
以前に、リフォーム後の匂いを除去する方法で、ある業者さんが顧客対応に失敗して、酷いクレームに遭いました。
その対応で、弊社にご相談があり、対策させていただきましたが、その経験を元に、リフォーム後の匂いを除去する方法について、解説させていただきます。
リフォーム後の匂いの除去を求められた工務店様や、リフォーム後の匂いにお困りの施主様の参考になればと思います。
リフォーム後の匂いのクレーム
なぜクレームになったのか?
都内の工務店様が、マンションにお住まいの施主様から、「畳の部屋をフローリングにしてもらいたい」とリフォームのご依頼を受け、施工をされました。
施工された部屋は美しく仕上がり、施主様も気に入っておられましたが、一つだけ問題がありました。それは、表題にもあるように、「リフォーム後の匂い」でした。
リフォーム後の匂いは、人によっては感じ方が異なります。時間が経過すると消えていくため、気にならなければそれで良かったのですが、不幸なことに、施主様が「涙が止まらない」とか「喉がイガイガするようになった」と訴えて来られたのです。
そのときの工務店の担当者様は、匂いについてのクレームは初めてのことだったために対応に戸惑い、また体調不良と重なってしまい、対応が後手後手になってしまいました。そのため、施主様からたくさんの叱咤を受ける始末でした。
クレーム後の対応
担当者様は、上司や社長に相談したところ「お客様にご迷惑をかけたのだから、誠心誠意対応する」ということになり、リフォームした箇所を元の状態に戻しました。
それでも、不信感を持ってしまっている施主様は、「匂いが消えていない。まだ涙が出る」といったクレームをなされ、ホルムアルデヒド対策ができる空気清浄機を設置されたり、室内のものをバルコニーで干したりして、対策をされました。
そして、1ヶ月ほどしても匂いが取れないということで、弊社にご相談をいただきました。
弊社の対応
弊社が現地調査でご訪問させていただき、臭気測定やVOC濃度測定をさせていただきました。
測定した結果の判定は、厚生労働省の「室内空気中化学物質の室内濃度指針値について」を参考にしています。
私どもはアレルギーやシックハウスの専門家ではございませんので、お客様には病院にてアレルギー検査を受けていただきたいことをお伝えしつつ、次のことをお伝えしました。
- 銅ドープ酸化チタンによる化学物質分解のメカニズム
- 光触媒コーティング施工の方法
- 換気を常に行うこと
お客様がお話ししたいことをすべて伺いながら、科学的な説明をわかりやすく丁寧にご説明してご納得いただきました。話した内容はメモを残し、念のため録音をさせていただいて対応いたしました。
一般的な対策ではリフォーム後の匂いが消えにくい理由
一般的な対策とは、主に次のような対策です。
- 市販の消臭スプレーの利用
- ホルムアルデヒド対策ができる空気清浄機の利用
- 部屋を加熱して化学物質を揮発させ排気する「ベイクアウト」
リフォーム後の匂いの原因は、リフォームで使用した建材や接着剤などから揮発してくる化学物質の匂いです。
市販の消臭スプレーは、「匂い成分を包み込んで消臭」と謳っているものもありますが、そのような性質のものは、化学物質は消えていませんから、匂いが無くてもシックハウスの原因物質は残る可能性があります。
ホルムアルデヒド対策ができる空気清浄機ですが、これもリフォーム後の匂い対策では効果が無いものがあります。その理由は、リフォーム後に発生する化学物質は、ホルムアルデヒドだけではないからです。さまざまな種類の化学物質を吸着できる活性炭フィルターを使った空気清浄機でしたら、対策ができると思いますが、ホルムアルデヒドを分解するタイプのものは対策ができません。
部屋を加熱して化学物質を揮発させ排気する「ベイクアウト」ですが、部屋を加熱して化学物質を揮発させると、その化学物質が別の部屋にも回っていき、今度は他の部屋で化学物質の匂いがする場合があります。しかも、化学物質を本当に揮発させたい場合は、室内をサウナ並みに加熱する必要がありますが、そのような加熱は建物を傷めてしまう恐れもあります。
銅ドープ酸化チタンによる分解消臭と継続性
弊社がおすすめする方法は、銅ドープ酸化チタンによる分解です。
銅ドープ酸化チタンにて分解を確認した化学物質

銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタンと酸化銅を結合させたナノサイズの微粒子です。
銅ドープ酸化チタンは、ホルムアルデヒドをはじめ、いろいろな化学物質を分解する性質があることで知られています。
弊社の試験では、次のような化学物質の分解を確認しています。
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- アンモニア
- トルエン
- キシレン
- スチレン
- エチレン
- 酢酸
- イソプロピルアルコール
銅ドープ酸化チタンは、いろいろな種類の化学物質を分解する性質の他に、「化学物質を分解しても銅ドープ酸化チタン自体は変質しない」という性質があります。つまり、化学物質を分解し続けてくれるのです。
このような性質を持つ銅ドープ酸化チタンを部屋全体に塗布しておくことで、建材などから揮発してくる化学物質を連続的に分解することができます。
なぜ銅ドープ酸化チタンは効果の高さと継続性があるのか?
銅ドープ酸化チタンが化学物質を分解しても、銅ドープ酸化チタン自体が劣化しない理由は、光触媒の化学物質分解メカニズムにあります。
銅ドープ酸化チタンに白色LEDや蛍光灯などの光が当たると、表面に電子が発生します。その電子は、空気中の酸素や水と反応して、OHラジカルが発生します。OHラジカルは、酸化力の強い活性酸素で、化学物質がOHラジカルに触れると化学物質が酸化分解されます。

さらに、銅ドープ酸化チタンは酸化チタンに結合されたナノサイズの酸化銅が補触媒の効果を発揮して、OHラジカルの酸化力を高めるようで、一般的な光触媒では分解が難しい化学物質をも分解できます。
銅ドープ酸化チタンは電子を発生させても、銅ドープ酸化チタン自体はそのまま変化しませんから、OHラジカルを発生し続けることができます。
そのようにして、銅ドープ酸化チタンはリフォーム後の匂いを分解し続けてくれます。
銅ドープ酸化チタンの施工方法
銅ドープ酸化チタンの施工方法は、銅ドープ酸化チタンを使ったコーティング剤を、リフォームした部屋の中に、全体的に塗布します。
使用するコーティング剤

銅ドープ酸化チタンを使ったコーティング剤は、弊社製品であれば、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の成分は、銅ドープ酸化チタンとアモルファス酸化チタン、水の3種類だけの、完全な水性無機塗料で無臭ですから、化学物質対策に適しています。
よく頂く質問として、「屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗布すると、どのような色になりますか?」と訊かれますが、無色透明です。塗布面には光沢も出ませんから、白色の壁紙であれば、塗布したかどうかわからないくらいの透明感です。
コーティングする面に模様や色があっても、透明な塗装なので、変色しませんから、安心してご利用いただけます。
塗布方法
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗布には、ABAC(アバック)温風低圧塗装機を用います。次の写真は、ABAC温風低圧塗装機SG-91です。

この装置は、温風をスプレーガンに供給し、塗料カップに屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を充填して、部屋中にスプレーします。
このように、専用のスプレー装置を用いるので、リフォームの匂いでお困りの方が、ご自身でスプレーすることは難しいです。施工は、弊社もしくは弊社の製品を扱う施工代理店にご依頼ください。
工務店様であれば、弊社にご依頼いただいてもかまいませんし、ABAC温風低圧塗装機をご購入いただき、弊社の施工講習会をご受講いただけるのであれば、貴社にて施工されてもかまいません。
施工講習会については、光触媒コーティング施工代理店募集のご案内をご覧ください。
以上、リフォーム後の匂いを除去する方法について、銅ドープ酸化チタンを使った施工がもっとも効果的であることをご説明いたしました。
リフォーム後の匂いでお困りの方は、イリスまでお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。
