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エアコンの抗菌コートと光触媒コーティング

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エアコンの抗菌コートと光触媒コーティング

この写真は、食品工場の業務用空調機の内部を抗菌コートしている様子です。

近年、暑い夏が続いており、昼夜問わずエアコンが欠かせません。食品工場では、なおさらです。

エアコンを使い続けていたら気になるのが、エアコン内部のカビ菌です。エアコン内部の掃除を怠ると、エアコンがカビ菌をばらまく装置になりかねません。

ご家庭でも、エアコンの内部の掃除をしていないと、エアコンを利用したときに鼻炎になる人もいます。

最近では、エアコン内部が抗菌コートされている製品が増えてきました。抗菌コートされた製品を選ぶのか、それとも後から抗菌コートをするのか。もちろん、抗菌コートされた製品を選ぶ方が安価になります。

エアコンフィルターは月1回程度、エアコン内部は1~2年に1回の定期的な清掃をして、エアコンのホコリを取ることはもちろんです。エアコンに発生するカビの対策は、抗菌コートがおすすめです。

私自身、エアコンの抗菌コートも事業内容の一つとしていますが、この事業に携わるまで、「エアコンの内部がこんなにも汚れているなんて」と思いもしませんでした。2~3年ぶりにエアコンのファンを掃除したら、黒いかたまりがボロボロと出てくるものです。

この記事では、後から行うエアコンの抗菌コートについて、いろいろな抗菌コートの種類の中でも効果や耐久性の高い光触媒コーティングの魅力をご紹介します。

エアコン内部の抗菌コート

エアコン内部を抗菌コートする目的は、主に防カビです。エアコン内部の防カビや抗菌コートの種類、それらのメリット・デメリットをご説明します。

エアコン内部はカビ菌の温床

エアコンを長時間動かしていると、部屋のホコリを吸い込みますが、たいていのホコリはフィルターが除去してくれます。

部屋のホコリは肉眼では見えないくらいの小さなものも浮遊しているので、そういったものは、エアコン内部のフィンやファンのところに蓄積されていきます。

そして、エアコンで冷房をすると、内部が湿気てくるので、カビの温床となります。

エアコンの内部は、3年も経過すると、かなりの量の真っ黒なホコリが溜まってしまいます。そういったものによって、エアコンを動かしたら、鼻炎になってしまう人もいます。

エアコンの内部を高圧洗浄で清掃してくれるハウスクリーニング業者もあります。エアコンを頻繁に利用するご家庭は、そういった業者に依頼して、少なくとも1~2年に1回は清掃することをおすすめします。

エアコン内部のカビ対策は、基本はエアコン内部の高圧洗浄を行うことですが、頻繁に清掃してもらうとしても費用がかかってしまいます。1~2年に1回、内部を洗浄してもらうとしても、その間はカビ菌の温床になります。

カビ菌の繁殖が気になる方は、エアコン内部を抗菌コートすることをおすすめします。

抗菌コートは、ホコリを除去することはできませんが、空気中やホコリに含まれる雑菌やカビ菌を除菌してくれます。

抗菌コートの主な種類

抗菌コートの種類には、抗菌剤でコーティングするもの、撥水性のある素材でコーティングするもの、光触媒をコーティングするものの3種類があります。

抗菌剤は、カビ菌の発生を抑えてくれる成分をコーティングするものです。

撥水性のある素材をコーティングすることは、カビの発生要因である水気を流してしまって、素早く乾燥させたい場合に有効です。しかし、長時間冷房をONにしていると、ずっと濡れた状態ですので、カビ菌の抑制につながるのか疑問です。

テフロンなどのフッ素樹脂を用いた抗菌コートでは、防カビ剤入りのものが多いです。撥水と防カビの両方を実現しています。フッ素樹脂は水や油をはじく性質があるので、汚れが付きにくいため、カビが発生しにくくなります。

光触媒は、光触媒の効果によってカビ菌を分解してくれます。光触媒は、カビ菌を分解しても、光触媒の成分は変質しませんので、エアコン内部に光触媒成分がとどまり続けたら、抗菌効果がずっと続きます。エアコン内部の弱い光でも、光触媒の効果が発揮できる成分を使っているかどうかがと、光触媒成分がエアコン内部にとどまり続けるかが、効果の高さを左右します。

光触媒は水と馴染む性質(親水性)が高いので、光触媒の抗菌コートをすると、冷房時の水分は光触媒に密着して、光触媒との接触面積が増えます。すると、水分中のカビ菌や雑菌を分解しやすくなります。

それぞれの種類で、メリットとデメリットがあるので、それを比較してどの抗菌コートを選ぶのか決められたら良いでしょう。

エアコンの抗菌コートの種類別、メリットとデメリット

抗菌剤や撥水性のある素材をコーティングするタイプでは、手持ち式の加圧スプレーを利用できるものが多いです。それに比べて、光触媒コーティングの場合は、専用の塗装装置を用いないといけません。抗菌コートをする作業の手軽さで言えば、抗菌剤や撥水性のある素材の方が便利です。

抗菌剤を使用したものの中には、成分に何を使っているのか分からないものがあったり、エアコンフィルターには使用できないものもあります。もしかしたら、抗菌剤によっては人に触れると良くないかもしれない成分が含まれているかもしれません。また、エアコンフィルターは頻繁に洗浄するので、抗菌コートが落ちてしまうからかもしれません。

その点からすると、光触媒コーティングは、エアコンの内部だけでなく、エアコンフィルター、エアコンの外部にも塗装ができ、身体に安全ですので、ユーザーが触る部分も含め、エアコン全体の抗菌コートが可能です。

光触媒は、雑菌やカビ菌を分解することに加え、部屋の臭いの消臭や、新築の部屋に漂う化学物質(VOC)も分解してくれまるメリットがあります。

耐久性で比較すると、抗菌剤を使用したものは、効果の持続期間が長くても6ヶ月~1年ほどです。光触媒コーティング剤は、一般的な製品においての効果の持続期間1~3年です。弊社の光触媒製品は、塗装面に強く定着するので効果の持続期間は5~10年ほどで、しかも内部を高圧洗浄してもなかなか落ちません。光触媒コーティングは、他の抗菌コートと比較して耐久性が圧倒的に高いです。

手軽に頻繁に抗菌コートをするのであれば、抗菌剤のものが良いでしょう。コーティングに専用の機械が必要ですが、1回施工したら長期間持つものは光触媒コーティングです。

どの種類の抗菌コートを選ぶとしても、抗菌コートをする前にエアコン内部を洗浄しないといけません。その手間を考えると、耐久性が圧倒的に高い光触媒コーティングがおすすめです。

あとは光触媒コーティングが、エアコン内部でどの程度の抗菌力があるのかです。もちろん、すべての光触媒の抗菌コート剤が、防カビ効果が高いとは限りませんので、ご注意ください。

エアコン内部を除菌コートするタイミング

エアコン内部を除菌コートしたい場合のベストなタイミングは、新築住宅を購入したタイミングや、エアコンを新しいものに交換したタイミングです。

エアコンをまだ使用していませんので、内部はとてもきれいな状態です。エアコン内部をハウスクリーニング業者に清掃してもらわなくても、抗菌コートができます。

もし、使用中のエアコンで、内部のカビが気になったときに抗菌コートをしたいと思ったのであれば、エアコンを分解清掃してくれるハウスクリーニング業者に依頼して、内部を高圧洗浄してもらいます。その後に抗菌コートをしてください。

内部が汚れていると、その汚れが落ちるときに、抗菌コートも落ちてしまうため、抗菌コートの持続期間が短くなるからです。

光触媒の抗菌コートはエアコンに効果があるのか?

抗菌効果と耐久性の高さで光触媒の抗菌コートを選ぶ場合、どのメーカーの光触媒の抗菌コートも同じような効果や耐久性があるとは限りません。まず、光触媒の効果の高さについてご説明いたします。

光触媒はエアコン内部にコーティングして効果が得られるのか?

そもそも、酸化チタン光触媒を使った抗菌コートは、光触媒の知識のある方からすると、「酸化チタンがエアコン内部で光触媒の効果を発揮するのか?」と疑問を持たれることがあります。

酸化チタンが持つ性質は、光エネルギーを受けたら光触媒としての効果が出るのですが、効果が出る光の波長が紫外線なのです。

紫外線は、直射日光に多く含まれます。日の光を浴びると日焼けをしますが、酸化チタンはその日焼けをする波長の光を吸収して、光触媒の効果を発揮します。酸化チタンは、紫外線を吸収するわけですから、日焼け止めクリームに使用されている成分です。

さて、エアコンの除菌コートですが、蛍光灯からも少しは紫外線が出ているのですが、エアコン内部は紫外線が届きませんので、酸化チタンそのままをエアコン内部にコーティングしても、光触媒としての効果が皆無です。

酸化チタン以外の光触媒ならエアコンに効果があるのか?

酸化チタンは、紫外線を受けたら光触媒としての効果がもっとも高い材質として知られていますが、紫外線が当たらないところでは効果がありません。

そこで、「酸化チタン以外の光触媒成分であれば、エアコンの抗菌コートとして使用できるのではないか?」と考えます。その代表格として、酸化タングステンがあります。

酸化タングステンの吸収スペクトルは、光の波長が480nm付近にあります。つまり、青色から水色の付近にあります。これですと、蛍光灯やLED電球から出ている青色の光で、光触媒の効果があります。

このように、人の目に見える光、それを可視光と言いますが、可視光で光触媒としての効果を持つ成分のことを、「可視光応答型光触媒」と言います。

酸化タングステンは可視光応答型光触媒で、エアコン内部に抗菌コートしても効果がありそうですが、光触媒としての効果が弱いというデメリットがあります。しかも、エアコン内部ですので、光が弱いですから、さらに光触媒の効果が悪くなります。

光触媒の抗菌コートを開発しているメーカーでは、「酸化タングステンを使った可視光応答型光触媒はできないのか?」と研究に取り組む企業もあります。弊社は「酸化チタンを可視光応答型にできないか」と研究を始めた、第一人者的なメーカーです。

酸化チタンを使った可視光応答型光触媒の開発

酸化チタン塗料を開発しているどのメーカーでも、酸化チタンの可視光活性の可能性について研究は行っていませんでした。

当初は、他の光触媒メーカーに相談したりしたのですが、どこのメーカーでも「そのようなことが出来るはずがない」と一蹴されました。「それなら自社で研究をやろう」と思い至り、いろいろと文献を調べましたが、海外の文献で「何かを加えたらいいのではないか?」と書いてあったので、いろいろと加えて実験を繰り返しました。

2年ほど経過して、研究を諦めかけていたときに、ふと「銅は抗菌効果があり、触媒としても利用されているので、銅を加えたらいいのではないか?」と思い至り、試験をしたところ、念願の強力な可視光活性を示したのです!

弊社は、すぐさまその成分で特許を出願しました。研究を重ねると、その新成分の光触媒効果は、とても高いことが分かりました。

弊社では、この新成分を使って、世界で初めて抗菌コート剤を製造しました。

日本中のさまざまな研究機関でも話題になり、各所で追試が行われました。そして、酸化チタンに銅を加えるとなぜ可視光活性が起こるのか、また新成分がどれだけ光触媒の効果が高いのかが実証されていきました。この成分は、銅ドープ酸化チタンと言われています。

弊社の抗菌コート剤は、いろいろな大手企業から取引があり、大手自動車メーカーの研究所から「当社の研究所で調べたところ、イリスの製品がもっとも効果が高い」とお墨付きをいただきました。今でも、その大手自動車メーカーの高級車には、弊社の光触媒コーティング剤を純正品としてお使いいただいています。

弊社製品であれば、エアコン内部という光の量がとても少ない場所でも、抗菌コートとしての効果を発揮します。銅が添加されているので、暗所でも抗菌効果があります。

耐久性の高い光触媒の抗菌コート剤

続いて、光触媒の抗菌コートの耐久性の高さについてご説明します。耐久性が高いと、エアコンの抗菌効果の持続期間が長くなります。

耐久性が高さと施工業者の利益の関係

抗菌コートの耐久性が高いと、抗菌コートをしてもらえたユーザーからするととても喜ばしいことです。耐久性が高いと、頻繁に抗菌コートをしなくて済むので、トータルの費用が安く済むからです。

抗菌コート剤のメーカーや施工業者の利益を考えると、耐久性が高い抗菌コート剤を開発すると、ユーザーからのご依頼回数が減るので、その分だけ得られる利益が減るわけです。

研究開発費を使って耐久性の高いものを開発したら、その分だけ将来の利益を減らしてしまうのです。

そういった関係もあり、弊社の経験からすると、抗菌コート剤の耐久性は、なるべく短いものが施工業者に喜ばれますが、ユーザーがあまりにも耐久性が低いと感じてしまったら、施工依頼が無くなってしまいます。そこで、利益と施工依頼のバランスを考えると、1~3年ほどの耐久性が市場でバランスしているように思います。

弊社は技術会社ですので、やはり「お客様からすると、耐久性が圧倒的に高い方が良いに決まっている」と思います。また、弊社からすると施工業者様もお客様です。「耐久性が圧倒的に高い抗菌コートを開発し、その存在を知ったら、日本全国のお客様がご利用してくださるようになり、施工代理店様も利益が得られる」と考えています。

そういったことで、弊社では光触媒を使った抗菌コートで、弊社で最高の技術でもって、最高の耐久性のある抗菌コート剤を開発しました。それが5~10年の耐久性となっています。これからも、さらなる耐久性の向上を目指して研究しています。

抗菌コートの耐久性を高くする方法

光触媒を使った抗菌コートの耐久性を高める方法は簡単です。それは、抗菌コート剤に配合されている定着材(バインダー)に、光触媒で分解されない成分を用い、その濃度を濃くすることです。

光触媒の定着材は、光触媒効果によって分解されないような、無機物でなければいけません。光触媒を樹脂で固めたとしたら、光触媒が樹脂を分解してしまうので、耐久性が悪くなります。

光触媒の定着材として用いる成分は、アモルファス型酸化チタンです。酸化チタンで酸化チタンを固定化させているのです。

耐久性は大事なところですので、少し解説をしたいと思います。

酸化チタンには、いろいろな結晶構造があります。光触媒として用いる酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型と言われるものです。アナターゼ型酸化チタンは、世の中でもっとも光触媒の効果が高い物質の一つであることが知られています。

酸化チタンを固定化するために用いるのが、アモルファス型酸化チタンです。アモルファスとは非結晶のことです。これを塗装するとガラスのようになり、塗装面に強固に固定化されます。

この定着剤は酸化チタンですから、光触媒の酸化チタンによって分解されることはありません。

抗菌コートの耐久性を高めるためには、アモルファス型酸化チタンの濃度を高めたら良いのです。

しかし、ただ単純に濃度を高めるだけでは、塗装のしやすさや光触媒の効果にも影響するので、耐久性を高めつつ光触媒の効果を最大限引き出すような配合が大事になります。

弊社の抗菌コートは、効果の高さと耐久性が認められ、食品工場の業務用エアコンや、大型空調機のフィルターなどでもご利用いただいております。

エアコンに光触媒の抗菌コートをするメリット

光触媒の抗菌コートは、抗菌や防カビなどの効果だけでなく、他にもメリットがあります。それは、光触媒の性質が、有機物を分解できる効果があることから得られます。

消臭効果

臭いの成分のほとんどは有機物です。室内の臭い成分は、油分やカビ菌などが多いです。ペットを室内で飼っている自宅では、アンモニアやペット特有の臭いがあります。

そういったニオイは、光触媒によって分解することができます。つまり、エアコンのスイッチをONにすると、部屋の臭いをエアコンが吸い込み、消臭してくれる効果があるのです。

部屋の臭いの中で、タバコの臭いがもっとも強力です。光触媒に消臭効果では、さすがにタバコの臭いは消えないことが多いです。部屋にタバコを何本も吸う人がいたら、次から次へと煙が出てくるので、光触媒でのタバコの煙の分解が追い付かないからです。

揮発性有機化合物(VOC)の分解

新築の住宅ではシックハウスの原因とされる、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、トルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物(VOC)が、部屋の中に多く漂うことが知られています。

ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは、光触媒で簡単に分解することができます。トルエンやキシレン、スチレンは光触媒では分解が難しいとされていますが、弊社が開発した銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤であれば、分解が可能です。

エアコン内部と試験環境では条件が異なりますが、いろいろな種類のVOCの分解試験を第三者機関にて行っていただき、素早く分解されることを確認しました。そのとき、試験を担当された方が、分解の早さに驚かれていました。

VOC対策は換気をすることが良いとされていますが、夏場や冬場では換気がしにくい場合もあります。VOCが気になる方は、光触媒の抗菌コートを施工したエアコンが役立ちます。

弊社の光触媒コーティング剤を使ったエアコンの抗菌コートのご依頼は、弊社もしくは施工代理店までお気軽にご相談ください。弊社の施工代理店の一覧は、こちらのページをご覧ください。

また、エアコン機器やエアコンフィルターのメーカー様からの抗菌コート剤のご注文やODM製品の開発なども承っています。

ハウスクリーニング業者様で、弊社製品を導入して光触媒を使った抗菌コート事業を始めたいとお考えの企業様も、せひご相談ください。弊社では、そういった企業様が事業を始めやすいように、施工講習会を開催していたり、施工機材の販売もしていいます。また、弊社製品の施工代理店になられた企業様は、弊社ホームページでご紹介もさせていただきます。

日本最高峰の効果と耐久性を両立した光触媒の抗菌コートを、ぜひご利用ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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