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可視光に反応する酸化チタン光触媒と光触媒コーティング剤

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可視光に反応する酸化チタン光触媒と光触媒コーティング剤

酸化チタン光触媒は、通常であれば紫外線にしか反応しません。

酸化チタンは、重金属などの別の物質を担持させることができれば、可視光でも反応することができます。担持とは、基材となる酸化チタンに補触媒となる別の物質を結合させることです。

可視光でも反応する光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。

この記事では、酸化チタン光触媒に担持させると可視光反応させられる補触媒の種類や、光触媒コーティング剤として実用化するための条件、銅担持酸化チタンがもっとも効果が高いことを解説いたします。

酸化チタン光触媒を可視光に
反応させるための補触媒の種類

酸化チタンに担持させることで、酸化チタン光触媒が可視光反応をするようになる物質は、たくさんあります。例えば、次のような物質です。

  • 炭素
  • 窒素
  • ニッケル
  • 亜鉛
  • プラチナ

他にもたくさんの種類が研究されています。

しかし、酸化チタン光触媒が可視光で応答させられたら何でも良いわけではなく、光触媒コーティング剤にするためには、条件がいろいろとあります。そこが、酸化チタン光触媒の室内利用での実用化が難しかった理由でもあります。

光触媒コーティング剤として利用できる補触媒の条件

酸化チタン光触媒に担持させることで可視光応答するものはたくさんありますが、それを光触媒コーティング剤として実用化できるものは、数が限られます。光触媒コーティング剤として利用できるためには、次の条件をすべて見なすことが大切です。

  • 光触媒の効果が高い
  • 原材料が比較的安価で供給量が安定している
  • 光触媒コーティング剤として製造しやすい
  • 合成成分を液剤にしても安定している(ゲル化や結晶化が起こりにくい)
  • 塗装後に自然環境で劣化しにくい
  • 身体に無害

光触媒の効果が高いことは当然のことです。可視光で反応するようになったとしても、防カビ効果や抗菌効果などの性質がなければ、光触媒コーティング剤として失格になります。

原材料が比較的安価で供給量が安定していること、そして製造しやすいことは、製品を販売していく上で大切なことです。高い効果が得られたとしても液剤が高すぎたら、費用対効果が合いませんから売れなくなります。安価に製造できることは必要不可欠のことです。

合成成分を光触媒コーティングとして製造したときに、成分が安定して液剤の中に分散していることが大事です。合成成分が沈殿してしまったら、均一な効果が得られませんので、液剤が劣化していることを意味します。

また、液剤が効果を発揮するほどに光触媒成分量を調整しますが、成分量が多くなってくると液剤がゲル化して粘性が高まります。粘性が高くなると、スプレーガンでの均一な塗装が難しくなります。

最後は身体への安全性ですが、これも当然のことです。室内塗装の場合には、肌に触れる場所に塗装するわけですから、身体に安全であることが求められます。(なお、ナノサイズの酸化チタン粉末を使った製品は、EUで行われた強引な試験によって「毒性の可能性がある」と言われていますが、20年以上この仕事に従事しているスタッフは何ともありません)

これらの条件をすべて満たし、もっとも効果の高いものは「銅」です。銅を担持させた酸化チタンのことを、銅担持酸化チタンや銅ドープ酸化チタンといいます。

銅担持酸化チタンの性質

銅担持酸化チタンが反応する光の波長は、紫外線や紫色、青色、シアンまでの光の波長に反応します。また、弱い光でも触媒効果を発揮することが知られています。

例えば、200lxほどの明るさの光では、酸化タングステンなどの可視光応答型光触媒はほとんど効果を発揮しません。ところが銅担持酸化チタンは、そのような環境でも防カビや抗菌、消臭といった効果を発揮します。

200lxと言えば、夜の薄暗い廊下やトイレの明るさです。そのような暗いところでも、触媒効果を発揮します。また、ナノサイズの酸化銅が、それ単体でも触媒効果を持っているので、暗所でも抗菌や消臭の効果を発揮します。

紫外線がなく、また暗いところでも触媒効果を発揮する銅担持酸化チタンは、室内だけでなく、薄暗い外壁や自動車の車内でも活用されています。

銅担持酸化チタンを使ったイリスの光触媒コーティング剤

イリスが開発した銅担持酸化チタンを使った光触媒コーティング剤は、次の種類があります。

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)

屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1は、銅担持酸化チタンを世界で初めて使用した光触媒コーティング剤の改良版です。初期の製品よりも効果や耐久性を改善しました。

車用光触媒コーティング剤BXR02-Cは、UVカットガラスを通した光でも触媒効果を発揮し、車内を抗菌・消臭してくれます。その効果の高さが認められ、大手自動車メーカーの高級車に標準品として採用されたり、大手トラックメーカーなどでも採用された実績があります。

プラスチック用光触媒コーティング剤は、屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1に界面活性剤を添加して、水を弾きやすいプラスチックでも高い濡れ性を示す製品です。

以上、酸化チタン光触媒に担持させることで可視光応答させられる補触媒の種類や、光触媒コーティング剤として実用化するための条件、銅担持酸化チタンがもっとも効果が高いことを解説いたしました。

弊社では、効果の高い光触媒コーティング剤を開発、製造しているメーカーです。弊社の光触媒製品を施工や販売をしてくださる企業様を募集しています。

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この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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