家の外壁の地面に近いところにコケが発生して、緑汚れが出てしまうことがあります。
緑汚れがあると、家の景観が損なわれてしまいます。
この記事では、そのようなコケの発生を防止できる光触媒コーティングを解説します。光触媒コーティングは、継続的にコケを分解してくれるので、家の緑汚れを防ぎ続けてくれます。
光触媒とは、簡単に述べると、光が当たるとコケなどの有機物を分解してくれる成分のことです。しかも、触媒ですので成分の組成が変化しないので、効果が外壁にある限り、半永久的に継続します。
その成分をコーティングする施工のことを、光触媒コーティングといいます。
ただし、光触媒コーティング塗料の種類によっては、まったく効果が無かったり、効果の持続期間が短かったりするので、その辺りもご説明いたします。
家の壁にコケが生えやすい環境とは?
コケは、胞子で繁殖する植物です。植物が育つためには、光や水が必要です。コケは乾燥に弱い植物です。
直射日光が当たる場所では乾燥しやすいので、家の外壁でも、いつもジメジメした場所に繁茂します。
また、胞子が外壁に付着したとしても、風が吹いていたら、そこに定着できません。そのため、風通しの悪い外壁に繁茂しやすい性質もあります。
また、近くにコケの発生源がある場合も、コケが生えやすい環境です。例えば、家の壁の横に大きな木が生えていたり、雑木林になっていたりすると生えやすいです。
光触媒でコケの発生を防止できるのか?
結論から述べると、ジメジメした場所でも効果の高い光触媒成分であれば、コケの発生を防止できます。
外壁用の光触媒コーティング剤には、光触媒成分として酸化チタンが用いられています。
酸化チタンは、紫外線が当たると光触媒の効果を発揮し、有機物を分解します。コケの胞子は有機物で小さいものなので、光触媒で分解されます。
ところが、酸化チタンが光触媒の効果を発揮するためには、紫外線が必要です。
日光が当たる場所にいると日焼けをしてしまいます。その原因は、日光の中に紫外線(UV)が含まれているからです。ニュースの天気予報を見ていると、「明日のUV指数は・・・」といった予報もありますが、そのUVです。
酸化チタン光触媒は、UVが当たれば光触媒の効果が出ます。
ところが、コケが発生する場所は、ジメジメして日光が当たらない場所です。また、狭い路地裏であることが多いので、日光の照り返しもありません。そのような場所では、酸化チタンが光触媒の効果を発揮しにくいので、光触媒コーティングをしてもコケが発生してしまう場合があるのです。
外壁塗装用の光触媒コーティング剤は、「防汚効果」と謳ってありますが、ジメジメした場所ではコケを防止する効果が弱いので、緑汚れが発生してしまうのです。
「ジメジメした場所でも効果の高い光触媒成分はあるのか?」ということですが、それは銅ドープ酸化チタンです。
外壁のコケの発生を防止できるのは銅ドープ酸化チタン
銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタンに銅を添加したものです。この成分は、紫外線だけでなく青色の光にも反応をして、高い光触媒効果を発揮します。
つまり、コケが生える場所でも光触媒の効果を発揮し、コケを分解してくれるのです。
銅ドープ酸化チタンを塗装した外壁と、無塗装の外壁の比較
次の写真は、ジメジメした場所に銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を塗装し、5~6年経過した外壁(サイディング)と隣接した家の外壁(吹き付け塗装)との比較事例です。
左側の白い壁の写真は、銅ドープ酸化チタンの光触媒コーティングを行った外壁です。右側の茶色い写真は、その建物に隣接した家の外壁です。どちらも、同じ時期に建てられた建物です。
使用した銅ドープ酸化チタン塗料は屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。この製品の名称は「屋内用」となっていますが、外壁にも使用でき光触媒コーティング塗料です。この製品はクリア塗装ができるので、外壁建材の色を変色させることはありません。
銅ドープ酸化チタンの光触媒コーティングを行った外壁は、コケを防止できているばかりか、防汚効果で建築当時の美しさを保っています。
隣接した家の外壁は、2~3年でコケが目立ちはじめ、6年経過して写真のような緑汚れが目立ってしまっています。
サイディングは表面がツルツルしているので、コケの胞子が付着しにくい性質もあるので、それも相まっていると思います。吹き付け塗装は、表面がザラザラしているので、汚れが付きやすいです。
無塗装の外壁はリフォームしてもコケが再発する
ちなみに、隣接した家の外壁は、築10年で外壁の塗り直しリフォームをしました。ところが、コケの防止策をしなかったので、また2~3年でコケによる緑汚れが発生していました。
吹き付け塗装でも、銅ドープ酸化チタンでコーティングしておけば、コケが再発することは無かったと思います。
この事例のように、ジメジメした場所の外壁をコケによる緑汚れから防止したい場合は、リフォーム直後や新築のときに、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングをすることをおすすめします。
すでにコケが生えている外壁の光触媒コーティング施工
すでにコケが生えてしまっている外壁に、銅ドープ酸化チタンの光触媒コーティングを行いたい場合の施工方法をご説明します。
その施工手順は次の通りです。
- コケを洗い落とす
- 洗浄液をしっかり洗い流す
- 銅ドープ酸化チタンの光触媒コーティング剤を塗装
まずコケを洗い落とします。洗浄液と高圧洗浄機で外壁に付着したコケを洗い落とします。コケを洗い落としておかないと、コケの上から光触媒コーティングをすることになります。すると、光触媒成分でコケが分解されて落ちていくときに、光触媒コーティング成分も落ちてしまい、光触媒効果が長続きしないからです。
洗浄液をしっかり洗い流すことも、同様の意味です。
光触媒コーティング塗料の塗装には、専用の塗装機器とスプレーガンを用いて行います。塗装された光触媒コーティング塗料が乾燥したら施工修了です。たったこれだけです。
光触媒コーティングの持続期間は?
外壁に光触媒コーティングをするときに気になることは、効果と持続期間です。
いくら効果の高い光触媒コーティングを行ったとしても、持続期間が短ければ、割高に感じてしまいます。壁塗料や外壁建材よりも、耐久性が長いと理想的です。
弊社の外壁塗装の持続期間は、10~20年です。場合によってはそれ以上、効果が持続します。
先ほどご紹介した事例では、塗装したのが2004年ですので、この記事を書いている現在は、光触媒コーティングしてから20年ほど経過しています。
その家は、今でも外壁が美しいままですので、20年以上、コケを防止できることが実証されました。
以上、外壁のコケの発生を防止できる光触媒コーティングをご説明いたしました。壁がコケで汚れてしまってお困りの方、コケの発生を防止したい方は、外壁リフォームのタイミングに合わせて、ぜひ弊社が開発した光触媒コーティング塗料をお試しください。
また、ジメジメした場所にある石碑、玉垣などの石材のコケ防止にも、銅ドープ酸化チタン光触媒コーティングが効果的です。
施工のご依頼は、弊社もしくは弊社の製品を取り扱う施工代理店にご連絡ください。施工代理店の一覧は、こちらのページです。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。