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新築住宅の臭いの原因と対策方法

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臭いが気になる新築住宅の臭いの原因と対策方法

無垢材をふんだんに使った新築一戸建てに入ると、とても良い木の香りがします。無垢材を使った床の上に寝転がると気持ちがいいものです。

ところが、一般的な新築一戸建てや新築マンションの部屋に入ると、建った直後から数か月間は、新築特有の化学物質の臭いが気になることがあります。新車の自動車でも同じような臭いがします。

この臭いの原因は、建材に含まれている揮発性有機化合物(VOC)といわれる成分です。

シックハウス対策の建材として、F☆☆☆☆(エフフォースター)といわれる等級があります。フォースターの建材を使用しても、独特の臭いが出てくることが多いです。

このコラムでは、新築の臭いの原因やその対策、VOCを分解できる光触媒コーティングで、一般的な新築一戸建てや新築マンションの特有の臭いを抑える方法を解説します。

新築の臭いの原因「揮発性有機化合物(VOC)」とは?

新築一戸建てや新築マンションの部屋に入ると、化学物質の臭いが充満していることがあります。

部屋の窓を開けたり、換気扇をつけたりして部屋の空気を換気しても、換気を止めたらまたどこからか臭いが出てきて、部屋中に充満してしまいます。

この化学物質の成分は、建物の建材に用いられている接着剤などの成分が空気中に溶け出したものです。このような揮発性の成分のことを、揮発性有機化合物(VOC)と言います。

VOCは、シックハウス症候群の原因物質ともいわれており、種類はたくさんあります。よく知られているものとしては、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドです。一度くらいは耳にされたことがあることでしょう。他にも、トルエンやキシレン、スチレン、ベンゼンなどといった成分があります。

シックハウス症候群は、これらのVOCに対して身体が反応して起こる症状といわれていますが、まだ解明されているわけではないようです。

シックハウス症候群の詳細については、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の資料が参考になります。

上記の成分の濃度が高いとシックハウスに罹りやすいとされていますが、新築に長年住んでいると少しずつ濃度が下がってきます。そういった成分は数年以上も出続けるので、化学物質に過敏な方は、何年も経過した住宅でなければ住めない方もいらっしゃいます。

そこで、何らかの対策が必要となります。

VOCの臭い対策

では、VOCによる臭い対策の方法は、細かくはさまざまありますが、主なものは次の5種類です。

  • VOCが出ない/出にくい建材を使用する
  • 部屋の空気を換気する
  • VOCを強制的に揮発させ切る
  • VOCを分解する
  • VOCを活性炭に吸着させる

VOCが出ない/出にくい建材を使用する

建物のVOC対策として、VOCが出ない、もしくはVOCが出にくい建材を用いる方法があります。VOCは接着剤や合板などから出てくるので、なるべく無垢材や漆喰などの天然素材を使って家を建てることができたら、VOCを減らすことができます。

ここで、F☆☆☆☆(エフフォースター)という等級をごぞんじでしょうか?

これは日本工業規格(JIS)や日本農林規格(JAS)で定められている、建材からのホルムアルデヒドの放散量が0.005mg/m2h以下という低さの場合に適用できるマークです。

F☆☆☆☆の建材を選ぶことによって、シックハウス症候群の原因物質といわれているホルムアルデヒドの放散量を減らすことができます。

ところが、ホルムアルデヒドの放散量がゼロではありません。ホルムアルデヒドは確かにVOCの一部ではあるものの、VOCには他にもたくさんの種類があるため、F☆☆☆☆の建材を用いたからと言って、シックハウス症候群を予防できるとは限らないことも指摘されています。

株式会社オオスミのブログ記事「F☆☆☆☆(エフフォースター)材料でシックハウス対策は万全か?」が参考になります。

部屋の空気を換気する

上記のブログ記事の中では、VOC対策として「換気が大事」としています。弊社でも、そのように思います。

VOCが部屋の中に出てきたとしても、普段から換気をしておけば、部屋の空気のVOC濃度を相当減らすことができます。

近年の住宅は省エネルギーのために高気密・高断熱が当たり前ですし、夫婦が共働きのため家に人が居る時間が少ないので、換気を十分に行えていないご家庭も多いことでしょう。

2003年に改正建築基準法が施工され、原則的に24時間換気システムの設置が義務付けられたので、それ以降に建てられた住宅は、換気システムの設備が整っている住宅が多いと思います。この改正は、シックハウスの原因となる物質の室内濃度を下げることを目的としたものです。

省エネをしながら換気する場合は、全館空調と全熱交換器を導入すると良いと思います。

VOCを強制的に揮発させ切る

VOCは揮発性の物質ですので、建材に含まれているVOC成分は蒸発して放散しています。つまり、VOCは建材を加熱すると揮発しやすくなるので、新築で建ったばかりの部屋を強制的に加熱して、VOCを出し切って換気をする方法です。

加熱をする方法としては、部屋の中で石油ストーブやヒーターを設置して、部屋の温度を高温に高め、数時間放置する方法が取られることが多いようです。

沸点の低いホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは、部屋を加熱することで揮発させられやすいです。

しかし、トルエンやキシレン、スチレン、ベンゼンなどは、沸点が100℃以上です。また、建材のVOC成分は、加熱をしたぐらいではすべて放散することはないと思うので、気休め程度とお考えいただいた方が良いです。

VOCを分解する

VOCは、何らかの方法で分解することができます。今までの対策は、VOCが出てこないようにしたり、出てきたVOCを換気したりする方法を解説しましたが、出てきたVOCを分解できたら、部屋の中のVOCの濃度を減らすことができます。

VOCを分解する方法は、加熱による酸化と触媒による分解、そしてオゾンなどの成分で分解する方法があります。

加熱による酸化は、ガスバーナーのような高温で加熱をしてVOCを酸化させてしまう方法です。これを部屋で行うことは現実的ではありません。

触媒やオゾンなどのVOCを分解できる成分を用いる方法は、空気清浄機に用いられていることが多いです。触媒が内蔵されたりオゾンが発生する空気清浄機を使用するのですが、そのような空気清浄機は家庭用でも、とても高額になります。また、フィルターの掃除などのメンテナンスが必要です。

メンテナンスフリーで、燃料代や電気代もかからずにVOCを分解する方法として、光触媒を用いる方法があります。光触媒によるVOCの分解については、後ほど詳細に解説いたします。

VOCを活性炭に吸着させる

活性炭とは、微細な多孔質の墨の塊です。微細な多孔質が有害な物質を吸着させる性質を持っているので、活性炭を用いて、部屋のVOCを吸着させ、部屋の空気のVOCの濃度を下げる方法があります。

VOCが活性炭に接触する必要がありますが、部屋の中に活性炭を敷き詰めるわけにはいきません。そこで、活性炭が入った畳やシートが市販されているので、そういったものを用います。

活性炭は空気の湿度を調整する機能もあるため、床下に敷き詰める建材としても市販されています。

活性炭は、ある程度VOCを吸着させたら、吸着する能力が落ちてきます。一定の期間で、定期的に交換することが大事です。

VOCは光触媒で分解できる

さまざまなVOCの臭い対策方法のメリットやデメリットを解説しましたが、ランニングコストがかからず、長期間使用でき、メンテナンスも必要のない方法として、光触媒による分解があります。

光触媒がVOCを分解するメカニズム

光触媒とは、光が当たることでそこに触れている有機物を分解する成分のことです。代表的な成分としては、酸化チタンがあり、地球上に現存している光触媒の中でも、手に入りやすく効果の高いことで知られています。

酸化チタンは、光の中でも紫外線が当たると、そこからOHラジカル(・OH)といわれる活性酸素の一種が発生します。OHラジカルは強い酸化力があるので、VOCに触れたら結合します。するとVOCが分解され、最終的には水や二酸化炭素といった身体にとって無害な物質に分解する性質があります。

このような性質を持つ酸化チタンを使った光触媒コーティング塗料を、部屋の内装クロスや天井、家具などに塗装しておけば、それらの建材から発生してくるVOCが連続的に分解されるわけです。

酸化チタンは身体に安全なのか?

光触媒はOHラジカルという活性酸素の一種を発生させますが、活性酸素は人の身体も酸化させてしまうものです。そのため、「酸化チタンは身体に安全なのか?」という疑問を持つ方もいらっしゃいます。

酸化チタンは、日焼け止めクリームに入っている成分です。日焼け止めクリームの成分をご確認ください。SPFとかPA+++といったUV防止の成分が入っている化粧品の多くには、酸化チタンが使われています。

また、酸化チタンは白粉(おしろい)にも使われていて、メーキャップ化粧品には欠かせない成分です。

それを、私達は毎日のように顔などの肌に塗っているわけですから、酸化チタンの微粒子をクロスなどの内装に固定したようなものであれば、身体に害を及ぼすことはまず無いことでしょう。

また、弊社の光触媒製品は毒性試験も行っていますが、毒性が認められたことはありませんので、安心してご利用ください。

酸化チタンの弱点とは?

このようなVOCの臭い対策として効果的で身体にも安全な酸化チタンですが、弱点があります。それは、先ほど「紫外線に反応する」と解説しましたが、紫外線だけに反応するのです。

紫外線は、太陽光からよく出ていて、日焼けの原因にもなっています。ところが、部屋の中は紫外線がほとんどありません。部屋の中にいると、日焼けすることはありません。つまり、部屋の中に酸化チタンを使った光触媒コーティング塗料を塗装しても、VOCを分解して臭いを消臭する効果が無いのです。

では、「酸化チタン以外で部屋の中でも光触媒の効果が出る成分は無いのか?」とお考えのことでしょう。実は、そのような成分は存在します。その代表的なものが酸化タングステンです。

ところが、酸化タングステンにも問題があり、光触媒としての性質が弱いのです。

そこで弊社では、「酸化チタンが部屋の中でも光触媒の効果を発揮させることが出来ないだろうか?」ということで研究をしました。

部屋の中でもVOCを分解できる「銅ドープ酸化チタン」とは?

研究を開始してから失敗の山を積み上げていくのですが、研究を開始して2年ほど経過したときのことです。ふと「銅は抗菌効果があり、触媒としても利用されている。もしかしたら銅を加えたらいいのではないだろうか?」と思いつき、酸化チタンに微量の銅を加えて実験したところ、なんと蛍光灯の光でも光触媒の強い効果が出ることを、世界で初めて発見しました。2002年のことです。

弊社はすぐさまその成分の製造方法で特許を取得したところ、その噂が広がっていき、大学や研究所でも追試されて、2007年にはNEDOのプロジェクトも立ち上がり、そのメカニズムや効果の高さが解明されました。この成分は、「銅ドープ酸化チタン」といった名称で呼ばれるようになりました。メカニズムについては、東京大学「光触媒の新世界 市場との対話が生んだブレークスルー」が参考になります。

このような蛍光灯やLED電球の光でも反応する光触媒のことを、「可視光応答型光触媒」と言います。先ほど解説したような酸化タングステンや、窒素ドープ型、銀を添加したものなど、いろいろな可視光応答型光触媒がありますが、それらよりも数倍効果の高いことが証明されました。

そして弊社では、この銅ドープ酸化チタンを使って、屋内用光触媒コーティング塗料を開発・製品化し、蛍光灯やLED電球の光でも反応して強い光触媒の効果を発揮し、ホルムアルデヒドなどのVOCを分解してくれることを確認しました。

新築の内装に光触媒コーティング塗装

銅ドープ酸化チタン光触媒コーティング塗料を室内に塗装することで、安全にかつメンテナンスフリーで室内のVOCを連続的に分解することができます。そのコーティング塗料「屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)」の詳細は、こちらのページをご覧ください。

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、業務用光触媒製品ですので、専門の塗装機材と塗装技術が必要です。

ご家庭に施工をしたい場合は、弊社の製品を取り扱っている施工代理店にご依頼ください。

施工内容は、光触媒コーティング塗料を壁や天井、家具などに塗装します。部屋の中でも直射日光が当たる場所は、光触媒の性質によって内装が劣化する可能性があります。そういった箇所には、先に下地剤(プライマー)を下塗りしておき、その上から光触媒コーティング塗料を塗装します。そのようにして、光触媒が内装に直接触れ、強い紫外線によって劣化することを防いでくれます。

新築の臭い対策なら、ぜひイリスの光触媒コーティングをご利用ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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