
ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の原因物質の一つと言われています。
新築住宅を建てたり購入したりして入居すると、ホルムアルデヒドの臭いに悩まされることがあります。
ホルムアルデヒドの消臭をしたいとお考えの方は、よく活性炭や空気清浄機を検討されることと思います。
しかし、活性炭や空気清浄機を利用しても、室内のホルムアルデヒドの臭いは消臭しきれません。理由は、室内の空気中にホルムアルデヒドが漂っている状態だからです。
それに対して光触媒コーティングなら、壁などからホルムアルデヒドが出てくるときに分解消臭ができます。
この記事では、ホルムアルデヒドを消臭したいとお考えの方に、光触媒コーティングのメリットやどのような種類の光触媒を選んだら効果が高いのかをご説明いたします。
新築のホルムアルデヒド消臭方法
新築のホルムアルデヒド消臭方法には、たくさんの方法があります。
- 換気
- 活性炭
- 吸着ポリマー
- 空気清浄機
- 光触媒スプレー
- 光触媒コーティング
これらの消臭方法は、分類するとホルムアルデヒドを排気する方法、吸着する方法、分解消臭する方法の3種類に分けられます。
これらの中で、もっとも基本となる方法が換気です。現在、戸建てを新築すると、24時間換気が義務付けられています。しかし、真冬や真夏などのエアコンを使用する場合には、換気をしたくないこともあります。三菱電機のロスナイといった全熱交換器を使って廃熱利用をする方法もあります。
活性炭や吸着ポリマーは、ホルムアルデヒドを吸着する方法です。
空気清浄機や光触媒スプレー、光触媒コーティングは、ホルムアルデヒドを分解消臭する方法です。それらの製品を選ぶ際には、ホルムアルデヒドを分解消臭できる製品を選ぶことが基本となります。特に光触媒を選ぶ場合には、注意が必要ですから、後ほど詳しくご説明します。
芳香剤などでホルムアルデヒドの臭いをごまかす方法もありますが、ホルムアルデヒドが部屋の中に残ってしまうので、おすすめの方法ではありません。
たくさんの方法がある中で、ホルムアルデヒドに敏感な方は「どれか一つの方法を採用すれば良い」というものではなく、いくつかの方法を組み合わせて対策することが基本となります。
活性炭や空気清浄機のデメリット
活性炭は、部屋に発生したホルムアルデヒドを吸着してくれます。空気清浄機は、ホルムアルデヒド除去ができるタイプのものを選ぶと、分解してくれたりします。そのためには、ホルムアルデヒドが活性炭に触れることや、空気清浄機に吸い込まれないといけません。
ホルムアルデヒドが吸着や分解されるまでは、やはり部屋の中を漂っているわけですから、ホルムアルデヒドを消臭する方法としては、物足りなさを感じるはずです。
活性炭や空気清浄機の数を増やしたり、大容量のものにしたりする方法もありますが、活性炭の設置場所には限界があります。空気清浄機は、ホルムアルデヒド除去ができるものは10万円程度の価格帯のものが多いですから、それをすべての部屋に設置することも費用が掛かり過ぎてしまいます。
光触媒コーティングのメリット
光触媒コーティングとは、ホルムアルデヒドが分解できる光触媒(ひかりしょくばい)と言われる成分を、部屋中にコーティング塗装する方法です。
光触媒は、光が当たって活性化することでホルムアルデヒドを分解する性質を持っています。光触媒を使ったコーティング剤を部屋中に塗装しておけば、壁や天井などから出てこようとするホルムアルデヒドを分解してくれます。

壁などから揮発してきたホルムアルデヒドを吸着や分解をするのではなく、壁から出てこようとするホルムアルデヒドを分解消臭するわけです。すると、部屋の中のホルムアルデヒド濃度を大幅に下げることができます。
次のグラフは、後ほどご紹介する弊社の光触媒製品で行った、ホルムアルデヒドの分解試験結果です。濃度が25ppmの空気を使用して、光触媒を塗布した試験片を入れて、蛍光灯を照射しました。試験を開始するときには、すでに一部が分解されており、2時間後には濃度が1/4に下がっています。

ホルムアルデヒドだけではないVOCの種類
光触媒コーティングに利用される液剤は、種類によって利用されている光触媒成分異なります。室内のホルムアルデヒドを分解消臭するだけなら、比較的どのような光触媒成分でも可能なのです。ところが、新築の臭いはホルムアルデヒドだけでとは限りませんから、光触媒成分を適切に選ぶ必要があります。
部屋の中に漂ってくる化学物質のことを、揮発性有機化合物(VOC)といいます。VOCの種類は、200種類以上あるとも言われています。代表的なものとしては、ホルムアルデヒド以外にも
- アセトアルデヒド
- トルエン
- キシレン
- スチレン
こういった種類があります。神奈川県のホームページ「揮発性有機化合物(VOC)に該当する主な物質」が参考になります。

このようにVOCにはたくさんの種類がありますが、分解消臭をしたい場合には、ベンゼン環を持つVOCは分解の難易度が高まります。
ホルムアルデヒドはどのような光触媒の種類でも比較的簡単に分解消臭ができるのですが、ベンゼン環はそうはいきません。光触媒を活用してVOC対策をするためには、ベンゼン環を持つVOCをも分解消臭ができる光触媒成分を選ぶことを、おすすめします。
そうしないと、せっかく高い費用を出して光触媒コーティングをしても、「新築の臭いが消臭できなかった」という結果になりかねないためです。
VOCを分解消臭できる光触媒成分
銅ドープ酸化チタン

ベンゼン環でも分解ができる光触媒は、銅ドープ酸化チタン(銅担持酸化チタン)といわれる成分です。
銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタン結晶のナノ粒子の表面に酸化銅を結合させた光触媒です。
銅ドープ酸化チタンは、銅の効果によって、室内の光でも強く反応するようになり、なおかつ銅そのものの触媒効果が加わるので、分解が難しいとされるベンゼン環をも分解が可能となります。
トルエンの分解例
次の図は、酸化チタンと銅ドープ酸化チタンに紫外線を照射したときに、トルエンが分解できるかどうかを試験したものです。

酸化チタンは、紫外線が当たるとホルムアルデヒドを分解する性質がありますが、トルエンなどのベンゼン環は分解できないことがわかります。それに対して銅ドープ酸化チタンは、トルエンをもグングンと分解していっていることがわかります。
この試験では紫外線を用いましたが、蛍光灯などの光を当てることでも分解が可能です。
部屋のVOC濃度を下げたい場合
部屋のVOC濃度は、厚生労働省の指針値があります。施主からの依頼によって、この指針値を下回らないと納品できない場合もあります。夏場にはVOCが揮発しやすいので、指針値を大幅に上回ってしまう場合があります。
部屋のVOC濃度を下げたい場合には、部屋を換気することを基本としつつ、室内全体に銅ドープ酸化チタンを塗装し、部屋中に蛍光灯や紫外線ランプを用いて光を照射します。
ホルムアルデヒドの分解であれば、蛍光灯だけでも良いと思いますが、ベンゼン環を分解したい場合には、紫外線ランプを用いた方が良いです。
銅ドープ酸化チタンの塗装方法
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤
銅ドープ酸化チタンを室内に塗装する方法は、銅ドープ酸化チタンが使用された光触媒コーティング剤を用います。
光触媒コーティング剤とは、光触媒成分と接着成分が入った液剤のことです。それをスプレー装置などを用いて塗布します。

弊社の製品であれば、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を用います。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、弊社が世界で初めて銅ドープ酸化チタンを発見し、液剤化に成功した製品です。
この製品の塗装には、専用の塗装装置と光触媒を正しくコーティング施工するための知識や技術が必要です。そのため、施工代理店向けに卸販売をしています。
一般の消費者様が屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)をご利用になられたい場合は、弊社もしくは弊社の製品を扱う施工代理店にご相談ください。施工代理店一覧は、ホルムアルデヒド除去の光触媒コーティング施工代理店をご覧ください。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装装置
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装には、専用の塗装装置を用います。弊社が推奨する塗装装置は、ABAC(アバック)温風低圧塗装機です。次の写真は、ABAC温風低圧塗装機SG-91です。

弊社の光触媒コーティング剤は、ABAC温風低圧塗装機で塗装すると均一に塗装ができるように成分を調整しています。
壁紙クロスなどの平面には、ABAC温風低圧塗装機を用います。トイレの奥といった狭い箇所には、スプレーガンの操作が難しいので、不織布を用いて塗布します。
以上、ホルムアルデヒドの消臭方法について解説いたしました。
活性炭の利用には、新築戸建ての設計段階で導入を検討しておいた方が良いです。空気清浄機を利用する場合は、ホルムアルデヒドを消臭できる機能を備えている機器を用います。
活性炭や空気清浄機は、部屋の中に漂っているホルムアルデヒドを消臭するものですから、部屋の中の臭いは残りやすいです。そこで、部屋全体を光触媒コーティングしておくことで、壁などからホルムアルデヒドが出てくるときに消臭する方法があります。
ホルムアルデヒドの臭いに敏感な方は、これら複数の方法を組み合わせて対策されることをおすすめします。

手軽に部屋のホルムアルデヒドを消臭したい場合には、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒スプレーを利用する方法もあります。
銅ドープ酸化チタンの光触媒コーティング施工を検討されている方は、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒スプレー「アキュートクリーン」で消臭ができるかを確認されても良いと思います。
光触媒コーティングによるホルムアルデヒドの消臭なら、弊社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。