室内に光触媒コーティングをすると、部屋を除菌や防カビ、消臭ができます。クリア塗装ができるので、部屋の色合いも変わりません。
光触媒コーティング剤にどのような成分が使用されているのか、塗装を依頼するときに気になる方は多いと思います。
確かに、部屋の中に塗装する成分が身体に悪いものであれば、問題です。
光触媒コーティング剤は、光触媒成分とそれを固定化するための接着剤(バインダー)を主成分として構成されています。
イリスが製造販売している屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、次の成分を使用しています。
- 光触媒成分 = アナターゼ型酸化チタン
- 接着剤(バインダー)成分 = アモルファス型酸化チタン
- その他の成分 = 銅と水
これらすべての成分は無機成分ですので、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は「無機塗料」と言われるものに分類されます。
この記事では、これらの成分を解説いたします。
光触媒成分「アナターゼ型酸化チタン」
光触媒として使用している成分は、アナターゼ型酸化チタンです。
アナターゼ型とは、酸化チタンの結晶構造のことです。アナターゼ型の他に、ルチル型やブルッカイト型があります。また、後ほど接着剤(バインダー)のところで解説する、結晶構造を持たないアモルファス型があります。
アナターゼ型酸化チタンの性質
さて、光触媒としてはアナターゼ型が最も効果が得られる結晶構造として知られています。そのナノサイズの粒子を光触媒成分として水溶液に分散し、ゾル化させています。
アナターゼ型酸化チタンは、紫外線を吸収し、乱反射させる性質があります。そのため、酸化チタンを日焼け防止剤として使用している化粧品は多いです。
そして、紫外線を吸収することで、そのエネルギーでOHラジカルと言われる強力な活性酸素を一瞬発生させます。OHラジカルは、小さな有機物が結びつくと有機物を酸化させて分解する効果があります。酸化とは、要するに燃やすことと同じ効果です。
OHラジカルによって分解される小さな有機物には、次のようなものがあります。
- 雑菌やカビ菌
- それらの胞子
- ウイルス
- 臭いの成分
- 化学物質のガス
アナターゼ酸化チタンが光触媒活性を示すと、抗菌や抗ウイルス、消臭、化学物質の分解ができます。
光触媒成分は身体に安全か?
「光触媒は身体に安全か?」ということですが、酸化チタンは、指輪や日焼け止めクリーム、おしろいなどに使用されている金属ですから、普段から安全に利用されていることと思います。酸化チタンの安全性について、専門的な内容になりますが日本酸化チタン工業会の「酸化チタン(ナノ酸化チタンを含む)の安全性等について」が参考になります。
また、「酸化チタンが身体に触れたら身体が分解されるのではないか?」と心配になる人も小数ですがいらっしゃいます。酸化チタンが入った日焼け止めクリームを顔に塗っても、顔の皮膚が分解されないことは、すでにご存じのことでしょう。
光触媒が分解できる有機物はマイクロサイズのものです。それ以上の大きなとなると、分解に多大な時間がかかるため、人の身体を含め、目で見える程度の大きなものは、実質的に分解ができません。
例えば、ペットが室内でウンチをしてしまったとしましょう。「そのウンチに光触媒を振りかけたら、ウンチの除菌や消臭ができるのか?」ということは現実的ではありません。ウンチを掃除していただいて、その箇所に光触媒スプレーをシュッとしていただけたら、除菌・消臭が可能です。
先ほど、酸化チタンは化粧品にも含まれていることを述べましたが、顔にたっぷりと塗っても問題が無いことは、よくご存じのことと思います。
接着剤(バインダー)成分「アモルファス型酸化チタン」
接着剤(バインダー)とは、光触媒成分を塗装面に固定化するための成分です。
光触媒コーティング剤のバインダーに求められる性質は、次の通りです。
- 光触媒成分によって分解されないこと
- 塗装面に強固に付着すること
- クリア塗装ができること
これら3つの条件を満たすものは、先ほど結晶構造のところで解説した、アモルファス型酸化チタンです。アモルファス型とは、結晶構造を持たない酸化チタンです。
光触媒は有機物を分解する性質があるので、光触媒成分によってバインダーが分解されてはいけません。ですので、無機バインダーを用いることが基本となります。
有機物とは、炭素や水素などが結びついた構造のことです。無機とは、金属や炭素そのものといった成分です。アモルファス型酸化チタンは、酸化チタンの金属そのものですので、無機物に分類されます。
そして色ですが、アモルファス型は薄黄色です。
アモルファス酸化チタンは、塗装面に付着すると固化するので、室内用光触媒コーティング剤のバインダーとして最適な成分です。
その他の成分「銅」
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)には、その他の成分として銅が加えられています。
この銅は、アナターゼ型酸化チタンの土台に固定化させるように添加されています。このことを、「担持」と言います。このように、銅を担持させた酸化チタンのことを「銅担持酸化チタン」と言われることもあります。弊社では、「銅ドープ酸化チタン」と呼んでいます。
酸化チタンに銅を添加した理由
なぜアナターゼ型酸化チタンに銅を担持させているのかと言いますと、それはアナターゼ酸化チタンを可視光活性させるためです。
可視光とは、室内の光のことです。室内の光で光触媒としての性質が出ないと、室内用として利用する光触媒コーティングは、意味が無くなるからです。
先ほど、アナターゼ酸化チタンの解説のところで、「アナターゼ酸化チタンは紫外線を吸収することで光触媒の効果が出る」と述べました。つまり、紫外線が当たらないところでは、光触媒としての効果がまったくないのです。
銅ドープ酸化チタンは、紫外線はもちろんのこと、LED照明や蛍光灯から出てくる青色の光にも反応して強い触媒活性を示します。部屋の中で使用しても、除菌や消臭などの効果が高いことを意味します。(LED照明の光のスペクトルと銅ドープ酸化チタンの関係については、「LED照明の光で効果のある酸化チタン光触媒コーティング剤」をご参照ください。)
酸化タングステンを代表とする、酸化チタン以外の可視光活性をする光触媒成分もありますが、どうも効果が弱いです。酸化タングステンを使った防カビコーティング剤を販売しているメーカーもありますが、施工店に「1年もしないうちにカビが発生した」とクレームがたくさん入ったことを聞いたことがあります。
その施工店は、弊社の屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を利用するようになってから、クレームが1件も入らなくなったそうです。
銅ドープ酸化チタンは暗所でも効果がある!?
さらに驚くべきことに、銅ドープ酸化チタンは、暗所でも除菌や防カビ、消臭といった触媒効果を発揮することが知られています。
この理由は、銅ドープ酸化チタンを発明した弊社でも謎であったのですが、東京工業大学のニュース「貴金属に匹敵する触媒活性を示す安価な錆びた銅」によると、「1ナノメートル(nm)程度の酸化銅サブナノ粒子が、炭化水素の酸化反応において高効率触媒活性を示す」と書かれています。
この研究と銅ドープ酸化チタンは関係がありませんが、酸化チタンに添加された銅はナノサイズの酸化銅として存在するので、強力な触媒効果を発揮して、暗所でも除菌や防カビ、消臭が出来たものと考えます。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、薄暗い場所や光の当たらない場所、例えば押し入れの中や地下室、窓のないお風呂場、普段使用されない別荘などの防カビや消臭ができます。
銅は身体に安全か?
ここで、添加する銅が身体に安全かどうかが気になるところです。昔から「銅は身体に毒性があるのではないか」とも言われてきました。
すでに銅は毒性が無いことは、皆様はご存じのはずですが、念のために申し上げておきますと、「10円玉に毒性があったら、頻繁に使うものとして利用ができない」ということになります。
銅を使った鍋や蛇口、シンクなども存在します。
一般社団法人日本銅センターのホームページ「銅の安全性」によると、東京大学医学部にて行われた実験で無害と判定したようです。また、厚生労働省も3年間の試験の結果、無害に等しいという結論に至ったそうです。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)が
効果を発揮するところ
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、紫外線はもちろんのこと可視光線でも強い光触媒の効果を発揮します。また、暗所でも防カビや消臭ができることが、今までの多くの施工実績からも証明されています。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、ご家庭や室内でのこういった場所で効果を発揮します。
- ご自宅やオフィスの室内、トイレなどの除菌・消臭、防カビ
- カーテンや布団などの布製品の除菌・消臭
- 地下室の防カビや防臭
- お風呂場の防カビ
- フィットネスジムの汗の臭いの消臭
- ホテルの部屋、バスルームの消臭や防カビ
- 剣道の防具やボクシンググローブ、スキーブーツや皮ブーツの中の除菌・消臭コート
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の可能性
また、弊社では屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)のさまざまな試験をしてきた結果、酸化チタン光触媒では分解が難しいとされる化学物質の分解ができることも確認しました。新築の化学物質の臭いの消臭にも効果があります。
その他には工業用として、排気ガスの浄化、土壌汚染や水質汚染の浄化にもご利用いただけるものと思います。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を室内に塗装したい方は、弊社もしくは弊社製品を扱う施工代理店までご相談ください。弊社の施工代理店は、光触媒コーティング塗装の施工代理店一覧をご覧ください。
また、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を定着加工させた製品を開発したい企業様、浄化装置を開発したい企業様がおられましたら、弊社までお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。