外壁の光触媒塗装には、光触媒塗料か光触媒コーティング剤を用います。それらに用いられる光触媒成分は、酸化チタンがほとんどです。
酸化チタン光触媒は、紫外線が当たると光触媒の性質が現れ、防カビやコケ防止、防汚といった効果を発揮します。
ところが、外壁には日陰も存在します。紫外線は日光に多く含まれるため、日陰では紫外線量が少なくなるので、光触媒の効果が出ない可能性もあります。
この記事では、外壁に光触媒塗装をしたとき、日陰での効果はどうなるのかを解説いたします。
光触媒塗装の種類
光触媒塗装には、次の2種類があります。
- 光触媒塗料の塗装
- 光触媒コーティング剤の塗装
光触媒塗料とは、ペンキのような塗料に光触媒成分を添加したものです。ハケやペイントローラーで手軽に塗装ができるので、広く普及しています。
光触媒コーティング剤は、水のような粘性の液剤です。塗装には、専用の塗装機械とスプレーガンを用いるので、塗装機械を持っていない方では、正しく塗装することができません。
どちらの光触媒塗装でも、外壁用には酸化チタンが使用されていることがほとんどです。日光の紫外線が当たる場所では、防カビやコケ防止の効果がありますが、日陰では効果が落ちます。
もちろん、酸化チタン以外の光触媒成分も存在し、その種類によっては、日陰でも効果のあるものもあります。
酸化チタンは多少の日陰であれば
防カビ・コケ防止は可能
外壁の日陰にも程度があります。外壁の横に木が1本生えていて、その木陰によって、外壁が日陰になることがあります。そういった多少の日陰では、防カビ・コケ防止は問題なくできます。
その理由は、日光はとても紫外線量が多いので、多少日陰になることがあっても、酸化チタンが効果を発揮して防カビ・コケ防止をしてくれるからです。
人が外を歩くと日焼けをしますが、皮膚に紫外線が当たっているからです。日陰に入ると、紫外線量は和らぎますが、日光の照り返しには紫外線が含まれています。ですから、多少の日陰であれば、光触媒の効果を発揮します。
北側やジメジメした場所の日陰は
カビや苔が生える場合がある
では、完全に日陰になる場所ではどうでしょうか?
カビや苔は、基本的に湿気が多いところに生えやすいです。ですから、北側であっても湿気がなければ、カビや苔は生えにくいと言えます。ところが、常に日陰の場所で湿気があると、カビや苔が生えやすいです。
北側の壁でも、地面がいつも湿気ているような場所や、壁と壁の間が狭く、湿気がこもりやすい場所では、紫外線がほとんど当たらないことも重なり、外壁に光触媒塗装をしても、カビが生えやすいです。
また、苔が生えやすい場所は、外壁の近くに森があったり、木がたくさん生えているところです。そういった場所にある壁は、苔の胞子が飛来してきて、壁に付着しやすいです。さらには、空気には湿気を多く含んでいるで、苔が生えやすくなります。
完全に日陰になる部分は、北側の外壁だけではありません。軒下や大きな看板の裏側も日陰になります。そういった場所に湿気がこもるようであれば、カビが生えることがあります。
北側やジメジメした場所の日陰の防カビ・コケ防止の方法
では、北側やジメジメした場所の日陰で、防カビやコケ防止をしたい場合は、どうしたら良いのでしょうか?
日陰でも防カビ・コケ防止効果のある光触媒成分を用いる
そういった場所を、光触媒で防カビ・コケ防止をしたい場合には、日陰の紫外線が当たらない場所でも光触媒の効果を発揮する成分を使った光触媒塗料や光触媒コーティング剤を用います。
紫外線でなくても光触媒の効果を発揮する成分のことを、可視光応答型光触媒といいます。市販されている製品に用いられている可視光応答型光触媒は、主に次の3種類です。
- 酸化タングステン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 銅ドープ酸化チタン
この3種類の光触媒塗料や光触媒コーティング剤が市販されています。
「これらの3成分の中で、どれを選んだら良いのか?」ということですが、3成分でそれぞれ光触媒の効果の高さが異なります。
これらの中で、もっとも効果の高い成分は、銅ドープ酸化チタンです。
銅ドープ酸化チタンなら夜間でも効果あり
また、銅ドープ酸化チタンには、太陽が沈んで暗くなっても、触媒の効果を発揮するという、驚くべき効果があります。
もちろん光が当たっているときは高い効果が得られますが、暗所でも効果を発揮します。
つまり、外壁に光触媒塗装をする場合は、北側や日陰になりジメジメした場所、軒下には、酸化チタンを塗装するのではなく、銅ドープ酸化チタンを塗装することをおすすめします。
なお、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒塗料は、今現在のところ存在しませんので、光触媒コーティング剤を用いることになります。
弊社の製品は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。製品名は「屋内用」となっていますが、外壁にもご利用いただけます。塗装には専用の塗装機械とスプレーガンを用いるため、塗装は弊社の製品を扱う施工代理店にお任せください。
以上、日陰の外壁に光触媒塗装をしたらどうなるのかを解説いたしました。日陰の部分こそ、防カビ・コケ防止をしっかり行いたいものです。日陰の状況によって、最適な光触媒成分を選んで塗装することが大事です。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。