
光触媒コーティング塗装には寿命があります。
何年も経過すると、光触媒コーティングの効果が落ちてくるものです。
光触媒コーティングを外壁に塗装してから何年も経過した後は、何を上塗りするかが気になることと思います。
もう一度、光触媒コーティングをしてくださったら良いのですが、「ペンキを塗り替えて別の色に変えたい」と思われる方もいらっしゃいます。
この記事では、光触媒コーティング塗装した外壁に、ペンキを上塗りできるかどうかについて、解説いたします。
光触媒コーティング剤によって
ペンキ塗り替えの可否が異なる
光触媒コーティング剤は、各社メーカーの製品によって、その上からペンキを塗って良いかどうか、異なります。
その違いは、使用している成分によります。
光触媒コーティング剤に使用されている成分によっては、その上からペンキを塗り替えすると、ペンキが剥離しやすいものと、剥離しにくいものがあります。
ペンキが剥離しやすい成分を利用した光触媒コーティング剤を塗装していた場合は、その光触媒コーティング剤を完全に剥がしてからでないと、ペンキを上塗りすると、部分的にペンキが剥がれ落ちる可能性があるのです。
その成分の違いについて解説していきたいと思います。
光触媒コーティング剤に使用される成分
光触媒コーティング剤に使用される成分をご紹介します。その成分によって、ペンキに塗り替えができるかが異なります。
光触媒コーティング剤に使用される成分
光触媒コーティング剤に使用される成分は、次の通りです。
- 光触媒成分
- 接着成分(バインダー)
- その他
光触媒成分には、主にアナターゼ酸化チタンが用いられます。アナターゼ酸化チタンを外壁に付着させることができたら、昼間の紫外線がある時間帯は、防汚効果を発揮します。
接着成分(バインダー)は、アナターゼ酸化チタンを外壁に接着させるための成分です。
その他の成分は、水や界面活性剤、アルコール類などの成分になります。水はどの光触媒コーティング剤にも添加されています。界面活性剤やアルコール類といったものは、光触媒コーティング剤を塗布したときに、液剤が霧状になりやすくしたり、壁面に付着しやすくするために使用されます。
ペンキに塗り替えができるかどうかは、バインダーの種類によって異なります。
ペンキに塗り替えできない光触媒コーティング剤のバインダー
さて、ペンキに塗り替えできない光触媒コーティング剤に添加されているバインダーは、フッ素樹脂です。
光触媒は、外壁に付着する汚れだけでなく、樹脂などの有機物を分解する性質があります。ですので、バインダー成分に樹脂が用いられていると、樹脂をも分解してしまい、光触媒コーティングの耐久性が悪くなります。
ところが、一部のフッ素樹脂は光触媒で分解されにくい性質があるので、フッ素樹脂を利用した光触媒コーティング剤が存在します。
フッ素樹脂は、水や油を弾く性質があります。
調理で利用するフライパンには焦げ付きにくいものがありますが、フライパンの表面をテフロンなどのフッ素樹脂で加工されたものです。テフロン加工されたフライパンは、食材がくっつくことを防いでくれます。
これと同じ原理が、バインダーにフッ素樹脂を利用した光触媒コーティングにも起こります。つまり、ペンキを弾いてしまうのです。
外壁にフッ素樹脂を用いた光触媒コーティング剤が残っていると、その上からペンキを塗装したら、ペンキが剥がれやすいのです。「フッ素樹脂バインダーは、ペンキと相性が悪い」と言えます。
ペンキに塗り替えができる光触媒コーティング剤のバインダー
光触媒コーティング剤によっては、フッ素樹脂を用いていないものもあります。弊社の光触媒コーティング剤もそうなのですが、バインダー成分にアモルファス酸化チタンを用いたものが、それに当たります。
アモルファス酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンとは異なり、結晶構造を持たない二酸化チタンです。液剤になったアモルファス酸化チタンを外壁に塗布すると、乾燥したら強固に付着する性質を持っています。その性質を利用して、バインダーとして利用されています。
アモルファス酸化チタンも、酸化チタンですから、光触媒であるアナターゼ酸化チタンによって分解されることはありません。ですので、樹脂系よりも耐久性が高くなる可能性があります。
なお、「可能性」と書いたのには理由がありますが、この理由については別の機会に述べたいと思います。
ペンキの塗り替え可否まとめ
光触媒コーティング塗装をした外壁にペンキを塗り替えできるかどうかの違いをまとめると、次の表のようになります。
接着成分(バインダー) | ペンキに塗り替え |
---|---|
フッ素樹脂 | できない |
アモルファス酸化チタン | できる |
フッ素樹脂を使った光触媒コーティング塗装の上からペンキを塗装したい場合は、できれば光触媒コーティング剤を剥離してから行う方が良いです。ですが、この作業は現実的ではありません。外壁を研磨するほどの作業が必要になるからです。
これから外壁の光触媒コーティング塗装を行いたいとお考えの方は、バインダーにアモルファス酸化チタンを使った光触媒コーティング剤をご利用なさった方が良いと思います。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。