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室内のホルムアルデヒドを光触媒で分解する方法

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室内のホルムアルデヒドを光触媒で分解する方法

新築を建てたとき、新築マンションに住み始めたときに、部屋の化学物質の臭いが気になることがあります。

この臭いは、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物と言われる物質です。換気をしていたら数か月で取れてくるのですが、それまで化学物質を吸い続けることになりますから、対策をしたいものです。

そこで、今回おすすめする方法は、光触媒でホルムアルデヒドを分解するというものです。

ホルムアルデヒドは、光触媒で簡単に分解できる物質です。しかし、部屋の中で光触媒を使用する場合には、正しいものを選ばないと、まったく効果が無い場合もあります。

この記事では、室内のホルムアルデヒドを分解するために、どのような光触媒を選んだら良いのかを、光触媒メーカーとして本音で解説いたします。

光触媒でホルムアルデヒドを簡単に分解できる

ホルムアルデヒドは、自然界でも簡単に分解される化学物質ですから、光触媒を使うとより効率的に分解ができます。

部屋のホルムアルデヒド除去の基本は換気

紫外線を照射しても分解できますから、室内のホルムアルデヒドを分解したい場合は、カーテンを開けて、直射日光を入れてあげたら良いです。

部屋の中のホルムアルデヒドの除去は、基本は換気です。窓をおもいっきり開けてあげたら、室内の化学物質の臭いがすぐに消え去っていきます。しかし、窓を閉めたら、また壁などからホルムアルデヒドが揮発して充満してきますが。

部屋の条件によっては換気が難しい場合もあるので、そういったときは何らかの方法でホルムアルデヒドを除去するか分解すると良いと思います。

オゾンや塩素系の消臭剤を用いる方法もありますが、それらも一時的なものになります。

光触媒でホルムアルデヒドを分解できる理由

ホルムアルデヒドは、紫外線でも分解されるほどですから、光触媒によっても簡単に分解できます。

光触媒は、コーティング剤があるので、壁や天井などに塗布することによって、継続的にホルムアルデヒドを分解してくれます。

光触媒は光が当たるとOHラジカルという酸化力の強い活性酸素を発生させます。それがホルムアルデヒドを強力に酸化分解してくれます。そして、ホルムアルデヒドを分解した後も光触媒は変性せずに残り続けるので、継続的にホルムアルデヒドを分解し続けてくれます。

OHラジカルが発生するメカニズムについては、「光触媒コーティングで消臭ができる臭いの種類」をご参照ください。

ただし、ホルムアルデヒドが分解できるためには、部屋の光でも反応する光触媒成分を用いなければいけません。ホルムアルデヒドを分解できる光触媒は、室内の暗い光でもOHラジカルを発生させられる光触媒ということです。

酸化チタン光触媒でホルムアルデヒドが分解できるか?

酸化チタン光触媒は、紫外線が当たると触媒の効果を発揮し、強力にホルムアルデヒドを分解してくれます。

ここで注意すべきことは、酸化チタン光触媒は紫外線に反応するということです。

室内に酸化チタンコーティングをしたとしても、室内に紫外線が無ければ、酸化チタン光触媒はまったく効果が無いことを意味します。

では、「室内でも効果のある光触媒成分はあるのか?」ということですが、もちろんございます。次に室内でも効果のある光触媒について解説いたします。

室内でも効果のある光触媒とは?

室内でも効果のある光触媒は、「蛍光灯やLED照明、白熱球などの光でも触媒の効果を発揮する光触媒」ということになります。

そのような光のことを、可視光応答型光触媒といいます。蛍光灯やLED照明などの目で見える光に反応する光触媒という意味です。それに対して、酸化チタンは紫外線に反応するものですから、紫外線応答型光触媒といいます。

可視光応答型光触媒の種類

さて、可視光応答型光触媒には、いろいろな種類があります。室内用の光触媒コーティング剤として実用化されているものは、次の4種類を弊社では把握しています。

  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン

銅ドープ酸化チタンなどの「ドープ」とは、「添加した」とか「担持させた」という意味です。要するに、酸化チタンに銅を結合させたという意味です。なぜ酸化チタンに銅や窒素、鉄などを結合させるのかと言いますと、それらの成分を結合させることによって、今まで紫外線にしか反応しなかった酸化チタンが、可視光でも反応を示すようになるからです。

酸化タングステンは、その成分そのままで可視光応答型光触媒として機能します。

ホルムアルデヒドが分解できる可視光応答型光触媒とは?

これらの可視光応答型光触媒の中で、「ホルムアルデヒドが分解できる成分はどれか?」ということですが、実は程度の差はあれども、どれでも分解ができます。ホルムアルデヒドは、それだけ簡単に分解ができる成分なのです。

程度の差があると言ったのは、成分そのものの性能の高さもあります。もちろん、光触媒コーティング剤に光触媒成分が多く入っているものは、効果が高いです。

そういった条件もあり、上記の成分の中でもっともホルムアルデヒドを分解してくれる光触媒成分は、銅ドープ酸化チタンです。

窒素ドープ酸化チタンと銅ドープ酸化チタンの性能を比べると、同じ条件で銅ドープ酸化チタンが数倍の効果を示します。また、鉄ドープ酸化チタンや窒素ドープ酸化チタンは、光触媒コーティング剤の中に成分をほとんど入れることができないため、光触媒コーティング剤としたときにも、銅ドープ酸化チタンの方に軍配が上がります。

寝ている間(夜間)のホルムアルデヒドの分解は可能か?

光触媒は、光が当たると触媒の効果を発揮して、ホルムアルデヒドを分解してくれます。ここで、「寝ている間の電気を消しているときは、ホルムアルデヒドを分解してくれないのか?」という疑問が浮かびます。

一般的な光触媒では、当然ながらホルムアルデヒドの分解はできません。

ところが、上記の可視光応答型光触媒の中に、一つだけ光が当たっていなくても触媒の効果を発揮する成分があります。それは、銅ドープ酸化チタンです。

銅ドープ酸化チタンは、添加されたナノサイズの酸化銅が常温でも触媒の効果を発揮し、ホルムアルデヒドを分解してくれるのです。

ですから、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を室内に塗装しておけば、昼間はもちろんのこと、夜間でもホルムアルデヒドを分解してくれます。

銅ドープ酸化チタンは、数ある光触媒成分の中でもっとも効果が高く、暗所でもホルムアルデヒドを分解してくれる優れものだったのです。

銅ドープ酸化チタンが分解できる化学物質とは?

シックハウスの原因物質とされるホルムアルデヒドですが、実はシックハウスの原因はホルムアルデヒドだけでは無いことが知られています。この記事をご覧の方も、ご存じのことでしょう。

冒頭でもお伝えした揮発性有機化合物(VOC)には、本当にたくさんの種類があるそうです。神奈川県ホームページの「揮発性有機化合物(VOC)に該当する主な物質(PDF)」が参考になります。

弊社では、銅ドープ酸化チタンの性質を分析するために、いくつかの種類のVOCを分解できないかを試験しました。試験したVOCは、次の種類になります。

  • ホルムアルデヒド
  • アセトアルデヒド
  • トルエン
  • キシレン
  • スチレン

ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは、他社の光触媒製品のホームページでも、分解試験の結果をよく見かけます。アセトアルデヒドは、ホルムアルデヒドと同様に、光触媒で簡単に分解ができる成分です。

トルエンやキシレン、スチレンはベンゼン環を持つVOCで、光触媒では分解が難しいとされる物質です。ところが、銅ドープ酸化チタンで試験したところ、グングンと分解されていきました。この結果には、試験を依頼した業者の担当者様も驚かれていました。

これらの分解試験結果は、「揮発性有機化合物(VOC)を分解できる光触媒成分とは?」をご参照ください。

銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤

銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を世界で初めて開発した企業があります。それは、実は弊社です。

開発したのは今から22年ほど前ですが、弊社の技術チームが、「何としてでも酸化チタンを強く可視光応答させたい」という信念で開発したものです。その製品をさらに効果を高めつつ、耐久性も改善して出来上がった製品が、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)です。

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の塗装は、専用の塗装機械とスプレーガンを用いるので、施工は弊社の施工代理店にご依頼いただくことになります。

また、住宅メーカー様でホルムアルデヒドが分解できる光触媒コーティング剤をお探しの方は、ぜひ屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の導入をご検討ください。弊社では、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の施工講習会も開催しています。

室内のホルムアルデヒドでお悩みの方は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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