冷蔵庫や野菜室の中は5℃前後に冷えていますが、カビが発生することがあります。
食品が腐敗しないように保管する冷蔵庫ですが、冷蔵庫内にカビが発生していたら、腐敗が進みやすくなります。
この記事では、冷蔵庫のカビの掃除方法や光触媒成分の性質、銅ドープ酸化チタンの魅力、光触媒スプレーや業務用光触媒コーティング剤の利用方法などを解説いたします。
ご家庭の冷蔵庫をカビ対策したい方から、光触媒冷蔵庫の開発をしたい方まで、ぜひご覧ください。
冷蔵庫や野菜室の中にカビは発生するのか?
冷蔵庫の中の温度は5℃前後です。冷蔵庫の中に食べ物を入れておいても、食べ物が劣化してカビが生えることがあるわけですから、冷蔵庫のプラスチック部分にもカビが発生することがあります。
カビは氷点下でなければ発育することがあるので、冷蔵庫の中でもカビが発生するわけです。
冷蔵庫の中がカビ臭い場合には、冷蔵庫用の臭い取りを使用することもありますが、冷蔵庫の中に見えないだけでカビが発生しているわけですから、カビを除去することが大事です。
冷蔵庫のメーカー様であれば、そのことは重々に承知されていることと思います。
冷蔵庫や野菜室のカビ取りの方法
冷蔵庫のカビ取りの方法は、冷蔵庫の中の掃除をするわけですが、キッチンのカビ取りと方法は同じです。冷蔵庫の中も、定期的に掃除することで、カビを防止できます。
ネット検索で冷蔵庫の中のカビ取りを調べていると、アルコールと漂白剤を利用することが書かれているものもありますが、他にも次亜塩素酸や光触媒スプレーを利用する方法もあります。
アルコールよりも次亜塩素酸や光触媒の方が、防カビ効果は高いと思います。ただし、それらには漂白剤のように、カビの色を漂白する効果はありません。
また、光触媒スプレーの場合には、使用されている光触媒成分によって、防カビの効果が弱いものや、まったく効果がないものもあります。光触媒スプレーの選び方に注意が必要です。どのような光触媒成分を使ったものだと防カビ効果があるのか、次にご紹介いたします。
光触媒で冷蔵庫の防カビは可能か?
光触媒は、光が当たるとOHラジカルが発生します。OHラジカルは強い酸化力を持つ成分で、カビ菌の表面や細胞壁を酸化分解し、カビ菌の活動を弱めたり死滅させたりすることができます。
光触媒成分によって効果が異なる
光触媒成分には、いろいろな種類があります。その種類によって活性化しやすい光がありますし、同じ光が当たっても効果の高さが異なります。
例えば、もっとも利用されている光触媒成分である酸化チタンは、紫外線が当たると強い酸化力を持ちます。しかし、冷蔵庫の中には紫外線が当たることはほぼありませんから、酸化チタンでは冷蔵庫の中の防カビはできません。
では、冷蔵庫に当たる光でも反応する光触媒成分ならどうでしょうか?
一般に利用されている、室内の光でも反応する光触媒成分として、酸化タングステンがあります。酸化タングステンは、紫外線はもちろんのこと、効果は弱いですが冷蔵庫の光にも反応を示します。
冷蔵庫に用いられた光触媒の市販品
大手冷蔵庫メーカーからは、光触媒を使った冷蔵庫が販売されていますし、小型の光触媒装置を冷蔵庫の中に入れて除菌・消臭ができるものもあります。
そういった製品の中には、酸化チタンを使ったものもありますが、先ほどご説明したように、酸化チタンは紫外線にしか反応しませんから、ほとんど効果はありません。
冷蔵庫の中の弱すぎる光でも防カビができる光触媒成分とは?
冷蔵庫の中は、冷蔵庫の扉を開けたときにしか光が当たりません。冷蔵庫の扉を開けると電球が点灯し、またキッチンの明かりが若干差し込む程度です。
紫外線で活性化する酸化チタンは問題外ですし、冷蔵庫の弱い光で、なおかつ開閉時の一瞬のみ弱い光が点灯するだけですから、酸化タングステンでも防カビはできません。
このように、一般的な光触媒成分では、防カビができませんが、一般的ではない特殊な光触媒成分があります。その成分の名前は、「銅ドープ酸化チタン」です。
銅ドープ酸化チタンは、紫外線や冷蔵庫の光にも反応することはもちろんのこと、光がまったく当たっていなくても防カビ効果を発揮します。
銅ドープ酸化チタンはプラスチックを劣化させるか?
「銅ドープ酸化チタンが、冷蔵庫の中のプラスチックを劣化させないか?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、銅ドープ酸化チタンがカビ菌を酸化分解して除菌するのであれば、同じ有機物であるプラスチックも劣化するのか心配になります。
ご安心ください。カビ菌のような微細なものであっても、その表面の成分や細胞壁といった一部を分解するにとどまると思います。しかし、銅ドープ酸化チタンの結晶の大きさからすると、何10万倍も大きな冷蔵庫のプラスチックのような巨大な結晶は分解されにくいと思います。
銅ドープ酸化チタンが有機物を分解する効果の高さは、次の2点で決まります。
- 銅ドープ酸化チタンをどれだけ大量に塗布するのか?
- どれだけ強い光を当てるのか?
光触媒コーティングをすると、ナノサイズのレベルの膜厚なので、とても薄いです。また、冷蔵庫の内部に太陽光と同じ程度の紫外線を当てると、プラスチックの劣化も早まると思いますが、一般的な冷蔵庫の使い方ですと、冷蔵庫の寿命の方が早く来るか、光触媒コーティングが取れてしまう寿命が先に来るかのどちらと考えます。
銅ドープ酸化チタンとは?性能は?
銅ドープ酸化チタンとは、何やら怪しい難しい用語ですが、どのようなものなのかを解説いたします。
銅ドープ酸化チタンとは?
銅は、10円玉の原材料でもある銅です。ドープとは、「加えた」とか「添加した」という意味ですが、単に入れただけではなく「銅と酸化チタンを結合させた」という意味になります。酸化チタンは光触媒の主成分です。
銅ドープ酸化チタン以外にも、窒素ドープ酸化チタンがあります。これは、窒素がドープされたものです。
酸化チタンは、何か別の成分をドープすることによって、紫外線以外の光でも活性化する性質を持ちます。そして今現在のところ、酸化チタンの効果を最も高めることで知られているのが、銅なのです。
銅ドープ酸化チタンの性質
酸化チタンだけですと、先ほどご説明したように、強力に防カビができる光触媒成分なのですが、紫外線にしか反応しません。ところが、酸化チタンの結晶構造に銅を結合させると、青色の光にも反応し、なおかつ光がなくても触媒の効果を発揮するようになります。
室内で利用されている、ほとんどすべての電球からは青色の光が含まれています。その光を受けることによって触媒の効果を発揮します。
そしてなおかつ、光がなくても触媒の効果を発揮する、今のところ唯一と言っても良い光触媒成分で、光触媒を研究している大学の教授も認めた、最強の光触媒成分なのです。
銅ドープ酸化チタンはエチレンガスも分解する
また、銅ドープ酸化チタンは、冷蔵庫内に発生したエチレンガスを分解してくれます。エチレンガスは、野菜や果物を熟成させる成分として知られていますが、エチレンガスに触れ過ぎていると、熟成が進み過ぎて腐敗してしまいます。
銅ドープ酸化チタンが冷蔵庫内のエチレンガスを分解してくれたら、野菜や果物の腐敗を遅らせることができます。
効果の高さを求めるのであれば、銅ドープ酸化チタンをお選びください。
銅ドープ酸化チタンと他のカビ対策の比較
先ほど説明した、アルコールや漂白剤、次亜塩素酸と、銅ドープ酸化チタンの比較をしたいと思います。
アルコールや漂白剤、次亜塩素酸は、アルコール成分や塩素成分が揮発していったら、その効果が弱まり、防カビができなくなります。
それに対して銅ドープ酸化チタンは、成分が冷蔵庫の内部に付着している限り、半永久的に触媒の効果を発揮し、カビの発生を防止してくれます。銅ドープ酸化チタンは、銅と酸化チタンという金属を利用しているので、揮発していくことはありません。
掃除のときにだけ防カビが一時的にできるものか、それとも半永久的かの違いになります。銅ドープ酸化チタンを冷蔵庫内に塗布しておけば、銅ドープ酸化チタンが庫内に付着していたら、ずっと防カビをしてくれます。
銅ドープ酸化チタンを塗布する方法は2種類
ちなみに、銅ドープ酸化チタンは弊社が製造方法を発見し、その効果の高さを世界で初めて発表しました。そして、2種類の液剤を開発しました。
前者のアキュートクリーンは、一般のお客様向けに手軽にスプレーして除菌・消臭ができるものです。
後者は、業務用に開発した光触媒コーティング剤です。接着成分(バインダー)を含むコーティング剤ですので、銅ドープ酸化チタンを壁面に振りかけるだけのアキュートクリーンと比べて、銅ドープ酸化チタンを壁面に強力に固定することができます。
アキュートクリーンには、バインダーが入っていないため、スプレーすると一時的には冷蔵庫の壁面に付着して防カビできますが、指で触ったり、掃除したり、容器が触れてしまったりすると、光触媒成分がすぐに取れてしまいます。それに対して光触媒コーティング剤は、バインダーで強力に付着し、固化するので、耐久性が圧倒的に高いです。
業務用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の効果の持続期間は、おそらく10年以上あると思います。(ちなみに、自宅の冷蔵庫で試したところ、10年以上、効果が持続しています)
手軽さを求めるのであればアキュートクリーン、強固に銅ドープ酸化チタンを固定化させて長い持続期間の防カビを求めるのであれば業務用光触媒コーティング剤をご利用ください。
ただし、業務用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、業務用でのみの販売となります。ご自宅の冷蔵庫を光触媒コーティングしたい場合は、弊社の製品を扱う施工代理店にご依頼いただくことになります。
冷蔵庫メーカー様の光触媒コーティング
すでに市販されている光触媒を使った冷蔵庫の製品には、酸化チタンを使ったものがあります。
酸化チタンは、紫外線にしか反応しないので、それをコーティングしたら、冷蔵庫内部に紫外線ランプを設置しなければ、防カビができません。紫外線ランプは食品を劣化させる性質もあるので、紫外線ランプの利用は現実的ではありません。
冷風を循環させる部分に酸化チタンコーティングをして、そこに紫外線を当てる方法もあります。しかし、空気を除菌したところで、カビが発生するのは冷蔵庫の壁面ですから、壁面に防カビ効果のあるものをコーティングした方が得策です。
一般的な可視光応答型光触媒を利用する場合は、冷蔵庫内で青色LEDを点灯させておけば防カビができる場合があります。
「場合がある」と述べた理由は、酸化タングステンといった、一般的な可視光応答型光触媒では防カビができない場合もあるからです。光の強さを強めたら、それだけ防カビがしやすいため、青色の光をどの程度の明るさで照射するのか、使用する光触媒成分での試験が必要です。
光触媒でカビを防止するためには、割合強い光が求められます。
ただし、唯一、光が当たっていなくても防カビができる光触媒成分「銅ドープ酸化チタン」を利用すれば、青色の光が当たっているときはもちろんのこと、青色LEDを利用しなくても防カビができます。もちろん、青色LEDを点灯させたら、より強い抗菌効果が発揮されます。
以上、冷蔵庫の中のカビ対策を光触媒で行う方法と題して、冷蔵庫のカビの掃除方法や光触媒成分の性質、銅ドープ酸化チタンの魅力や利用方法を解説いたしました。
一般のユーザー様は、手軽に冷蔵庫内の除菌・消臭ができる光触媒スプレーをお求めであれば、アキュートクリーンをご利用ください。
業務用光触媒コーティング剤を利用したい場合は、弊社の製品を扱う施工代理店にご依頼ください。ただし、冷蔵庫の中の塗装だけを依頼すると費用対効果が悪いので、室内の防カビコーティングといっしょにしてもらうと良いかもしれません。
冷蔵庫メーカー様であれば、御社の光触媒冷蔵庫の開発にご協力させていただきます。弊社は、光触媒を利用したエチレンガスの分解装置の開発で、特許を取得した実績もあります。光触媒による庫内の防カビやエチレンガスの分解なら、お気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。