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なぜ酸化チタンが液体になるのか?光触媒コーティング液剤について

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なぜ酸化チタンが液体になるのか?光触媒コーティング液剤について

酸化チタンは、チタンという金属が酸化したもので、光触媒の性質があります。

それをコーティング液剤にすれば、塗布することができます。

酸化チタン光触媒コーティング液剤は、半透明な液剤ですから、「酸化チタンが溶けている」と思われる方もいらっしゃいます。

しかし、酸化チタンはイオンとして水に溶けていませんから、酸化チタンが結晶として存在し、「水の中に分散している」と言った方が適切です。

コロイドとして存在する酸化チタン

少し学生時代の理科の授業を思い出していただきましょう。

「コロイド」という言葉をご存じでしょうか?

コロイドとは、ナノサイズの物質が、個体や液体、気体などに分散して存在している状態のことです。酸化チタンは、コロイドとして存在しているので、液剤になっています。

コロイド粒子が溶液中に均一に分散した溶液のことをコロイド溶液といいます。ですから、光触媒コーティング液剤は、液体ではなくコロイド溶液と言った方が適切です。

光触媒コーティング液剤はゾルの一種

さらには、ゾルやゲルという言葉があります。

ゾルとは、液体状で流動性のあるコロイドのことです。光触媒コーティング液剤は、液体にコロイドである酸化チタンが分散しているので、ゾルの一種です。ちなみにゲルとは、個体状のコロイドのことで、ゾルが流動性を失った状態でもあります。

さて、光触媒コーティング液剤には、酸化チタンの微細な粉末が入っています。粉末の1粒の大きさは、ナノサイズです。酸化チタンは結晶構造を持っていますが、その結晶を保ったままの微細な粉末が添加してあります。

酸化チタンがイオンとして溶けていたら液体なのですが、光触媒コーティング液剤には結晶構造を持って分散しているのでゾルの一種となります。

光触媒コーティング液剤の製造法「ゾルゲル法」

酸化チタンの粒の大きさがナノサイズですと、それを水に混ぜるだけでは簡単に分散しませんから、「ゾルゲル法」といわれる特別な製法を用いています。

ゾルゲル法は、アモルファス酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンを組み合わせて光触媒コーティング剤にする製造方法です。この方法は、佐賀県窯業技術センターの一ノ瀬先生が発見され、特許を取得されました。弊社はその特許を活用させていただき、光触媒コーティング液剤を製造しています。

弊社は、酸化チタン光触媒コーティング液剤に、いろいろな金属をゾル化させて溶け込ませたり、酸化チタンに別の金属を担持させたりする技術を有しています。光触媒コーティング液剤の製造・販売だけでなく、さまざまな企業様からの光触媒コーティング液剤の開発も行っています。お気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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