
新築戸建て住宅の中に入ると、新築特有の化学物質の臭いがすることがあります。
この臭いが気になる人は多いと思います。なぜなら、新築の臭いはシックハウスの原因物質だからです。
この記事では、新築戸建て住宅の臭いの原因や、その臭いを消臭する方法をご紹介しつつ、継続的に新築の臭いを分解してくれる光触媒コーティングをご紹介します。
新築戸建て住宅の臭いの原因は?
新築戸建て住宅の臭いの原因は、VOCと言われるものです。VOCとは、日本語では「揮発性有機化合物」と呼ばれています。
新築戸建て住宅の臭いの発生源
戸建て住宅を建てるためには、建材を用いますが、建材にはたくさんの接着剤が利用されています。接着剤無しでは住宅が建たないくらいです。その接着剤が乾燥していくときに、VOCが部屋の中に出てくるので、その臭いが漂っているわけです。
VOCは次のような建材から出てきます。
- 壁紙クロスの接着剤
- 柱や壁に利用されている集成材やベニヤ板
- 目地材
- 家具や家電製品
主なVOCの種類
建材などから出てくるVOCには、いろいろな種類があります。VOCの種類は、知られているものだけでも200種類を超えていると言われています。
主なものとしては、次の成分があります。
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- トルエン
- キシレン
- スチレン
これらのVOCがシックハウスの原因ともなるようです。主なVOCの種類と室内濃度指針値は、愛知県衛生研究所「シックハウス症候群」をご参照ください。主な成分には濃度の基準がありますが、その基準よりも下回っていたとしても、シックハウスに苦しんでいる人もいるようです。
F☆☆☆☆(Fフォースター)でもVOCが発生
住宅建築に用いられる建材には、F☆☆☆☆(Fフォースター)と言われる国土交通省の制度があります。Fフォースターは、ホルムアルデヒドが揮発する量が一定以下のものに与えられるので、Fフォースターに認定された建材はシックハウス対策になる可能性があります。
ところが、この制度にも抜け穴があり、ホルムアルデヒドが微量に出てくる程度であれば、Fフォースターが取れてしまい、ホルムアルデヒド以外の有機化合物を利用していたら、確かにホルムアルデヒドは出ませんが、他のVOCが出てくる始末です。
そういったことで、なるべくFフォースターの建材を使用しつつも、別の方法でVOC対策をすることが求められます。
いつまで臭いが出るのか?
建材からは、ずっとVOCが出続けるわけではありません。いずれはVOCが蒸発し切って、VOCが出なくなります。その期間は、おおよそ4~5年ほどと言われています。
新築の物件からは、完成してから4~5年ほどは、VOCの臭いが出てくるものとお考えください。
新築戸建て住宅の臭いを消臭する方法
新築戸建て住宅の臭いを消臭する方法は、いくつも存在します。大きくは次の3種類です。
- 換気
- 吸着
- 分解
換気
換気は、基本的に24時間換気です。2003年から原則として24時間換気システムの設置が義務付けられました。部屋の中を換気することで、室内のVOCを排気しつつ、新鮮な外気を取り入れます。
24時間換気をすると、冬場はとても寒くなるので、ロスナイなどの全熱交換の導入をおすすめします。
新築が竣工したら、部屋中をストーブやヒーターなどで加熱して、VOCをあぶり出して換気する方法が行われる場合もあります。
吸着
VOCの吸着では、活性炭と珪藻土による消臭方法があります。
活性炭とは、炭に熱処理などを行い、VOCを吸着するように改良したものです。活性炭のパウダーを壁の中に埋め込んだり、活性炭を床下に敷き詰めたり、活性炭の入った畳を利用したりといった方法があります。ただし、場所が限定されます。
珪藻土は、二酸化ケイ素を主成分とした壁材です。珪藻土にもVOCを吸着する性質があります。壁の中に活性炭を塗布し、その上から珪藻土を塗布するという、二重の対策がなされる場合もあります。
珪藻土などを利用する場合は、工務店を通じて左官屋さんに依頼することになりますが、職人さんの数が減ってきていることもあり、高額になりやすいです。
分解
分解には、VOCを分解する成分を散布する方法と、壁や天井にVOCを分解する成分を塗装する方法があります。
散布する方法としては、オゾンや次亜塩素酸、光触媒消臭剤が有名です。これらの成分はVOCを酸化分解する性質があり、VOCを最終的に水や二酸化炭素などに分解して消臭してくれます。
壁や天井に塗布する成分としては、光触媒コーティングがあります。VOCを分解できる光触媒成分を壁や天井にコーティング塗装しておけば、継続的にVOCを分解してくれるわけです。
オゾンや次亜塩素酸は一時的な消臭になりますが、光触媒コーティング塗装は最長20年以上も新築の臭いを消臭し続けてくれます。20年も経過したら、すでに新築とは言えませんが・・・。
新築の臭い対策ができる光触媒コーティングとは?
光触媒コーティングという名称は、あまり聞きなれないと思います。ここで、光触媒コーティングについてご説明したいと思います。
光触媒とは?
光触媒コーティングをご説明する前に、光触媒の意味からご説明したいと思います。
光触媒とは、光が当たることで触媒の効果を発揮し、臭いを酸化分解する性質を持つ成分のことです。さらに、臭いを分解しても光触媒の成分は変性しないので、継続的に消臭をし続けてくれます。
光触媒の主な成分は酸化チタンですが、他にもたくさんの種類があり、効果の高さや性質が異なります。
新築の臭いを消臭したい場合には、どの光触媒の種類を利用すべきなのか、その知識が無いと、まったく消臭効果の無い光触媒コーティングをしてしまい、「お金の無駄だった」ということにもなりかねないので、ご注意ください。
VOCの分解に効果がある光触媒の種類とは?
最初に答えを述べておくと、VOCの分解に効果がある光触媒の種類は「銅ドープ酸化チタン(銅担持酸化チタン)」です。
銅ドープ酸化チタンとは、ナノサイズの酸化チタン結晶の表面に酸化銅を結合させた成分です。
酸化チタン結晶にはいくつかの種類があり、光触媒としてよく利用されるものはアナターゼ型と言われるものです。アナターゼ酸化チタンは、紫外線が当たることで強い消臭効果を発揮します。
ところが、いくら紫外線を照射しても分解できないVOCがあります。おそらくベンゼン環を持つVOCの分解を苦手とするようです。
次の図をご覧ください。これは酸化チタンと銅ドープ酸化チタンに紫外線を照射したときに、ベンゼン環を持つ3種類のVOC(トルエン、キシレン、スチレン)が分解できるかを試験したものです。

ブランクと比較しても、ほとんど分解できていないことが判ります。それに対して、銅ドープ酸化チタンを利用すると、3種類のVOCはグングンと分解されていることが判ります。
このように、いろいろな種類のVOCが分解できる光触媒成分「銅ドープ酸化チタン」を用いないと、新築の臭い対策ができない場合があるのです。
※ ただし、これらVOCの分解を確認した環境における試験結果になるので、実際に新築戸建て住宅の臭いが消臭できることを保証するものではありません。予めご了承願います。
銅ドープ酸化チタンを使ったコーティング剤

銅ドープ酸化チタンを使ったコーティング剤は、市販されているものが少ないです。弊社もその数少ない1社です。弊社の製品名は屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。
弊社製品は、塗装面の材質に関係なく透明なクリア塗装ができるので、見た目を損なうことはありません。塗装後は、バインダーによって銅ドープ酸化チタンが塗装面に強固に接着され、耐久性が高いため効果の持続期間が20年以上あります。
この製品は業務用として販売しており、後ほどご説明しますが、塗装には専用の塗装機械を必要とします。
銅ドープ酸化チタンに似た類似製品
銅ドープ酸化チタンには、「銅イオン酸化チタン」と呼ばれる類似製品が存在します。銅ドープ酸化チタンはナノサイズの酸化チタン結晶に酸化銅を結合させた成分ですが、銅イオン酸化チタンは酸化チタン液剤に銅イオンを混ぜただけのものです。
銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンと銅が結合してそれぞれの性質を補いあって、高い効果があります。それに対して銅イオン酸化チタンは、単に成分を混ぜただけのものですから、効果はかなり弱くなります。
銅ドープ酸化チタンの類似製品にご注意ください。
光触媒コーティング塗装の方法
光触媒コーティング剤の塗装は、専用の塗装機械とスプレーガンを用います。そのため、光触媒コーティング塗装は専門業者にご依頼いただくことになります。
塗装機械とスプレーガン
次の写真は弊社がおすすめする塗装機械、ABAC温風低圧塗装機です。温風低圧塗装機とは、ブロワーから加熱されたエアーが出てくるので、塗布した光触媒コーティング剤が早く乾きます。

スプレーガンには、ノズル口径0.3~0.5mmといった小口径のものを利用します。光触媒コーティング剤は水のようにサラサラした粘性なので、それ以上の大口径のノズルを利用すると吹き出し過ぎてしまって、均一なクリア塗装ができない場合があります。
次の図は、ABAC温風低圧塗装機に付属するスプレーガンから出てくるエアカーテンの概念です。塗布する液剤を包み込むようにエアカーテンが噴き出すため、噴霧される液剤が飛び散ることを防いでくれます。

噴き出した液剤が壁に付着する割合のことを、塗着効率といいます。エアカーテンの無いスプレーガンですと、塗着効率は20~30%程度ですが、ABACのスプレーガンですと塗着効率は70%ほど高いので、光触媒コーティングのムダを少なく塗布できます。
光触媒コーティング施工のタイミング
光触媒コーティング施工のタイミングは、新築戸建て住宅に引っ越しする前です。引っ越しした後ですと、住宅の中に家具が持ち込まれるので、光触媒コーティング施工の前に家具の移動が必要となり、費用にムダが発生するからです。
新築戸建て住宅が建ち、鍵の引渡しで内覧をしたときに、室内が新築の臭いが気になるようでしたら、弊社までご相談ください。
以上、新築戸建て住宅の臭いを消臭する方法をご説明いたしました。新築の臭いを消臭する方法は、24時間換気システムは義務化されていて導入されているので、それを利用することです。なるべくVOCの出にくい建材を用いることが大事ですが、Fフォースターの建材を用いても、VOCが出てくることがほとんどです。
VOCの吸着では、活性炭の利用では場所が限定されますし、珪藻土の施工は高額になりやすいです。
分解する方法では、新築の臭いを継続的に分解し続けてくれる光触媒コーティング施工がおすすめです。VOCの分解に効果的な光触媒の種類は銅ドープ酸化チタンです。光触媒コーティング塗装には、専用の塗装機械を用います。
弊社は、新築の臭いの消臭に効果的な銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を製造しています。新築の臭いの消臭に光触媒コーティングをされたい場合は、弊社もしくは弊社施工代理店まで、お気軽にご相談ください。
東京都や埼玉県での施工なら、弊社の業務用製品を扱う東京の代理店、株式会社フロンティアライフパートナーズにお任せください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。