![クリア塗装ができるコンクリートの防カビ塗料](https://iris-hs.co.jp/wp-content/uploads/column/4845.webp)
室内のコンクリート壁は、コンクリートの湿気によって、コンクリートがカビ臭くなったり、カビが発生したりすることがあります。
部屋の中で洗濯ものを干したり、鍋料理をして、部屋の湿度が高まり、窓ガラスといっしょにコンクリートも結露することがあります。
結露したまま放置しておくと、カビの温床になります。
コンクリートの防カビの基本は、湿気対策です。特に新築のコンクリートは湿気を多く含むので、湿気が無くなるまで換気をすることが大事です。
しかし、湿気があっても冬場はなかなか換気がしにくいものです。そこで、コンクリートの防カビ塗料の塗装をおすすめします。
コンクリートの防カビ塗料には、いろいろな種類がありますが、打ちっ放しコンクリートの質感を活かすためには、クリア塗装ができる防カビ塗料をお選びください。
そして、クリア塗装ができる防カビ塗料の中で、おすすめなものが光触媒コーティング剤の塗装です。
おすすめの防カビ塗料は光触媒コーティング剤
なぜコンクリートの防カビに光触媒コーティング剤の塗装がおすすめなのか、解説いたします。
光触媒による防カビのメカニズム
光触媒とは、光が当たると、そこに触れている有機物を酸化分解してくれる性質を持つ物質のことです。カビ菌も有機物ですから、光触媒による分解の対象となります。
そして、光触媒はカビ菌を分解したとしても、光触媒成分そのものは劣化しませんから、コンクリートに光触媒成分が付着し続けてくれたら、半永久的に防カビができます。
光触媒がカビ菌を完全に分解してくれるのかと言えば、そうではありません。光触媒成分の結晶からすると、カビ菌の大きさの差には、サーフボードと大型タンカーほどの差があるので、完全分解は難しいのです。
光触媒は、カビ菌全体を分解するのではなく、カビ菌の表面にある突起や粘膜、細胞壁などを少しずつ分解していきます。そして、カビ菌の活性を弱めたり、死滅させたりします。これが、光触媒による防カビのメカニズムです。
光触媒コーティング剤とは?
光触媒コーティング剤とは、光触媒成分を塗装面に定着させるコーティング剤です。
光触媒コーティング剤の成分には、「光触媒成分」とそれを定着させる「接着剤(バインダー)」が使用されています。
光触媒成分は、酸化チタンや銅ドープ酸化チタン、酸化タングステンなど、いろいろな種類があります。それぞれ性質が異なるので、室内や室外、直射日光が当たる場所や日陰になる場所といった、光触媒を使用する場所によって、光触媒成分を適切に選ぶことが大事です。
また、バインダーには光触媒によって分解されないように、無機系のものを利用します。有機バインダーは有機物なので、光触媒によって分解される恐れがあります。無機バインダーの成分には、一般的にはアモルファス酸化チタンが用いられます。
ネット検索をしていると、防カビ塗料を扱う業者のホームページで、「光触媒は有機バインダーを利用するので、劣化する」と書かれていることがあります。そのような記載は、ごく一部の情報だけを掲載しているようですから、誤解をなさらないようにしてください。
弊社の光触媒製品はすべて無機バインダーを用いていますから、塗装面に強固に付着し、なおかつ高い耐久性を持ちます。ご安心ください。
室内でも防カビができる光触媒「銅ドープ酸化チタン」
室内で利用して防カビの効果がある光触媒成分は、「銅ドープ酸化チタン」といわれるものです。酸化チタン光触媒に銅を添加し、補触媒として結合させた成分です。
酸化チタンは、紫外線にしか反応しませんが、銅ドープ酸化チタンは室内の光にも反応して、強力に防カビができる成分です。また、暗所でも触媒の効果を発揮し、防カビをしてくれる特殊な光触媒です。
室内用として一般的に利用されている光触媒コーティング剤には、酸化タングステンが用いられていることが多いです。酸化タングステンを使った光触媒コーティング剤は、カビが発生するクレームが多いとのことです。
銅ドープ酸化チタンは、酸化タングステンの数倍の効果の高さがあります。室内のコンクリートを防カビしたい場合は、銅ドープ酸化チタンを用いた光触媒コーティング剤をご利用ください。
コンクリートの防カビ塗料に求められる条件
コンクリートに利用できる防カビ塗料には、いくつかの条件があります。
中性~アルカリ性
コンクリートは酸性に弱い性質があります。また、酸性の防カビ剤を塗装すると、コンクリートと反応して、防カビ剤が劣化する可能性もあります。ですから、中性~アルカリ性の防カビ剤でないと塗装ができません。
光触媒コーティング剤は塩基性です。塩基性とは、酸を中和される性質があります。pHはアルカリ性です。
クリア塗装
クリア塗装は、先ほどから出てきているキーワードですが、意味は「透明な塗装」です。
打ちっ放しコンクリートに防カビをする場合は、打ちっ放しコンクリートの質感が損なわれないように、クリア塗装ができる防カビ塗料を選ぶことが大事です。
光触媒コーティングをクリア塗装したコンクリートと、何も塗装していないコンクリートでは、見た目は同じなので、光触媒コーティングしたことを見分けることは難しいです。
弊社の屋内用光触媒コーティング剤は、クリア塗装ができるのでご安心ください。
クリア塗装ができる防カビ塗料の効果の高さと耐久性
クリア塗装ができる防カビ塗料には、いろいろな種類のものが市販されています。市販品のすべての製品を調査したわけではありませんが、弊社が知る限りのことを一般的に述べるとするならば、次のようになります。
防カビ効果の高さ | 効果の持続期間 | |
---|---|---|
銅ドープ酸化チタン | 高い | 長い |
酸化タングステン | 低い | 長い |
銅ハイブリッド酸化チタン | 中くらい | 短い |
銅イオンコーティング | 中くらい | 短い |
防カビ塗料は、どのメーカー品も「わが社のものが良い」と謳うものですが、研究データではなく、お客様に実際に施工した声を掲載してもらいたいものです。
例えば、酸化タングステンの効果を示すデータで、手術室くらいの明るい光を照射して「除菌できました」と謳っているものがありました。ここには掲載していない、とある防カビ塗料で、弊社の施工代理店様が試されたところでは、施工して半年後にカビが生えて、ユーザー様の実に1/3ほどの人からクレームが入った製品もありました。
耐久性の高さは、バインダー成分によって異なります。使用されているバインダー成分によっては耐久性が高くなりますが、効果が持続しない場合もあります。
また、光触媒の場合は、防カビ効果の高さと耐久性の高さが反比例する場合もあります。つまり、耐久性の高さを求めるあまり、防カビ効果が弱まっている製品も存在します。
弊社のように、20年以上の実績ベースで、「防カビができて5年~10年以上効果が持続する」と言える製品は、あまりございません。
外壁はセラミックプライマーを下地塗装すること
![外壁はセラミックプライマーを下地塗装すること](https://iris-hs.co.jp/wp-content/uploads/column/4845-2.webp)
屋内の打ちっ放しコンクリートに光触媒コーティングをする解説をいたしましたが、外壁のコンクリートにも防カビ塗装をしたい場合があります。その場合には、光触媒コーティング剤を塗装する前に、セラミックプライマーを下地塗装することです。
セラミックプライマーとは、セラミックを使った無機プライマーのことで、これをコンクリートに塗装すると水を弾くようになります。
光触媒は、水と馴染む性質があります。そうすると、外壁に光触媒コーティングをすると、雨が降ったときに、雨水がコンクリートにしみ込みやすくなります。雨水は酸性ですから、雨水がコンクリートにしみ込んでいくと、コンクリートが劣化していきやすくなります。
それを防ぐために、雨水を弾くセラミックプライマーを先に塗装しておき、その上から光触媒コーティング塗装をします。もちろん、セラミックプライマーにも「クリア塗装ができる」という条件が求められます。
弊社の製品は、「コンクリート用プライマー(セラミックプライマー)」です。この製品は、ペイントローラーで手軽に塗装ができ、クリア塗装ができるのでコンクリートの質感を損なうことはありません。
セラミックプライマーの利用についての詳細は、「コンクリート打ち放しに光触媒コーティングする方法」をご覧ください。
以上、コンクリートの防カビコーティングについて、解説いたしました。
まとめると、室内の打ちっ放しコンクリートを防カビしたい場合には、銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティングがおすすめです。打ちっ放しコンクリートに使用できる防カビ塗料は、中性~アルカリ性であることとクリア塗装ができることが条件です。
防カビ塗料を選ぶときは、効果の高さと持続期間で選びますが、試験データだけではなく、お客様の声をベースとした効果や持続期間を述べているメーカー品を選ぶことが大事です。
外壁に光触媒コーティングをする場合は、先にセラミックプライマーを下地塗装しておき、水を弾きやすい状態にしておくことで、光触媒の親水性によるコンクリートの劣化を防止してくれます。
この記事の著者/責任者
![島田幸一](/wp-content/themes/iris/images/representative.jpg)
株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。