光触媒の活性とは?
光触媒の活性とは、光触媒成分が光エネルギーを受けて光触媒の性質を発揮している状態のことです。
光触媒には、いろいろな種類があります。光触媒は光が当たると活性化しますが、光触媒の種類によって、活性する光の種類が異なります。
光には、青色の光や緑色の光、黄色の光、赤色の光といった光の種類があります。その光の種類は、光子が持つ波長によって色が異なります。次の図は、波長と光の色の関係を表したものです。
波長が短い光は紫色、波長の長い光は赤色になります。紫色から赤色までの波長の光は、目に見えるので、「可視光」といいます。それよりも短い波長のものを紫外線、長いものを赤外線といいます。このように、光はたくさんの種類に分類されています。そして、光触媒は種類によって、活性化する光の種類が異なります。
酸化チタン光触媒が活性化する光の種類
光触媒の種類によって活性化する光の種類が異なりますが、酸化チタン光触媒が活性化する光の種類は紫外線です。波長で言うと、380nmよりも短い波長の光になります。それよりも波長の長い光が当たったら、酸化チタンはほとんど活性を示しません。
活性を示さないということは、触媒の効果を発揮しませんから、紫外線が当たらない環境では、酸化チタンは除菌や防カビ、消臭効果が出ないことを意味あします。
そういったことから、酸化チタン光触媒は、室内の光触媒コーティングには不向きです。
可視光応答型光触媒が活性化する光の種類
酸化チタンは、紫外線にしか反応しませんが、可視光で活性化する光触媒もあります。
除菌や防カビ、消臭などの光触媒の効果を求める場所は、たいていが室内ですから、室内の光、つまり可視光で活性化する光触媒をコーティングするべきです。そのような、可視光で活性化する光触媒のことを「可視光応答型光触媒」といいます。
可視光応答型光触媒が光触媒コーティング剤として実用化されている成分は、弊社の知る限りでは次の成分です。
- 銅ドープ酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 鉄ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン
- タングステン・ドープ酸化チタン
銅ドープ酸化チタンなどの「ドープ」とは、「担持させた」という意味ですが、簡単に言うと酸化チタンに銅を結合させています。酸化チタンに、銅や窒素などを加えている理由は、酸化チタンの性質を高めるためです。
酸化チタンが基材となり、担持させる銅のことを助触媒といいます。基材となる酸化チタンに助触媒を結合させて、酸化チタンの性質を高めています。酸化チタン単体では、紫外線にしか反応しませんが、それが「酸化チタンは室内では効果がない」という弱点となっていました。酸化チタンに銅や窒素などを担持させると、可視光にも反応するようになります。
光触媒の名称として、ドープを使わないで「銅担持酸化チタン」とか「窒素担持酸化チタン」と呼ばれることもあります。
他にも、酸化チタンを可視光活性させられる助触媒は、たくさん存在しますが、その成分の価格が高価であったり、入手が困難であったり、毒性があったり、効果が弱かったりして、一般利用される製品への実用化には至っていません。
さて、上記の光触媒成分はどれも手にいれやすい成分で、一般利用が可能です。
これら効果は、どれも同じではなく大きな差があります。これらの中で、室内利用したときにもっとも光触媒の効果が高い成分は、「銅ドープ酸化チタン」です。同じ条件の光で活性化したとして、銅ドープ酸化チタンは数倍の効果があります。
銅ドープ酸化チタンをもっと詳しく知りたい方は、「銅ドープ酸化チタンとは?室内でも高い光触媒効果を発揮」をご覧ください。
銅ハイブリッド酸化チタンは?
銅ドープ酸化チタンに似た成分として、銅ハイブリッド酸化チタンというものがあります。銅ハイブリッド酸化チタンは、銅ドープ酸化チタンとは異なり、「酸化チタンコーティング剤に銅イオンを混ぜただけのもの」という意味が一般的です。
銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンに銅を担持させているので、酸化チタンの性質が高まっていますが、銅ハイブリッド酸化チタンは銅イオンを混ぜただけですから、酸化チタンの性能は高まっていません。そのため、紫外線にしか反応しません。
ですから、銅ハイブリッド酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を室内に塗布しても、室内ではほとんど効果が得られないものと思います。
ただし、弊社が光触媒メーカーに卸している銅ドープ酸化チタンを使った液剤を、「銅ハイブリッド酸化チタン」と称して販売している場合もあるので、迷ったら弊社までご相談ください。
銅ハイブリッド酸化チタンと銅ドープ酸化チタンの違いを詳細に知りたい方は、「ハイブリッド光触媒とは?ドープとの違い」をご参照ください。
以上、光触媒の活性について解説いたしました。おさらいになりますが、光触媒の活性とは、「光エネルギーを受けて触媒の効果を発揮すること」です。
光触媒は、種類によって活性化する光の種類が異なります。室内で光触媒の効果を得ようとしたら、室内の光で効果を発揮する光触媒成分「可視光応答型光触媒」を使うことが大事です。
室内の光で最も触媒の効果が高い成分は、銅ドープ酸化チタンです。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。