
家を外壁リフォームするときに、光触媒(ひかりしょくばい)の導入を検討される方が、少なからずいらっしゃいます。
光触媒外壁を導入すると、外壁の汚れを防止してくれるので、家の外壁を美しく保つことができます。
ところが、光触媒の知識がないと、トラブルに見舞われることもあります。
よく耳にするトラブルは、外壁に好きな色を使用できなかったり、2~3年後に外壁が色あせしたりといったものです。
実は、外壁塗装業を専門とする人でも、光触媒の性質をよく知らないで販売している業者さんが少なからずいるという現状があります。
「失敗した!」と思う前に、業者任せにしないで、「光触媒外壁を導入したい」とお考えの方が、正しい知識を持っていることでトラブルを回避できます。
この記事では、外壁リフォームで光触媒を導入する一般の方に向けて、光触媒の基礎知識をわかりやすく解説いたします。
入念にご解説いたしますので長文になりますが、光触媒で美しい外壁を長く保ちたい方は、光触媒を導入して「失敗した」となる前に、ぜひ一読ください。
光触媒の基礎知識(外壁編)
この記事を読まれている方は、光触媒という言葉をご存じのことと思います。光触媒の意味は何でしょうか?
光触媒を外壁に利用すると、「汚れを落としてくれるので、外壁が汚れにくくなる」といったことくらいは、誰でも聞いたことがあると思います。外壁塗装業者さんであれば、最低でもこの程度の知識は持っていると思いますが、この程度の知識で光触媒を導入してしまい、お客様にご迷惑をかけてしまう業者さんもあります。
光触媒塗装を外壁に利用するときに必要な知識を、たとえ話をまじえて解りやすく解説したいと思います。
触媒とは?

光触媒の前に、まず触媒とは何かをご説明いたします。
触媒は、自動車の排気ガスの浄化に用いられている装置でもあります。
自動車のエンジンでは、ガソリンが燃焼されて、その爆発力を自動車が動くためのエネルギーにしています。ガソリンが燃えた後の排気ガスは、パイプで自動車の後方に運ばれて、後ろから排気ガスが出てきます。
自動車の下側をのぞき込むと、運転席の下側付近に、少し大きなパイプがつながれています。そのパイプのことを、通称「触媒」と言われます。
ガソリンが燃焼した後の排気ガスの成分には、水や二酸化炭素の他に、窒素酸化物といった有毒なガスが含まれています。そのガスをそのまま排気すると、空気汚染が進んでしまい、健康を害する人が出てしまいます。そこで、ガソリンの改質だけでなく、自動車に触媒の利用が義務化されました。
排気ガスが触媒と言われるパーツの中を通過すると、排気ガス中の窒素酸化物が分解されて、毒性が下がります。
私達が自動車をメンテナンスするときは、ガソリンの量やタイヤの空気圧を見たり、車内を掃除したりする程度です。触媒のメンテナンスなど、聞いたことがありません。触媒は、一度設置されると、半永久的に排気ガスを浄化し続けてくれるパーツです。
その理由は、排気ガスを浄化しても、触媒自体は劣化したり、変質したりしないという、特殊な性質を持っているからです。
自動車の触媒をご説明しましたが、触媒にはたくさんの種類があります。そして触媒によって、機能するようになるために、条件が異なります。
自動車の触媒には、プラチナ(白金)が用いられています。白金は温度が300℃以上になると触媒の効果を発揮します。排気ガスは高温ですから、それによって温められて300℃以上になり、触媒の効果を発揮するようになって、排気ガスを浄化してくれるようになります。エンジンを始動したばかりの状態では、触媒の温度が低い状態ですから、排気ガスの浄化ができませんが、排気ガスによって温度が上がっていって、窒素酸化物を分解してくれるようになります。
光触媒とは?
光触媒は、光が当たることによって触媒の効果を発揮する物質のことです。
光触媒の材質は、主に酸化チタンが用いられています。酸化チタンは、紫外線が当たることで触媒の効果を発揮して、それに触れているものを酸化分解する性質があります。酸化分解とは、酸化させて水や二酸化炭素といった無害な成分に分解することです。
外壁の汚れが酸素と結合して分解されていても発熱はしませんから、外壁が燃えることはありませんので、ご安心ください。
そして、光触媒も自動車の触媒と同様に、それ自体は劣化することはありませんから、半永久的に効果が持続します。
光触媒が効果を発揮する光の種類
酸化チタンに紫外線が当たると、光触媒の効果が発揮されることをご説明しましたが、光触媒の種類によって、どのような光が当たると効果があるのか異なります。
光は、紫外線以外にも可視光と赤外線があります。可視光にも、紫色の光、青色の光、緑色の光、赤色の光といった具合に、七色の光があります。その違いは、光が持つ波動性の波長の長さによります。「380~400nmの波長の光は紫色に見える」という具合です。

光触媒の種類によって、どのような波長の光が当たると触媒の効果が発揮されるのかが異なります。また、効果の度合いも異なります。
先ほどご紹介した酸化チタンであれば、紫外線が当たることで効果が強く出ます。酸化タングステンと言われる光触媒であれば、効果は弱いですが、紫外線だけでなく、紫色や青色の光でも効果が出ます。
光触媒の外壁利用で得られる効果
自動車の触媒は、窒素酸化物を分解するために利用されましたが、光触媒を外壁に利用することで、外壁の汚れを分解することができます。
光触媒は、光が当たることで効果を発揮しますから、外壁に光が当たっている状態であれば効果を発揮して、汚れが分解されます。
外壁に汚れが付着する理由は、空気中に含まれる微量の油汚れによって、外壁に汚れが付着します。雨水には油分が含まれていて、それが外壁を汚す原因の一つになっています。
外壁に付着した油汚れは、光触媒によって酸化分解される対象ですから、油分が分解されて、それによってくっついていた汚れも落ちていきます。
汚れの中には、しつこい汚れもあります。光触媒を利用していても、しつこい汚れが残ってしまう場合があります。そういった汚れは、光触媒の親水性によって、雨水といっしょに落ちていきます。
親水性とは、水と馴染む性質のことです。親水性の反対が撥水性です。
次の図をご覧ください。外壁に付着した汚れは、光触媒と接触している部分は酸化分解されて、落ちやすい状態になります。雨が降ったときに、外壁に水が馴染んで、汚れの間に入り込んでいきます。すると、汚れが雨水といっしょに落ちていきます。このようなメカニズムで、外壁が汚れにくくなります。

一般的な外壁には酸化チタン光触媒
光触媒が機能するためには、光触媒の種類に応じて効果を発揮する光が当たることが条件でした。外壁に光触媒を利用する場合は、外壁に当たる光がどのような種類の光なのかによって、光触媒の種類を適切に選ぶことが大切です。
外壁に当たる光は、直射日光がほとんどです。直射日光には、紫外線がたくさん含まれていますから、紫外線によって強く触媒効果を発揮する酸化チタンを選ぶことが適切です。
酸化チタンは、紫外線の強さによって高い防汚効果を発揮する成分ですので、外壁に利用される光触媒の種類は、酸化チタンが一般的です。外壁に酸化チタン光触媒を塗装しておくと、直射日光の紫外線によって汚れが分解されて、雨が降ったときに汚れが落ちていくようになり、外壁が美しい状態に保たれます。
酸化チタンの塗装方法には、次の3種類あります。
- 光触媒塗料を塗装する方法
- 光触媒コーティング剤を塗装する方法
- 光触媒外壁材を用いる方法

光触媒塗料とは、ペンキのような顔料の入った塗料に光触媒が添加されたものです。光触媒コーティング剤とは、光触媒成分が入った水のような粘性の液剤で、スプレーガンで塗装するものです。光触媒外壁材とは、光触媒成分が塗布された外壁材のことです。
後ほどそれらの解説や効果の違いなどをご説明いたします。
直射日光が当たらない外壁は?
酸化チタンは、紫外線が当たることで触媒の効果が発揮されます。ところが、外壁の場所によっては、直射日光が当たらないところもあります。例えば、北側の外壁や建物が隣接している外壁、大きな木が生えていて陰になってしまうような外壁です。
そのような外壁には、直射日光が当たりませんし、当たったとしても短い時間だけの場合もありますから、酸化チタンでは防汚効果が発揮されない場合もあります。
また、そういった場所は空気中の汚れだけでなく、コケやカビといった黒い汚れや緑の汚れが発生することも多々あります。
コケやカビは有機物ですから、光触媒によって分解される対象です。ところが、コケやカビが発生しやすい場所は直射日光が当たらない場所ですから、酸化チタンではコケ防止やカビ防止といった効果が発揮されにくいという難点があります。つまり、酸化チタン外壁ではコケやカビを防止できない場合があります。
光触媒外壁材を用いて住宅を建てたユーザー様が、2~3年ほど経過して「北側の外壁にカビが発生した」と工務店にクレームをされる場合もあり、弊社にカビ対策のご相談をいただくこともあります。
そのような直射日光が当たらない場所では、紫外線がほとんど当たらないので酸化チタンがほとんど効果を発揮しませんから、別の種類の光触媒を選ぶ必要があります。プロの料理人が包丁を使い分けるように、外壁の場所に応じた最適な光触媒の種類があり、使い分けが必要です。
そのような直射日光が当たらない外壁におすすめの光触媒は銅ドープ酸化チタンと言われる特殊な光触媒です。
銅ドープ酸化チタンとは?

銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタンに酸化銅を結合させた光触媒です。
酸化チタンは紫外線にしか効果を発揮しませんが、酸化チタン結晶の表面にナノサイズの酸化銅を結合させることで、紫色や青色の光でも強く触媒効果を発揮します。
また、ナノサイズの酸化銅が、光が当たっていない状態でも触媒効果を発揮するため、夜間でも効果があります。
「直射日光が当たる場所でも、銅ドープ酸化チタンを塗装しておけばいいのでは?」と思われたかもしれませんが、やはり直射日光が当たる場所は酸化チタンの方が良いです。酸化チタンの方が直射日光の下では効果が高いことや、銅ドープ酸化チタンは若干価格が高いことを考慮すると、「直射日光の下では酸化チタン」ということになります。
ここまでのまとめ
ここまでの内容をまとめると次のようになります。
- 光触媒は、光が当たると触れているものを酸化分解してくれる
- 外壁に利用すると、汚れを分解してくれ、親水性効果によって雨水といっしょに流れていく
- 直射日光が当たる場所は酸化チタンを用いる
- 外壁の日陰になる部分に発生する黒い汚れや緑汚れを防止したい場合は、銅ドープ酸化チタンを利用する
外壁に光触媒を利用する方法
光触媒が外壁の汚れを防止してくれることや、酸化チタンや銅ドープ酸化チタンの使い分けを、ご理解いただけたことと思います。
外壁の光触媒利用の種類
酸化チタンや銅ドープ酸化チタンを外壁に利用する方法は、先ほどご説明したように、次の3種類です。
- 光触媒塗料を用いる
- 光触媒コーティング剤を用いる
- 光触媒外壁材を用いる
光触媒塗料とは、ペンキのような顔料の入った塗料に光触媒成分が入ったものです。
光触媒塗料はすでに色が着いているので、塗装するとその色が外壁に付着します。青色の光触媒塗料を塗装すると、外壁が青色になります。
光触媒コーティング剤とは、光触媒成分が入った透明な塗装ができる液剤のことです。透明な塗装のことを、クリア塗装といいます。
光触媒コーティング剤は、透明な液体です。光触媒コーティング剤を塗装しても色が出ませんから、外壁の色がそのまま見えます。
光触媒外壁材とは、光触媒が練り込まれた樹脂を利用したり、光触媒塗料が塗装されている外壁材のことです。
光触媒塗料の塗装方法
光触媒塗料は、大手の塗料メーカーが製造していて、すでに光触媒成分が混ぜてあるので、それを塗装するだけです。ペイントローラーや刷毛で塗装ができるので、手軽に光触媒を外壁に利用できます。
簡単に塗装ができるので、自分で塗装をしたいという方も、光触媒塗料を選ばれる方は多いと思います。
外壁リフォームをするときは、外壁にそのまま塗装することができるので、塗装費用は光触媒コーティング剤と比べたら安く済みます。
光触媒コーティング剤の塗装方法
光触媒塗料のように顔料が入っていませんが、厚く塗装し過ぎると、光触媒成分特有の白色が出てしまうことがあります。そのため、塗装には専用の塗装機械やスプレーガンを用いて、均一に塗装する必要があります。
一般の方がネット通販で光触媒コーティング剤を購入し、刷毛で塗装したところ「シミになってしまった」という人もいます。光触媒コーティング剤は、専用の業者に依頼して施工してもらうことになります。
外壁リフォームのときは、外壁用塗料を塗装した後に塗料が乾いたら、その上から光触媒コーティング剤を塗装しますが、その前に下地保護剤を塗装しておく必要があります。
外壁への光触媒利用のデメリットと対策
光触媒コーティング剤を利用するとコストが高くなってしまいますから、「光触媒塗料を利用したらいいのではないか?」とお考えのことでしょう。ところが、そのようにうまくいかない場合があるのが、光触媒です。
ここでご説明することを知らない業者さんに依頼すると、2~3年後に「失敗した」となります。
光触媒塗料や光触媒外壁材に利用されている光触媒の種類
光触媒塗料や光触媒外壁材に用いられている光触媒の成分は、酸化チタンが一般的です。それ以外の光触媒の種類が入れられた製品は、販売されているかもしれませんが、弊社では見たことがありません。
今現在のところ、銅ドープ酸化チタンが用いられている光触媒塗料や光触媒外壁材はありませんから、銅ドープ酸化チタンを用いたい場合には光触媒コーティング剤を利用するしかありません。
光触媒塗料や光触媒外壁材には酸化チタンが用いられているので、直射日光が当たる場所であれば、防汚効果がありますが、日陰になる場所では効果が著しく弱くなります。
ときどき他社製品のクレームで耳にすることですが、「光触媒塗料を利用したのに、北側の壁が汚れてしまった」というクレームがあります。先ほどもご説明したように、北側の外壁は直射日光が当たりませんから、酸化チタンがほとんど効果を発揮しないため、防汚がしっかりできない場合があります。
光触媒コーティング剤には、用途別に酸化チタンと銅ドープ酸化チタンがそれぞれ利用されている製品があるので、使い分けができます。
光触媒塗料の劣化
光触媒塗料には、酸化チタンが用いられていますが、直射日光が当たることで、有機物を分解する強い効果があります。その分解する効果が、光触媒塗料そのものにも作用します。
つまり、光触媒塗料自体が劣化します。
光触媒塗料には、顔料と接着剤が用いられています。顔料に有機顔料、接着剤に有機バインダーを用いていると、それらも酸化チタンによって分解される対象となります。

光触媒塗料を使った人から聞かれるクレームとして、「3年後に色あせが起きた」とか「塗装に小さなヒビがたくさん発生した」というものがあります。色あせをして、チョーキングと言って手で触ったら手が白くなってしまう現象が起こる場合もあります。
色あせやヒビは、光触媒を使っていない一般的な塗料でも発生することですが、光触媒塗料ですとその劣化が早まります。
光触媒塗料を選ぶ場合には、無機顔料や無機バインダーを用いたものを選ぶことをおすすめします。無機顔料や無機バインダーを用いていた光触媒塗料は、種類が本当に限られるので、外壁の色をたくさんの種類から選びたい方は、光触媒コーティング剤を選んでください。
光触媒塗料が劣化する可能性があることは、本来ならそのような知識は塗装業者さんが持っておくべきですが、知らない人が少なからずいらっしゃるので、外壁リフォームをしたいとお考えの方が、知識を持っておいた方が良いです。そして、塗装業者さんに指摘してあげた方が良いです。
光触媒コーティング剤を塗装する前の下地塗装
では、「光触媒コーティング剤を利用したら劣化しないのか?」と言われるとそうでもありません。
光触媒は、下地の外壁用塗料も酸化分解する性質があるので、光触媒コーティング剤を塗装した外壁用塗料の表面が分解されてしまいます。すると、色あせやチョーキングが発生してしまいまs。
外壁用塗料は、紫外線が当たり続けたらいずれは色あせをしてきて、チョーキングが起こりますが、光触媒コーティング剤がその劣化を早めてしまいます。
それを防止するために、光触媒コーティング剤を塗装する前にあらかじめ下地保護剤を塗装しておきます。
この下地保護剤のことを「プライマー」といいます。光触媒コーティング剤を塗装する場合は、プライマーを塗装しておき、その上から光触媒コーティング剤を塗装します。
外壁リフォームで光触媒コーティング剤を利用する場合は、1.外壁用塗料の塗装、2.プライマーの塗装、3.光触媒コーティング剤の塗装といった具合に手間がかかるので、光触媒塗料を用いることと比較すると、塗装費用が高くなります。

プライマーの劣化
光触媒コーティング剤が塗装面の劣化を加速させてしまうことや、それを防ぐために下地保護剤「プライマー」をあらかじめ下地塗装しておくことをご説明しました。
ところが、光触媒メーカーによってはプライマーが直射日光で劣化してしまうものがあります。下地を保護するためにプライマーを塗装しておいたのに、直射日光でプライマーが劣化してしまい、光触媒によって塗装面の劣化を加速させてしまう場合があるのです。
そうなると、何のためにプライマーを塗装しておいたのか、本末転倒です。
外壁リフォームで光触媒コーティング剤を利用する場合には、劣化しにくいプライマーを利用することが大切です。
ちなみに、このようなプライマーの劣化を世界で初めて指摘し、劣化しにくいプライマーを開発したのは弊社です。
プライマーを利用しなくても良い光触媒コーティング剤は?
光触媒コーティング剤の種類によっては、プライマーを利用しなくても良い製品も市販されています。そのような製品は、「何かおかしいぞ」と思われたことでしょう。
光触媒コーティング剤が塗料を劣化させないということは、汚れの分解が出来ないことも意味しているわけです。つまり、外壁の防汚効果が弱い製品だと言えます。
外壁リフォームで光触媒コーティング剤を選ぶ場合には、劣化しにくいプライマーを販売しているメーカーの製品を選ぶことが大切です。

打ちっぱなしコンクリート外壁への光触媒利用
最近では、打ちっぱなしコンクリート外壁を利用される住宅が増えてきました。外見がモダンでオシャレな住宅です。
打ちっぱなしコンクリート外壁も雨水によって汚れてきますが、光触媒塗料を利用すると色が着いてしまうので、打ちっぱなしコンクリートの質感が損なわれてしまいます。そこで、クリア塗装ができる光触媒コーティング剤を利用します。
光触媒は、親水性によって水分を引き寄せる性質があります。コンクリートに直接光触媒コーティング塗装をすると、光触媒の性質によって水分を引き寄せてしまって、コンクリートが湿気やすくなります。
コンクリートは、湿気を吸い込んでいってしまい、中性化と言ってコンクリート内部のpH(ペーハー)がアルカリ性から中性になっていきます。すると、内部の鉄筋が錆びてしまい、鉄筋コンクリートにヒビが発生し、中性化がさらに進んでいって、鉄筋コンクリートの強度が弱まってしまいます。
そのように、打ちっぱなしコンクリートに直接光触媒コーティング剤を塗装することが、鉄筋コンクリートの劣化促進につながるので、セラミックプライマーを下地剤として用います。セラミックプライマーは、防水塗装ができる塗料で、クリア塗装ができるので打ちっぱなしコンクリートに光触媒コーティング剤を塗装するときに、とても相性が良いのです。
打ちっぱなしコンクリートに光触媒コーティング剤を塗装するときは、光触媒による鉄筋コンクリートの劣化促進を防ぐために、あらかじめセラミックプライマーを塗装しておくことが大切です。

バインダーにフッ素樹脂を用いている光触媒コーティング剤のデメリット
バインダーとは、接着成分のことです。光触媒コーティング剤には、光触媒成分とバインダー成分が添加されていて、バインダー成分によって光触媒成分が接着されます。
光触媒コーティング剤のバインダー成分には、次の2種類のどちらかが利用されています。
- アモルファス酸化チタン(無機バインダー)
- フッ素樹脂(有機バインダー)
アモルファス酸化チタンとは、酸化チタンを主成分としたバインダーで、無機物ですから無機バインダーの一種です。フッ素樹脂は、樹脂系のバインダーで、有機物ですから有機バインダーの一種です。
先ほどから光触媒によって有機物が分解されることを何度か述べましたが、フッ素樹脂は有機物ですから、光触媒によって分解される対象物です。つまり、フッ素樹脂を用いた光触媒コーティング剤は、耐久性が悪い可能性があります。
中には、ナフィオンのように、光触媒によって劣化しにくいフッ素樹脂もありますが、基本的に劣化するものとお考えください。
アモルファス酸化チタンを使った外壁用光触媒コーティング剤の耐久性は、製品によっては20年以上ありますが、フッ素樹脂を用いたものは長くても10年です。外壁リフォームは足場を組んだりして費用が高くなりがちですから、なるべく耐久性の高いものを利用したいものです。
さらには、フッ素樹脂は何でも弾いてしまう性質があるので、フッ素樹脂を用いた光触媒コーティング剤を塗装しておくと、その上から光触媒コーティング剤を再塗装したり、塗料を塗装したりすると、それらを弾いてしまう可能性があります。
このようなことで、光触媒コーティング剤を選ぶ場合には、アモルファス酸化チタンを使ったものをおすすめしたいと思います。
イリスの光触媒コーティング剤
弊社は、光触媒コーティング剤のメーカーです。弊社では、上記のような対策がなされた外壁用業務用製品として、次の製品をご用意しています。
- 屋外用光触媒コーティング剤(BX01)
- 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)
- 屋外用プライマー(ASS01)
- コンクリート用プライマー(セラミックプライマー)

屋外用光触媒コーティング剤(BX01)は、酸化チタンを使った外壁用光触媒コーティング剤です。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、銅ドープ酸化チタンを使った製品ですが、外壁にもご利用いただけます。
どちらもバインダーにアモルファス酸化チタンを用いているので、外壁利用の耐久性は最低でも10年以上、環境によっては20年以上効果が持続する場合もあります。
屋外用プライマー(ASS01)は、例の劣化しにくいプライマーです。光触媒コーティング塗装をする外壁の下地が、ペンキや樹脂などの有機物の場合には屋外用プライマー(ASS01)を塗装してから、光触媒コーティング剤を塗装します。
コンクリート用プライマー(セラミックプライマー)は、打ちっぱなしコンクリート外壁に光触媒コーティング剤を塗装するときの下地剤として利用します。コンクリート用プライマー(セラミックプライマー)は、防水性が高くクリア塗装ができる塗料です。
家の外壁の光触媒コーティング施工事例
次の写真は、一般のご家庭の施工例です。施工から10年が経過したものです。お向かいさんの外壁の間の直射日光が射さない外壁ですから、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装しています。

お向かいさん宅の外壁は、光触媒を利用していませんので、3年ほどでコケなどの汚れが発生しました。5年ほどして外壁塗装リフォームをされましたが、また数年で汚れてしまいました。弊社製品を塗装された外壁は、何もメンテナンスしていなくても白さを保っています。
この事例は、今現在施工から20年ほど経過しましたが、まだ白さを保っているので、外壁リフォームはなされていません。
このように、光触媒コーティング剤を適切に選んで塗装することで、外壁の美しさを保つことができるので、初期費用は高くなったとしても、トータルで外壁リフォームのコストを下げることができます。
外壁の光触媒コーティング施工なら
イリスにご相談ください
弊社は、光触媒コーティング剤のメーカーですが、弊社でも外壁の光触媒コーティング施工のご依頼を承っています。
弊社では全国に、弊社製品を扱う施工代理店があるので、施工のご相談を頂きましたら、最適な施工代理店を選んで、ご連絡させていただきます。
また、施工のご依頼だけでなく、光触媒コーティング施工を事業として導入したいとお考えの企業様からのご相談も承っています。そのような企業様に製品を卸販売するだけでなく、有料となりますが施工技術の講習会を開催しています。また、PRのための販促デザインなどは無料でご提供しています。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。