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有機バインダーと無機バインダーの違いは?光触媒コーティングの耐久性との関係

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有機バインダーと無機バインダーの違いは?光触媒コーティングの耐久性との関係

光触媒コーティング剤には、バインダーと言われる成分が添加されています。

バインダーとは接着成分のことで、光触媒成分を塗装面に接着させる成分です。

バインダー成分の種類は、有機バインダーと無機バインダーの2種類があります。この種類によって、光触媒コーティング剤の耐久性が異なります。

このコラムでは、光触媒コーティング施工を新規事業として導入をお考えの方に、バインダーについて解説いたします。

光触媒コーティングは、液剤選びによって効果や耐久性が大きく異なります。正しい施工をするためにも、バインダー成分の種類やその効果の違いを把握しておくことが大事です。

光触媒コーティング剤のバインダーとは?

光触媒コーティング剤の主成分は、光触媒成分、バインダー成分、そして水です。

冒頭でもご説明したように、光触媒コーティング剤に添加されるバインダーとは、光触媒成分を塗装面に接着させる成分のことです。

バインダーの成分は、有機バインダーと無機バインダーに分けることができます。

有機バインダーとは?

有機バインダーとは、有機化合物のバインダーです。有機化合物とは、炭素原子で構成された分子のことです。その成分を使ったバインダーです。

有機バインダーは、有機溶剤が利用されていると思います。ですので、有機バインダーを使った光触媒コーティング剤を塗装すると、シンナーのような臭いがすると思います。

無機バインダーとは?

無機バインダーとは、無機物をバインダー成分としたものです。光触媒コーティング剤に利用される無機成分としては、主にアモルファス酸化チタンが利用されます。

アモルファスとは、非結晶のことです。酸化チタンは通常であれば、結晶構造を持っています。よく知られている結晶構造の名前は、ルチル型とアナターゼ型です。光触媒成分として利用される酸化チタンは、アナターゼ型のナノサイズ粉末です。

アナターゼ型は光触媒の効果を発揮しますが、アモルファス型は非結晶構造で光触媒の性質を持っていません。アモルファス酸化チタンを水に馴染ませた液体を塗布すると、乾燥したらアモルファス酸化チタンは強固に付着します。

有機バインダーと無機バインダーのどちらが、光触媒コーティング剤に適しているのかが気になるところです。

光触媒コーティング剤に求められるバインダーの性質

有機バインダーと無機バインダーのどちらが光触媒コーティング剤に相応しいのかは、光触媒コーティング剤に求められるバインダーの性質から判断すべきです。その性質とは、

  • 光触媒成分を塗装面に強固に定着させられ、かつ柔軟性があること
  • 光触媒成分を定着させる持続期間が長いこと

これらを少しご説明します。結論としては、基本的に無機バインダーを利用することです。

光触媒成分を強固に定着させられて柔軟性があること

有機バインダーには、有機ポリマーを利用したものであれば柔軟性があると思います。無機バインダーは強固に固定化できます。

光触媒成分が塗装面にしっかりと定着させられるかどうかは、バインダー成分がしっかりと固化することが大事です。しかし、しっかりと固化させ過ぎてしまったら、柔らかいものに塗装すると割れてしまいます。

バインダー成分がナノサイズで塗布することができたら、強固に固定化されても柔軟性を出すことができます。つまり、強固に固定化されることに加え、ナノサイズの薄膜で塗装ができることが条件となります。そして、アモルファス酸化チタンはナノサイズでの薄膜で塗装ができるので、強固でありかつ柔軟性が出ます。

光触媒成分を定着させる持続期間が長いこと

光触媒成分がバインダーによって塗装面に固定化されても、それがすぐに脱落してしまうようであれば、光触媒の効果が落ちてしまいます。そういったものであれば、光触媒コーティング剤としては性能の悪いものと言えます。

さて、光触媒成分は触媒効果によって触れているものを分解することができます。それはバインダー成分も同様です。光触媒成分で分解されるバインダーは、有機バインダーです。

無機バインダーには、アモルファス酸化チタンが利用されていることを述べました。酸化チタンは光触媒で分解されない成分ですから、無機バインダーは光触媒成分を塗装面に長期間保持させることができます。

ただし、有機バインダーの中には光触媒でも分解させない成分も一部あります。有機バインダーでも、光触媒成分によって分解されない成分を利用してください。

弊社の光触媒成分は無機バインダーを採用

弊社の光触媒製品では、無機バインダーを採用しています。光触媒コーティング剤には光触媒成分とアモルファス酸化チタンが入っていますが、大部分は水です。

光触媒成分とアモルファス酸化チタンを合わせたものに対して、水は重量比で99%以上です。

水の中に光触媒成分やアモルファス酸化チタンといった金属が光触媒コーティング液剤として混ぜる方法は、ゾルゲル法という方法を使います。光触媒成分やアモルファス酸化チタンは水に溶けているわけではなく、混ざっている状態になっています。

光触媒コーティング剤は、専用の塗装機械とスプレーガンを利用して塗装します。光触媒成分とアモルファス酸化チタンを合わせたものは1%未満で、ほとんど水です。もしこれが1%を超えてくると、液剤の粘性が高くなり、塗装したときに適切に光触媒コーティングができなくなります。

塗装機械や塗装方法については、「ABAC温風低圧塗装機SG-91と光触媒コーティング塗装方法を徹底解説」をご参照ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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