
オフィスの窓にブラインドが利用されていることが多いと思います。
ブラインドは、カーテンと違って、遮光はしにくいですが、上げ下ろしや調光がしやすい製品です。
窓際のブラインドは、直射日光が当たったり、明るい場所にあるので、光触媒の効果が出やすいです。
ブラインドに光触媒コーティング加工をすれば、部屋の消臭や除菌、アレルゲンの分解ができます。タバコを吸っている部屋にもおすすめです。
この記事では、ブラインドに光触媒加工をするときの注意点を全般的にご説明いたします。
ブラインドに光触媒コーティング加工をして得られる効果
ブラインドに光触媒コーティング加工をしたときに得られる効果についてご説明します。光触媒でも分解できないものもあるのでご注意ください。
光触媒で分解できるもの
光触媒は、光が当たるとOHラジカルという活性酸素を発生させる性質があります。OHラジカルは、強い酸化力を持つので、それに触れたものを酸化分解する性質があります。
かと言って、大きなものは分解できませんから、人体には無害です。OHラジカルで分解されるものは、臭い成分や菌類の表面、アレルゲンといったものに限られます。
ブラインドに光触媒コーティング加工をすると、部屋の消臭や除菌ができます。ブラインドには窓から差し込む光が当たりますから、OHラジカルが発生しやすいので、消臭や除菌、アレルゲンの分解も進みやすいと思います。
例えば、会議室や喫煙室でタバコを吸う人がいたとします。それらの部屋に、光触媒加工されたブラインドを利用しておくと、タバコの煙がブラインドに当たると、タバコの臭いを消臭してくれます。
このような効果を得られるわけですが、もちろん条件があります。その条件については、後ほど解説いたします。
ブラインド付着した埃は分解されません
ちなみに、「ブラインドに付着した埃を分解できる」と謳っている光触媒加工されたブラインドもあるようですが、これは虚偽ですからご注意ください。強力な光触媒成分を使ったとしても、埃の分解には永い月日を必要とするはずです。光触媒加工をすると、掃除をしたら埃を落としやすくはなりますが、埃が分解できる光触媒コーティング剤は実際のところ存在しません。
目に見えない埃であったとしても、光触媒のサイズからすると巨大なサイズになります。例えるなら、つるはしを持った工夫が、一人で巨大な高層ビルを解体するようなものです。花粉を分解するとしても、花粉1つのサイズは光触媒の結晶からすると、その体積の差は1兆倍ほどになりますから、実質的に分解ができません。
永い時間をかけたら埃も分解されるかもしれませんが、1つの埃を分解する間に、次から次へと埃が積み重なってくるので、実質的に分解されないのです。
ブラインドに光触媒コーティング加工をして
効果が得られる製品とは?
光触媒コーティング加工とは、光触媒成分と接着成分が混合された液剤を塗装し、光触媒成分を固定化させることです。ブラインドには、光触媒コーティング剤をスプレーガンで塗装します。
下地保護剤のある製品を選ぶ
どのメーカーの光触媒コーティング剤を利用しても、効果が得られるわけではありません。
場合によっては、効果のまったく無い製品や、ブラインドが変色してしまう製品があるので、注意が必要なのです。
理屈はこうです。
光触媒は、光エネルギーを受けて、菌類や臭い成分を分解しますが、同時にブラインドに塗装された塗料も分解してしまう性質があります。すると、効果の高い光触媒コーティング剤を利用したら、ブラインドの色が色あせしてしまったり、色むらが出てしまったりするのです。
ブラインドは窓際に設置され、直射日光が当たるので、特に触媒効果が強く出るためです。
そこで、光触媒コーティング剤に含まれる光触媒成分の含有量を少なくして、ブラインドの色が変色しないようにすることも考えられます。実際にそのような製品もあります。しかし、光触媒成分の含有量を少なくした製品は、反対に臭いの消臭や除菌効果が弱くなってしまいます。
光触媒コーティング剤は、このバランスが難しいので、メーカーは苦労しています。
そこで、光触媒コーティング剤がブラインドに直接触れないようにするために、下地保護剤を塗装しておき、その上から光触媒コーティング剤を塗装する方法があります。
この下地保護剤の成分として、触媒効果を持たないアモルファス酸化チタンを使うことが一般的なのですが、アモルファス酸化チタンは紫外線が当たると結晶化し、触媒効果を持つことが知られています。つまり、下地保護剤が紫外線に当たることで、ブラインドを劣化させる性質を持つようになるのです。
ブラインドに効果の高い光触媒コーティング加工をしないと、効果が実感できませんし、効果の高いものは下地保護剤を使用しないといけませんが、その開発が難しいのです。
銅ドープ酸化チタンを用いた光触媒コーティング剤を選ぶ
さらに付け加えると、光触媒は光が当たっているときにしか効果を発揮しません。これが光触媒の一般的な性質です。特に、アナターゼ型酸化チタンを使った光触媒コーティング剤は、紫外線が当たったときにしか効果を発揮しません。
ブラインドは窓際にあるものですから、窓から日光が入ってきたら触媒効果を発揮します。しかし、北側の部屋や夜間では、アナターゼ型酸化チタンは効果がまったく出ないのです。
アナターゼ型酸化チタンでは効果が出ない部屋でも高い効果を発揮する性質を持つ光触媒成分は、弊社が調べた中では銅ドープ酸化チタン(銅担持酸化チタン)です。
銅ドープ酸化チタンとは、アナターゼ型酸化チタンにナノサイズの酸化銅を結合させた成分です。すると、今まで紫外線にしか反応しなかったアナターゼ型酸化チタンが、部屋の光にも反応して消臭や除菌、アレルゲンの分解といった効果を発揮します。
また、ナノサイズの酸化銅は光が当たらない場所でも触媒効果を発揮するので、ブラインドに銅ドープ酸化チタンを塗装しておけば、日光が当たる昼間はもちろんのこと、オフィスが誰もいなくて真っ暗なときでも消臭や除菌などをし続けてくれるのです。
まとめると、ブラインドを光触媒コーティング加工する場合、効果を得るためには銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を利用し、劣化しにくい下地保護剤を用いることです。
この両方を兼ね備えた光触媒製品を製造しているメーカーは、世界で数えるほどしかありません。その1社が弊社です。
銅ドープ酸化チタンでコーティング加工された
ブラインドは販売されているのか?
さて、銅ドープ酸化チタンでコーティング加工されたブラインドは、ブラインドメーカーを探しても存在しません。
銅ドープ酸化チタンでコーティング加工されたブラインドを使用したい場合は、弊社の光触媒製品を扱う施工業者に依頼することになります。加工をご希望の方は、弊社もしくは弊社製品を扱う施工代理店までご相談ください。施工業者一覧は、「室内の光触媒コーティング施工代理店」をご覧ください。
また、ブラインドのメーカー様で銅ドープ酸化チタンをコーティング加工した製品を開発したいとお考えの方も、弊社までお気軽にご相談ください。光触媒加工されたブラインドの開発をご支援いたします。また、ブラインドに銅ドープ酸化チタンを加工した製品については、弊社では特許を取得していませんから、共同開発ができたら嬉しく思います。
ブラインドの光触媒コーティング加工の流れ
弊社の光触媒コーティング剤を使い、ブラインドに光触媒コーティング加工する方法は、次の製品を用いてください。
- 光触媒コーティング剤 ⇒ 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)
- 下地保護剤 ⇒ 屋内用プライマー(AS01)

加工では、それぞれの液剤をブラインドに塗布するわけですが、光触媒コーティング剤専用の塗装機械とスプレーガンを用います。
弊社がおすすめする塗装機械は、ABAC温風低圧塗装機です。
弊社にていろいろな塗装機械を試したのですが、ABAC温風低圧塗装機は他社製品と比較して、次のような特長があります。
- 光触媒コーティング剤を均一に塗装できる
- 壊れにくい
- 操作性が良い
- 液剤の塗着効率が高いので、液剤のムダが少なくて済む
- 家庭用電源で稼働させられる
ABAC温風低圧塗装機を使ったブラインドの加工の流れは、次の通りです。
- 窓ガラスなどの光触媒コーティング塗装をしない箇所に養生をする
- ブラインドをウエスで水拭きをして塵や埃を取り除く
- 下地保護剤を塗布
- 乾いたら光触媒コーティング剤を塗布
- 乾いたら養生を外す
下地保護剤を塗装する前に、必ずブラインドを清掃してください。設置されたばかりの新品のブラインドでも、表面の目に見えない埃を取り除くために掃除をしてください。ブラインドに埃が付着した状態ですと、光触媒コーティング剤を塗布したら、埃が落ちていくときに光触媒コーティング加工も落ちてしまうからです。
光触媒コーティング塗装では、ブラインドだけでなく壁紙や天井といった、部屋全体を塗装することで、部屋全体の消臭力や抗菌力、アレルゲンを分解する性能を強化することができます。
ブラインドの光触媒コーティング加工なら
お気軽にご相談ください

ブラインドに光触媒コーティング加工をしたいとお考えの方は、ぜひ当社までご相談ください。
この写真は、東京にあるオフィスのブラインドに、銅ドープ酸化チタンを光触媒コーティング加工している事例です。施工は施工代理店の株式会社マテリアルリサーチが行いました。マテリアルリサーチは、主に関東圏のオフィスや介護施設の室内を中心として、光触媒コーティング加工をされている企業です。
都内にあるオフィスの室内に光触媒コーティング加工をしたい企業様は、ぜひマテリアルリサーチまでご相談ください。
また、ブラインドのメーカー様で、効果の高い光触媒成分を加工したブラインドを開発したい方もお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。