水滴が何かに触れると、触れた面の性質に応じて、水を弾いたり、馴染んだりします。
光触媒は、光を当てると親水性の効果が現れます。親水性とは、水と馴染む性質のことです。
例えば、自動車の窓ガラスは水を弾くようにコーティング剤を塗布します。自動車の窓ガラスが、しっかりと水を弾く場合には、ある程度の速度が出てきたら、ワイパーを動かさなくても、風の力で雨水が後方に流れていきます。
水を弾くコーティングが取れてくると、雨水が水滴にならなくなり、自動車の窓ガラスに馴染むようになります。そのような状態は、親水性が高いと言えます。
光触媒コーティングをすると、窓ガラスに親水性の効果を付与することができます。
この記事では、親水性のメリット、酸化チタン光触媒の親水性やその性能を高める方法などを解説いたします。
光触媒による親水性によるメリット
光触媒コーティングをすると、コーティング面に光が当たれば親水性が出ます。
この親水性の効果は、主に窓ガラスに利用されます。窓ガラスに光触媒コーティングをして親水性が高まると、窓ガラスに着いた汚れが、雨水で自動的に流れていく効果が出るからです。
この効果のことをセルフクリーニングといいます。窓ガラスの汚れが自動的に流れ落ちていくため、このような名称になりました。
光触媒コーティングによって、窓ガラスに親水性が付与されたら、窓ガラスの掃除の手間が軽減され、メンテナンスコストが下げられるというメリットがあります。高層ビルでは、全面がガラス面になっているところもあるので、光触媒コーティングのメリットが大きくなります。太陽光パネルにも利用できます。
セルフクリーニングのメカニズムについて詳しく知りたい方は、「光触媒のセルフクリーニングとは?」をご参照ください。
酸化チタン光触媒の親水性
光触媒成分はたくさんありますが、それらには親水性の効果があるはずです。ただし、光触媒成分の種類によって、親水性の効果の高さに差があります。
数ある光触媒成分の中で、代表的なものは酸化チタンです。酸化チタンは、紫外線を受けてOHラジカルを発生させ、触媒の効果を発揮します。このOHラジカルによって親水性の効果が発揮されます。
このように、酸化チタンをコーティングすると、親水性を持ちますが、セルフクリーニングをすることを目的としたならば、少し親水性の効果が弱いように思います。
親水性が求められる時は、雨の日ですが、雨が降ると雲で太陽光が遮られて、紫外線量が少なくなります。すると、親水性の効果が下がってしまうためです。
酸化チタンコーティングによってセルフクリーニング効果を得たい場合には、酸化チタンを何らかの方法で、親水性を高めることが必要です。
酸化チタン光触媒の親水性を高める方法
雨の日にセルフクリーニング効果を得るためには、少し心もとない酸化チタンですが、その効果高める方法はいくつかあると思います。
その方法の一つとして、酸化チタンに酸化タングステンを担持させる方法があります。
担持とは、基材に別の成分を結合させて基材の性質を高めることです。ここでの基材とは、酸化チタンになります。別の成分として、酸化タングステンを結合させています。
この光触媒成分には、名称がついていませんが、「酸化タングステン担持型酸化チタン」や「酸化タングステンドープ酸化チタン」とでも名付けられるものと思います。
ともあれ、酸化チタンに酸化タングステンを担持させたものは、親水性の効果がたかまります。その光触媒コーティング製品は、ガラス用光触媒コーティング剤(BTG01)です。
「酸化チタンでセルフクリーニングができる」と言われたら、そうかもしれませんが、その条件としては紫外線が強く当たるときです。しかし、雨の日は曇っているので、太陽光が射さないため、紫外線が弱くなりますから、セルフクリーニングの効果が弱まります。
酸化チタンに酸化タングステンを担持させて、雨の日にもセルフクリーニング効果を高めた光触媒コーティング剤「ガラス用光触媒コーティング剤(BTG01)」をご利用ください。
以上、親水性の意味や酸化チタン光触媒の親水性について解説いたしました。
光触媒によって窓ガラスにセルフクリーニング効果を付与したい場合は、酸化チタン光触媒では効果が弱い場合があります。そういった場合に備えて、酸化タングステンを担持させた酸化チタンの光触媒コーティング剤をご利用ください。
この記事の著者/責任者
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。