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壁紙クロスの除菌・消臭ができるクロスコーティングとは?

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壁紙クロスの除菌・消臭ができるクロスコーティングとは?

クロスコーティングとは、内装の壁紙クロスにコーティングをして、消臭や除菌、防汚などの機能を持たせる施工のことです。

マンションでは、部屋中にクロスが貼ってありますが、そのクロスにコーティングをして、何らかの機能を持たせる施工です。

クロスコーティングには、目的によっていろいろな薬剤の種類があります。クロスコーティング剤は、たいてい併用することができないので、どのような機能を持たせるのかを決めてから、その目的に合った施工業者を選ぶと良いと思います。

クロスコーティングをする目的とは?

内装にクロスコーティングをする目的は、主に次の5種類です。

  1. 消臭効果
  2. 抗菌・抗ウイルス
  3. 防カビ
  4. 湿気対策
  5. 防汚
  6. 化学物質(有機化合物)の分解

もちろん、クロスコーティング剤にどのような物を用いるかによって、これらの効果の中で度の効果が得られるのかが異なります。これらの効果の意味を解説いたします。

消臭効果

部屋の中には、臭いの元となる物質が漂っています。部屋を換気してその臭いの元を部屋の外に追い出すと部屋の臭いが消えますが、換気を止めたらまた臭いが漂い始めることがあります。

臭いの元はクロスにくっついて残っていることがあり、それが原因となって、部屋に臭いが出続けることになります。

クロスコーティングによって、臭いの元がクロスにくっつかないようにしたり、クロスにくっついた臭いの元を分解したりすることができます。

クロスコーティングによって臭いが分解できたとしても、部屋の中で焼肉をしたり、タバコを吸ったりしていると、臭いの元が多いと分解の速度が追い付かない場合があるので、「臭いがなかなか消えない」と感じることがあります。

抗菌・抗ウイルス効果

クロスに抗菌・抗ウイルスの効果を持たせることによって、クロスに触れたそれらの細菌やウイルス、カビ菌などを除菌できます。

部屋の空気の中にはそういった微生物や細菌、ウイルスなどが漂っています。これも臭いと同様に換気をして部屋の外に出したら良いのですが、一部はクロスにくっついて、細菌などの発生源になってしまうこともあります。

クロスコーティングをすることで、クロスにくっついた細菌やウイルス、カビ菌などを除菌してくれます。部屋の中で風が吹いていると、部屋に漂っている雑菌やカビ菌、ウイルスなどを除菌することができます。

防カビ

壁紙クロスの原材料には紙といった有機物が使われていることがあります。有機物はカビのエサになり、湿気がずっとある場所ではカビの発生源にもなります。特に機密性の高い住宅では、窓際の壁紙クロスが湿気やすいので、カビが発生することは間違いありません。

特に部屋と室外の温度差が大きくなりやすい冬場や、部屋に湿気がこもりやすい梅雨時は、クロスにカビが生えやすいシーズンです。また、寝室では身体から出た汗によって、壁に湿気が付着しやすくなります。

クロスコーティングをすることで、クロスにカビが発生することを抑えることができます。

湿気対策

最近の一戸建てやマンションは、機密性の高い住宅が多いですが、そういった住宅では湿気がこもりやすいので、壁紙クロスに湿気が付着しやすいです。

クロスが湿気ると、クロスが浮いてきたりカビの発生原因となり、クロスが劣化していきます。その湿気を防止するための、吸水性ポリマーを用いたクロスコーティングがあります。

防汚

クロスは汚れがたまってくるものです。ダイニングキッチンやLDKの壁紙クロスであれば、キッチンの脂分が壁紙クロスにくっついて、少しずつ黄ばんできます。

クロスコーティングをすることで、部屋の中に漂っている汚れの成分がクロスにくっつくことを防いでくれたり、汚れの成分を分解してくれたり、汚れ箇所をふき取るだけできれいになります。

化学物質(有機化合物)の分解

クロスコーティングをすることで、化学物質を分解する効果を付与できる場合があります。

シックハウス症候群では、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといったVOC(揮発性有機化合物)が原因だといわれています。それらの成分を分解する成分をクロスコーティングする施工もあります。

いろいろと効果を述べましたが、どのような成分のクロスコーティング剤を用いるかによって、得られる効果が異なります。

クロスコーティング剤の主な成分

クロスコーティング剤に用いられている成分は、主に次の3種類があります。これら4種類は組み合わせて使用ができないので、ご注意ください。

  1. フッ素
  2. 光触媒
  3. 抗菌・抗ウイルス剤
  4. 吸水性ポリマー

フッ素

フッ素は、何でもはじいてしまう性質を持つ物質です。フッ素樹脂は焦げ付かないフライパンにも利用されています。その成分をクロスにコーティングする施工をすることで、クロスの汚れを防止して、汚れたとしても汚れた箇所をふき取りやすくなります。

フッ素は何でもはじいてしまうので、「クロスに塗装しても、自らはじいてしまって、フッ素が落ちてしまうのではないか?」と考えられますが、クロスに定着しやすいフッ素樹脂塗装剤が専門メーカーによって開発されているようで、耐久性は高いようです。

光触媒

光触媒とは、光のエネルギーを受けて、有機物を分解する効果のある物質のことです。

光触媒の効果がもっとも高い成分は酸化チタンです。酸化チタンは日焼け止めクリームや化粧品にも使用されている安全な成分です。

光触媒をクロスコーティングすることで、クロスに付着した有機物を分解してくれるようになります。

有機物とは、炭素や窒素を含む成分のことですが、雑菌やウイルス、カビ菌、多くの臭いの元、汚れ、ホルムアルデヒドなどの化学物質は有機物です。光触媒はそれらを分解してくれるので、クロスに消臭や除菌、防カビ、防汚の効果を持たせることができる優れものです。

また、光触媒を塗装すると親水性が高くなるので、水拭きで汚れが落ちやすくなります。

抗菌・抗ウイルス剤

抗菌・抗ウイルス剤を成分とするクロスコーティングは、消臭や防汚といった効果は得られませんが、雑菌やウイルスなどを直接除菌してくれる効果をクロスに持たせることができます。

壁紙クロスのメーカーからは、クロスに抗菌・抗ウイルス塗装をしたものが市販されています。

吸水性ポリマー

吸水性ポリマーとは、水を吸収してくれる高分子素材です。これを壁紙クロスにコーティングすることで、吸水性ポリマーが湿気を吸収してくれるので、壁紙が結露することを防止してくれるものです。

吸水性ポリマーは乾燥してくると、水分を放出してくれるので、部屋の湿度を調整してくれる機能もあります。

どのクロスコーティング剤を使用すべきか?

さまざまな機能を持つクロスコーティング剤がありますが、壁紙クロスにどのような機能を持たせたいのかによって、クロスコーティング剤の種類を選びます。おおよそ次のような目的で、クロスコーティング剤を選ぶと良いと思います。

目的クロスコーティング剤の種類
抗菌・抗ウイルス・防カビ・カビによる臭い防止抗菌・抗ウイルス剤
防汚・汚れによる臭い防止フッ素
湿気対策吸水性ポリマー
抗菌・抗ウイルス・防カビ・防汚・防臭・消臭・化学物質の分解光触媒

光触媒は、湿気対策以外の目的をすべて満たしてくれます。

ここで、「吸水性ポリマーと光触媒のクロスコーティングを同時にすればいいのでは?」とお考えになられた方もいらっしゃることでしょう。ところが、吸水性ポリマーと光触媒は相性が悪いのです。

その理由は、光触媒は吸水性ポリマーを分解してしまう効果があるからです。光触媒の上から吸水性ポリマーのクロスコーティング剤を塗装すると、吸水性ポリマーが劣化してしまいます。また、吸水性ポリマーの上に光触媒のクロスコーティング剤を塗装すると、吸水性ポリマーの劣化と共に、その上に塗装された光触媒も落ちてしまいます。

フッ素樹脂と光触媒も同様になります。

クロスコーティング剤を塗装するときは、1種類のみを選んで塗装するようにしてください。

光触媒のクロスコーティング剤を選ぶときの注意点

光触媒のクロスコーティングはさまざまな効果があるので、他の成分よりも優れているように思いますが、1つだけ問題があります。それは、「室内で効果のある光触媒のクロスコーティング剤は少ない」ということです。

光触媒のクロスコーティング剤はどれでも良いかと言えばそうではありません。その理由をご説明したいと思います。

酸化チタンの光触媒コーティング剤の弱点

光触媒の効果がもっとも高い成分が酸化チタンです。酸化チタンが光触媒としての効果が出るのは、紫色の光や紫外線が照射されたときです。

紫色の光や紫外線が多いのは太陽光の元です。壁紙クロスが貼られている室内では、紫色の光や紫外線の量が圧倒的に少ないので、光触媒としての効果が発揮されません。

室内でも太陽光の日差しが入ることがありますが、そういった光が当たる箇所では光触媒の効果が出ます。日が陰ってしまったり、カーテンで遮光されてしまった場合には、光触媒の効果が出ません。

つまり、単なる酸化チタンだけを使ったクロスコーティング剤では、上記の効果が得られません。

酸化タングステンなどの光触媒コーティング剤の弱点

そこで、「室内の光でも反応する光触媒は無いのか?」ということですが、代表的なものとして酸化タングステンや窒素ドープ型とか酸素欠損型などがあります。それらの光触媒成分は、蛍光灯やLEDの光でも光触媒の効果が出ます。

ところが、酸化タングステンにも弱点があります。それは、光触媒の効果が弱いことです。

光触媒コーティング剤のメーカーで、酸化タングステンや窒素ドープ型とか酸素欠損型などの光触媒を用いたクロスコーティング剤を開発しているところもありますが、カビが生えてしまってクレームになることが多いそうです。

銅ドープ酸化チタンの可視光応答型光触媒を利用する

そこで、弊社は「酸化チタンが蛍光灯の光でも反応するようにできないのか?」と考え、研究を重ねるうちに、銅を添加すると蛍光灯の光でも酸化チタンが強力に反応することを発見し、特許を取得しました。

その後、この銅ドープ酸化チタンは、業界で注目を集め、さまざまな大学や研究機関で効果やメカニズムが研究され、現在市販されている可視光応答型光触媒の中では、蛍光灯の光でもっとも効果が高い成分であることが実証されました。

蛍光灯やLEDの光といった目に見える光のことを、可視光といいます。そして、可視光で応答する光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。弊社が世界で初めて発見した銅ドープ酸化チタンによる可視光応答型光触媒によるクロスコーティングによって、壁紙クロスに消臭や除菌、防カビなどのさまざまな効果を付与することができます。

ちなみに、弊社が開発した可視光応答型光触媒のクロスコーティング剤は「屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)」という名称で、業務用製品として販売しております。

この製品を利用すると、カーテンで直射日光を遮光していても、蛍光灯やLED電球の光によって光触媒の効果が発揮されるので、部屋の除菌・消臭ができます。

以上、クロスコーティングの目的やクロスコーティング剤の成分、光触媒のクロスコーティング剤を選ぶときの注意点を述べました。

弊社の業務用光触媒製品を使ったクロスコーティングに対応している業者は、光触媒コーティング塗装の施工代理店一覧をご覧ください。

また、弊社の業務用クロスコーティング剤をご利用になられたい施工業者様も、お気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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