エアコンに、抗菌コートや防カビコート、消臭コートを行うとき、それらのコーティング剤を用います。
エアコンの抗菌や防カビ、消臭ができるコーティング剤として、光触媒コーティング剤があります。光触媒コーティング剤なら、抗菌や防カビ、消臭などが1つでできます。
光触媒コーティング剤に用いられている光触媒は、いろいろな種類があります。
その種類の選択を間違うと、エアコンの抗菌や防カビなどの効果がまったく出ないこともあります。
この記事では、光触媒コーティング剤がエアコンで効果があるのかどうか、光触媒の種類の選び方、施工方法をご紹介します。
エアコンの抗菌コート、防カビコートに光触媒コーティング剤をご利用になられる場合は、ぜひ最後までご覧ください。
光触媒の効果
最初に、光触媒の効果についてご説明いたします。光触媒をエアコンにコーティング塗装することで、エアコンに次のような効果があります。
- エアコン内部の抗菌や防カビ
- 部屋の空気の除菌や消臭
- アレルゲンの分解
- シックハウスの原因となるVOCの分解
なぜ光触媒で抗菌や防カビなど、いろいろな効果があるのか？
光触媒は、いろいろな効果が期待できますが、その理由は光触媒から発生するOHラジカルと言われる活性酸素にあります。
光触媒に光が当たると、表面に自由電子が発生し、それが空気中の酸素分子や水などと反応して、OHラジカルになります。OHラジカルは強い酸化力を持っており、すぐに菌やウイルス、臭い成分、化学物質などと結合する性質があります。
OHラジカルと結合すると、結合したものは酸化分解されていきます。菌類やウイルスは活動が抑制されたり死滅したりします。臭い成分やアレルゲン、化学物質は分解されて、無害なものに変化していきます。
そのようにして、光触媒コーティング1つで、エアコンにいろいろな機能を付与することができます。
エアコン内部は光が当たらないのでは？
光触媒は、光が当たることでOHラジカルが発生することを述べました。ところが、エアコン内部は、光が当たりにくい環境ですから、「エアコン内部を光触媒コーティングしても、効果が無いのでは？」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。
例えば、光触媒で代表的な成分は、酸化チタンです。酸化チタンは、紫外線が当たることによってOHラジカルが発生します。エアコン内部に酸化チタンコーティングをしても、エアコン内部は紫外線どころか、光すら当たりにくいわけですから、酸化チタンコーティングをしても、エアコンが抗菌や抗ウイルス、消臭といった効果を持たないわけです。
それが故に、「エアコンに酸化チタンコーティングをしたが、効果が感じられない」というお声を頂くことがあります。弊社としても、エアコンの酸化チタンコーティングはおすすめするどころか、「効果が無いですよ」と強く訴えているわけです。
エアコン内部でも効果の高い光触媒の種類とは？
光触媒コーティング剤として実用化されている光触媒の種類は、次のものがあります。
- 酸化チタン
- 銅ドープ酸化チタン（銅担持酸化チタン）
- 窒素ドープ酸化チタン（窒素担持酸化チタン）
- 鉄ドープ酸化チタン（鉄担持酸化チタン）
- 酸化タングステン
- 銅イオン光触媒や銀イオン光触媒
酸化チタンは、先ほどご説明したように紫外線が当たらないと効果がありませんから、エアコン内部のコーティング剤としては不向きです。
これらの中で、弊社がもっともおすすめするものが、銅ドープ酸化チタン（銅担持酸化チタン）です。
ドープや担持は、本来は「添加した」という意味ですが、光触媒では「結合させた」という意味になります。銅ドープ酸化チタンは、酸化チタンを基材として、そこに補触媒となるナノサイズの酸化銅を結合させた成分です。
他にも光触媒の種類はたくさんありますが、まだ研究室レベルのもので光触媒コーティング剤として実用化されていなかったり、光触媒コーティング剤の価格が高すぎてほとんど流通していなかったり、特殊な用途で用いられるものであったりします。
銅ドープ酸化チタンとその他の光触媒の効果比較
酸化チタンに、銅や窒素、鉄などを結合させることによって、紫外線にしか反応しなかった酸化チタンが、可視光でも反応するようになります。このような光触媒成分のことを、可視光応答型光触媒といいます。目で見える可視光でも反応して、抗菌や防カビ、消臭などの効果を発揮するようになるからです。
なお、酸化タングステンは、そのままで可視光活性するので、可視光応答型光触媒です。
しかし、可視光応答型光触媒を使ったとしても、エアコン内部には光が当たりにくいので、触媒効果がとても弱いものです。
そこで、銅ドープ酸化チタンの登場です。銅ドープ酸化チタンは、ナノサイズの酸化銅が酸化チタンに結合されていますが、その成分は光が当たっていなくても触媒効果を発揮するので、エアコン内部でも抗菌や消臭などで高い効果を発揮します。タバコやスパイスの臭いも強力に分解しますし、トルエンやキシレンといった一般的な光触媒では分解が難しいとされる化学物質も分解可能です。
ここで、銅イオン光触媒や銀イオン光触媒も、光が当たらなくても、銅イオンや銀イオンが抗菌や消臭などの効果を発揮してくれる成分です。ところが、それらの成分は酸化チタンが効果を発揮することで、銅イオンや銀イオンが発生するようですので、エアコン内部では効果が弱いと言えます。
また、銅イオンでは試していませんが、銀イオンそのものと銅ドープ酸化チタンの効果を、弊社にて試験したところ、銅ドープ酸化チタンの方が圧倒的に効果が高いことが判りました。
そういったことで、エアコンのコーティング剤として、銅ドープ酸化チタンが最適だと言えます。
特に、エアコンの抗菌に気を遣う飲食店や食品工場では、コーティング剤選びにご注意ください。
銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤BX01-AB1
エアコン内部に最適な光触媒は、銅ドープ酸化チタンということですが、それを使った光触媒コーティング剤は、弊社が世界で初めて実用化しました。
製品名は、屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1です。
この製品は、エアコン内部の樹脂や熱交換器部分のアルミニウム、フィルターのプラスチックなどに塗装ができます。
使用量は、家庭用エアコン1台ですと、多くても200mlほどです。屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1は、250mL単位で販売していますから、1台だけを塗装する場合は、250mLをご注文ください。
光触媒コーティング剤BX01-AB1を塗装すると、エアコン内部に強固に定着し、耐久性は10年以上あります。エアコンの高圧洗浄などを行っても、コーティングが落ちてしまうことはほとんどありません。
エアコンの光触媒コーティング施工方法
エアコンの光触媒コーティング施工方法をご説明します。
エアコンの光触媒コーティング施工の流れ
光触媒コーティング施工は、次の手順で行われます。
- エアコン内部の高圧洗浄やフィルター清掃
- 乾燥
- エアコン内部とエアコンフィルターの光触媒コーティング塗装
- 乾燥
最初に、エアコン内部の高圧洗浄やフィルター清掃を行います。エアコン内部やフィルターには、埃やカビが付着していることが多いからです。それらの上から光触媒コーティング塗装をすると、光触媒によって分解されて落ちていくときに、光触媒コーティングもいっしょに落ちていってしまうからです。
エアコンの清掃を入念に行ってから、光触媒コーティング塗装に臨みます。エアコン内部の高圧洗浄は、事前にハウスクリーニング業者に依頼するか、光触媒コーティング業者が同時に高圧洗浄をしてくれる場合もあります。エアコンを高圧洗浄するときに、カバーを分解したり、養生をしたりしますが、光触媒コーティング塗装をする前に、それらを元に戻しておいてください。
エアコン内部やフィルターの清掃を行ったら、それらをしっかり乾かします。濡れたままですと、光触媒コーティング塗装ができないからです。エアコン内部の乾燥には、暖房にして風量を最大にします。冷房や除湿をすると、熱交換器が結露するのでご注意ください。
エアコンの光触媒コーティング塗装の方法
エアコン内部やエアコンフィルターが乾燥したら、それらに光触媒コーティング塗装を行います。暖房をかけたまま、フィルターの箇所からエアコン内部に向けて光触媒コーティング剤をスプレー塗装します。
天吊り型エアコンの場合、天井のパネルが結露してカビが発生することがあります。天井パネルのエアコン吹き出し口に近い部分にも、光触媒コーティング塗装をしておくと良いでしょう。
塗装が終わり、乾燥したら、エアコンを普通に利用できます。乾燥の時間は、暖房をかけている状態であればもう少し早く乾燥すると思いますが、念のため夏であれば30分ほど、冬であれば2時間程度の時間をかけてください。
光触媒コーティング剤を塗装する機材
光触媒コーティング剤を塗装する機材には、専用の塗装機械とスプレーガンを用います。
弊社がおすすめする塗装機械は、ABAC温風低圧塗装機です。スプレーガンには、ノズル口径0.3mmといった小口径のノズルを用いてください。
ABAC温風低圧塗装機は、弊社でも販売しているので、どうぞご利用ください。ABAC温風低圧塗装機の価格は、この記事を書いている時点では、SG-91光触媒塗装セットがおおよそ30万円前後です。
スプレーガンの塗料カップに光触媒コーティング剤を充填し、コンプレッサーの電源をONにして、エアコンに吹き付け塗装をします。
屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1のご購入方法
屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1は、業務用製品ですから、一般の方には販売をお断りしています。企業もしくは個人事業主の方で、本製品をご購入になられたい方は、弊社までご相談ください。弊社の施工代理店でも販売しております。
販売単位は、250mL単位です。使用量は、家庭用エアコン1台で200mLほどです。屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1をエアコンに使用する旨と、必要量をご注文ください。使用量が判らない場合は、お気軽にご相談ください。施工時に光触媒コーティング剤が足りないと困るので、若干多めにご注文されることをおすすめします。
なお、「少しだけの量でお試しをしたい」という方には、弊社では、屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1（100ml）をサンプル提供しています。「エアコンに効果があるのか試してみたい」という方は、サンプル提供をご依頼ください。
施工講習会のご案内
エアコンの光触媒コーティング施工を、自社の事業として取り入れていきたいとお考えの方は、弊社までお気軽にご相談ください。弊社にて光触媒コーティング塗装の方法を学べる、施工講習会を開催しているので、企業だけでなく個人事業主のお客様にもご利用いただけます。
施工講習会では、エアコンの光触媒コーティング塗装の方法だけでなく、光触媒の基礎知識、光触媒コーティング剤の種類や扱い方、施工機材の使用方法、見積もりの作り方などを、実習を交えてお教えしています。
弊社が開発した品質や効果の高い光触媒コーティング剤を使い、光触媒コーティング施工を新規事業としてお取組みになられたい方は、光触媒コーティング施工代理店募集のご案内をご覧ください。
ご連絡をお待ちしています。
この記事の著者／責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。