
エチレンガスは、植物が出す植物ホルモンの1種です。そのエチレンガスは、植物の熟成を促進する働きと同時に鮮度を落とす働きが有ります。
エチレンガス除去装置についてご関心のある方は、ご存じのことと思います。
野菜や果物を保管する倉庫内のエチレンガス濃度を下げることができれば、それらの鮮度が落ちにくいため、長期保存できます。
エチレンガスの分解は、光触媒で容易に行えます。その光触媒を使ったエチレンガス除去装置を、イリスで開発した実績があります。
この記事では、将来性のある光触媒によるエチレンガス除去装置について、解説します。
エチレンガスを除去できると何がいいのか?
野菜や果物を保管している倉庫には、エチレンガスが充満します。そのガスによって、野菜や果物は自ら鮮度を落としていきます。
エチレンガスを除去できれば、野菜や果物は長持ちをし、品種によっては数か月も収穫したままの状態を保つこともできます。
収穫した野菜や果物を、臭覚時のまま保管することができれば、例えば夏に収穫したイチゴを、クリスマスシーズンに美味しい状態で提供することもできるかもしれません。
つまり、収穫量の多い時期に安く仕入れた野菜を、価格が上昇してから販売することによって、年中安定供給ができるばかりか、野菜の価格をフラットにできます。
野菜や果物を保管している倉庫のエチレンガスの分解は、それだけ価値の高いものでもあります。
そういったことで、野菜や果物の倉庫業を経営されている企業様にて、エチレンガス対策を導入されているところが増えています。
エチレンガスの主な除去方法
エチレンガスの主な除去方法は、コスト的には次の4種類が主なものと思います。
- 換気
- 酸化チタン光触媒を用いたエチレンガス除去装置による分解
- 活性炭による吸着
- オゾンによる酸化分解
野菜倉庫は、常温と冷蔵があります。常温でも、換気をすると外気を取り入れるので、真夏の暑い日では、その暑い空気が倉庫内に入り込んで倉庫内の温度が上昇し、野菜や果物が傷んでしまうこともあります。
また、冷蔵倉庫では、真夏の電気代のことを考えると、換気よりもエチレンガス除去装置を利用する方が、トータルコストを抑えられる場合もあります。
発熱の少ないエチレンガス除去装置は、光触媒を使った装置です。光触媒を使ったフィルターに光を当てるだけで、それに触れるエチレンガスを分解除去することができます。光触媒を使ったエチレンガス除去装置は、いろいろなメーカーが販売していますが、効果の高い装置を選ぶことが大切です。
光触媒とは?
光触媒とは、光が当たることで、触媒効果を持ち、触れるものを分解します。
触媒ですから、エチレンガスを分解しても、光触媒そのものは劣化しませんので、光が当たり続ける限り半永久的にエチレンガスを分解してくれます。
光触媒は、光が当たることで表面にOHラジカルを発生させます。OHラジカルは強い酸化力を持つ物質で、エチレンガスを酸化分解する性質があります。光触媒はOHラジカルを発生させても、光触媒自体は劣化しません。

光触媒にはいろいろな種類があり、効果の高さや、効果を発揮する光の種類が異なります。
例えば、酸化チタン(アナタース型結晶)の微粒子がもっとも利用されています。酸化チタンは、紫外線が当たることで、OHラジカルを発生させます。
わざわざ紫外線を当てないと効果を発揮しない酸化チタンですが、なぜ酸化チタンが利用されているのかと言いますと、もっとも効果が高いことで知られているからです。
光触媒によるエチレンガス除去装置概要
光触媒によるエチレンガス除去装置について、もう少し詳しく解説いたします。
光触媒を使ったエチレンガス除去装置の原理
光触媒を、フィルター表面に塗布し、チャンバー内に設置して光を照射するわけです。
光触媒は、微粉末ですから、それをそのままフィルターに塗布することはできません。ゾルゲル法と言われる方法で、光触媒成分を水と馴染ませます。その中にコーティング剤を添加し、光触媒コーティング剤にします。その液剤をフィルターに塗布します。
フィルターの耐久性を考慮すると、例えばステンレスメッシュに光触媒コーティング剤を塗布する方法もあります。ステンレスメッシュの表面に光触媒コーティング剤を塗布し、それを加熱して強固に定着させます。
そのような光触媒コーティングしたフィルターのことを、「光触媒フィルター」と名付けたいと思います。加熱する温度は200℃程度が良いと思います。
光触媒フィルターをチャンバー内に設置し、そこに紫外線ランプなどで光を当てると、エチレンガスを分解し始めます。
エアコンや冷蔵ユニットなどに接続する方法もありますし、チャンバーにファンを設置する方法もあります。
どのような光触媒の種類を選べば良いのか?
光触媒にはいろいろな種類があります。紫外線を照射できるのであれば、酸化チタンが良いと思います。弊社では、酸化チタンでの試験で、エチレンガスの分解に成功しました。
紫外線ランプではなく、一般的なLED照明や青色LEDでエチレンガスを分解したい場合は、銅ドープ酸化チタンを利用します。
装置の概略
光触媒フィルターを使ったエチレンガス除去装置の概略は、次の図になります。

装置の入り口に、不織布フィルターを設置して、装置内に異物が入らないようにすることも、必要のことと思います。
ファンを内蔵すれば、パッケージ型になります。
光触媒によるエチレンガス除去装置の
メリット・デメリット
光触媒によるエチレンガス除去装置は、まだ世間一般的に進化途上ですから、実機にてメリットやデメリットの検証は必要ですが、今現在考えられる一般的なメリットとデメリットをご説明します。
メリット
光触媒によるエチレンガス除去装置のメリットは、
- 電気代がほとんどかからない
- 発熱しにくいので、倉庫内の温度にほとんど影響を与えない
- 構造が簡単なので、メンテナンスが容易
- 光触媒フィルターとランプの数で性能の調節ができる
- メンテナンスコストがほとんどかからない(不織布フィルターの交換のみ)
デメリット
光触媒によるエチレンガス除去装置のデメリットは、
- 電気がないと効果が無い
- エチレンガスは空気よりも軽いため、装置を天井近くに設置する必要がある
- まだ進化途上のため、エチレンガス分解能力の検証が必要
以上、エチレンガス除去装置について解説いたしました。
エチレンガス除去装置は、今後需要が伸びる装置だと思います。
光触媒を使ったエチレンガス除去装置のことなら、イリスまでお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。
