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光触媒加工の方法

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光触媒加工の方法

光触媒の材質は、主に酸化チタンが用いられます。光触媒加工とは、酸化チタンなどの光触媒を対象物に定着させることです。

光触媒加工された製品には、雑菌やウイルスなどの除菌、防カビ、消臭、化学物質(有機化合物)の分解、防汚などの効果が付与されます。

光触媒加工されたものは、一般家庭や食品工場、病院やクリニック、スポーツジム、保育園や学校など、さまざまな場所で利用されています。

さて、光触媒加工の方法には、主に次の2種類の方法があります。

  1. 光触媒コーティング塗装
  2. 光触媒の焼結

この記事では、光触媒加工をしたいとお考えの企業様に向けて、それぞれの加工方法のメリットやデメリット、ポイントなどをご説明いたします。

光触媒コーティングによる光触媒加工

光触媒コーティングとは、光触媒を対象物に塗装する加工方法です。光触媒コーティング剤には、酸化チタン(アナターゼ)を主原料とした光触媒と、それを定着させるための酸化チタン(アモルファス)が主原料として入っています。

加工方法は、光触媒コーティング剤をスプレーして塗布する方法と、液剤の中に素材を入れて引き上げて乾燥させる方法があります。

温風低圧塗装機を使い、スプレーノズルは光触媒コーティング剤専用のものを用います。スプレーノズルの口径は、ガラス面や鏡面加工された表面に光触媒コーティング加工する場合はφ0.3mmのものを、壁面や天井、布地などに加工する場合はφ0.3mm~φ0.5mmのものも用いることを推奨します。

光触媒コーティングによる光触媒加工のメリットとデメリット

光触媒コーティング塗装による光触媒加工のメリットは、手軽さです。光触媒コーティング剤を塗装するだけで、その表面に光触媒の効果を付与することができます。

反対にデメリットは、光触媒の耐久性が焼結と比べて短いことです。耐久性の悪い塗料を選んでしまったら、1年ほどで光触媒の効果がなくなってしまうものもあります。

ちなみに、弊社の光触媒コーティング剤の耐久性は、10年以上です。外壁塗装で20年以上効果が持続しているものもあります。

酸化チタンの定着と効果

酸化チタンによる光触媒の効果を出しつつ、しっかりと定着させるためには、定着材の分量がとても大事になります。

定着材の量が少ないと、酸化チタンが定着しにくいので、耐久性が悪くなります。反対に定着材が多すぎると、酸化チタンが定着材の中に埋もれてしまって、光触媒の効果が出にくくなります。

酸化チタンを定着させる技術力の弱いメーカーの光触媒コーティング剤を用いたら、耐久性が悪くなります。

光触媒塗料を選ぶときは、効果だけでなく耐久性も考慮することが大事です。

また、塗装面に光触媒コーティング剤をしっかりと定着させるためには、高温に長時間加熱することが必要です。

可視光でも効果のある光触媒コーティング剤

酸化チタンは、光触媒としての効果がありますが、それは紫外線や紫色の光が当たったときだけです。

そのため、室内や暗いところで使用されるもの、例えば室内の壁紙などに酸化チタンを塗装しても、ほとんど効果がなく、「室内を光触媒加工したのに、黒カビが発生した」といったトラブルになることもあります。

そのような室内や暗い場所で使用されるものを光触媒加工したい場合は、可視光でも効果のある光触媒コーティング剤を用いることが大切です。この光触媒のことを可視光応答型光触媒と言います。

弊社が開発した可視光応答型光触媒コーティング剤の詳細は、「屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)」をご覧ください。

直射日光が当たる場所は下地剤による保護を

反対に、直射日光が直接当たるような場所では、光触媒の効果によって有機物が分解され、塗装面を劣化させてしまいます。

そういった場所には、塗装面を光触媒から保護するために、プライマーと言われる下地剤を先に下塗りします。下地剤は光触媒で劣化しない成分でできているので、塗装面と光触媒を分離してくれます。

屋内の光触媒コーティングでも、直射日光が射しこむ場所には、下地剤を利用した方が良いです。特にカーテンやテーブルを光触媒加工する場合は、後ほどご説明いたしますが下地剤を使用してください。

光触媒コーティング剤のメーカーによっては、下地剤を必要としない光触媒コーティング剤を販売しているところもあるようですが、塗装面を傷めないために光触媒の効果が弱めてあり、ほとんど効果のない製品も少なからずあります。

そのようなことから、光触媒コーティング剤を選ぶときは、専用の下地剤も販売されているメーカーのものを選んだ方が良いと思います。

光触媒コーティング加工されたフィルムの貼り付け

光触媒コーティング加工されたフィルムを張り付けて、光触媒の効果を持たせる方法もあります。

工事現場の白い囲いの板に、「この板には光触媒加工が施されています」といった記載を見たことはないでしょうか?

工事現場の白い囲いの板には、光触媒コーティング加工されたフィルムが貼り付けられています。工事現場の建物が完成したら白い囲いの板が撤去され、次の現場で使用されるのですが、その間に表面に貼り付けられたフィルムを交換します。

この方法ですと、光触媒の効果によって工事現場が環境に配慮したクリーンなイメージになりますし、白い板の清掃作業もフィルムを張り替えるだけの簡易的なものになります。

焼結による光触媒加工

酸化チタンを対象物の表面に焼き付ける光触媒加工です。焼結するわけですから、対象物が高温に耐えられるものでなければいけません。また、焼結させるための炉が必要になります。対象物が大きなもののですと、焼結ができる場所を探すことが困難になります。

焼結による光触媒加工のメリットとデメリット

焼結による光触媒加工

酸化チタンを焼結すると、酸化チタンが対象物に強固に融着するので、光触媒コーティングと比べて耐久性は非常に高いです。

デメリットは、高温で焼き付けるので、手間やコストがかかります。窯の大きさに制限があるので、大きなものを焼き付けるのには限界があります。また、高温に耐えられる対象物に限られます。炉に入れてしまったら、燃えたり変質したりするものもあるので、材質にも制限もあります。

焼結する温度の限界

酸化チタンは、いくつかの結晶構造があり、光触媒としての効果が高い結晶構造は「アナターゼ型」と言われる型です。アナターゼ型を加熱していくと、650℃くらいになると結晶構造が変性し、「ルチル型」と言われる光触媒の特性が著しく低いものになります。

弊社の経験では、酸化チタンを焼結させて光触媒の効果を出すためには、600℃くらいまでの加熱で焼結ができるかどうかがポイントになります。

弊社工場の周辺は、有田焼や伊万里焼などの焼き物のメッカです。弊社は、光触媒の焼き付けによる加工のノウハウがあります。焼結による光触媒加工なら、弊社にご相談ください。

対象別、光触媒加工方法

光触媒加工したい対象物ごとに、光触媒コーティング剤の選び方や加工方法をご説明いたします。

カーテンの光触媒加工

カーテンの光触媒加工

カーテンの光触媒加工は、光触媒コーティング剤を塗装する方法で行います。カーテンを光触媒加工する目的は、部屋の消臭、カーテンの防カビや防汚です。

カーテンは、遮光カーテンやレースカーテンがありますが、どちらも直射日光が当たる場所に用いられるものですので、光触媒の効果が強く出てしまいます。カーテンは有機物でできているので、光触媒の効果が強く出てしまうと、カーテン素材が分解されてしまいます。

そのため、カーテンを光触媒加工する場合は、光触媒コーティング剤を次の2種類のどちらかを選ぶ必要があります。

  1. 効果の弱いタイプの光触媒コーティング剤を利用する
  2. 下地剤を利用するタイプの光触媒コーティング剤を利用する

もちろん、前者の場合は効果が低くなるので、エンドクライアントに提案する場合は、後でクレームになる恐れがあります。下地剤を先に塗装する方法ですと、費用は高くなりますが、酸化チタン光触媒の高い効果が期待できます。

また、室内でも日光が射しこまない場所もあります。そういった場所に使用するカーテンに光触媒加工するときは、蛍光灯やLED電球などの可視光にも反応して光触媒の効果を発揮する、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を利用することが大事です。

布地の素材の時点で光触媒コーティング加工する場合は、製造工程で加工をします。専用スプレー装置を開発して塗装する方法と、カーテン地を塗料の中にどぶ付けして乾燥させる方法があります。後者の方法は、レースカーテンであれば可能かと思いますが、乾燥に時間がかかりますし、水を含みやすい布地には向いていません。

カーテンの光触媒加工の方法については、部屋のカーテンを光触媒加工する方法もご参照ください。

テーブルの光触媒加工

テーブルの光触媒加工

テーブルの光触媒加工は、光触媒コーティング剤を塗装する方法で行います。テーブルを光触媒加工する目的は、テーブル表面の除菌です。

テーブルも、カーテンほどではありませんが直射日光が当たる場所に置かれることがあるので、カーテンと同様の光触媒コーティング剤選びに2種類の選択があります。お客様のことを考えると、もちろん下地剤を下塗りする効果の高い光触媒コーティング剤を選ぶことが大事ですし、同じ室内ですので可視光応答型光触媒を使った光触媒コーティング剤を選ぶべきです。

また、触媒コーティング剤を選ぶときに、追加の注意点があります。

  • テーブルの表面は光沢があるので、クリア塗装ができる光触媒コーティング剤を選ぶこと
  • テーブルには陶器などの硬いものを置くので、耐久性の高い光触媒コーティング剤を選ぶこと
  • テーブルの材質に合った光触媒コーティング剤を選ぶこと

テーブルの光触媒加工は、これらの条件を満たす光触媒コーティング剤を選ぶことが大事です。弊社では、次のような材質のテーブルに塗装ができる光触媒コーティング剤や下地剤を販売してます。

  • 無垢材や合板
  • プラスチックや樹脂
  • 表面がウレタン塗装されたテーブル
  • ステンレスなどの金属
  • ガラス

人工観葉植物の光触媒加工

人工観葉植物の光触媒加工は、光触媒コーティング剤を塗装するだけです。光触媒コーティング剤を選ぶときの注意点は、次の2つです。

  1. 可視光応答型光触媒を使用した光触媒コーティング剤を選ぶこと
  2. プラスチックにも塗装できる光触媒コーティング剤を選ぶこと

人工観葉植物は室内に置くものなので、もちろん可視光応答型光触媒を使用した光触媒コーティング剤を塗装します。

人工観葉植物はプラスチックでできているので、プラスチックにコーティングできる塗料を使用することもご注意ください。なぜなら、プラスチックは水を弾く性質を持つため、光触媒コーティング剤を塗装したときに、液剤を弾いてしまって、光触媒加工がまんべんなくできない可能性があるからです。

もし液剤を弾いてしまったら、プラスチックの表面で小さなダマになっていると思います。すると、ダマになったところのみに光触媒加工がなされるため、光触媒加工された部分の表面積が小さくなり、人工観葉植物の消臭効果が弱くなってしまいます。

弊社は、光触媒コーティング塗装による光触媒加工を得意とする光触媒塗料メーカーですが、コーティングと焼結のどちらの光触媒加工の実験研究を承っています。特に、可視光でも効果のある屋内用光触媒コーティング剤による光触媒加工は効果の高さにご好評をいただいております。

今まで、「空調機フィルターに光触媒コーティングをしたい」「効果の高い空気清浄機を開発したい」「活性炭に光触媒を定着させたい」といったさまざまな研究のご相談をたくさんいただき、新製品の開発にご協力してきました。

このようなODM製造のご相談があれば、お気軽にご連絡ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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