
別荘をお持ちの方は、久しぶりに別荘に行くと、部屋の中がカビ臭くなっていて、驚かれる方が多いと聞きます。
場合によっては、部屋中にカビが発生していることがわかり、消臭だけでは済まされない場合もあります。
特に室内にウッドパネルなどの木材をふんだんに使用した別荘では、湿気の多い日本の気候に合わないので、部屋中にカビが発生していることもあります。
この記事では、カビ臭い別荘の対策として、銅ドープ酸化チタンの防カビコーティングを、事例を交えてご紹介いたします。
「別荘がカビ臭い」とご相談
弊社の施工代理店に、東京のお客様から「山梨県にある別荘がカビ臭いので消臭をしてもらいたい」とご相談をいただきました。そのお客様が久しぶりに別荘に来てみたら、部屋中がカビだらけで、我慢ができないほどの臭いだったようです。
別荘はカビとの戦い
別荘地の周辺にはたいてい雑木林があり、湿気の多い場所にあります。ご相談のあったお客様も、そういった場所に別荘を建てられました。
別荘は普段利用しなければ、室内を換気しないことが多いと思います。そういった空気が滞留する場所では、カビが発生しやすくなります。そして夏場の熱さと別荘地の湿気によって、室内がカビの温床になってしまいます。
ご相談をいただいたのは11月でしたが、7月に使用されてから3~4ヶ月ほど放置をしていたようです。その間にカビが発生して、たいへんなカビ臭がするようになりました。
別荘の現地調査で部屋に入らせていただくと、どの部屋もカビの臭いが充満し、空気の循環がほとんどない寝室で強いカビの臭いを感じました。壁や天井には、うっすらとカビが生えていることが確認できました。
別荘の臭気測定結果
次の写真は、別荘の現地調査に行ったときに、室内の臭気を測定した結果です。

リビングでは150~181、キッチンでは139でした。寝室では、臭気測定器の数値が250ほどありますが、この数値ではその場に居たくないほどの強い臭いがします。明らかに健康に悪そうな強烈な臭いです。
専用の洗剤を用いてカビを取り除き、銅ドープ酸化チタンで防カビコーティングを行っていきます。
防カビなら銅ドープ酸化チタン
ここで、銅ドープ酸化チタン(銅担持酸化チタン)と言われる光触媒成分が、別荘の防カビコーティング剤として最適であることをご説明いたします。
光触媒とは?
光触媒とは、光が当たることでカビ菌や胞子、臭いなどを分解してくれる成分のことです。触媒ですから、カビ菌などを分解しても、光触媒自体は変性しません。そのため、室内に光触媒が存在し続ける限り、室内を防カビし続けてくれるという優れものです。
光触媒による防カビのメカニズムは、次の図をご覧ください。

光触媒に光があたると、空気中の酸素や水と反応して、OHラジカルと言われる活性酸素を発生させます。OHラジカルは強い酸化力を持った活性酸素で、カビ菌や胞子、臭い成分に結合して酸化分解してくれます。
OHラジカルにとってカビ菌や胞子は、巨大な物質ですから、カビ菌や胞子そのものを完全に分解することは難しいのですが、それらの表面の成分や突起、細胞壁などを分解してくれるので、カビ菌の活動を抑制したり、死滅させたりすることができます。
そのようなメカニズムで、光触媒によって防カビができるわけです。
酸化チタンでは効果無し
光触媒が防カビをしてくれるためには、一般的には光が当たらないといけませんし、光触媒の種類によって防カビができる光の波長や強さが異なります。
一般的によく利用されている光触媒の種類は、酸化チタンです。酸化チタンを使った光触媒スプレーや防カビコーティング剤というものがありますが、酸化チタンは別荘の防カビコーティングとしては不適なのです。その理由は、次の図をご覧ください。

酸化チタンは紫外線が当たる場所では強い防カビ効果を発揮しますが、紫外線が無い場所であれば、防カビ効果がほとんどありません。もちろん、今回ご相談いただいた別荘でも室内に紫外線ランプが存在しませんから、酸化チタンを使っても効果が無いわけです。
このように光触媒の種類の選び方を間違うと、高い費用がかかったのにもかかわらず、「カビが発生してしまった」とクレームになることがあります。弊社でも注意を促しているところです。
銅ドープ酸化チタンとは?

別荘の防カビコーティングに利用すべき光触媒は、銅ドープ酸化チタンと言われる光触媒です。
銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタン光触媒の結晶の表面に酸化銅を結合させた特殊な光触媒です。
酸化チタンは紫外線が当たったときでないと防カビができませんが、銅ドープ酸化チタンは室内の蛍光灯や白熱球、LED照明といった照明器具の光でも防カビができる成分です。
室内の光で触媒としての効果を発揮する光触媒は、他にも市販されているものがありますが、防カビまでできるものは、それほど多くはありません。
カビ臭い部屋の臭いを消臭できる銅ドープ酸化チタンの実力とは?
その効果の高さは、他の防カビコーティング剤として実用化されている光触媒成分と比べても、10倍以上あります。

さらに、驚くべきことに、光触媒の性質を超えた性質があります。それは、光が当たっていなくても防カビができるという効果です。光が当たっていなくても防カビができる光触媒は、他には存在しません。
別荘では使用していない期間は、窓を閉め切って光が入らない状態です。そのような環境でも防カビができるのは銅ドープ酸化チタンのみです。

銅ドープ酸化チタンを使った
防カビコーティング施工の方法
銅ドープ酸化チタンの実力をご理解いただいたところで、銅ドープ酸化チタンを使った防カビコーティング施工の方法をご紹介します。
銅ドープ酸化チタンを使った防カビコーティング剤

銅ドープ酸化チタンは金属ですが、ナノサイズの銅ドープ酸化チタンの結晶が添加された液剤を用います。
弊社が開発した銅ドープ酸化チタンの液剤は、「屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)」という名称で業務用販売をしております。
液剤の成分は次の通りです。
光触媒成分 | 銅ドープ酸化チタン |
---|---|
バインダー成分 | アモルファス酸化チタン |
その他の成分 | 水 |
光触媒成分には銅ドープ酸化チタンを用いています。バインダー成分とは接着剤のことで、アモルファス酸化チタンを用いています。アモルファス酸化チタンとは、非結晶の酸化チタンのことです。
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装すると、アモルファス酸化チタンが銅ドープ酸化チタンを塗装面に強力に固定化してくれるので、効果の高さだけでなく耐久性の高い防カビコーティングになります。
使用している成分は、酸化チタンと銅、水だけですから、完全に無機塗料です。別荘によっては、防炎規制に該当する施設もあるかもしれませんが、完全な無機塗料ですから、防炎規制を気にすることなく施工ができます。
塗装機械とスプレーガン
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装には、専用の塗装機械とスプレーガンを用います。
弊社が推奨する塗装機械は、ABAC温風低圧塗装機です。この機械は、本体のブロアーユニットとスプレーガンがセットになっています。ブロワーユニットから温風が噴き出す仕組みですから、塗布した防カビコーティング剤の乾燥が早まります。

塗装できる箇所
屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は、ほとんど何でも塗装ができます。
- ウッドパネル
- 壁紙クロス
- ソファー(布や皮)
- テーブルや椅子
- ベッドや布団
- カーペット、フロアマット
- ウッドフローリング
- トイレの便器や洗面台などの衛生陶器
- お風呂のタイルや樹脂パネル
- キッチンパネル
- カーテン
- ステンレス製の手すりやドアノブ
- エアコンの中
- 押し入れやクローゼットの中
銅ドープ酸化チタンは暗所でも防カビ効果があるので、エアコンの中や押し入れ、クローゼットの中でも防カビができます。
反対に塗装できない箇所は、ガラスや鏡、家電製品です。表面がなめらかなプラスチック製品への塗装は、プラスチック用光触媒コーティング剤を用いた方が均一に塗装ができます。
塗装の流れ
塗装の流れは次の通りです。
- 施工前の臭気測定
- カビの除去と清掃
- 塗装しない箇所を養生
- 直射日光が当たる箇所に下地保護剤(プライマー)を塗装
- 乾燥
- 屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装
- 乾燥
- 養生の撤去
- 施工後の臭気測定
少し解説したいと思います。
塗装しない箇所に養生をしますが、養生とは防カビコーティング剤がかかってはいけない箇所をビニールシートや養生テープで覆ってしまうことです。養生をする箇所は、家電製品、コンセント・スイッチ類、ガラス面が主な箇所です。家電製品やコンセント・スイッチ類は、塗布した液剤によって漏電をしてはいけませんから養生をします。ガラス面は、カビが生えにくいですし、光触媒特有の白色や虹色の模様が出てしまうことを防ぐために、念のため養生をします。
直射日光が当たる箇所に下地保護剤(プライマー)を塗装します。プライマーは、光触媒による劣化から下地を守るために、予め塗装しておきます。
プライマーや屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の乾燥時間は、11月ですから少し涼しくなってきているので、1時間ほど置きます。夏場であれば30分ほど、冬場であれば2時間ほど置いてください。
プライマーや屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗布すると、液剤はすぐに乾燥しますが、アモルファス酸化チタンが固まるまで時間がかかるので、それくらいの時間を置いていただきます。
光触媒による劣化を防止する方法
光触媒による劣化を防止について、少し解説を加えたいと思います。光触媒は、光が強い場所では触媒効果も強く働くため、塗装面を劣化させてしまう可能性があることは、先ほどお伝えした通りです。
今回ご紹介している施工事例の別荘は、ウッドパネルが利用された室内ですが、そういった有機物に銅ドープ酸化チタンのような効果の高い光触媒を塗装すると、表面が劣化して色あせが起こりやすくなります。直射日光が当たらない場所と比べると色が異なってくる場合があります。

そのような劣化現象を防ぐために、直射日光が当たる箇所には、予めプライマーを塗装しておくわけです。
弊社製品は、屋内用プライマー(AS01)です。塗装方法は、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)を塗装する方法と同じです。
プライマーを塗装しておく箇所は、今回の施工では直射日光が当たる室内の壁と、カーテン、ソファーです。

防カビコーティングを行った後の臭気は?
防カビコーティングを行った翌日の臭気測定
防カビコーティングを行った直後の臭気測定はどうなったでしょうか?
次の図をご覧ください。

リビングでは15、キッチンでは8に下がりました。このくらいの数値の臭気でしたら、わずかに臭いが感じられる程度です。
寝室では250ほどあった臭気が30ほどに下がりました。この程度の数値の臭気ですと、カビの臭いは感じられますが、生活には支障ありません。
光触媒は、その場に光触媒が存在し続けているので、その後もカビや臭いを分解し続けてくれるわけですから、この数値は次第に下がっていくことが期待できます。
その後の臭気の変化
銅ドープ酸化チタンをコーティング塗装しておけば、カビの臭いを元から分解して消臭してくれます。その効果が持続してカビを分解し続けてくれるので、施工した直後よりもしばらく日時が経過してからの方が、効果がご実感いただけます。
1か月後に、お客様は年末年始を別荘でお迎えになられたと思いますが、「カビの臭いはほとんど感じなかった」とご好評いただきました。
とは言え、あれだけ酷いカビが発生していましたから、今後もカビの発生状況をご確認いただくことにしました。
以上、カビ臭い別荘の対策として銅ドープ酸化チタンを導入してくださったお客様の事例をご紹介しながら、銅ドープ酸化チタンの魅力をお伝えいたしました。
光触媒はいろいろな種類がありますが、別荘のような普段から利用しない暗い部屋の防カビは、銅ドープ酸化チタンによる防カビコーティングがおすすめです。
室内のカビの臭いやカビの発生にお困りの方で、銅ドープ酸化チタンを使った防カビコーティング施工をご検討の方は、弊社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。