光触媒フィルムとは、光触媒コーティングされたフィルムのことです。光触媒フィルムを何かに貼ることによって、貼った箇所に光触媒の機能を付与することができます。
この記事では、光触媒フィルムの加工方法や効果、光触媒フィルムの耐久性、用途などを解説します。
フィルムメーカー様で光触媒フィルムをご検討されている方は、ぜひご覧ください。
光触媒フィルムに加工できる光触媒コーティング剤
光触媒フィルムに利用できる光触媒コーティング剤には、次のようなものがあります。
- 屋外用光触媒コーティング剤
- 屋内用光触媒コーティング剤
屋外用光触媒コーティング剤は、酸化チタンを使った製品です。酸化チタンは、紫外線を吸収すると強力な触媒の効果を発揮するので、主に屋外で利用されます。
屋内用光触媒コーティング剤は、室内の光でも触媒の効果を発揮する可視光応答型光触媒を使った製品です。弊社の屋内用光触媒コーティング剤は、銅ドープ酸化チタンを使ったものですから、室内の弱い光があるところでも効果を発揮しますし、暗所でも触媒の効果を発揮します。
光触媒フィルムの効果
用途に合わせて光触媒フィルムにコーティングする液剤の種類を変える必要がありますが、それを適切に選んだとしたら、次のような効果を発揮することができます。
- 除菌
- 防カビ
- 消臭
- 化学物質の分解
- アレルゲンの分解
- 防汚
光触媒は、その成分に合った光エネルギーを持つ光を吸収することによって、OHラジカルという活性酸素を発生させます。OHラジカルに触れたものは、酸化分解されます。光触媒成分そのものはOHラジカルによって分解されないので、触媒の効果を発揮するわけです。
光触媒の効果の高さと耐久性の関係
光触媒の効果が高さと、フィルムの耐久性が悪くなる場合があります。
光触媒によってフィルムの劣化が加速される
光触媒は、光を吸収してOHラジカルを発生させますが、OHラジカルによって酸化分解される成分は有機物です。ここで、光触媒コーティングされているフィルムも有機物ですから、光触媒によって分解されるわけです。
フィルムは光触媒の成分よりもかなり巨大なので、フィルム自体がすべて分解され尽くすことはありません。フィルム自体は、紫外線や酸素の影響で劣化していきますが、光触媒によって表面の劣化が加速されます。
劣化したフィルムは、硬く、もろくなりますし、色が変色する場合もあります。
フィルムの劣化を防止する方法
光触媒によるフィルムの劣化を防ぐためには、次のどちらかを選択することになります。
- 光触媒の効果を弱める
- フィルムを保護する下地材をコーティングする
前者であれば、フィルムを頻繁に交換することを想定していたり、あまり光触媒の効果の高さが求められない場所に最適です。光触媒フィルムの値段も安くなります。
後者であれば、光触媒の効果を高められるので、高い効果が求められる場所や長期間利用される場所に最適です。
フィルムが巻いてあるときの弱点
光触媒フィルムは、片面に光触媒コーティングが、もう片面には接着剤が塗布されています。光触媒フィルムが巻いてある状態では、光触媒と粘着剤が接触している状態になっています。
すると、粘着剤も有機物ですから、光触媒によって分解されてしまって、粘着力が落ちてしまったり、粘着剤がベトベトに溶けてしまったりする可能性があります。
フィルムを巻いた状態で置いておく場合、フィルムを紫外線や可視光から遮断するアルミ製などの袋に入れて保管しておくか、光触媒と粘着剤の間に、保護フィルムを挟むかしないといけません。
光触媒フィルムの用途
光触媒フィルムの表面は、光触媒コーティング剤がクリア塗装されています。そのため、光触媒フィルムは透明性があり、粘着性があるので、何にでも貼り付けられます。
光触媒コーティングが難しい複雑な形状のものであったり、塗装ができない面であったりしても、フィルムを貼ることによって、光触媒の効果を付与できます。
フィルムの材質によっては、防炎素材もあるので、ホテルや公共施設などの室内にも利用ができるものもあると思います。
外壁用光触媒フィルム
工事現場を囲むように設置されている仮設パネルには、光触媒フィルムが貼られていることがあります。工事が行われている期間のみフィルムを貼り、工事が終わったらパネルを回収して、光触媒フィルムを張り替えます。
光触媒フィルムを貼っていると、パネルの防汚や傷防止ができます。また、環境汚染物質を分解することもでき、環境に優しい工事現場であることをPRできます。
内装用光触媒フィルム
内装用のフィルムを用いると、壁面や金属面などに装飾ができます。そのフィルムの表面を光触媒コーティングしておけば、部屋の中の除菌や防カビ、消臭ができます。
建材用のフィルムは、いろいろな場所で利用されています。キッチンの棚に、ガラス飛散防止用フィルムを貼ることがあります。また、キッチンパネルにフィルムを張り付けることによって、防汚もできます。
キッチンのガラスや壁面に、フィルムにも光触媒コーティングされたものを利用できます。キッチンに光触媒フィルムを貼っておくと、除菌や消臭だけでなく、油汚れの掃除がしやすくなります。
光触媒フィルムが汚れてしまったり、光触媒の効果がなくなってしまったら、光触媒フィルムを新しいものに交換すれば良いので、手軽に美しさを保つことができます。
以上、光触媒フィルムの加工方法や効果、光触媒フィルムの耐久性、用途などを解説いたしました。
光触媒フィルムの開発なら、ぜひ弊社までご相談ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。