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外壁リフォームで光触媒塗料の選び方を間違うと起こるデメリットとは?

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外壁リフォームで光触媒塗料の選び方を間違うと起こるデメリットとは?

外壁リフォームで光触媒を採用される方に、ぜひとも知っていただきたいことをお伝えします。

それは、光触媒塗料選びを間違ってしまうと、「光触媒の効果が弱いか、外壁が色あせするかのどちらかのデメリットが出てしまう」というものです。

このことは、外壁リフォーム業者さんでも知っておられない場合があります。そういったことで、大きなクレームが全国で相次ぎ、光触媒塗料から撤退していった大手塗料メーカーもあるくらいです。

施主様が、光触媒の知見を持っていないと、同じ轍を踏んでしまうことになりかねません。

この記事では、正しく光触媒塗料を選ぶ方法をご紹介いたします。外壁リフォームで光触媒を導入したいと考えている施主様、光触媒を使った外壁リフォームを事業として取り入れたい業者様は、ぜひ最期までご覧ください。

15年ほど前に外壁の光触媒利用が言われなくなった理由

15年ほど前に外壁の光触媒利用が言われなくなった理由

今から20年ほど前に、光触媒ブームが起こり、外壁に光触媒が多く利用された時期がありました。そして、施工してから2~3年ほど経過したときに、光触媒を利用した一般消費者様から一斉にクレームが入り出しました。

そのクレームのほとんどは、「外壁の色が変色してしまった」とか「色あせをした」というものでした。

当時に外壁用光触媒製品を製造・販売していたメーカーは、まさか外壁の色が劣化するとは思いもしなかったようで、そのクレーム対応に追われ、多くの光触媒メーカーが撤退していったことを今でも覚えています。

弊社では、そのことを予見し、外壁への光触媒利用は「劣化対策が完全にできるようになってから」と決めていたため、幸いにも大きなクレームに遭遇したことはありませんでした。

外壁に光触媒を用いたときに期待できる効果

そのような外壁が劣化するような光触媒を、なぜ多くの一般消費者の方が採用していったのでしょうか?

外壁に光触媒を用いたときの効果は、主に次のことが期待できます。

  • 外壁の防汚やセルフクリーニング効果
  • 外壁の防苔や防カビ

光触媒による外壁防汚のメカニズムとセルフクリーニング

光触媒によって外壁の汚れを防ぐメカニズムは、光触媒に光が当たることによって、付着した汚れが分解されて、雨水といっしょに落ちていくことです。

そのように外壁の汚れが自動的に落ちていくことを、セルフクリーニングといいます。

光触媒塗料による外壁のセルフクリーニング

外壁がいつまでも美しく保てることや、外壁の汚れが気にならなくなるので清掃の費用を抑えることができます。

外壁の防苔や防カビ

直射日光が当たりにくく湿気が多い場所にある外壁や、雑木が隣接している場所の外壁は、コケやカビが発生することがあります。光触媒は、効果を発揮すればコケやカビといったものを分解する性質があります。

光触媒塗料が汚れやカビ、コケを防止するメカニズム

コケやカビが発生すると、外壁に湿気が付着している状態が続き、外壁の劣化を早めてしまう恐れがあります。光触媒によって、外壁の見栄えを保つだけでなく、コケやカビによる外壁の劣化を防いでくれます。すると、外壁リフォームの頻度を減らせて、コスト削減につながります。

他にも、アレルゲンや化学物質、PM2.5の分解といった効果がPRされることもありますが、そのような効果を外壁にもとめる一般消費者様はほとんどいらっしゃいません。

光触媒塗料の種類

光触媒塗料の種類には、主に次の2種類ございます。

  • 顔料の入った光触媒塗料
  • クリア塗装ができる光触媒コーティング剤
顔料の入った光触媒塗料とクリア塗装ができる光触媒コーティング剤

塗料と言えば、一般的には顔料の入ったペンキのような塗料を指します。顔料の入った光触媒塗料は、ペンキのような塗料に光触媒成分が添加されたものです。塗装方法は、ペイントローラーや刷毛を用いて、下地剤を塗装した後に光触媒塗料を塗装することが一般的です。

後者の光触媒コーティング剤は、水のような塗料ですので、ペンキのような塗料とは異なり、専門的には液剤に該当します。クリア塗装とは、透明な塗装のことです。下地塗装を行った後に、その上から光触媒コーティング剤を、専用のスプレー装置を用いて塗装します。

デメリット1.光触媒塗料による劣化が起こる

先ほどご紹介したように、光触媒塗料には汚れやコケ、カビなどを分解する性質があります。

その性質は、光触媒塗料や塗装面にも及ぶため、光触媒塗料や塗装面を劣化させる恐れがあります。この劣化についての知見を持たない外壁リフォーム業者さんが施工をすると、ほとんどの場合で防汚効果が無かったり、外壁の色が色あせしたりして、クレームになります。

もちろんその対処方法もあります。その対処方法を知らない外壁リフォーム業者さんに依頼すると、数年後に困ったことになります。

顔料の入った光触媒塗料それ自身の劣化

顔料の入った光触媒塗料は、次の3つの主成分が添加されています。

  • 樹脂
  • 顔料
  • 光触媒成分

主に利用される光触媒成分は酸化チタンです。酸化チタンは、紫外線が当たることでそれに触れるものを酸化分解させ、防汚効果を発揮します。その酸化分解する性質が、実は樹脂や顔料にも及んでしまいます。

酸化チタンは紫外線が当たるとOHラジカルが発生し汚れ、カビ、コケを防止
チョーキングが発生した外壁

まずは顔料が劣化します。光触媒塗料を塗ってから、半年~2年ほどすると、色あせが目立ち、直射日光が当たりやすい南側の壁が色あせして、白っぽくなることがあります。この現象のことを、チョーキングといいます。

さらには、樹脂をも分解していき、酷い場合には5年ほど経過するとひび割れが起きる場合もあります。水がしみ込んでいってしまうことも考えられます。

ただし、顔料の入った光触媒塗料を塗った場合には、外壁そのものを劣化させることはありません。

クリア塗装ができる光触媒コーティング剤による下地の劣化

外壁リフォームを行った後に光触媒コーティング剤を塗布する方法でも、外壁が劣化する場合があります。塗装面が漆喰や土壁、タイル、石材のような無機物でしたら劣化はしませんが、ペンキや樹脂といった有機物の場合には劣化が起きます。

劣化と言っても、色あせが主なものです。顔料が入った光触媒塗料と同様に、直射日光が当たる場所では、光触媒の効果が強く出てしまうため、半年~2年ほどで色あせが起きます。

ただし、光触媒コーティング剤では、外壁のひび割れが起きることはありません。なぜなら、外壁の表面を分解して落ちていくときに、光触媒もいっしょに落ちていくため、それ以上は劣化が進まないからです。

光触媒コーティングによって樹脂などの有機物が劣化し、光触媒といっしょに落ちていく

デメリット2.光触媒塗料の防汚効果が弱い

外壁に光触媒を利用する目的は、外壁の防汚やセルフクリーニング効果、もしくは防苔や防カビでした。それらの効果が弱い光触媒塗料が存在する理由は簡単です。

防汚やセルフクリーニング効果の弱い製品が存在する理由

それは、「外壁の劣化を防止するため」です。

光触媒成分の含有量を多くすると、それだけ防汚効果が高くなりますが、光触媒の作用が強く出過ぎてしまって、先ほどご紹介したような劣化が起きるわけです。

つまり、光触媒の効果の高さと劣化が連動していて、劣化を防ぎたいという思いの強い製品は、防汚効果も弱くなるわけです。

防苔や防カビ効果の弱い製品が存在する理由

次に防苔や防カビ効果が弱い製品についてですが、これは少し専門的になります。

外壁用光触媒塗料には、光触媒成分として主に酸化チタンが利用されています。酸化チタンは、紫外線が当たることによって強い酸化力を持ち、コケやカビを分解したり、活動を抑制したりする効果を発揮します。

ところが、コケやカビが発生する外壁は、日陰になっておりジメジメした場所であることが多いです。つまり、直射日光の紫外線が当たりませんから、光触媒の効果が著しく弱くなり、コケやカビの発生を許してしまうのです。

これらのデメリットが出ないように
光触媒を利用するポイント

ご紹介したようなデメリットを出なくして、外壁の防汚や防苔、防カビをするためのポイントは次のことを全て満たすことです。

  • 基本的に酸化チタン光触媒コーティング剤を用いる
  • 直射日光が当たりにくい外壁は銅ドープ酸化チタン光触媒コーティング剤を用いる
  • 劣化防止剤(無機プライマー)を扱う光触媒メーカーの製品を選ぶ

これらについて解説いたします。

基本的に酸化チタン光触媒コーティング剤を用いる

利用すべき光触媒塗料の種類として、顔料の入った光触媒塗料ではなく、クリア塗装ができる光触媒コーティング剤を用います。そして、光触媒成分は酸化チタンです。

直射日光が当たる場所では、酸化チタンが外壁用としてもっとも防汚効果の高いものだと言えます。

直射日光が当たりにくい外壁には
銅ドープ酸化チタン光触媒コーティング剤を用いる

北側外壁や植木などで直射日光が当たりにくい場所の防苔や防カビには、酸化チタンはほとんど効果を発揮しません。

北側の外壁は紫外線が当たらないので防汚ができない

そこで、紫外線が当たらなくても高い防苔・防カビ効果を発揮する光触媒成分「銅ドープ酸化チタン」を使った光触媒コーティング剤を利用します。

銅ドープ酸化チタンとは、ナノサイズの酸化チタン結晶の表面にナノサイズの酸化銅を結合させた成分です。紫外線はもちろんのこと、可視光でも高い効果を発揮します。また、ナノサイズの酸化銅が、光が当たっていない状態でも効果を発揮しますから、ジメジメした場所に最適な光触媒成分です。

直射日光、明るい部屋、薄暗い部屋、消灯した部屋のそれぞれの部屋で効果のある光触媒の種類

劣化防止剤(無機プライマー)を扱う光触媒メーカーの製品を選ぶ

ペンキなどの塗料が塗装された外壁や樹脂の外壁の場合は、効果の高い光触媒コーティング剤を塗布すると色あせが起きてしまいます。

そういった有機物の外壁には、光触媒コーティング剤を塗布する前に、予め劣化防止剤(無機プラ―マー)を塗装しておきます。

無機プライマーによって、外壁と光触媒が直接触れることを防いでくれるので、外壁の色あせを抑制できるわけです。

プライマーの塗装による外壁の劣化防止

無機プライマーの開発はとても難しいので、無機プライマーが開発できていない光触媒メーカーでは、光触媒成分の含有量を落として劣化防止をしています。そのため、防汚効果も弱くなってしまいます。それに対して無機プライマーを開発できた光触媒メーカーの外壁用光触媒コーティング剤は、防汚効果が高いという証明にもなっています。

以上、外壁リフォームで光触媒塗料の選び方を間違うと起こる問題と、その対処方法などをご紹介いたしました。

まとめると次のようになります。

  • 光触媒塗料には、顔料の入った光触媒塗料とクリア塗装ができる光触媒コーティング剤がある
  • 効果の高い光触媒塗料だと、塗料が色あせしたり外壁を劣化させてしまう場合がある
  • 色あせしにくい光触媒塗料を選ぶと、防汚効果も弱い
  • 防汚効果の高い光触媒塗料は「無機プライマーを開発した光触媒メーカーの光触媒コーティング剤」である
  • 外壁の場所に応じて、酸化チタンと銅ドープ酸化チタンを使い分ける

効果の高い外壁の光触媒コーティング塗装なら、弊社もしくは弊社の施工代理店までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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