サイディングは戸建てによく使用されている外壁材です。
一見するとカビなど生えないような材質なのですが、北側の壁やジメジメしたところに、カビが発生することがあります。
サイディングに、カビが発生し、お困りのご相談をいただくことがあります。弊社にご相談をいただくことの中に、「防カビコーティングをしたのにカビが発生した」というケースもあります。
カビは一度でも発生すると、根っ子が生えて、再発しやすいと聞きます。カビは水分を含みやすいので、サイディングが傷む原因にもなります。
できれば、カビに悩む前に防カビコーティング施工をなさってください。
この記事では、光触媒とはどういったものなのか、サイディングの防カビに光触媒は効果があるのか、サイディングの防カビに効果の高い光触媒コーティングをご紹介いたします。
北側や日陰のサイディングはカビが発生しやすい
サイディングは、カビが生えるような材質ではありませんが、ジメジメした場所や直射日光が当たらない日陰では、カビが発生することがあります。
特に、薄暗くて外壁の地面がいつも湿っている場所や、外壁の北側が雑木林になっている場所では、サイディングにカビが発生しやすいです。
サイディングにカビが発生すると、サイディングにカビの根っ子を張るので、カビを丹念に除去しなければ再発しやすいです。丹念に除去したとしても、目に見えないほどの小さな傷が付いていますから、そこにまたカビ菌や胞子が入り込むと思います。
サイディングに防カビコーティングされていない場合は、できましたら、カビが発生する前にあらかじめ防カビコーティングをされることをおすすめします。また、防カビコーティングがなされているものでも、防カビ効果に期限があるので、その頃に防カビコーティングを再塗装することをおすすめします。
サイディングの防カビコーティングには、いくつかの種類がありますが、光触媒コーティングは種類によっては効果が高く持続期間も長いものがあります。光触媒の性質や効果、光触媒成分や塗料の選び方など、光触媒コーティングの魅力をお伝えします。
光触媒はサイディングの防カビに最適か?
まずは光触媒の性質や光触媒コーティングの意味、酸化チタン光触媒の問題点などを解説しつつ、サイディングの防カビに効果のある光触媒をご紹介します。
光触媒の性質
光触媒とは、光が当たるとOHラジカルという強力な活性酸素を表面に発生させ、有機物などを分解する性質が現れます。
また、その効果によってサイディングの表面に付着した汚れが分解され、親水性が発生し、雨水によって分解された汚れなどが自動的に洗い流される、セルフクリーニング効果が出ます。
光が当たって活性化した光触媒にカビ菌やカビの胞子が当たると、OHラジカルによってカビ菌の表面の成分や細胞壁などを酸化分解します。そうすることで、カビ菌の活動を弱めたり、死滅させたりすることができます。
この性質を持つ光触媒をサイディングに塗布できたら、サイディングの防カビが出来る仕組みです。
サイディングに光触媒を塗布し、その効果が発揮されたら、防カビとセルフクリーニング効果による防汚ができるわけです。
光触媒コーティングとは?
光触媒成分は、酸化チタンや酸化タングステンといった重金属の粉末です。そのままでは、サイディングに塗布することができませんから、光触媒コーティング剤に加工したものを使用します。
この光触媒コーティング剤を塗布することを、「光触媒コーティング」といいます。
光触媒コーティング剤には、光触媒成分とそれをサイディングに接着させるバインダー成分が主成分として入っています。バインダー成分が有機系のものであれば、光触媒成分によって分解されてしまいますから、たいていは無機系のバインダーを使っています。
外壁用光触媒コーティング剤に使用される光触媒成分は、アナターゼ型酸化チタンが一般的です。また、無機系バインダーで一般的に使用される成分は、アモルファス酸化チタンです。
アナターゼ型とは酸化チタンの結晶構造の名称です。アモルファスとは非結晶のことです。結晶化した酸化チタンを、非結晶の酸化チタンに混ぜ合わせた成分を、光触媒コーティング剤として使用します。
アモルファス酸化チタンは、サイディングなどに塗装すると強力に固化するので、とても耐久性が高い成分です。その間、アナターゼ型酸化チタンがサイディングにずっと付着したままですから、半永久的にサイディングの防カビをしてくれます。
弊社の実績では、10年以上効果が持続します。
酸化チタン光触媒の問題点
外壁用光触媒コーティング剤に一般的に利用されている光触媒は、アナターゼ型酸化チタンであることを述べました。このアナターゼ型酸化チタンは、紫外線が当たると強力にカビ菌を分解してくれます。
ところが、紫外線以外の光にはまったく反応しないため、北側や日陰になる場所のサイディングでは、防カビ効果がかなり下がってしまいます。直射日光が当たるところでないと、防カビができないのです。
そのため、「酸化チタン光触媒コーティングをしたのに、サイディングにカビが生えた」というご相談もあります。ご事情を伺うと、「北側の外壁」とのことです。
酸化チタン光触媒には、「直射日光が当たらないと防カビができない」という問題点があるのです。
北側や日陰のサイディングでも防カビができる光触媒とは?
北側や日陰のサイディングは、光触媒コーティングによる防カビは諦めるべきでしょうか?
いえ、北側や日陰の紫外線が当たらない場所でも防カビができる光触媒成分も存在します。その成分とは、「銅ドープ酸化チタン」と言われる成分です。
銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタンに銅を結合させた成分で、紫外線が当たらなくても防カビができる特殊な光触媒なのです。さらには、夜間でも防カビができます。
北側や日陰のサイディングには、酸化チタンではなく銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングをすることで防カビができます。
サイディングの防カビに最適な
光触媒コーティング剤の使い分け
サイディングの防カビを効果的に行うためには、最適な光触媒コーティング剤の使い分けが大事です。
弊社が製造している光触媒コーティング剤で、サイディングに使用する製品は、次の2種類です。これらを、サイディングの場所によって使い分けます。
- 酸化チタンを使った製品
⇒ 屋外用光触媒コーティング剤(BX01) - 銅ドープ酸化チタンを使った製品
⇒ 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)
酸化チタンを使った製品は、直射日光が当たる場所に使用します。そして、北側や日陰のサイディングには、銅ドープ酸化チタンを使った製品を使用します。
銅ドープ酸化チタンを使った製品は、「屋内用」という名称が付いていますが、サイディングにも使用可能です。
このようにサイディングの場所によって光触媒コーティング剤の種類を使い分けることによって、サイディング全体の防カビができます。
光触媒によるサイディングの劣化防止
光触媒の性質は、「有機物などを分解する」と述べましたが、サイディングが樹脂製やペンキが塗られたものであった場合、それらは有機物ですから、光触媒によって劣化する恐れがあります。
樹脂や塗料は、直射日光の紫外線がずっと当たっていると、赤茶けた色になったり、白い粉が吹き出したりします。このような状態が劣化している状態なのですが、光触媒によってそのような劣化が加速される場合があるのです。
もちろん、それを防止する方法もあります。
それは、サイディングに光触媒コーティング塗装をする前に、あらかじめ劣化防止剤(プライマー)を塗装しておくことです。
プライマーとは、光触媒で劣化しない無機系の塗料のことで、光触媒コーティング剤と同様にクリア塗装ができるものです。
これをあらかじめ塗装しておくと、サイディングに光触媒が直接触れることを防いでくれるので、サイディングの劣化を防止できます。
弊社が開発した外壁用プライマーは、「屋外用プライマー(ASS01)」です。
プライマーを塗装する箇所ですが、直射日光が当たる場所は必ず塗装しておきます。完全に直射日光が当たらない常に暗い場所であれば、プライマーの塗装は必要ありません。
光触媒コーティング剤の塗装方法
光触媒コーティング剤の塗装方法は、専用の塗装機械とスプレーガンを使います。弊社では、ABAC温風低圧塗装機をおすすめしております。
また、高い位置にも塗装することになるので、足場を組まないといけない場合もあります。そのようなことから、施工業者に依頼することになります。
塗装の流れは、おおよそ次の通りです。
- 足場の設置
- サイディングの清掃
- 養生
- プライマー塗装
- 光触媒コーティング塗装
- 足場撤去
サイディングの清掃は高圧洗浄をします。すでにカビが発生している場合は、漂白剤などを用いて、カビを完全に除去します。養生は、街灯や屋外コンセント、自動車、植木などに行ないます。
10年間以上、サイディングの手間のかかる掃除をしなくても良くなり、カビも発生しにくくなるので、そのメリットと費用をお考えください。
以上、サイディングの防カビコーティングとして、光触媒コーティングを解説いたしました。光触媒コーティングでは、防カビだけでなくセルフクリーニング効果を得ることができ、耐久性も10年以上と長期間防カビし続けてくれます。
サイディングの光触媒コーティング施工のご相談は、弊社もしくは弊社の施工代理店にご相談ください。施工代理店の一覧は、こちらのページです。
また、サイディングのメーカー様で、弊社の光触媒コーティング剤をご利用になられたい方も、お気軽にご相談ください。弊社では、光触媒コーティング剤の卸販売やOEM製造などに対応しています。
ご連絡をお待ちしております。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。