布団やマットレスの表面に小さな黒い斑点が発生することがあります。それはカビです。
ご家庭だけでなく、旅館やホテル、別荘などでも布団のカビにお困りの方は、多いことと思います。
この記事では、布団やマットレスにカビが発生する原因、そのカビ対策として光触媒コーティングをご紹介します。
布団屋さんは、布団のカビについて相談されても、「布団を干して湿気を飛ばし、乾燥させてください」か「使用後に布団乾燥機をかけてください」とだけのアドバイスになりがちです。布団のカビに困っている人に対して、カビの発生しにくい光触媒コーティングされた布団を提案することも可能です。
布団のカビ対策に光触媒コーティングの可能性を知りたい布団屋さんも、ぜひご覧ください。
布団やマットレスに発生するカビ
布団は寝ている間に出た汗で、内部に湿気がたまっていることがあります。
そのような布団は、カビの温床になります。
最近ではベッドが多くなりましたが、起床したらすぐに布団を押し入れにしまう人もいます。その場合は、押し入れの中もカビが発生している場合もあります。
布団の下にマットレスを敷いて、クッション性を高めて寝る人もいます。その場合は、布団とマットレスの間が湿ってくるので、毎日干していないと、特に冬場では布団やマットレスの表面に黒カビの点々が発生することもあります。
布団のカビ対策の基本は湿気対策
カビは湿気と栄養、ある程度の温度の条件がそろうと発生しやすくなります。布団は化繊であっても汗で栄養の塊になっていることもありますし、寝ている間は汗と同時にカビが発生しやすい温度にもなります。そして、汗の湿気によってカビが発生します。
カビの防止の基本は湿気対策ですから、そういったカビの防止では、布団やマットレスを毎日干すことです。夏であれば、すのこベッドのような通気性の高いベッドを利用することもおすすめです。
毎日、布団を外で干すことは現実的ではありません。毎日仕事で家にいない場合もあります。外出中に雨が降ってきたら、干している布団がびしょ濡れになって、寝るどころではありません。
光触媒コーティングによる布団の防カビ
光触媒は、光が当たるとそれに触れる有機物を分解する性質があります。カビ菌も有機物ですから、カビ菌の表面の物質や細胞壁などを分解して、カビ菌の活動を抑えたり、死滅させたりできます。
布団やマットレスの表面を光触媒コーティングすることによって、それらの表面に発生するカビ菌の発生を抑制してくれます。
ただし、どのような光触媒成分を使った光触媒コーティング剤を利用するのかによって、効果に大きな差が出ます。また、成分によっては防カビ効果がまったく無いものもあります。
例えば、酸化チタン光触媒は、紫外線が当たると防カビができます。紫外線が当たる場所は、屋外です。ベランダなどで布団を干したときに防カビができますが、干しているときにカビが発生するのではなく、寝ているときや押し入れの中でカビが発生します。ですから、そういった環境で防カビを期待しますが、酸化チタンは効果がまったくありません。
ですので、紫外線ではなく室内の光で防カビができる成分を利用することが必須です。
室内の光で効果を発揮する光触媒はいろいろな種類があります。その中でも、銅ドープ酸化チタンをおすすめします。銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンに銅を結合させた成分です。
なぜ酸化チタンに銅を結合させたのかと言いますと、酸化チタンは紫外線が当たったときにしか防カビ効果を発揮しませんが、銅を結合させることによって蛍光灯やLED照明、白熱球などの光でも防カビができるようになります。そして、室内で防カビ効果のある多くの光触媒の中で、もっとも防カビ効果が高い成分だからです。
寝ている間や押し入れの中の布団の防カビはできるのか?
光触媒は光が当たることで防カビができますが、寝ている間の消灯時や押し入れの中では、防カビができるのでしょうか?
そのような環境ですと、一般的な光触媒では布団の防カビはできません。
しかし、唯一と言ってよい、暗くても防カビができる光触媒があります。その成分は、銅ドープ酸化チタンです。
添加されたナノサイズの酸化銅が触媒効果を発揮するようで、暗所でも防カビができるのです。
このように、銅ドープ酸化チタンは室内の光でも防カビができ、暗所でも防カビができる特殊な光触媒です。
「暗所でも防カビができるなら、光は必要ないのでは?」とお考えかもしれませんが、光が当たった方が強い防カビ効果を発揮するので、意味はあると思います。
布団に光触媒コーティングをするメリット
布団やマットレスに光触媒コーティングをすると、防カビ以外にもメリットがあります。それは
- カビ菌以外の雑菌も抗菌できる
- 布団の臭いを消臭できる
- アレルゲンの分解ができる
光触媒は光が当たると触媒の効果を発揮しますが、触媒の効果とは「有機物を酸化分解すること」です。カビ菌以外の雑菌も有機物ですし、布団の臭いは汗の臭いが主なものですから、これも有機物になります。
布団のダニの死骸や糞にはアレルゲンが含まれていると言われていますが、アレルゲンも分解ができます。
布団自体は分解されないのか?
最後に、「布団自体も分解されないのか?」という疑問にお答えしたいと思います。布団も有機物ですから、いずれは分解されるかもしれません。
しかし、光触媒が分解できるものはミクロンサイズの小さなものに限られます。光触媒からすると、花粉の大きさも大きいくらいですから、それよりも遥かに大きな布団は分解できません。
布団は分解されませんが、布団の色は落ちてしまう可能性があります。
布団を外で干したときは、直射日光の強い光が当たります。すると、光触媒が強く活性化するので、布団を染めたときの染料を分解して、色あせすることがあります。室内だけで利用している場合には、色落ちはしません。
光触媒コーティングは
布団クリーニングに耐えられるのか?
光触媒コーティングをした布団でも、1年に1回くらいは、クリーニングに出したいと思います。光触媒コーティングをしていて、臭い難いとは言われても、汗は吸い込んでいるからです。
すると気になることが、「光触媒コーティングが布団クリーニングに耐えられるのか?」ということです。
綿布団の場合は、繊維が複雑に絡み合っているので、光触媒コーティングが定着しやすいため、おそらくは5回くらいの布団クリーニングに耐えられると思います。化繊は繊維がツルツルしているので、2~3回くらいは耐えられると思います。もしかしたら、もっと多い回数にも耐えられるかもしれません。
耐久性を試したことはありませんから、布団屋さんで光触媒コーティングを取り入れたいとお考えの方は、ぜひお試しください。
以上、布団の防カビとして光触媒コーティングを解説いたしました。光触媒コーティング剤には銅ドープ酸化チタンを使ったものを選ぶことが大切でした。
光触媒コーティング塗装は、専用の塗装機械とスプレーガンが必要ですから、塗装業者にご依頼ください。そのときに、「銅ドープ酸化チタンを使ったコーティングをお願いします」とご依頼ください。
光触媒コーティングを依頼する場合には、業者がご自宅まで来てくださるわけですから、布団だけの光触媒コーティングだと、出張費がもったいないので、布団だけでなく、ベッドや押し入れの中なども施工してもらうことをおすすめします。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。