
銅ドープ酸化チタンとは、光触媒の一種で、酸化チタンと酸化銅を特許製法で結合させた消臭・抗菌成分です。
室内利用したときに、数ある光触媒成分の中で、もっとも消臭効果が高いことが知られています。
銅ドープ酸化チタンは、弊社の技術スタッフが開発し、製造特許を取得しました。
銅ドープ酸化チタンは本当に消臭力が高いので、市販の消臭剤では満足できない方、いろいろな匂いの消臭を求める方など、多くの方にご利用いただきたいと考えています。
この記事では、部屋の匂いのほとんどの種類を分解消臭できる銅ドープ酸化チタンの魅力や利用方法をご説明いたします。
部屋の匂いの種類
部屋の匂いの種類はさまざまで、その原因もさまざまです。料理の煙、細菌類の活動、ペットが主な原因です。それらの匂いは、銅ドープ酸化チタンで分解消臭できます。
- 油の匂い
- カビの匂い
- タバコの匂い
- ペットの匂い
- 香水の匂い
- スパイスやニンニクの匂い
- 化学物質の匂い(新築やリフォーム直後の匂い)
- 下駄箱の匂い
他にも、キッチンのゴミ箱の生臭い匂いや、部屋干しをしたときの匂いなどもあります。場合によっては、火事の匂いや最期を迎えられた方の匂いもあります。
様々な消臭方法を試された方からのお問い合わせで、「どうしても匂いが消えない」ということで、最終手段として、弊社にご相談されることもあります。
銅ドープ酸化チタンで分解できない匂いは、金属の匂いなどの無機物の匂いです。
匂いの消臭方法
匂いの消臭方法には、様々な方法があります。主に、マスキング消臭、吸着消臭、除菌消臭もしくは抗菌消臭、分解消臭があります。
マスキング消臭
マスキング消臭とは、強い匂いの芳香剤で、不快な匂いをマスキングする消臭方法です。
ドラッグストアなどで市販されている消臭スプレーは、マスキング消臭が一般的に採用されています。
その成分には、シクロデキストリンといった糖類が利用されているので、スプレーした液剤が床に付着すると、床がベタベタする感じになります。
また、界面活性剤やアルコールなどが添加されているため、それらの匂いが気になる人もいます。
匂いそのものは無くなりませんから、根本的な消臭方法とは言えません。
吸着消臭
吸着消臭は、活性炭や吸着剤などに匂い成分を吸着させて消臭する方法です。
吸着剤に匂い成分が到達すれば、吸着されて匂い成分の濃度が下がります。ところが、吸着成分を部屋中に散布するわけにはいかないため、消臭力は限定的です。
ホルムアルデヒドなどのシックハウスの原因となる化学物質の吸着に、活性炭を利用されているご家庭もあります。床下に活性炭を敷き詰めたり、壁の建材に活性炭を使ったものを利用したりしています。
化学物質を吸着し切ったら交換する必要があるか、化学物質が自然分解されるまで待つ必要があります。そのため、コストが高い割に効果が弱いです。
除菌消臭/抗菌消臭
除菌消臭とは、匂いの原因となる細菌類の数を減らして、匂いが出なくする消臭方法です。抗菌消臭とは、細菌類の数が増えないように抑制して、長期的に匂いが出ることを予防する消臭方法です。
どちらも細菌類の数をコントロールするわけですが、細菌類が原因となる匂いの消臭や防臭は可能です。
しかし、匂いの原因には加齢臭のような、細菌類が関与しない匂いもあるため、除菌消臭や抗菌消臭だけでは、部屋の匂いを防ぎ切ることは難しいです。
とは言え、細菌類が原因となる匂いの消臭としては、根本的な消臭方法です。
光触媒は、細菌類の除菌や抗菌ができるので、除菌消臭/抗菌消臭のどちらも可能です。
次の図は、清掃用で利用されるイソプロピルアルコールと、光触媒成分「銅ドープ酸化チタン」を使ったスプレー「アキュートクリーン」で細菌類の数の変化を調べたものです。

イソプロピルアルコールは、細菌類の数は一時的に減るので除菌ができますが、その後は細菌類の数が増えているので抗菌はできません。
それに対して銅ドープ酸化チタンは、高い除菌力を持ちつつ、それを維持できる抗菌力もあります。
分解消臭
分解消臭とは、匂い成分を水や二酸化炭素などの匂いの無い成分に酸化分解して消臭する方法です。
匂い成分を分解するのであれば、これも根本的な消臭方法です。
消臭剤の種類によっては、分解消臭が難しい匂い成分もあると思います。分解消臭を選ぶ場合には、部屋の中の匂いの原因と、どのような匂い成分の分解が可能なのかを調べ、適切な製品を選ぶ必要があります。
例えば、カビの匂い、生ゴミの匂い、ペットの匂い、加齢臭の匂いなど、いろいろな匂いがありますが、市販の消臭スプレーでは、消臭ができない匂いもあります。
それに対して光触媒は、いろいろな匂いの分解消臭が、一つで可能です。
光触媒での消臭方法は抗菌消臭と分解消臭
光触媒とは、光が当たるとその表面にOHラジカルと言われる活性酸素を発生させる性質があります。OHラジカルは、それに触れるものを酸化分解する性質があります。
そのため、光触媒での消臭方法は抗菌消臭と分解消臭の両方ができます。どちらも根本的な消臭方法で、この2つを同時にできることは魅力的です。しかも、光触媒の効果は半永久的に持続するため、製品によっては、部屋の匂いを長期間消臭し続けてくれる可能性があります。
光触媒の消臭メカニズム
光触媒には、いろいろな種類があり、性質が異なりますが、光触媒の一般的な消臭メカニズムを解説いたします。
次の図をご覧ください。

光触媒に光が当たると、表面に電子が飛び出します。電子が飛び出した後には、正孔(ホール)ができます。電子や正孔は、空気中の酸素や水と反応し、最終的にOHラジカルと言われる活性酸素を発生させます。
OHラジカルは強い酸化力を持つ活性酸素で、それに細菌類が触れると、細菌類の活動を抑制したり、死滅させたりすることができます。また、OHラジカルに匂い成分が触れると、匂い成分を酸化させて、最終的に水や二酸化炭素といった、匂いの無い成分に分解してくれます。
そのようなメカニズムで、抗菌消臭と分解消臭ができます。
光触媒の利用方法
光触媒の利用方法は、主に2種類あります。
- 光触媒スプレー
- 光触媒コーティング施工
光触媒スプレーでの利用
光触媒スプレーとは、光触媒成分が添加された液剤をスプレーボトルに充填した製品です。誰でも手軽に利用できることが特長です。
弊社でも、光触媒スプレーを市販しております。
光触媒コーティング施工での利用
光触媒コーティング施工とは、光触媒コーティング剤と言われる液剤を、専用のスプレー装置で塗布する施工方法です。プロに依頼することになり、費用も高くなりますが、部屋全体を施工すれば、長期間に渡って抗菌・消臭ができます。
弊社や弊社製品を扱う施工代理店にて、光触媒コーティング施工を承っています。
光触媒活性炭での利用
また、光触媒コーティング施工の応用になりますが、活性炭を光触媒加工することで、吸着消臭もできます。
一般的な活性炭は、匂い成分を吸着させる性質がありますが、吸着し切ってしまったら、吸着力が落ちてしまいます。ところが、光触媒加工された活性炭は、匂いを吸着しても、光触媒が匂いを分解消臭してくれるので、次々と匂い成分を吸着できる活性炭になります。
活性炭メーカーからすると、まさしく禁断の活性炭となります。
光触媒とマスキング消臭との組み合わせ
一般的な光触媒であれば、マスキング消臭と組み合わせることも考えられますが、そのような製品は存在しません。
マスキングと組み合わせた製品があったとしたら、その製品の光触媒の消臭効果は、弱いことを意味します。
そういったことで、銅ドープ酸化チタンは、マスキング消臭が難しいです。銅ドープ酸化チタンは、強い香水の匂いも分解する可能性が高いからです。液剤のうちは香料を分解することはほとんどありませんが、スプレーした瞬間に香料を分解し始めるので、香りが続きにくいです。
光触媒の種類と消臭力
光触媒にはいろいろな種類があり、光触媒コーティング剤や光触媒スプレーとして実用化されているものは、
- 酸化チタン
- 銅ドープ酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン(窒化チタン)
- 鉄ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン
これらの中で、室内利用したときに、もっとも消臭力の高い光触媒は、先ほどからご説明している銅ドープ酸化チタンです。銅ドープ酸化チタンについては、別途ご説明するとして、先にそれ以外の光触媒についてご説明します。
酸化チタンは効果無し
酸化チタンは、紫外線が当たるとたくさんのOHラジカルを発生させて、高い消臭効果を発揮します。
酸化チタンは「効果なし」と書いた理由は、室内の光には紫外線がほとんど含まれていないからです。
消臭をしたい場所は室内ですが、蛍光灯やLED、白熱球からは、ほとんど紫外線が出ていません。そのため、酸化チタンを室内利用しても、消臭効果は無いのです。

ですから、酸化チタンを用いた製品は、銀イオンなどを添加して、その効果を補っています。ところが、銀イオンは抗菌力はあっても、匂い成分を酸化分解する効果はありませんから、細菌類を原因とする匂い以外には、消臭力はありません。
その他の光触媒は効果が弱い
酸化チタン以外の光触媒は、どれも室内の光で、分解消臭ができる成分です。そのような光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。
ところが、銅ドープ酸化チタン以外の可視光応答型光触媒は、効果が弱いです。
例えば、酸化タングステンは、室内用としてよく利用されていますが、昼間の明るいオフィスのような明るさでないと、消臭力が発揮されにくいです。
酸化タングステンの試験結果で、「1,000lxの蛍光灯を当てたときの効果」と小さな文字で書かれていることがありますが、1,000lxと言えば手術室並みの明るさです。夜のリビングでは200lxほどの明るさしかありませんから、室内利用としては、非現実的だと言えます。

窒素ドープ酸化チタンも同様です。窒素ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤は、効果が弱いので部屋の中が真っ白になるくらい塗布しないと効果が出ません。
鉄ドープ酸化チタンは、さらに効果が弱く、正直に申し上げて「なぜ、このような効果の弱い光触媒が実用化されたのだろうか?」と思うほどです。
銅ドープ酸化チタンの魅力
銅ドープ酸化チタンの効果の高さ
可視光応答型光触媒の中で、もっとも効果の高い銅ドープ酸化チタンですが、どれほど効果が高いのかと申しますと、次の図をご覧ください。
この図は、200lxほどの夜のリビングやトイレでの明るさにて、銅ドープ酸化チタンを利用した弊社製品と他社製品とで、効果の高さを比較したものです。銅ドープ酸化チタンを使った弊社製品は、他社製品よりも、10~20倍もの効果が高いです。

無光でも消臭が可能
さらに、銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンに結合されたナノレベルの酸化銅が、無光でも触媒効果を発揮し、匂いを酸化分解してくれます。
昼間や照明を点灯した場所ではなく、無光の場所、例えば夜中や地下室、押し入れの中、電気を消したトイレなどでも消臭力を発揮します。
このように、無光でも消臭効果があるのは、光触媒の中で銅ドープ酸化チタンだけです。
化学物質を分解する性能が高い
さらに、銅ドープ酸化チタンは化学物質の匂いも、分解消臭してくれます。
一般的な光触媒であれば、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといったアルデヒド系の化学物質の分解は可能です。ところが、トルエンやキシレン、スチレンといったベンゼン環を持った化学物質の分解は難しいです。
ところが、銅ドープ酸化チタンだけはベンゼン環をも分解する性質があります。
次の図は、トルエンの分解試験結果です。試験片に酸化チタンと銅ドープ酸化チタンを塗布したものをトルエンガスの中に入れて、紫外線を照射した結果、酸化チタンは消臭ができていませんが、銅ドープ酸化チタンはトルエン濃度が下がっていっています。

ベンゼン環を分解できるということは、芳香族系の成分や香水の匂いなども分解消臭ができます。最近では、工務店の方から、「新築の匂いが消えなくて困っている」とか「リフォーム後に化学物質の匂いでクレームになった」ということで、消臭のご相談をいただくことが多くなりました。
トルエンの分解試験の詳細は、「トルエンを光触媒で分解する方法」をご覧ください。
銅ドープ酸化チタンを使った製品
銅ドープ酸化チタンを使った弊社製品をご紹介したいと思います。
光触媒スプレー

光触媒スプレーには、次の4種類ございます。
これらの製品は、銅ドープ酸化チタンを一般のご家庭でもご利用いただけるように、成分を調合しています。
どれを利用するのか迷った場合は、アキュートクリーンをご利用ください。アキュートクリーンの使い方は『光触媒スプレー「アキュートクリーン」の使い方と用途』をご参照ください。
室内でペットを飼っている方の消臭では、ペットの消臭がおすすめです。銅ドープ酸化チタンの濃度を高めているので、ペット周りの強い匂いの消臭に向いています。
汗臭ゼロは、衣類の汗の匂い対策や加齢臭対策として開発したものです。銅ドープ酸化チタンは、雑菌の繁殖を抑える効果も高いので、生乾き臭を抑えたい場合にもご利用いただけます。
ホントに消臭は、強い匂いでお困りの場所にご利用ください。
光触媒コーティング剤

光触媒コーティング剤は、銅ドープ酸化チタンとコーティング成分を組み合わせた製品です。銅ドープ酸化チタンを使った製品は、次のものがございます。
- 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)
- 車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)
- プラスチック用光触媒コーティング剤
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)と車用光触媒コーティング剤(BXR02-C)の効果の持続期間は、ご利用環境にもよりますが、5~10年ほどです。天井などの人が触れない場所であれば、10年以上効果が持続します。
また、非公式ですが、これらの製品以外にも、銀イオンを添加したお風呂場用の防カビコーティング剤もございます。
塗装には専用のスプレー装置と塗装技術を要するため、弊社の施工代理店にご依頼ください。
室内の光触媒コーティング施工方法は、「室内用光触媒コーティング剤BX01-AB1の塗装方法や注意点」をご参照ください。
業務用抗菌消臭剤

銅ドープ酸化チタンを使った業務用抗菌消臭剤として、「業務用抗菌消臭剤(BRE025-AB2)」がございます。
この製品は、介護会社様や食品メーカー様などで、よくご利用いただいています。
またこの液剤を薄めたものを、ゴミ収集車の消臭剤としてもご利用いただけます。銅ドープ酸化チタンは、抗菌消臭と分解消臭の両方が可能ですから、ダブルの消臭効果によって、ゴミの強い匂いを消臭できます。
以上、室内の匂いを分解消臭できる銅ドープ酸化チタンの魅力についてご説明いたしました。
銅ドープ酸化チタンは、数ある光触媒の中でも効果の高い製品です。
一般のご家庭で、手軽に銅ドープ酸化チタンをご利用になられたい場合は、光触媒スプレーをご利用ください。もっと本格的な消臭コーティングをなされたい方は、光触媒コーティング剤を使った施工をご検討ください。
工務店様や清掃業者様で、銅ドープ酸化チタンを使った施工を取り入れたい方も、イリスまでご相談ください。弊社では、施工機材の販売は、光触媒コーティング施工の方法が学べる施工講習会の開催も行っています。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。
