ステンレス製の手すりは、階段、エレベータの中、電車など、日常の至る所で利用されているのを目にします。
公共の場にあるステンレス手すりは、不特定多数の人が触るところなので、抗菌コーティング加工をしたいと考える企業様は多いです。
この記事では、光触媒による抗菌コーティングについて、率直に解説いたします。
光触媒は抗菌コーティングに効果的か?
1つ目は、効果に関する内容です。結論から申しますと、光触媒成分によって、効果が大きく左右されます。
抗菌コーティングに利用されている光触媒成分
光触媒は抗菌コーティングに最適な成分、効果が弱い成分、まったく効果のない成分があります。
光触媒は「何か1つの成分を使ったら、どこでもオールマイティに効果がある」というわけではなく、抗菌コーティングする場所の環境によって、効果のある光触媒成分に差があります。
抗菌コーティングとして利用されている光触媒成分は、次のものがあります。
- 酸化チタン
- 銅ドープ酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 鉄ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン
抗菌コーティングとして有効な光触媒成分
これらの成分の中で、効果の高さから率直に述べるのであれば、次の成分をご利用ください。
抗菌効果の高い光触媒成分 | |
直射日光が当たる屋外 | 酸化チタン(銅ドープ酸化チタンでも可) |
日陰になる屋外 | 銅ドープ酸化チタン |
屋内 | 銅ドープ酸化チタン |
暗所 | 銅ドープ酸化チタン |
直射日光が当たる場所は、紫外線量が多いので、紫外線で強力に抗菌ができる酸化チタンを使った光触媒コーティング剤がおすすめです。
直射日光が当たる屋外でも、銅ドープ酸化チタンを使用しても問題はございませんが、若干効果が落ちます。しかし、直射日光という強い光が当たるので、抗菌効果は高いです。
酸化チタンや銅ドープ酸化チタン以外の光触媒成分は?
屋外であれば、窒素ドープ酸化チタンや酸化タングステンでも、ある程度の抗菌効果はありますが、屋内では抗菌効果が弱くなります。
鉄ドープ酸化チタンは、抗菌効果が高い製品もあるかもしれませんが、弊社にて試験したところさらに効果が弱いものでした。何か特別な事情が無い限り、抗菌コーティングとしては、おすすめしません。
暗所にステンレス手すりを設置し、それを抗菌コーティングしたい場合もあります。例えば地下道の手すりです。そういった場所では、紫外線は当たりませんし、光も弱いので、暗所でも効果がある銅ドープ酸化チタンの利用をおすすめします。
抗菌コーティングの方法は?
ステンレス手すりに抗菌コーティングをする方法は、光触媒コーティング剤を専用の塗装機械とスプレーガンを用いて塗装します。
弊社では、塗装機械にはABAC温風低圧塗装機を、スプレーガンのノズルには口径が0.3mmから0.5mm程度の小口径のものを利用することを推奨しています。
光触媒コーティング剤は、水のような粘性のものですから、一般的なスプレーガンで塗装をすると塗布し過ぎてしまします。光触媒コーティング剤は、塗装したかどうかが判らないくらいに薄く塗装しますから、小口径のノズルで、風量を抑えて塗装することが求められます。
効果の高い光触媒成分を選べば、それくらい薄く塗装しても、高い抗菌効果が得られます。
ステンレス手すりを製造しているメーカーであれば、工場で抗菌コーティング塗装をして、傷が付かないように表面をビニールなどでコーティングして出荷されると良いと思います。
すでに設置してあるステンレス手すりを抗菌コーティングする場合は、ガラスなどの抗菌コーティングしない箇所を養生してから塗装します。
塗装作業は、手すりを撫でるようにスプレーして乾燥するまで待ちます。これを2回繰り返します。
耐久性は?耐久性を高める方法は?
光触媒による抗菌コーティングの耐久性は、光触媒コーティング剤によって異なります。
弊社の製品であれば、使用環境によっても異なりますが、5年~10年ほどの耐久性があります。
光触媒以外の抗菌剤を塗布する抗菌コーティングでは、耐久性が1年ほどのものも多い中、5年~10年もの耐久性は経済的にも助かります。
さらに、もっと耐久性を高めることもできます。その方法は、抗菌コーティングした後に、250℃~300℃ほどで加熱処理をします。すると、光触媒成分が強固にステンレス表面に定着するので、耐久性が高まります。
加熱処理をした抗菌コーティングは、コンパウンドで磨くほどのことをしないと剥がれません。それほどの耐久性を持ちます。使用環境にもよりますが、10年~20年以上の耐久性を持つものと考えます。
ステンレス手すりを加熱するときは、ステンレスが変色しないような温度で行ってください。
ステンレス手すりを
屋外で使用したときの酸性雨の影響は?
ステンレス手すりに抗菌コーティングを行い、屋外で使用したときには、「酸性雨で抗菌コーティングが取れてしまわないか?」という心配もあります。
弊社の製品であればご安心ください。今のところ、酸性雨の影響で耐久性が悪くなったという報告はございません。
ステンレスではありませんが、雨水が直接当たる外壁に光触媒コーティング塗装し、20年以上経過している物件もあります。そこでは、未だに効果が持続しているので、酸性雨の影響はほとんど受けていないものと思われます。
光触媒の抗菌コーティングをした
ステンレス手すりの掃除方法は?
光触媒の抗菌コーティングをしたステンレス手すりの掃除方法は、雑巾で拭き掃除をしてください。耐久性には影響はありません。洗剤を使用する場合は、中性洗剤をご利用ください。
「酸化チタンに漂白剤を利用すると変色する」という記事をネット検索したときに見たことがありますが、弊社の光触媒コーティング剤をお風呂場で利用されている方は多いのですが、変色をしたという報告は聞いたことがありません。
再塗装は可能か?
光触媒の抗菌コーティングは耐久性がとても長いですが、10年や20年を経過したら、再塗装を行うと良いでしょう。光触媒の抗菌コーティングをして、それがすり減ってきたら、その上から再塗装ができます。
再塗装のタイミングは、ルミテスターなどを利用してステンレス手すりの表面の生物汚れを計測すると良いでしょう。生物汚れの数値が高くなるようであれば、抗菌コーティングがすり減ってきて、抗菌力が下がってきている状態です。
再塗装は、同じコーティング剤を塗装していただくことになります。再塗装は、先ほど解説した抗菌コーティングの方法で行います。
すでに設置されたステンレス手すりは加熱処理ができませんから、加熱処理されたときと比べて、耐久性が半減するので、再塗装の頻度が短くなるとお考えください。
光触媒によるステンレス手すりの抗菌コーティングなら、弊社までお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。