
光触媒コーティング塗装をする場所や、光触媒コーティング剤の性質によって、塗布面に色が付着したり、変色したりする場合があります。
その色とは、虹色や白色、茶色です。他にも塗布面の劣化によって、チョーキングと言って色が変わることがあります。
もちろん、対策することで、このような変色を防ぐことができます。
この記事では、光触媒コーティングによって塗布面の色が変わってしまうパターンと、その対策について解説いたします。
変色することやその対策方法を知らない業者に施工を依頼してしまったら、トラブルになりかねませんので、ご注意ください。
これから光触媒コーティング施工を新規事業として導入したい方は、お客様からのクレームを避けるために、この変色と対策をしっかり把握しておいてください。
虹色
光触媒コーティング塗装をしたときに、虹色になるケースはガラスコーティングをしたときです。
虹色になる理由
ガラスコーティングによく利用される光触媒成分は、アナターゼ型と言われる結晶構造の酸化チタンの微粒子が利用されます。
この酸化チタン光触媒は、光の屈折率が高いので、ガラスに利用すると、ガラス面を見る角度によって虹色に見えることがあります。
虹色になることを防止するために、光の屈折率の低い光触媒成分として、酸化タングステンが利用されることがあります。ところが、酸化タングステンは酸化チタンと比べて防汚効果が弱いというデメリットがあります。
虹色対策と防汚効果を両立する方法
虹色対策と防汚効果を両立する方法は、光の屈折率が低く、防汚効果も高い光触媒を利用することです。その光触媒はタングステン担持酸化チタンです。タングステン担持酸化チタンとは、酸化チタンの結晶の表面に酸化タングステンを結合させた光触媒です。
タングステン担持酸化チタンは、酸化チタンの防汚効果を維持しつつ、酸化タングステンの屈折率の低さを兼ね備えた光触媒です。
ガラスコーティングの他にも、光沢のある面を光触媒コーティングする場合にも、見る角度によっては虹色になる場合もあります。施工面によって、光触媒コーティング剤の種類を使い分けることが大切です。
窓ガラスの光触媒コーティング施工方法については、「光触媒コーティングを窓ガラスに塗装する方法」を参照ください。
白色
光触媒コーティングをするときに、液剤を塗布し過ぎたら、乾燥すると光触媒成分の白っぽい色が付着することがあります。特に、黒っぽい色の材質に光触媒コーティングをすると、白っぽくなりやすいです。
白っぽくなる理由
施工の知識や技術を持たない人が、見様見真似で施工をしてしまったら、まんべんなく均一に塗布できなくてムラになり、液剤を多く塗布してしまった箇所が白っぽくなることがあります。そして、それが黒っぽい材質であると、そのムラが目立ちやすくなります。
黒っぽい材質と言えば、自動車の内装や黒っぽい色の外壁、黒色の壁紙といったものです。
白色になることを防ぐ方法
塗装のムラを防ぐ方法は、均一に塗布する技術を持った施工技術者に施工を依頼することです。
これから光触媒コーティング施工を始めたい方であれば、施工技術を持った人を雇ったり、弊社のような光触媒コーティング講習会を受講したりすることで、施工技術を獲得することができます。
なお、白い色の壁紙クロスや外壁など、材質が白くて光沢の無いものに塗布する場合は、少しばかり均一でなくても、光触媒の白っぽい色は目立ちません。光触媒コーティングの初心者は、白い色の材質で施工に慣れることをおすすめしています。
茶色
光触媒コーティングによる下地の劣化によって、塗布箇所が少し茶色に変色することもあります。
少し茶色になるパターン
塗布面が少し茶色くなる主なパターンは、直射日光がよく当たる場所に使用された樹脂素材です。
樹脂素材が直射日光に当たりやすい場所に利用されるものは、例えばレースカーテンです。
レースカーテンの消臭で光触媒コーティングをすることもありますが、南側の窓にあるレースカーテンは直射日光が当たり、光触媒が強く反応して、レースカーテンの素材である樹脂素材の劣化を早め、茶色っぽくなることがあります。
茶色になると言っても、光触媒コーティングをしたらすぐに茶色く変色するのではなく、直射日光の当たり具合にもよりますが、1~2年ほどかけて、うっすらと茶色くなるイメージです。
なぜ茶色になるのか?
なぜ茶色っぽくなるのかと言いますと、光触媒は光が当たるとOHラジカルが発生します。OHラジカルは、強い酸化力を持つ活性酸素なので、匂いの成分がOHラジカルに触れると、匂いの成分を酸化分解します。すると、匂いの成分は水や二酸化炭素などの、匂いの無い、もしくは匂いの弱い成分に分解され、消臭ができます。
これと同じ原理で、樹脂素材もOHラジカルによって酸化し、その化学反応によって茶色く変色することがあります。
茶色になる変色を防ぐ方法
OHラジカルによる樹脂素材の分解を抑制する方法は、樹脂素材が光触媒に直接触れないようにすることです。
その方法として、直射日光が当たる樹脂素材の表面に、あらかじめ下地剤を塗布し、その上から光触媒コーティング塗装をします。下地剤のことを、プライマーともいいます。
プライマーを塗布しておくと、光触媒が樹脂素材に直接触れなくなるので、光触媒による劣化を防ぐことができ、茶色になりにくくなります。
光触媒加工したカーテンを製造する場合も、プライマーの必要性は同様です。
カーテンの光触媒コーティングの施工方法は、「部屋のカーテンを光触媒加工する方法」をご覧ください。
チョーキング

光触媒によって塗装面が変色するパターンとして、すぐに変色するのではなく、塗装面の色が少しずつ白っぽい色になっていくチョーキングという現象が発生して、変色することもあります。
チョーキングとは?
チョーキングが起きると、表面にチョークの白い粉のような付着物が発生します。
ペンキが劣化したら、白っぽくなって、指で触ると白っぽくなりますが、それと同じ現象です。
外壁に光触媒コーティングをすると、外壁に付着する汚れを分解してくれますが、それと同時に塗装面の樹脂などの有機物をも少しずつ分解してしまいます。それによってチョーキングが発生します。
樹脂が分解されると言っても、いきなりボロボロになるのではなく、1年や2年という時間をかけて、ゆっくりと分解されていきます。分解速度は遅くとも、劣化していることには変わりがありませんから、何らかの対策が必要です。
下地が石材や漆喰などの光触媒によって劣化しないものであれば、下地剤は必要ありません。
チョーキングが発生しやすい場所
チョーキングが発生しやすい場所は、直射日光が当たる場所です。外壁の防汚コーティングの場合には、念のため外壁全体に下地材を塗布します。室内でも直射日光が窓から入ってくる場所にも、下地剤を利用します。
その対策とは、茶色の変色のところでもご説明したことと同じように、光触媒コーティングの前に、プライマーを塗布することです。
あらかじめプライマーを塗布しておけば、光触媒が塗布面に直接触れることがありませんから、下地の劣化を防ぐことができます。
チョーキングの詳細は、「光触媒のチョーキングとは?」をご参照ください。
以上、光触媒コーティングによる変色するパターンと対策について解説いたしました。変色には、虹色、白色、茶色がありました。また、下地の劣化によるチョーキングで変色することもあります。
また変色の他にも、光触媒を利用する場所と種類には相性があり、相性が悪いとまったく効果が無いこともあります。光触媒は、知識と施工技術を要するため、それらが中途半端なものであれば、お客様からクレームになることが多いです。
これから光触媒コーティング施工を新規事業として導入したい方は、この変色と相性といった光触媒の知識をしっかりと身につけ、正しいコーティング剤を選び、正しく塗布できる技術を習得してください。
イリスでは、施工代理店様向けに、このような光触媒に関する知識や施工方法を学ぶことができる施工講習会を有償にて開催しています。お気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。
