
新築の戸建てやマンションを建てたり、購入したときに、工務店や管理会社から光触媒コーティング塗装がご提案されることがあります。
光触媒コーティングは、効果のあるものを効果的に使用できたら、新築物件が生活しやすい居住空間になります。
反対に、効果の無い詐欺的な光触媒コーティングの種類もあり、ムダな費用となってしまう場合もあります。弊社としては、そのようなムダな光触媒コーティングをされないように注意を促しています。
この記事では、光触媒コーティングを全体的に、少し詳しくご説明したいと思います。
新築に光触媒コーティングを導入しようか迷われ、この記事にたどり着かれた方は、ぜひ最後までご覧ください。
光触媒コーティングとは?
最初に、光触媒の基礎知識とメリットをご説明いたします。
光触媒の性質
光触媒とは、光が当たることで、触媒効果を発揮する成分のことです。光触媒の効果は、主に酸化分解です。細菌類やウイルス、アレルゲン、臭い成分、化学物質、油汚れといったものは、光触媒によって酸化分解される可能性があります。
光触媒のメカニズムは、次の図をご覧ください。

光触媒に光が当たることで、光触媒にある電子が飛び出します。この電子が空気中の酸素や水と反応して、OHラジカルと言われる活性酸素を発生させます。OHラジカルは、強い酸化力を持つので、それに触れたものを酸化させる性質があります。
この性質が、光が当たるだけで連続的に起こるので、光触媒に触れたものを酸化分解することができるわけです。
光触媒コーティングとは?
このような性質のある光触媒成分を室内に利用できたら、新築には大きなメリットがもたらされるはずです。しかし、光触媒成分はたいてい酸化金属です。金属膜を室内に貼り付けるわけにはいきません。
そこで、光触媒成分の微粉末を水と馴染ませた光触媒コーティング剤という液剤を使用します。これを塗布する施工のことを、光触媒コーティングといいます。
光触媒コーティング剤には、酸化チタンがイオンとして溶けているわけではなく、ナノサイズの微粉末が液体の中を、牛乳の乳脂肪の粒ように分散している状態です。この状態のことをコロイドと言います。
光触媒コーティング剤は、専用の塗装機械を使ってスプレー塗装します。塗装方法については、後ほどご説明いたします。
光触媒コーティングのメリット
光触媒コーティングのメリットは、他の防カビコーティング剤や抗菌コーティング剤、消臭コーティング剤とは異なり、さまざまなメリットがあります。
- 光触媒成分は劣化や変性が起こらないので、そこに光触媒成分がある限り、半永久的に効果を発揮する
- OHラジカルで酸化分解をするので、防カビや抗菌、消臭、アレルゲンの分解、化学物質の分解などの効果を光触媒コーティングだけで得られる。
- そのため、トータルで施工の費用を安く抑えられる。
新築に光触媒コーティングされる方の理由
新築に光触媒コーティングされる方にはさまざまな理由をお持ちですが、主な理由は次の3つです。
- 新築のうちに防カビコーティングをしておきたい
- 新築の臭いを対策したい
- 賃貸物件で壁紙の汚れや臭いを防ぎたい
新築のうちに防カビコーティングをしておきたい
新築であれば、カビが発生することは思いもしないことでしょう。ところが、立地環境や室内環境によって、新築から1年以内に室内にカビが発生することがあります。
カビ菌やカビの胞子は、新築であってもすぐに室内に入り込んでくるので、湿気があればすぐに発芽します。
カビが発生すると、カビは根っ子を張ると言われています。カビが発生してから清掃をしたとしても、その場所にはカビの根っ子があるので、その場所はカビが再び発生しやすい状態になっています。
そのようなことを防ぐために、新築のときに光触媒コーティングによって防カビをしておくことをおすすめします。
新築の臭いを消臭したい
新築の臭いは、ホルムアルデヒドを代表とする揮発性有機化合物(VOC)が原因です。
ときどき「我が家はホルムアルデヒドが出にくい建材を使っているのに、新築の臭いがする」とご相談される方がいらっしゃいます。VOCの種類は、ホルムアルデヒドだけではなく、シックハウス症候群の原因とされるVOCの種類は、100種類とも200種類とも言われています。
新築を建てるときは、ホルムアルデヒドを使用していなかったとしても、必ずと言ってよいほど何等かのVOCが利用されているので、新築の臭いがします。
次の表は、厚生労働省による室内空気中化学物質の室内濃度指針値の一例です。
揮発性有機化合物(VOC) | 室内濃度指針値 |
---|---|
ホルムアルデヒド | 100μg/m3(0.08ppm) |
アセトアルデヒド | 48μg/m3(0.03ppm) |
トルエン | 260μg/m3(0.07ppm) |
キシレン | 200μg/m3(0.05ppm) |
スチレン | 220μg/m3(0.05ppm) |
これらの数値がすべて下回っていたら、新築の臭いはほとんどしないと思いますが、「新築の臭いがする」と感じたら、どれかの濃度が指針値を超えていると思われます。ただし、これらの値は工務店からすると厳しい値なのだと思います。個人差はありますが、濃度が指針値を超えているからと言って、身体に異常が出るわけではないと思います。
このような厳しい指針があり、実質的にこれらの数値が下回るような家は建てられませんので、最近の戸建て住宅では基本的に24時間換気が義務付けられています。
しかし、24時間換気を行っていたとしても、新築の臭いはするものですから、特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭では気になると思います。
そういったときは、光触媒コーティングをおすすめします。室内の壁や天井に光触媒コーティングを行うことで、部屋の中に漂う新築の臭いを分解消臭してくれるばかりか、壁や天井から揮発して出てくるVOCを壁や天井の表面にてある程度分解消臭されるようになります。
賃貸物件で壁紙の汚れや臭いを防ぎたい
賃貸物件ではどのような人が住まわれるか分かりません。人によっては、壁紙が汚れてもそのままにする人もいたり、スパイスやニンニクの臭いが染みついたりすることがあります。
そのような場合には、壁紙を張り替えることをしますが、居住者が頻繁に入れ替わるようなことがあれば、壁紙を頻繁に張り替えるための費用が多くかかってしまいます。スパイスの臭いは、躯体の中にもしみ込んでしまうこともあります。
新築のときやリフォーム後に、壁紙に光触媒コーティングをしておけば、壁紙の汚れや臭いを防ぐことができます。仮に汚れたとしても、水拭きをするだけで取れる場合が多いです。また、躯体の中にまで臭いが入り込むことをある程度防いでくれます。
光触媒コーティングによって、壁紙を張り替える頻度を抑えることができ、コスト削減につながります。
新築に光触媒コーティングは必要か?
新築物件を建てられた方や所持された方に、光触媒コーティング施工をおすすめすると、よく「新築なので光触媒コーティングは必要ない」とおっしゃられることがあります。
弊社としては、「いずれ防カビとかなさるのであれば、新築だからこそ光触媒コーティングをしていただきたい」とご説明させていただいています。その理由は、次の通りです。
- 一度カビが発生するとカビの根っ子が残りやすいので、防カビコーティングをしてもカビが発生しやすいこと。
- 弊社製品は、耐久性が10年程度、天井などは20年以上ある場合もあるので、壁紙を交換するタイミングまで効果が持つ場合が多い。そのため、早めに施工した方がお得であること。
- 新築であれば入念は掃除が必要ありませんし、家具などを引っ越しする前であれば、家具の移動や養生が必要ないので、施工費用が安くなること。
- 壁紙の汚れを防いだり、汚れても掃除で落としやすくなるので、新築の状態を長く保つことができること。
- 光触媒による防臭・消臭効果で、部屋の臭いを防ぐことができるので、生活がしやすくなる。
何年か経過した後であれば、カビを取り除く清掃が必要であったり、家具の移動や養生が必要となるので、費用が大幅に高くなってしまいます。
室内で効果の高い光触媒の種類
光触媒コーティング剤に利用される光触媒成分は、1種類だけではなく、たくさんの種類があります。どの成分を利用するかによって、効果の高さが大きく異なります。
光触媒の種類
光触媒の種類は本当にたくさんの種類があります。現在では、水素を精製できる光触媒の研究が盛んですが、特殊用途の光触媒もあり、今現在も新しい光触媒成分が生まれているので、数えきれないほどあります。
室内用として市販されている光触媒コーティング剤に利用されている光触媒の種類は、数種類に限られており、主なものは次のものです。
- 酸化チタン
- 銅ドープ酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン
これらの光触媒は、すべて室内用としてよく利用されていますが、ほとんど効果の無いものもあります。他にも、室内用として利用されているものはありますが、弊社の試験で「これほど効果の無いものを市販してもいいのか?」と思えるような製品も少なからずあり、残念に思っています。
そのようなこともあるので、新築の光触媒コーティングを検討されている消費者の皆様が、光触媒について知識を身につけて、本当に効果のある製品を扱う業者さんに依頼していただきたいと思います。
効果の無い光触媒の代表例 = 酸化チタン
光触媒コーティング剤としてもっとも多く利用されているものは、酸化チタンです。酸化チタンとは、酸化チタンの微粉末を光触媒コーティング剤にしたもので、それを塗布します。
酸化チタンは、なぜ効果が無いのかといいますと、それは紫外線が当たったときでないとほとんど効果が出ないからです。「ほとんど」と述べた理由は、紫外線でなくてもごく僅かに効果があるためです。しかし、そのような効果の高さでは、防カビや消臭は難しいことでしょう。

次の図は、一般的な白色LEDのスペクトルです。波長が380nmよりも短い紫外線に反応するのですが、その波長の光は白色LEDからほとんど出ていないことがわかります。

なお酸化チタンは、直射日光が当たる外壁であれば、とても高い効果を発揮します。酸化チタンは外壁用として利用した方が良いです。
少なくとも可視光応答型光触媒を利用すること
室内の光は、LED照明や蛍光灯、白熱球といった光源です。そのような紫外線がほとんど含まれていない光で反応する光触媒成分を選ぶ必要があります。
そのような光で反応する光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。「蛍光灯などから出る可視光で効果を発揮する光触媒」という意味です。
室内で効果のある光触媒コーティングを行いたい場合には、少なくとも可視光応答型光触媒を選ぶべきでしょう。先ほどの光触媒のリストの中で、可視光応答型光触媒のものは、次の3種類です。
- 銅ドープ酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン

この名称の中にある「ドープ」とは、「添加した」という意味です。
銅ドープ酸化チタンは、ナノサイズの酸化チタン結晶の表面にナノサイズの酸化銅を結合させた光触媒です。
酸化チタンは紫外線にしか反応しませんが、銅ドープ酸化チタンは可視光でも反応するようになります。
窒素も同様に、酸化チタンに結合させることで可視光応答型光触媒になります。酸化タングステンは、そのままで可視光応答型光触媒です。
光触媒成分と反応する光の種類は次のような関係があります。
酸化チタン | 紫外線のみ |
---|---|
銅ドープ酸化チタン | 紫外線、紫色、青色、水色(シアン) |
窒素ドープ酸化チタン | 紫外線、紫色、青色 |
酸化タングステン | 紫外線、紫色、青色、水色(シアン) |
紫色や青色、水色(シアン)の光は、可視光ですから、蛍光灯やLED照明などの光で効果を発揮します。次の図は、先ほどご紹介した一般的な白色LEDのスペクトルに、銅ドープ酸化チタンが反応する波長領域の矢印をいれたものです。(赤色の矢印)

銅ドープ酸化チタンは、白色LEDから出ている光にも反応し、効果が発揮されることがわかります。
では、「可視光応答型光触媒3種類であれば、どれでも室内で高い効果が得られるのか?」と言われると、そうではありません。これら3種類の中で、室内にて圧倒的に効果の高いものが、銅ドープ酸化チタンです。
もっとも効果の高い光触媒は銅ドープ酸化チタン
光触媒コーティング剤として可視光応答型光触媒の中で、室内でもっとも効果の高いものは、銅ドープ酸化チタンです。
他の光触媒成分と比べると、どれくらい効果が高いのかといいますと、蛍光灯の光を照射したときは、他の成分と比べて10~20倍以上です。

しかも、銅ドープ酸化チタンには他の光触媒には無い、特殊な効果があります。その効果とは、光が当たっていなくても効果を発揮するというものです。
一般的な光触媒は、光が当たっていないと効果がありませんが、銅ドープ酸化チタンだけが、光が当たっていなくても効果があるのです。室内では、夜間は薄暗い光しか当たらない場所や、消灯されている場所もあります。そういった場所では、他の光触媒では効果がありませんが、銅ドープ酸化チタンだけが効果があるのです。

光が当たっていなくても効果がある理由は、銅ドープ酸化チタンに添加されたナノサイズの酸化銅が作用しているようです。
銅ドープ酸化チタンによる分解を確認したVOCや臭いの種類
銅ドープ酸化チタンにて分解できるVOCや臭いを、第三者機関に試験してもらったものや弊社にて試験したものも含めると、次の種類があります。
- アンモニア
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- エチレン
- トルエン
- キシレン
- スチレン
- イソプロパノール
- 酢酸
- トリメチルアミン
- メチルメルカプタン
- アルコール類
- 2-ノネナール(加齢臭)
- カビの臭い
- タバコの臭い
- スパイスやニンニクの臭い
- 香水の臭い
- 火災の臭い
トルエンやキシレン、スチレンは、ベンゼン環を持つ化学物質です。ベンゼン環は、一般的な光触媒では、かなり強い光を当てないと分解が難しいとされています。銅ドープ酸化チタンは、室内の明かりがあればベンゼン環を持つ化学物質を分解できます。
この性質から、化学工場から「排気ガスを分解したい」とご相談をいただくこともあります。
銅ドープ酸化チタン以外の光触媒でも、これらの化学物質を分解できるものがあると思いますが、光触媒の効果を知る上での指標にされても良いかもしれません。また、「カビの臭いや香水の臭いを分解してもらいたい」とホテルからご相談をいただくこともあります。
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング塗装

銅ドープ酸化チタンを室内に利用する方法は、光触媒コーティング剤を用います。弊社の製品は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。
光触媒コーティング剤は、クリア塗装と言って透明な塗装ができるので、室内のほとんどあらゆるものに塗装ができ、室内空間の装飾性を損なうことがありません。
光触媒コーティング剤の成分
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の成分は、次の成分が利用されています。
光触媒 | 銅ドープ酸化チタン |
---|---|
バインダー(接着剤) | アモルファス酸化チタン |
その他 | 水 |
バインダー(接着剤)とは、銅ドープ酸化チタンを塗装面に接着させるための成分です。一般的な光触媒コーティング剤の接着剤には、フッ素樹脂が用いられていて、有機溶剤などが利用されていると思いますが、弊社の製品はアモルファス酸化チタンを用いています。
アモルファス酸化チタンとは、非結晶の酸化チタンのことです。銅ドープ酸化チタンの接着を酸化チタンで行っています。ですので、化学物質の利用を気にされる方にも、安心してご利用いただけます。
その他の成分として、水が利用されていますが、銅ドープ酸化チタンやアモルファス酸化チタンもすべて無機物ですから、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は完全な無機塗料です。
完全な無機塗料であれば、新築ホテルの室内などで防炎規制がある場所でも、煩雑な手続きをしなくてもご利用いただけます。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装できる箇所
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、室内のさまざまな材質のものに塗装できます。
- 壁紙
- 布や皮
- 木
- ステンレス
- 樹脂やプラスチック
- 衛生陶器
- タイル
- 石材
室内の塗装できる箇所としては、次のようなものがあります。
- ウッドパネル
- 壁紙クロス
- ソファー(布や皮)
- テーブルや椅子
- ベッドや布団
- タイルカーペット
- カーペット、フロアマット
- ウッドフローリング
- トイレの便器や洗面台などの衛生陶器
- お風呂のタイルや樹脂パネル、浴槽
- キッチンパネル
- カーテン/シャワーカーテン
- ステンレス製の手すりやドアノブ
- エアコンの中
- 押し入れやクローゼット、ウォークインクローゼットの中
- 下駄箱や玄関収納の中
- 床タイル
- クッションタイル
反対に塗装できない箇所は、窓ガラスや鏡などのガラス製品、家電製品や照明、コンセントなどの漏電の恐れがあるものです。
効果の持続期間
光触媒コーティングの効果の持続期間は、添加されているバインダーに何を使っているかによって決まります。
バインダーが劣化して、光触媒成分が落ちていったら、効果がなくなります。バインダーが劣化しないで持続してくれたら、光触媒そのものは劣化しませんから、それだけ効果が長く続くことになります。
光触媒コーティング剤のバインダーには、主にフッ素樹脂とアモルファス酸化チタンが用いられていることをお伝えしました。また、光触媒は有機物を分解する性質があることもお伝えしました。
フッ素樹脂は有機物ですから、光触媒によって分解される恐れがあります。フッ素樹脂の中には、ナフィオンのように光触媒による劣化に強い成分もありますが、アモルファス酸化チタンと比べたら劣化しやすいです。
それに対してアモルファス酸化チタンは、光触媒成分と同じ酸化チタンですから、光触媒によって分解されることはありません。ですから、耐久性が高いため、光触媒の効果の持続期間も長くなります。
フッ素樹脂とアモルファス酸化チタンの耐久性は、おおよそ次のようになります。
- フッ素樹脂 ⇒ 5年程度
- アモルファス酸化チタン ⇒ 10年程度
室内用として用いられる光触媒コーティング剤では見たことがありませんが、光触媒コーティング剤の中には、バインダーが用いられていないものもあります。バインダーが用いられていなくても、ナノサイズの光触媒成分が塗装面の隙間に入り込んで、ある程度は効果が持続します。そのような製品の効果の持続期間は、おおよそ半年ほどです。

光触媒コーティング剤の製造方法
金属の微粒子を水に溶かせていますが、厳密にはイオンのように溶け込んでいるわけではなく、水の中に銅ドープ酸化チタンやアモルファス酸化チタンのナノサイズ微粒子が浮遊している状態です。
牛乳は、水分の中に水に溶けない脂肪分が浮遊している状態です。光触媒コーティング剤はそれと同じ状態になっています。
光触媒コーティング剤を製造する方法は、酸化チタンの微粒子と水を混ぜてジャバジャバと混合させるわけではなく、ゾルゲル法と言われる特許製法で製造しています。弊社では、元佐賀県窯業技術センターの一ノ瀬先生が発見され取得された特許を活用させていただいています。
光触媒コーティング剤の塗装機械
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装方法は、専用の塗装機械とスプレーガンを用います。弊社では、ABAC(アバック)温風低圧塗装機を推奨しています。
次の写真は、ABAC温風低圧塗装機SG-91です。

弊社の業務用光触媒製品は、すべてABAC温風低圧塗装機で塗装することを想定して成分が調合されています。
広い面を塗装するときは、ABAC温風低圧塗装機を用います。トイレの便器などのスプレーガンで塗装しにくい箇所は、不織布に液剤をしみ込ませて拭き掃除をするように塗装します。
光触媒による劣化防止
光触媒コーティングを行うと、細菌類やウイルス、臭い成分、アレルゲンといった有機物を酸化分解してくれます。それと同様に、塗装面が壁紙や塗料、カーテンといった有機物の場合には、それらの表面を酸化分解し、劣化を促進させてしまう恐れがあります。
光触媒コーティングした箇所が劣化する条件とは?
基本的に、室内は光が弱いので、銅ドープ酸化チタンといえども光触媒の効果が強く出過ぎることはありません。ところが、室内でも時間帯によっては窓から直射日光が射しこむ場所があります。
そのような場所では、光触媒の効果が強く出てしまって、塗装面が劣化する恐れがあります。
劣化と言っても、すぐに分解されてしまうのではなく、2~3年ほど経過したら、他の箇所よりも少し色あせが起きたり、茶色く変色したりする程度です。しかし、劣化は防止すべきでしょう。
下地が劣化する条件をまとめると、次のようになります。
- 直射日光が当たる場所であること
- その場所が有機物であること
次のものに光触媒コーティングをする場合に、直射日光が当たりそうであれば、劣化防止を行って。
- 壁紙
- カーテン
- 机
- ソファー
- ウッドパネル、ウッドタイル
- ペンキが塗られた箇所
- カーペット
光触媒による劣化から防止する方法
光触媒による劣化から、有機物の下地を守る方法は、劣化防止剤を予め塗装しておき、その後に光触媒コーティング剤を塗装することです。
すると、次の図のように光触媒が下地に直接触れることを防いでくれるので、下地は光触媒による劣化が起こらなくなります。


弊社にて開発したプライマーは、屋内用プライマー(AS01)という名称です。
成分はアモルファス酸化チタンと水だけですから、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)と同様に完全な無機塗料ですから、防炎規制のある建物でも手軽に利用ができます。
劣化防止が必要な光触媒コーティングは効果が高い
他社メーカーの光触媒コーティング剤では、「プライマーの塗装は必要ない」とか、そもそもプライマーが存在しない場合があります。
そういった他社製品と弊社の製品を比べると、弊社製品は直射日光が当たる箇所にはプライマーの塗装を必要とするので、手間がかかることは否めません。
ユーザー様としては「プライマーを利用しない製品の方が、施工費用が安くなるのでいいのではないか?」とか、施工店としては「施工時間が短くなるので良い」と考え、他社製品のご利用を検討されるかもしれません。
しかし、よくお考えいただきたいのです。
プライマーを必要としない製品は、光触媒の効果が弱いためにプライマーが必要無いのです。要するに、「安かろう悪かろう」という製品の可能性があります。
効果がありプライマーも存在して効果の高さが証明されている製品を選ぶのか、プライマーを必要としなくて施工費用も安いが効果が弱い製品を選ぶのかは、皆様にお任せしたいと思います。
プライマーの塗装方法
プライマーの塗装方法は、光触媒コーティング剤の塗装機械と同じABAC温風低圧塗装機を用いて塗装します。
プライマーを塗装した後は乾燥を待ってから、光触媒コーティング剤を塗装します。乾燥時間は光触媒コーティング剤と同じ時間で、夏場は30分ほど、冬場は2時間ほどです。中間期は1時間ほどです。
光触媒コーティング施工
新築の光触媒コーティングのタイミング
新築物件で光触媒コーティングを行うタイミングは、家具を引っ越しさせる前です。
家具を引っ越しさせた場合は、光触媒コーティングを内装に塗装するときに、家具の移動が必要になるため、それらの移動で時間がかかり、施工費用が高くなってしまうからです。
引っ越し前で家具が何もない状態ですと、施工がしやすいので作業時間が短くなり、費用も安く済みます。
施工の流れ
- 塗装面の清掃
- 塗装しない箇所の養生
- プライマー塗装
- 乾燥
- 光触媒コーティング塗装
- 乾燥
新築で建物がキレイであっても、ウエスで拭き掃除をします。塗装箇所に埃が付いていることが多いからです。
養生とは、光触媒コーティング剤を塗装しない場所にシートを被せたり、養生テープを張ったりする作業のことです。光触媒コーティング剤を塗装しない箇所は、主に次のような箇所です。
- 窓ガラスや鏡
- シーリングライトのソケットやダウンライト
- コンセント類
その他、光触媒コーティングをしない箇所にも養生をします。
先ほどご説明したように、新築で引っ越し前であれば、家具の移動や家具への養生が必要ありませんから、それらの費用が安くなります。
プライマーと光触媒コーティング剤の塗装はABAC温風低圧塗装機を用いるか、不織布にしみ込ませて塗布することもあります。
乾燥時間は、先ほどご説明したように、夏場であれば30分、冬場であれば2時間、中間期は1時間です。サーキュレータを用いて空気を循環させます。塗布されたプライマーと光触媒コーティング剤は、すぐに乾燥しますが、バインダーが固まるまでしばらく時間を置く必要があるので、30分~2時間待ちます。
施工費用の相場
光触媒コーティングをご検討中の方は、費用の相場が気になられることでしょう。少し詳しくご説明いたします。
光触媒コーティング施工は次の費用の合算になります。少し細かく項目を出しておりますが、施工店によっては「諸経費」として1つにまとめてしまう項目もあります。
- 現地調査費
- 現場管理費
- 臭気測定費/VOC測定費
- 機材準備費
- 足場の費用
- 清掃費
- 養生費
- 光触媒コーティング塗装費
- 報告書作成費
- 駐車場代
- 出張費や宿泊費
費用項目の解説
現地調査費
現地調査費は、施工をするかどうか決定はしていなくても、業者に来てもらって調査をする場合の費用です。正式な見積もりをする前であっても、技術者が1日来てくれるためにはやはりその人件費が必要となる場合が多いです。
現場管理費
新築の光触媒コーティングは2~4人の複数人で行いますが、その人員の手配や管理が必要となります。そういった費用がかかる場合もあります。
臭気測定費/VOC測定費
光触媒コーティング施工をされる方の中には、シックハウスの原因とされるホルムアルデヒドなどのVOCが気になったのでご相談される方もいらっしゃいます。そういった方は、臭気測定やVOC測定を求められる場合があります。そういった場合にはその費用がかかります。
それらの測定は、施工前と後の2回、もしくは施工後1週間後などの時間が経過してからの測定を求められる場合があります。そういった場合の費用です。
清掃費と養生費は、新築であればそれほど多くの作業が必要でありませんから、諸経費としてまとめられることが多いです。
機材準備費
ABAC温風低圧塗装機は機械ですから、メンテナンスが必要ですし壊れることもあります。また塗装で使用する不織布や養生、純水などの材料費もかかります。そういった費用や手配をする手間賃をまとめて、機材準備費とする場合があります。
足場の費用
室内でも手の届きにくい高い箇所を光触媒コーティングする場合があります。一般的な戸建てであれば、天井でも脚立を使わずに塗装ができます。飲食店であれば少し天井が高いので、脚立を使って塗装をします。
脚立を使うほどまでであれば、足場の費用はかかりません。
吹き抜けの壁や天井、天井高の高い広い天井を光触媒コーティングする場合には、室内に足場を組んで塗装します。その場合には、足場を手配し、組み立てて撤去する費用がかかります。
清掃費と養生費
清掃費と養生費は、その施工を行う費用です。新築でなければ、大掃除をするくらいの規模になるので、新築住宅全体を清掃するとなると、それなりの費用となります。新築の場合には、光触媒コーティング塗装をする箇所を水拭きするだけですから、諸経費に含められる場合が多いです。
養生費も、新築の場合はそれほど多くならないので、これも諸経費に含められることが多いです。
光触媒コーティング塗装費
光触媒コーティング塗装費は、1m2当たりの費用で計算されます。相場は、都心であれば4,000~5,000円/m2、地方であれば2,500~3,500円/m2ほどです。
光触媒コーティング塗装費は、プライマー塗装と光触媒コーティング塗装の2種類ありますが、室内塗装の場合にはプライマーを塗装する箇所はあまり広くないので、
報告書作成費
報告書が必要であれば、それを作成するための費用がかかります。ほとんどのお客様が報告書を必要としませんので、作業が終了したらサインをして終わりです。
報告書が必要となる場合は、ホルムアルデヒドやスチレンなどのVOCの濃度を基準値以下に下げるための施工で、ご依頼のあった工務店様から求められることがあります。そういった場合に報告書作成費が必要となります。
駐車場代
施工にはさまざまな機材が必要ですから、施工現場へは自動車で移動します。そのときに、ご自宅に駐車ができたら良いのですが、駐車場が無い場合には、近所の駐車場に自動車を駐車させておきます。そのための実費がかかります。
出張費や宿泊費
施工現場が施行業者の事務所から離れている場合には、高速道路を移動したり当日に帰社できなかったりする場合があります。そういった場合には、それらの実費をご請求させていただいています。
東京23区内の施工現場であれば、都内や神奈川県に施工代理店がありますから、出張費や宿泊費は基本的にかかりません。
施工費用の例
30m2、1LDKのマンションの費用例
都内にある30m2、1LDKのマンションの部屋全体に光触媒コーティングを行う場合の相場を計算したいと思います。
塗装する箇所は、リビング、キッチン、寝室、トイレ、玄関、バスルームや洗面所、クローゼットの壁面と天井です。窓ガラスやドアには塗装しませんから、その面積を引いて、おおよそ100m2になります。
光触媒コーティングの単価が4,000円/m2とすると40万円、その他諸経費で5万円とすると、おおよそ45万円ほどになります。施工時間は、3人で行ったとして3~4時間です。
新築マンションでない場合には、室内全体を大掃除したり、家具の移動をさせたりといった作業が増えるので、費用は55万円ほどになります。
60m2、3LDKの戸建ての費用例
同様に、都内にある60m2、3LDKの戸建ての部屋全体に光触媒コーティングを行う場合の相場を計算したいと思います。塗装面積は、おおよそ180m2になります。
光触媒コーティングの単価が4,000円/m2とすると72万円、その他諸経費で8万円とすると、おおよそ80万円ほどになります。施工時間は、3人で行ったとして6~7時間です。
新築戸建てでない場合には、戸建ての室内全体を大掃除したり、家具を移動させたりしないといけませんから、費用は100万円ほどかかります。
弊社光触媒製品を使った光触媒コーティングのご依頼方法
弊社の光触媒製品を使っての光触媒コーティングのご依頼は、弊社もしくは弊社の施工代理店までご相談ください。
弊社にご相談いただいた場合には、お近くの施工代理店をご紹介させていただきます。
ご相談からお見積もり、施工までの流れは、おおよそ次の通りです。
- 弊社もしくは弊社の製品を扱う施工代理店にご相談ください
- 新築の施工場所や光触媒コーティングをご依頼になられるご事情などをお聞かせください
- 施工の規模がわかる図面をお送りください(手書きでもかまいません)
- 概算のお見積もりをお出しします(場合によっては現地調査をさせていただきます)
- 金額やご提案内容にご納得いただけましたら、ご発注をいただき、施工日時を調整します
- 当日施工を行います。
- 所定の口座に代金をお振込みください
以上、新築の光触媒コーティングについて、詳しく解説いたしました。光触媒コーティングはいかがでしょうか?
効果のある光触媒もあれば、ほとんど効果の無い光触媒もあることを、ご理解いただけたことでしょう。工務店や管理会社から光触媒コーティングのご提案があったときは、銅ドープ酸化チタンを使っているかどうかをご確認いただけたらと思います。
銅ドープ酸化チタン以外の光触媒コーティングは、ほとんど効果が無いことは、どうか忘れないようにしてください。
銅ドープ酸化チタンを使った新築の光触媒コーティングをご希望の方は、弊社もしくは弊社の光触媒製品を扱う施工代理店までご相談ください。

この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。