。
オゾン脱臭をする場合には火災の匂いが消え切るまで装置を利用し続けることになり、その間は刺激臭が出てくるので、リフォームなどの工事をすることができません。すると、工事の再開までも時間がかかるわけです。
光触媒消臭剤なら素早く消臭ができ、早めに工事ができる
光触媒には、有機物の匂い成分を酸化分解してくれる性質があります。それを利用して、火災の匂いを消臭することができます。
光触媒消臭剤を利用すると、匂いをすぐさま分解してくれるので、施工後すぐに匂いが軽減することをご実感いただけます。また、すぐにリフォーム工事を始めたとしても、壁の中で匂いを分解し続けてくれますから、壁紙から火災の匂いが出て来なくなります。
リフォーム後にも念のためにもう一度光触媒施工をしておけば、ダブル消臭効果で火災の匂いを消すことができます。
ただし、このような効果を得るためには、光触媒消臭剤の種類を正しく選ぶことが大切です。製品によっては、ほとんど消臭効果のないものもあるので、光触媒消臭剤の種類を正しく選ぶことを覚えておいてください。
光触媒消臭剤を選ぶポイントは次の2つです
- 火災の消臭に最適な光触媒の種類を選ぶこと
- リフォームと相性の良いバインダーの種類を選ぶこと
この2点について解説いたします。
火災の消臭に最適な光触媒の種類の選び方
光触媒には、いろいろな種類があります。火災の消臭に最適な光触媒の種類は、「銅ドープ酸化チタン(銅担持酸化チタン)」です。銅ドープ酸化チタンを使用した光触媒消臭剤を選ぶことが大切です。一般的な光触媒と銅ドープ酸化チタンの違いをご説明します。
光触媒の効果は半永久的
オゾン脱臭では、オゾン脱臭機の電源をONにしている期間だけ消臭し続けてくれます。オゾンは火災の匂いと結合して消臭すると、普通の酸素分子に変化してしまうので、電源をONにし続けておかないといけません。
それに対して光触媒はどうでしょうか?
光触媒は、「触媒」とあるように、火災の匂いを消臭しても光触媒の成分は変質しませんから、匂いを消したい部屋に光触媒が存在し続ければ、半永久的に効果が継続します。装置や電源は必要ありません。
一般的な光触媒で火災の匂いは消せるのか?
一般的によく利用されている光触媒は、アナターゼ型と言われる結晶構造を持った酸化チタンです。アナターゼ酸化チタンは、紫外線が当たることで、とても高い消臭効果を発揮します。
もし火災の匂いの消臭で、アナターゼ酸化チタンを用いた場合には、直射日光に含まれるほどの強い紫外線を照射すれば、高い消臭効果が得られることでしょう。
しかし、火災の匂いは室内で発生しているものですから、室内の光では直射日光ほどの紫外線量は期待できませんから、火災の匂いの消臭は実質的にできません。

火災の匂いを消せる銅ドープ酸化チタンとは?

銅ドープ酸化チタンであればどうでしょうか?
銅ドープ酸化チタンとは、アナターゼ酸化チタンの表面に酸化銅を特殊製法で結合させた光触媒です。アナターゼ酸化チタンは紫外線にしか反応しませんが、銅を結合させることによって、可視光にも反応するようになります。つまり、室内の光でも火災の匂いが消臭できるわけです。
さらに、銅ドープ酸化チタンには特殊な性質があります。それは、光が当たっていなくても火災の匂いを消臭できるという効果です。
この効果を利用すれば、銅ドープ酸化チタンを壁面に塗装しておけば、その上からリフォーム工事で壁紙などを張って光が当たらなくなったとしても、内部で火災の匂いを消臭し続けてくれるわけです。壁に銅ドープ酸化チタンが存在していたら消臭してくれますから、その効果の持続期間は半永久的です。
リフォームと相性の良いバインダーの種類の選び方
銅ドープ酸化チタンを使って火災の匂いを消したい場合は、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を利用します。光触媒コーティング剤を選ぶときに、もう一つ大切なことがあります。それは、使用されているバインダーの種類です。
バインダーとは?
バインダーとは、接着成分のことです。塗装業者様であれば、「接着成分はプライマーだ」と言われるかもしれませんが、プライマーとは本来は「下地材」という意味です。塗料を塗装面に接着させるために下地塗装をする塗料のことを、プライマーといいます。
ここで述べているバインダーとは、光触媒コーティング剤に添加されている接着成分のことです。銅ドープ酸化チタンを添加していても、バインダーが添加されていなければ、塗布された銅ドープ酸化チタンが落ちていってしまいますから、耐久性を高めるためにバインダーが添加されています。

バインダーの種類
光触媒コーティング剤に利用されるバインダーの種類には、次の2種類がございます。
- フッ素樹脂
- アモルファス酸化チタン
フッ素樹脂とは、焦げ付きにくいフライパンにもあるような樹脂です。アモルファス酸化チタンとは、非結晶の酸化チタンです。どちらも乾燥すると、光触媒成分を強固に定着してくれます。
この2種類のうち、「火災の匂い対策には、どちらのバインダーが最適か?」ということですが、後者のアモルファス酸化チタンが最適です。
アモルファス酸化チタンが最適な理由
フッ素樹脂は、何でも弾いてしまう性質があります。その対象には、壁紙を張ったときの接着剤も対象となります。フッ素樹脂をバインダー成分として利用していると、その上から壁紙を張った場合、何年かすると剥がれてくる可能性があるわけです。

それに対してアモルファス酸化チタンは、接着剤と相性良く接着するので、光触媒コーティング塗装をした後に壁紙を張っても、剥がれてくる心配はありません。
銅ドープ酸化チタンの施工方法
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤の施工方法をご説明します。
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤

まず、光触媒成分として銅ドープ酸化チタンを使い、バインダーにはアモルファス酸化チタンを使った光触媒コーティング剤ですが、弊社の製品では屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。
完全な無機塗料ですから、防炎規制が影響する建物でも、そのままご利用いただけます。
光触媒成分 | 銅ドープ酸化チタン |
---|---|
バインダー成分 | アモルファス酸化チタン |
その他 | 水 |
塗装機械とスプレーガンを利用
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装には、専用のスプレー装置を利用します。弊社が推奨するスプレー装置は、ABAC温風低圧塗装機です。
この装置は、ブロワーユニットとスプレーガンがセットになっている装置ですので、火災現場に持ち込んで塗装作業ができます。
スプレーガンのノズル口径は0.5mmを利用し、光触媒コーティング剤を横と縦に塗布します。
この操作を2回繰り返します。
塗装の流れ

銅ドープ酸化チタンを使った屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装方法は、次の手順で行います。
- スケルトンの状態にし、煤を除去してもらう(専門業者にご依頼ください)
- 臭気を測定する
- 塗装面の清掃を行う
- 光触媒コーティング塗装を行う(縦横の塗布を2回行う)
- 施工直後に臭気測定を行う
- 1週間後に臭気を測定する
- リフォーム(リフォーム業者にご依頼ください)
- 再度、光触媒コーティング塗装を行う(必要な場合)
火災が鎮火した後に、専門業者にてスケルトン状態にしてもらい、煤を取り除いてもらいます。作業が終わったら、ここで専門業者からオゾン脱臭を提案されることが多いですが、それを断っていただき、弊社までご相談ください。
リフォーム後に再度、光触媒コーティング塗装を行うと、火災の匂いが出てくるときに、スケルトンの壁に塗布した光触媒コーティングと、リフォーム後に塗布した光触媒コーティングのダブルコーティング消臭ができます。これについては、後ほどご説明いたします。
施工前後の匂いの変化事例
実際に施工をさせていただいた火災の消臭事例をご紹介したいと思います。次の写真は、賃貸マンションでの施工前後の臭気測定器の数値を比較したものです。

施工前は5.5でした。この数値ですと、部屋に入った瞬間は火災があったことが判るくらいで、慣れると火災の匂いが気になりにくいほどです。煤を取り除く専門業者様が、きれいに清掃してくれた結果です。
とは言うものの、火災の匂いが少しでも残っていると賃貸物件に入居してくれる人が居ませんから、消臭をご依頼いただきました。
その結果、施工直後で数値は0.3にまで下がっています。2~3日ほどしたら、匂いが完全に消臭できるレベルまで下がっていますから、すぐにリフォームをしても良いくらいです。
リフォーム後の再塗装もおすすめ
リフォームをして壁紙を張った後は、壁紙の内部で銅ドープ酸化チタンが消臭し続けてくれています。リフォームをした後に、壁紙の上からも光触媒コーティングをすると、ダブル消臭ができるので、匂いをより強固に封じ込めることができます。

また、壁紙の上から行った光触媒コーティングは、火災の匂いだけでなく、部屋で生活をする人の臭い、例えばタバコや焼肉といった臭いをも消臭してくれますし、壁紙の抗菌や防カビもできます。
このように、光触媒は火災の匂いを消臭してくれるだけではなく、さまざまな効果が得られます。
火災の匂い対策が行える施工代理店
弊社の光触媒消臭剤を扱い、火災の匂い対策に対応してくれる施工代理店は、次の通りです。
東京の施工代理店
マテリアルリサーチ
若手技術者の多い東京の施工店です。東京都を中心に埼玉県や千葉県の施工にも対応いたします。火事の消臭とオフィスの抗菌施工、飲食店のトイレや店内の消臭施工に力を入れています。女性の施工スタッフが在籍するので、女性用トイレや更衣室などの女性向け空間の消臭施工にも対応いたします。火災の匂い対策では、スケルトンの状態でご依頼ください。
神奈川の施工代理店
Good Job Company
光触媒コーティング塗装に精通したベテラン技術者が所属する施工店です。火災と最期を迎えられた方の特殊清掃での消臭のどちらにも対応しています。火災の匂い対策では、スケルトンの状態でご依頼ください。
フューチャーアンドエコロジーズ
光触媒コーティング塗装の実績の多い施工店です。火災と最期を迎えられた方の特殊清掃での消臭のどちらにも対応しています。火災の匂い対策では、スケルトンの状態でご依頼ください。
佐賀の施工代理店
株式会社イリス 光触媒コーティング施工部
弊社の施工部です。佐賀県を中心に福岡県や長崎県の施工にも対応いたします。火災の匂い対策では、スケルトンの状態でご依頼ください。
所在地 〒844-0027 佐賀県西松浦郡有田町南原甲503
電話 0955-41-0011
概算見積もりから施工開始までの流れ
概算見積もりから施工依頼までの流れは、おおよそ次の通りです。
- スケルトンの状態で煤の撤去が完了しているかの確認
- 施工面積がわかる図面や、火事の程度がわかる写真などのご提供
- 概算見積もり
- 現地調査(必要であれば)
- 正式なお見積もり ⇒ ご契約
- 光触媒コーティング施工実施
どの施工代理店にご相談いただいても概算見積もりまでは無料です。現地調査が必要な場合には、現地調査費や出張費がかかる場合がございます。
どこに相談したらいいのか判らない場合は、弊社までご相談ください。

この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。