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光触媒コーティング剤に実用化されている光触媒の種類

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光触媒コーティング剤に実用化されている光触媒の種類

光触媒とは、光が当たって活性化すると、それに触れるものを酸化分解する性質を持つ物質のことです。

この性質を利用すると、除菌や抗菌、防カビ、消臭、アレルゲンの分解といった効果が期待できます。

また光触媒は、親水性の効果もあるので、外壁に利用するとセルフクリーニング効果も期待できます。

光触媒にはたくさんの種類があり、今現在も開発が進んでいるので、種類がどんどん増えています。その中でも、光触媒コーティング剤として一般的に利用可能なものは、数が限られます。

光触媒コーティングは、使用されている光触媒の種類によって反応する光の種類や効果の高さなどが異なりますから、利用環境に応じた光触媒を選ぶことが大切です。

光触媒コーティング剤に実用化されている光触媒の種類

光触媒を一般に利用する方法は、光触媒が含まれる液剤か塗料を塗装します。前者の液剤のことを、光触媒コーティング剤といいます。

光触媒コーティング剤として実用化されている光触媒の種類は、主に次のものになります。

  • 酸化チタン
  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • タングステン担持酸化チタン
  • 酸化タングステン

これら以外にも種類があると思います。これらの中で、タングステン担持酸化チタンだけが、ガラスの防汚コーティング専用の光触媒です。それ以外のものは、外壁や室内のコーティング、ガラスコーティング、観葉植物の光触媒加工、光触媒スプレーなどで利用されます。

光触媒の種類による性質の違い

光触媒は、酸化分解する効果はほぼ同じなのですが、次の2つの性質が異なります。

  1. どのような光に反応するのか
  2. 反応したときの効果の高さ

光の波長

光は、光の振動によって見える色が異なります。光の種類は、大きく3種類に分けられ、波長の短い光は紫外線、目に見える波長のものは可視光、波長の長い光は赤外線といいます。

光の波長と色の関係

紫外線は、UV-AやUV-B、X線、ガンマ線といった種類があります。可視光には、紫色や青色、シアン、緑色、黄色、橙色、赤色といった七色の光があります。赤外線も、遠赤外線や電波といった種類があります。

これらの光の種類の中で、どの光に反応して、触媒効果を発揮するのかが、光触媒の種類によって異なります。

屋外で利用する場合

屋外で利用する場合には、直射日光が当たる場所であれば、直射日光に強く反応して効果を発揮する光触媒の種類が選ばれます。

その種類とは、酸化チタンです。

酸化チタンは、紫外線に強く反応し、高い触媒効果が得られます。

直射日光が当たらない場所では、紫外線量が大幅に低くなりますから、酸化チタンでは効果が出にくいことが多いです。そういった場所には、紫外線が無くても強く反応する光触媒の種類を選びます。

その種類とは、銅ドープ酸化チタンです。

室内で利用する場合

室内で利用する場合は、蛍光灯やLED照明、白熱球といった室内の電灯で反応して効果を発揮する光触媒の種類を選びます。

そういった電灯から出てくる光は、可視光です。蛍光灯やLED照明は、一般的に七色の光がブレンドされて、白色に発光しています。次のスペクトル図は、一般的な白色LEDのスペクトルです。

一般的な白色LEDから出る光の波長

白色LEDから出てくる光には、紫色の波長の光から、赤色の波長の光まで含まれていることがわかります。

可視光に反応する光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。先ほどご説明した光触媒の種類の中で、可視光応答型光触媒は次のものになります。

  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン

これらの中でもっとも効果の高いものは銅ドープ酸化チタンです。銅ドープ酸化チタンは、200lxという薄暗い光の下でも効果を発揮するので、他の光触媒の種類と比べて、10倍以上の効果があることが知られています。

銅ドープ酸化チタンの効果を100としたときの他の光触媒との効果比較

以上、光触媒コーティング剤として実用化されている光触媒の種類をご説明いたしました。

銅ドープ酸化チタンの室内利用時の効果についてもっと詳しく知りたい方は、「室内の光触媒コーティングは可視光応答型光触媒を選ぶべき理由」をご参照ください。

また、外壁利用については「外壁リフォームで光触媒塗料の選び方を間違うと起こるデメリットとは?」をご参照ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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