光触媒コーティング塗装をすると、塗装面の除菌や消臭、防汚、化学物質(有機化合物)の分解などの効果が得られます。
先日も、「ホルムアルデヒドを分解できないだろうか?」とご相談をいただきました。
そのような効果を得たいと思い、光触媒を内壁やガラスなどに塗装しても、塗装面が変色してしまったら、景観を損ねてしまい、クレームになってしまいます。
この記事では、光触媒コーティングをしたら、塗装面がどのような色になるのかと、光触媒を透明に塗装ができる「クリア塗装」についてご説明いたします。
光触媒コーティングの基本成分「酸化チタン」の色
光触媒コーティング剤の基本成分は、酸化チタン(アナターゼ)です。酸化チタンの色は、白色です。
ナノレベルの微細な酸化チタン(アナターゼ)のパウダーを水に混ぜます。酸化チタンが塗装面に定着し耐久性を高めるために、酸化チタン(アモルファス)やシリカなどを添加したものが、光触媒コーティング剤として販売されています。
光触媒コーティング剤を塗装すると、「酸化チタンの白色が出てしまうのではないか?」とお考えの方もいらっしゃることと思います。塗装面の色が、酸化チタンの白色になることもあれば、他の色になることもあります。
正しく塗装したら、クリア塗装と言って、透明に塗装することもできます。
光触媒コーティングの塗装面の色
実際に光触媒コーティング塗装を行ったときの、塗装面の色をご説明いたします。
正しく塗装するとクリア塗装ができる
クリア塗装とは、透明に塗装することです。光触媒コーティング剤の材質にもよると思いますが、弊社の製品であれば正しく塗装したらクリア塗装になります。
クリア塗装であれば、下地がどのような色物や柄物であっても、その見栄えを損なうことなく塗装ができます。看板や柄物の壁紙、窓ガラスなど、光触媒コーティングが透明であることを求められる場所では、弊社製品を正しく塗装し、クリア塗装になるようにすることが大事です。
後ほど、弊社製品を正しく施工する方法について述べたいと思います。
製品によっては白色になる
光触媒コーティング剤の塗布面に、酸化チタンの色が出てきてしまったら、塗装面は白色になります。
古いペンキで描かれた看板や、野球場の古いプラスチックのベンチなどは、白い粉が噴き出たようになりますが、まさしくそのようになります。
クリア塗装ができる弊社製品であっても、塗布量が多すぎると、酸化チタンが分厚く塗り重なってしまい、白色で出てしまうことがあります。クリア塗装ができる光触媒コーティング剤は、正しく塗装することでクリア塗装になるのです。
ただし、塗装面が白色になることが、完全な塗装の失敗とは限りません。白色になったとしても、もともとの塗装面が白色であれば、光触媒コーティングの白色は目立ちませんが、光触媒の効果はしっかりと出ます。
例えば、戸建ての漆喰の壁や、マンションの白色のクロスのような、塗装面が白色の壁であれば、光触媒コーティング剤の白色が出てしまったとしても、見た目は気になりません。
ちなみに、弊社の業務用光触媒製品で屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、室内のクロスにコーティングすると防カビができるということで人気です。それを「クロスコーティング」と称してPRされている施工代理店様もいらっしゃいます。
色物や柄物への塗装で失敗したときの色
色物や柄物に光触媒コーティング剤を塗装する場合は、クリア塗装になれば見栄えに問題ございませんが、酸化チタンの白色が出てしまったら、色物や柄物が白っぽくなってしまい、見栄えが悪くなります。
また、色物や柄物は、クリア塗装ができたとしても、光触媒の効果によって下地が劣化し色が変色する場合があります。たいていは、チョーキングと言って白い粉を吹いたような状態になります。これを防ぐ方法は、光触媒の効果の低い薬剤を選ぶか、光触媒コーティング剤を塗装する前に、プライマーといわれる下地剤を塗装するかのどちらかです。
ほとんどのお客様は、効果の低いものを塗装したくないので、効果の高い光触媒コーティング剤とプライマーの塀用を選ばれます。
色物や柄物に塗装する場合は、クリア塗装が必須となりますし、プライマーを用いて、光触媒コーティング剤が色や柄を劣化させてしまわないように工夫することが大事です。
チョーキングの詳細は、「光触媒のチョーキングとは?」をご覧ください。
ガラス面や鏡への塗装で失敗したときの色
ガラス面や鏡に、光触媒コーティング剤を塗装するときに失敗してしまったら、塗装面にまだらの虹色の模様になったり、塗りむらの模様が出たりします。
酸化チタンは光を反射する性質があるので、それによって虹色になるのです。
ガラス面や鏡の他にも、ステンレスやニスが塗られた場所などの鏡面加工された面があります。そういった場所に光触媒コーティング塗装をするときは、薄く均一に塗装する技術が要求されます。
クリア塗装は白色と比べて光触媒の効果があるのか?
光触媒コーティング剤をクリア塗装すると、「白色に塗装されたところよりも、光触媒の効果が低いのではないか?」とお考えの方がいらっしゃいます。
実は、クリア塗装でも白色の塗装でも、効果はそれほど変わりません。
クリア塗装は、酸化チタンが薄く塗られています。白色塗装は、厚く塗られている違いがあります。ところが、いくら酸化チタンを厚く塗装したところで、雑菌や臭い成分、汚れ、化学物質などの成分が光触媒と接触する面積は同じです。
ですので、クリア塗装と白色塗装では、光触媒の効果は同じなのです。
光触媒コーティング塗装を正しく行う方法や注意点
弊社が製造・販売している光触媒コーティング剤をクリア塗装する方法や注意点をご説明いたします。
塗装にはABAC温風低圧塗装機を用いる
光触媒コーティング剤を吹き付け塗装する装置として、ABAC温風低圧塗装機を用います。
ABAC温風低圧塗装機の塗装スプレーは、スプレーガンから噴出した液剤の周りをエアーでコーティングするという塗料が飛び散りにくい構造になっています。弊社が調査した数々の装置の中では、塗着効率が約70%と最も高い数値を示しました。塗料の塗着効率が高いと、飛散が少ないということで、光触媒コーティング剤を無駄なく塗装ができます。
もちろんABAC温風低圧塗装機でなく、それと同等の機能を持つ塗装スプレーでも良いです。
通常のエアースプレーガンの塗着効率が20~50%ほどといわれているので、通常のエアスプレーを使用するときと比較すると1.5倍以上の塗着効率です。
ABAC温風低圧塗装機を用いると、光触媒コーティング塗料の使用量を大幅に削減できることはもちろんのこと、サーッと吹き付けただけで光触媒コーティングができるので、塗り重ねる必要がなく、1回の塗布で美しく仕上げることができます。
光触媒コーティング剤専用ノズルを用いる
光触媒コーティング剤は、ペンキを塗装するような大口径のスプレーガンノズルではなく、小口径のものを利用します。口径はφ0.3~φ0.5mmが理想です。
大口径のものですと、液剤が霧状になるので、塗りむらが出来やすいためです。
また、そのノズルは光触媒コーティング剤やプライマーの塗装以外のものに利用しないことをおすすめします。なぜなら、ノズルに別の成分が付着していると、光触媒コーティング剤の成分に悪影響を及ぼし、耐久性や効果が落ちてしまう可能性があるからです。
塗布面の素材にあった光触媒コーティング剤を薄く均一に塗る
弊社製品は、クリア塗装でも十分に効果が出て、しっかり定着するように、酸化チタンやその他の成分の量を調整しています。外壁用や内装用、ガラス用など、用途に合った光触媒コーティング剤を塗布してください。
クリア塗装をするときには、光触媒コーティング剤を薄く均一に塗ることが大事です。先ほどご説明したように、薄く塗っても厚く塗っても、光触媒の効果は同じです。
弊社の光触媒コーティング剤の施工講習会ご案内
弊社では、光触媒コーティング剤を正しく塗装する方法を、座学と実習で学ぶことができる施工講習会を随時開催しています。
内壁や外壁、ガラス面への光触媒コーティング塗装を練習するだけでなく、光触媒の基礎知識や、光触媒コーティング施工の販売方法なども学べ、光触媒コーティングを事業として取り入れたい企業様に最適な講習会です。
また、施工講習会を受けられる方を対象とした、すぐに光触媒コーティング事業を始めるための塗装機材や練習の液剤がセットになった「光触媒コーティング施工スタートパック」の販売もしています。
光触媒コーティングを事業として取り入れたい企業様は、ぜひご利用ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。