
光触媒コーティングや光触媒スプレーを利用しようとする方は、その評判をネット検索で調べることと思います。
その中には、「光触媒コーティングは意味が無い」とか、「光触媒スプレーは効果が無い」と書かれている場合もあります。
そのことは、半分本当で半分誤解です。光触媒メーカーとして本音で言わせていただくと、効果が高い本物の製品もあれば、まったく効果が無いのに、効果があるかのようにPRしているものもあるからです。
この記事では、光触媒で効果のあるもの、無いものを明確にしつつ、光触媒コーティングや光触媒スプレーを利用しても意味の無いパターンを、光触媒メーカーとして本音でご説明いたします。
光触媒の導入をご検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
光触媒の効果の難易度
最初に、光触媒コーティングの効果についてご説明します。光触媒コーティングが本物であれば、導入された方にとてもメリットがあります。効果が無いものは、意味がありませんので、導入なさらないようにしてください。
弊社としても、自社製品のことを「最高にいいよ」とご紹介する場合もあるかもしれません。しかし、決定権はお客様にあるので、お客様ご自身で光触媒の知識をお持ちになられ、良し悪しをご判断できるようになっていただいたいと思います。
効果の難易度
光触媒コーティングは抗菌や抗ウイルス、防カビ、消臭や防臭、化学物質の分解といった効果があります。それらの効果の高さは、一概には言えません。なぜなら、化学物質の分解にしても、分解しやすいものもあれば、分解しにくいものもあります。そのように、条件がいろいろとあるからです。
まず、光触媒での効果の難易度についてご説明します。
低い難易度の効果
- 加齢臭やアンモニアの分解
- アルコールの分解
- ホルムアルデヒドの分解
- 抗ウイルス
アンモニアやアルコール、ホルムアルデヒドは、簡単に酸化される物質です。光触媒はOHラジカルを発生させて酸化分解する性質があるので、酸化分解しやすいものはすぐに分解できます。
また、ウイルスは比較的分解しやすいです。なぜなら、細菌類やアレルゲンと比べて、小さなものだからです。効果の高い光触媒であったとしても、1μmほどの大きさのものは分解が難しくなってきますが、ウイルスのサイズは0.1μmほどですから、サイズで1/10ほど、体積は3乗ですから、1/1,000ほどになり、分解しやすいのです。
ですので、どのような光触媒であったとしても、「抗ウイルスは比較的簡単にできるもの」とお考えください。
中程度の難易度の効果
- 抗菌
- 防カビ
- タバコの臭いの消臭
- アレルゲンの分解
中程度のものはサイズが大きくなったり、分解する量が多くなったりします。大腸菌のサイズはおおよそ0.5μmほど、ウイルスからすると5倍ほどの大きさですから、体積では単純計算で125倍です。ですので、大腸菌の分解では、ウイルスの分解よりも125倍時間がかかることを意味します。
このようなことから、抗菌や防カビ、アレルゲンの分解には時間がかかるので、効果の弱い光触媒では「効果なし」と判断される場合もあるのです。実際に、室内に光触媒コーティング塗装をして、「1年もしないうちに部屋の中にカビが発生した」とクレームになった製品もあるほどです。
タバコの臭いは、分解がしやすい物質ではあるものの、連続的に臭いが供給される場合があるので、「分解ができない」と勘違いされる場合があります。特に喫煙室では、狭い部屋の中で、たくさんのタバコが吸われ、しかもあまり明るくない部屋ですから、光触媒のみで分解することは難しいのです。
高い難易度の効果
- 事故物件やスパイスの臭いの消臭
- ベンゼン環の分解
- 200lxほどの弱い光でも抗菌や防カビの効果を発揮する
- 喫煙室のタバコの臭いの消臭
これらの効果があることが実証されている光触媒は、とても効果の高い製品だと言えます。ただし、これらの効果の高さを求める場合には、光触媒コーティングを行う職人さんの施工技術も求められます。
光触媒コーティングの高い効果は、製品の効果の高さと職人さんの塗装技術が合わさって発揮されるのです。
アンモニアやホルムアルデヒドは簡単に分解できる
光触媒製品をPRしているホームページでは、アンモニアとホルムアルデヒドの分解が引き合いに出されることがあります。
先ほどご説明しように、アンモニアとホルムアルデヒドは、どのような光触媒であっても簡単に分解ができてしまう物質です。アンモニアとホルムアルデヒドは、分解の難易度は低いです。ちなみに、光触媒を用いなくても、紫外線が当たると自然分解される場合もあるくらい、分解が簡単な物質なのです。
効果の高い光触媒をお求めであれば、分解の難易度が高いもので試験した結果が掲載されているものをご利用なさった方が良いです。
室内で防カビ効果の無い光触媒コーティング剤の種類
室内や外壁の防カビを目的として光触媒コーティングをする場合には、ほとんど効果のない光触媒コーティングが存在するのでご注意ください。
効果のない光触媒コーティング剤とは、「酸化チタンを使った光触媒コーティング剤」です。
酸化チタンは紫外線にしか反応しない
その理由は、酸化チタンは紫外線のみに強く反応し効果を発揮する成分で、カビが発生しやすい場所は、紫外線が当たりにくい、もしくはほとんど当たらない場所だからです。酸化チタン光触媒コーティング剤は、防カビでは意味がありません。
とある酸化チタンコーティング施工をしている施工店のホームページを見たところ、「抗菌効果や防カビ、消臭効果がある」と記載されていましたが、室内では効果はほとんどありません。窓から直射日光が射しこんでくる場所で、昼間のみでしたらそれらの効果があると思われます。
反対に外壁に塗装したら、とても効果が高いです。なぜなら直射日光に紫外線が含まれているからです。しかし、外壁を抗菌や消臭をしたところで意味がありません。
室内で効果のある光触媒は可視光応答型光触媒
室内で防カビをしたい、もしくは外壁の直射日光が当たらない場所を防カビしたい場合は、紫外線で反応する酸化チタンではなく、可視光でも防カビができる効果の高い可視光応答型光触媒を用いることが大切です。
可視光とは、目に見える光のことです。蛍光灯やLED照明、白熱球の光は目で見ることができます。そのような照明からは、可視光が出ているので目で見ることができます。そのような目で見える光で除菌や消臭ができる光触媒のことを、可視光応答型光触媒といいます。
可視光でも防カビができるということは、中程度の難易度となります。
ただし、可視光応答型光触媒であれば何でも良いわけではなく、効果の高さは成分によって異なります。可視光応答型光触媒については、後ほどご説明いたします。
消臭や抗菌効果の弱い光触媒スプレーも
ほとんど意味がない
光触媒スプレーでよく利用される成分は、酸化タングステンです。酸化タングステンは、可視光応答型光触媒の一種です。室内の光でも消臭や抗菌効果を期待できるので、光触媒スプレーや光触媒コーティング剤として利用されています。
酸化タングステンのデメリット
ですが、酸化タングステンは次の2つのデメリットがあります。
- 触媒効果が弱い
- 光触媒成分の濃度を高められない
酸化タングステンは、確かに可視光応答型光触媒ではあるものの、その触媒効果が弱いという弱点があります。ですので、消臭効果を発揮するためには、酸化タングステンを多く添加して、なるべく消臭力を高めないといけません。
ところが、酸化タングステンは、濃度を高くし過ぎると酸化タングステンの黄色い色が出てしまうので、濃度を濃くできないというデメリットがあります。酸化タングステンを使った光触媒コーティング剤も同様です。
ですから、酸化タングステンを使った光触媒スプレーは、あまり消臭や抗菌効果が高くありません。このことは、光触媒メーカーでは常識です。
1,000lxの明るさで試験されている酸化タングステン

「lx」は、ルクスという光の明るさの単位です。光触媒は、明るい光を当てると効果が高まる性質があります。
とある酸化タングステンを使った製品のホームページを確認していると、抗菌効果の試験結果のグラフには、小さな字で「1,000lxの蛍光灯の光を照射して試験した」ということが書かれていました。
1,000lxと言えば、手術室くらいの明るい光です。そのような強い光を照射して試験しているのです。
蛍光灯の光で試験していることには、一定の評価ができますが、「このような明るい光であれば、消臭や抗菌ができて当たり前だ」と突っ込んでしまいそうになります。
実際に抗菌や消臭をしたい部屋の明るさは、昼間に明るい部屋であっても500lxほど、夜は200lxほどの場合もあります。
光触媒スプレーを選ぶときには、200lxほどの薄暗い光でも消臭や抗菌、防カビ効果のある光触媒成分であれば、「効果がある」と言えます。効果の高い光触媒スプレーを選びたい場合には、200lxで効果があるかどうかを、一つの基準となさってください。

「エビデンスが大事」とPRしている製品も
効果が疑わしい場合がある
エビデンスとは、根拠や裏付けのことです。光触媒製品に効果があるのかどうかを、自社もしくは第三者機関にて試験した結果を表示することで、「製品に効果がある」と客観的に言えるわけです。
ところが、「エビデンスが大事だ」ということで、たくさんの試験結果を第三者機関に依頼され、その試験結果をホームページに掲載している製品もあります。
実のところ、その製品も効果が疑わしい場合があります。
なぜなら、先ほど酸化タングステンの効果でもお伝えしたように、200lxで試験したのかどうかがわからない状態で掲載されている場合があるのです。
「これだけたくさんのエビデンスがあります」と、10種類も20種類も試験を行った、解像度の悪いレポートの画像をホームページに掲載している製品もあります。そのようにたくさんのエビデンスがあることは、効果の高い根拠になりますが、試験結果を解像度の悪い画像で見せられても、試験内容がよくわかりません。
ここまでご覧になられた方であれば、もうお気づきのことでしょう。試験でどのような光を当てたのかによって、効果のほどが異なります。
どのような光触媒であっても、紫外線を照射して試験をしたら、高い抗菌や抗ウイルス、消臭といった効果が得られます。また、酸化タングステンでご説明したように、可視光応答型光触媒の場合には1,000lxもの強い光を照射して試験することもあります。
本当に効果があるのでしたら、「200lxの蛍光灯の光で試験しました」と一言書いてもらいたいものです。
効果が高くても、持続期間の短い製品は
意味があるのか?
光触媒コーティング剤は接着成分が入っており、光触媒が塗装面に強固に付着します。その耐久性は、メーカーによって異なります。メーカーによって、その考え方が異なります。
3年持つ製品と10年持つ製品、どちらを使いたい?
光触媒の効果は半永久的だとしても、光触媒コーティング剤として塗装をしたら、少しずつ落ちていくので、いずれは効果がなくなってしまいます。効果がなくなる前に、再塗装することをおすすめされます。
ここで、光触媒コーティング剤のメーカーとしては、できるだけ頻繁に塗装してもらった方が儲かります。
例えば、3年持つ製品と10年持つ2種類の製品があったとします。3年持つの製品を塗装したら、10年経過する間に3回も塗装してくれるわけですから、単純計算で10年持つ製品を使うようりも3倍の売上高になります。
しかし、施工を依頼する消費者様としては、10年持つ製品を施工してもらいたいはずです。
この例では、3年と10年を述べていますが、実際にそのような持続期間の製品が存在します。
本当は耐久性の高い製品を開発可能なのだが・・・
3年と10年の耐久性の差は、メーカーの技術力の差でしょうか?
もちろん、耐久性の高い製品を開発するためには、高度な技術を要しますが、実のところ、そうではない場合もあります。光触媒コーティング剤のメーカーとしては、「1年だと短いので利用してもらえなし、10年だと我社が儲からない。3年のものを開発しよう」ということで、わざと3年持つ製品を開発している場合もあります。
実のところ、光触媒コーティング剤の成分を調整して製造方法を工夫したら、10年~20年ほど効果が持続する製品の製造は可能なのです。ですから、「当社の製品は3年の耐久性があります」という製品に対して、弊社としては「どうやったら3年しか効果が持たない製品が作れるのだろうか?」と反対に教えてもらいたいほどです。
ちなみに、弊社が開発している光触媒コーティング剤は、10年以上を目標として開発しています。条件にもよりますが、最長20年以上も効果が持続している物件もあります。弊社は「お客様は、耐久性の高い製品を使いたいはずだ」という考えで、できるだけ耐久性の高い光触媒コーティング剤を開発し、さらに研究を重ねています。
光触媒の効果まとめ
光触媒コーティング剤や光触媒スプレーに利用されている光触媒の種類別に、効果の高さをまとめました。
光触媒の種類 | 屋外 | 室内 |
---|---|---|
酸化チタン | 外壁の防汚に最適 | 効果なし |
銅ドープ酸化チタン | ジメジメした外壁の防カビ・防苔に最適 | 効果が高く持続期間が長い。200lxの光や暗所でも効果あり |
窒素ドープ酸化チタン | 使用されない | 効果が弱い |
鉄ドープ酸化チタン | 使用されない | 効果が弱い |
酸化タングステン | ガラスの防汚に用いられる | 効果が弱い |
タングステン担持酸化チタン | ガラスの防汚に最適 | 使用されない |
銅イオン光触媒 | 使用されない | ある程度効果が見込めるが、持続期間が短い |
光触媒の名称にある「ドープ」は、「結合させた」という意味になります。銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンにナノサイズの酸化銅を結合させた成分です。別名として、銅担持酸化チタンともいわれます。担持は、ドープと同じ意味です。
銅ドープ酸化チタンは、今現在のところもっとも効果の高い光触媒であることが知られています。200lxという薄暗い光でも防カビができ、なおかつ光の当たらない暗所であったとしても抗菌や消臭ができます。もはや、光触媒とは言えないような高い効果を発揮します。
室内で効果の高い光触媒コーティングや光触媒スプレーをご利用になられたい場合は、銅ドープ酸化チタンが使用されたものを選ぶことをおすすめします。光触媒コーティング剤では、銅ドープ酸化チタンを使って、なおかつ10年以上の耐久性のあるものをご利用ください。
以上、光触媒コーティング剤や光触媒スプレーに利用しても意味の無いパターンをご説明しました。光触媒にはいろいろな種類がありますが、種類によって効果の高さに違いがあったり、適材適所もあります。
基本的には、屋外は「酸化チタン」、屋内は「銅ドープ酸化チタン」と覚えておいてください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。