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壁紙張り替えで光触媒の抗菌・消臭を導入する方法

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壁紙張り替えで光触媒の抗菌・消臭を導入する方法

住宅やオフィス、ホテルなどで壁紙張り替えを行うときに、「光触媒の抗菌・消臭を導入したい」とお考えの方は少なからずいらっしゃると思います。

壁紙に導入した光触媒が正しく機能したら、部屋の抗菌や消臭ができるので、生活環境が良くなります。

旅行から帰ってきたときに、「部屋の臭いが無い」と感じて感動される方もいらっしゃいます。

ところが、「光触媒は本当に効果があるのか?」という疑問があります。光触媒専門メーカーである弊社でも、そのように思っているくらいですから、光触媒を導入される方の中には、効果が感じられなくてガッカリされる方は多いと思います。

光触媒を利用しても、種類や使用条件によっては、効果がほとんど感じられない製品が多いのです。

この記事では、壁紙張り替えで光触媒による抗菌・消臭を導入したときに得られる効果や、光触媒の導入方法、抗菌力や消臭力の高い光触媒の種類、導入方法などをご紹介いたします。

壁紙張り替えで光触媒による抗菌・消臭を導入して失敗しないためにも、ぜひ一読ください。

壁紙張り替えで光触媒を導入すると得られる効果

壁紙張り替えで光触媒を導入したときに得られる効果は、主に次の5種類です。抗菌・消臭以外にもいろいろな効果があります。

  • 抗菌
  • 防カビ
  • 消臭
  • アレルゲンの分解
  • VOC分解(ホルムアルデヒド分解)

抗菌効果

抗菌効果とは、壁紙に塗布された光触媒に細菌類やウイルスが接触したときに、それらの表面の成分や突起、細胞壁などが酸化分解されて、それらの活動が抑制されたり死滅したりする効果のことです。

光触媒は光が当たることで励起電子やホールが発生します。励起電子やホールが空気中の酸素分子や水分子と反応して、OHラジカルと言われる活性酸素を発生させます。OHラジカルは強い酸化力を持つ活性酸素です。それらが細菌類やウイルスと接触することで、抗菌ができるわけです。

光触媒で抗菌や消臭ができるメカニズム。OHラジカルが細菌類や臭いを分解

OHラジカルは光触媒の表面にしか存在できませんから、室内の空気が対流することで、細菌類やウイルスが、壁紙の光触媒に接触する必要があります。そのときに、もちろん光触媒に光が当たってOHラジカルが発生している状態でないといけません。

後ほどご紹介いたしますが、壁紙クロスに施工できる光触媒の種類の中で、光が当たっていなくても高い抗菌力を発揮してくれる光触媒もあります。

防カビ効果

壁紙クロスは、部屋の環境によってはカビが発生する場合があります。北側の部屋などの直射日光が当たらない部屋で、冬に結露をしたり、湿気がこもったりする場合です。

そういった部屋の壁紙張り替えにて光触媒を導入することで、防カビ効果が発揮されて、カビの悩みから解放されます。

防カビ効果は抗菌効果の延長ですが、カビ菌は大腸菌や黄色ブドウ球菌といった細菌類よりも強いので、抗菌効果の高い光触媒を選ぶ必要があります。

消臭効果

光触媒を導入したときに、もっとも効果を感じやすいのが消臭効果です。

抗菌効果は、目に見えないものですから「本当に細菌類が抗菌できているのだろうか?」と疑問になられる方は、少なからずいらっしゃいます。キッコーマンにて開発されたルミテスターと言われるATP検査機器を用いることで、抗菌力が発揮されているのかをチェックできます。

ともあれ、そのような検査機器を用いなければ、抗菌力は目に見ることができません。

しかし、消臭効果については、部屋の臭いが消えるわけですから、効果が実感できます。特に、下駄箱の臭いや、ペット周りの臭いは普段から「イヤな臭いだ」とご実感されていることが多いので、その臭いが消臭できたら感動していただけることが多いです。

アレルゲンの分解

光触媒は、アレルゲンを分解してくれる効果もあります。アレルゲンを代表するものが花粉とVOCです。VOCについては次にご紹介します。

一時期、「光触媒は花粉を分解してくれる」と話題になったことがありますが、光触媒では花粉は分解できません。その理由は、光触媒のナノサイズの大きさと比べて、花粉の大きさは圧倒的に大きいからです。

これはまるで、ツルハシを持った人が人力で石油タンカーを破壊しようとしているようなものです。何年もの長い間、強い光を当て続けたらいずれは花粉を分解できるかもしれませんが、現実的ではありません。そういったことで、実質的に「光触媒では花粉は分解できない」とされています。

しかし、花粉のアレルゲンなら分解ができます。実際に弊社製品をご利用になられたお客様から、「今年の春は花粉症が出なかった」とご感想をいただいたこともあります。もちろん、他の理由もあるかもしれませんし、たまたま花粉症が出にくい年だったのかもしれません。そういった何か別の要因もあるかもしれませんが、たまたま光触媒の導入時期と、花粉症が改善された時期が合っていたようです。

VOC分解効果

VOCとは、揮発性有機化合物の略です。壁紙張り替えをすると、壁紙を接着剤で接着させるわけですが、接着剤には有機溶剤が用いられています。その代表がホルムアルデヒドです。

ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因物質の一つと言われており、張り替え後は部屋の中のVOC濃度が高くなります。

光触媒が機能したら、VOCをも分解してくれるので、VOC分解効果を目的として光触媒の導入をご検討される方もいらっしゃいます。

ただし、VOCにはたくさんの種類があり、光触媒の種類によっては分解が難しいものもあります。いろいろなVOCの分解ができる光触媒を選ぶことが大事です。

壁紙張り替えで光触媒を導入する方法

壁紙張り替えに光触媒を導入する方法は、次の2通りがあります。

  • 光触媒クロスを利用する方法
  • 壁紙張り替え後に光触媒コーティング塗装を行う方法

光触媒クロスとは?

光触媒クロスとは、光触媒加工された壁紙クロスのことです。壁紙クロスの工場にて、出荷前に光触媒が塗布されています。

光触媒加工された壁紙クロスは種類が少なくなるので、自由に壁紙の色を選べない可能があります。

壁紙クロスを室内に貼るだけで、光触媒を導入できるので、壁紙クロスの値段は高いのですが、次にご紹介する光触媒コーティング塗装と比べるとトータルの工賃は安くなります。

壁紙クロスを調べていると、「オフィス用」と書かれているものもあります。オフィスは明るい光が入り込む空間ですから、光触媒が機能しやすいと言えます。なぜオフィス用なのかと言いますと、その製品は夜のリビングなどの薄暗い光では、効果が発揮されないので、クレームになる可能性が高いからです。

このように、光触媒の種類によっては、オフィスのような明るい空間でないと効果が感じられない製品もあります。そのような製品は、明るい昼間は効果が多少あったとしても、夜には効果がほとんどありません。

光触媒コーティング塗装とは?

光触媒コーティング塗装とは、壁紙張り替え後に光触媒コーティング剤といわれる液剤を塗装する方法です。光触媒コーティング剤は、クリア塗装と言って、透明な塗装ができるので、壁紙の色を自由に選び、それを室内に貼ってもらってから光触媒コーティング塗装を行ってもらいます。

光触媒コーティング塗装では、もう一つのメリットがあります。それは光触媒の種類を選ぶことができるので、効果の高い製品を選択できるということです。

次に詳しくご説明いたしますが、壁紙クロスに加工された光触媒の種類によっては、室内ではほとんど効果の無いものがあります。せっかく値段の高い光触媒クロスを選んだとしても、光触媒の効果がほとんど無いものを選んでしまったら、本末転倒です。

光触媒コーティング塗装は、トータルの工賃は高くなってしまいますが、効果の高い光触媒の種類を選ぶことができるので、快適な室内空間を実現できます。

光触媒が効果を発揮するための条件

壁紙クロスにいろいろな種類があるように、光触媒にもいろいろな種類があります。光触媒が効果を発揮するための条件は、もちろん「光が当たっているとき」ですが、それぞれの種類によって、効果を発揮するする光の種類、効果の高さがが異なります。

光触媒が効果を発揮するための条件は、次の条件をすべて満たした場合です。

  • 光触媒が効果を発揮する光が当たること
  • 効果が感じられるくらいの強い光が当たること

この条件について解説いたします。

光触媒が効果を発揮する光が当たること

光触媒が効果を発揮するための条件は、「光が当たること」と述べてきましたが、実は光触媒は種類によって、効果を発揮する光の波長の種類が異なります。

光触媒クロスや光触媒コーティング剤に利用されている光触媒の種類は、主に次のものがあります。

  • 酸化チタン
  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン

光触媒クロスに利用されているものは、酸化チタンです。酸化チタンは、光の波長の種類の中でも紫外線の波長の光が当たることで効果を発揮します。反対に、紫外線が当たらないとほとんど効果を発揮しません。

酸化チタンは紫外線でないとほとんど反応しない

上記のそれぞれの光触媒が反応する光の種類をまとめると、次の通りです。

光触媒の種類活性化する光の種類
アナターゼ酸化チタン紫外線
銅ドープ酸化チタン紫外線、紫色、青色、水色(シアン)
窒素ドープ酸化チタン紫外線、紫色~青紫色
鉄ドープ酸化チタン紫外線、紫色~青紫色
酸化タングステン紫外線、紫色、青色、水色(シアン)

室内で効果を感じられるためには、少なくとも紫外線以外の光で効果を発揮するものを選ぶ必要があります。なぜなら、室内には紫外線がほとんど存在しないためです。

室内の光で反応する光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。

効果が感じられるくらいの強い光が当たること

光触媒の種類によっては、同じ種類の光が同じ強さで当たったとしても、効果の高さに違いがあります。

抗菌や防カビ、消臭、アレルゲンの分解といった効果を発揮するために、光触媒が効果を発揮する光が当たることに加え、それらの効果が出るほどの明るい光が当たることが求められます。

反対に、青色の光が当たることで効果が出る光触媒であったとしても、青色の光が弱ければ、それだけ効果が出ないことを意味します。

これらの製品の多くは、1,000lxほどの強い光を当てないと効果が感じられないことが知られています。1,000lxと言えば、手術室ほどの明るい光ですから、室内利用では現実的ではありません。

200lxと1000lxの明るさ比較。1,000lxは手術室並みの明るさ

ところが、これらの光触媒の中に、弱い光でも効果を感じられる種類が1つだけあります。

室内の光で強い効果を発揮する光触媒の種類とは?

弱い光でも効果を感じられる種類が1つだけあることを述べましたが、その光触媒とは銅ドープ酸化チタン(銅担持酸化チタン)です。

銅ドープ酸化チタンとは?

酸化チタン結晶にナノサイズの酸化銅を結合

銅ドープ酸化チタンとは、ナノサイズの酸化チタン結晶の表面にナノサイズの酸化銅を結合させた光触媒です。

酸化チタンは紫外線が当たったときにしか効果が発揮されないことをご紹介しましたが、ナノサイズの酸化銅を結合させることによって、紫色、青色、水色(シアン)といった波長の光にも反応するようになります。

銅ドープ酸化チタンは、他の可視光応答型光触媒と比べると、とても効果が高いことが知られています。

他の光触媒と比べた効果の高さは?

銅ドープ酸化チタンは、200lxほどの薄暗い蛍光灯の光の下では、他の可視光応答型光触媒と比較して、10倍以上の効果があります。

銅ドープ酸化チタンの効果を100としたときの他の光触媒との効果比較

酸化タングステンが抗菌や消臭といった効果を発揮するためには、1,000lxといった手術室並みの明るい光を当てないといけませんが、銅ドープ酸化チタンは薄暗い光でも高い抗菌力や消臭力を発揮します。

また、銅ドープ酸化チタンはナノサイズの酸化銅が、光が当たっていなくても触媒効果を発揮することが知られており、可視光下はもちろんのこと、照明を消灯した後でも抗菌や消臭ができるのです。

直射日光、明るい部屋、薄暗い部屋、消灯した部屋のそれぞれの部屋で効果のある光触媒の種類

さらには、VOCの分解では、ホルムアルデヒドはもちろんのこと、一般的な光触媒では分解が難しいとされるベンゼン環を持つトルエンやキシレン、スチレンといったベンゼン環のVOCの分解もできてしまいます。

ベンゼン環によるVOCが分解できるということは、香水の臭いも分解もできます。

このように、銅ドープ酸化チタンはチート能力を持った光触媒です。

銅ドープ酸化チタンを壁紙クロスに導入する方法

壁紙張り替えで光触媒を導入される場合には、「銅ドープ酸化チタン以外にはあり得ない」とも言えるようなチート能力を持った光触媒ですが、導入方法は光触媒コーティング塗装しかありません。

もし、この記事をご覧になられた壁紙メーカーのご担当者様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤の塗装方法ですが、専用のスプレー装置を使って塗装します。弊社の光触媒製品を塗装する場合は、ABAC温風低圧塗装機を推奨しています。

このように、専用の装置を利用するので、施工は専用の施工店にご依頼ください。

光触媒コーティング塗装のタイミング

光触媒コーティング塗装を行ってもらいたい場合には、壁紙張り替えを終えてから依頼することになります。

ただし、壁紙張り替えを終えてから家具や什器を戻してしまうと、光触媒コーティング塗装をするときに、また家具や什器を移動させないといけませんから、壁紙張り替えが終わるタイミングに合わせて光触媒コーティング塗装をご依頼ください。

壁紙張り替えを依頼する工務店に、光触媒コーティング塗装も依頼したい場合には、工務店に「イリスの光触媒コーティングもお願いしたい」とご相談ください。もしくは、壁紙張り替えを終えるタイミングにて、弊社の施工代理店にご依頼ください。

施工のご相談は、弊社までご相談いただいてもかまいません。弊社の業務用製品を扱う施工代理店に見積もりを取り、それをお客様にお送りいたします。

光触媒コーティング施工のご依頼・ご相談・見積もり。まずはご相談から

施工ご相談・ご依頼フォーム

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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