
自動車の車内の抗菌コーティングには、いろいろな種類がりますが、光触媒コーティングが一般的だと思います。
弊社は自動車の車内用の光触媒コーティング剤を開発・製造しているメーカーです。
そのため、「他社の抗菌コーティングはどういったものがあるのか?」という興味があり、ときどきYouTube動画などで施工している様子などの動画を見ているわけです。
その中で、とある光触媒コーティング剤のPR動画で気になった動画がありました。なぜ気になったのかと言いますと、施工方法をご紹介した後に、メーカー担当者と施工業者の間で次のような対話があったわけです。
メーカー担当者「今回ご紹介するのは、弊社製品で自動車コーティングをされている〇〇自動車様です。それではコーティング施工をお願いします。」
施工業者「このようにたっぷり塗布します。」
メーカー担当者「この抗菌コーティングは、どれくらい持つのですか?」
施工業者「半年ほどです」
メーカー担当者「結構、長持ちしますね」
施工業者「え?あっはい。長持ちですね。」
弊社の開発した自動車用抗菌コーティング剤は、効果が10年以上持ちますから、半年しか持たないのに「長持ちだ」と言っておられて、複雑な気持ちになりました。
この記事では、動画での施工方法を見て考えたことや、動画でPRされていた抗菌コーティング製品はなぜ半年しか持たないのか、耐久性の高い光触媒コーティング剤の選び方などを、本音で解説したいと思います。
これから自動車内装の抗菌コーティングをしたいとお考えの方、抗菌コーティングを事業として取り入れたいと考えの方は、とても参考になる内容だと思います。長い文章ですが、ぜひ最後までご覧ください。
効果が半年の製品のPR動画を見て思ったこと
先ほどの施工動画を見て考えたことをご説明いたします。
効果が半年の製品はバインダーが添加されていない可能性が高い
まず、光触媒を使った抗菌コーティング剤で効果が半年しか持たない製品は、バインダー成分が入っていないのではないかと考えます。
バインダーとは、接着剤のことです。光触媒コーティング剤は、通常であればバインダーが入っており、光触媒成分がバインダーで塗装面に接着されます。このバインダーの種類によって、効果の持続期間が決まります。
「持続期間が半年」というものは、バインダーが入っていないはずです。光触媒成分が摩擦ですぐに落ちていってしまうので耐久性が低いため、効果の持続期間が圧倒的に短くなってしまいます。

バインダーが入っていると光触媒が強固に接着されるとは言え、完全に強固なものではありませんから、摩耗や経年劣化によって落ちていきます。それによって光触媒成分が落ちていきます。その期間が、効果の持続期間になります。バインダー成分によって、効果が長持ちするかどうかが決まります。
一般的に光触媒コーティング剤に利用されるバインダーは、次の2種類のうちのどちらかです。
- アモルファス酸化チタン
- フッ素樹脂
アモルファス酸化チタンが添加されていたら、10年以上の耐久性があります。フッ素樹脂の場合には、5年以上あるものが多いと思います。
弊社では、フッ素樹脂よりもアモルファス酸化チタンを用いた抗菌コーティング剤をおすすめします。その理由は、次の2点からです。
- 耐久性が2倍ほど高いこと
- 再塗装がしやすいこと
アモルファス酸化チタンの方が耐久性が高い理由は、アモルファス酸化チタンは光触媒によって分解されない成分だからです。フッ素樹脂は光触媒による分解の対象ですから、アモルファス酸化チタンよりも耐久性が悪いことが知られています。
また、再塗装がしやすい理由は、フッ素樹脂ですと何でも弾いてしまう性質があるので、再塗装をするときに抗菌コーティング剤を弾いてしまい、均一に塗装ができない可能性があるからです。均一に塗装ができないと、白色のまだら模様が出てしまう場合があります。
その点、アモルファス酸化チタンですと、再塗装をしたときに抗菌コーティング剤が乗りますから、均一に塗装ができます。
なぜバインダーを入れないのか?
YouTube動画の抗菌コーティング剤にはバインダーを入れていない理由は、おそらく次の2つの理由があると思います。
- 光触媒コーティングに不慣れな人でも塗装ができる
- 効果の持続期間が短いため、短期でリピートしてもらえるので儲かりやすい
1つ目に、光触媒コーティングに不慣れな人でも塗装ができるということがあります。
バインダーが入っている光触媒コーティングは、失敗したらたいへんなことになってしまいます。もし間違ってガラス面に塗装してしまったら、そこに光触媒成分が固定化してしまって、ガラスにまだら模様が出てしまう恐れがあります。
ですので、バインダーの入った光触媒コーティング剤を塗装するときは、一般的な自動車整備工場などにあるエアスプレーではなく、温風低圧塗装機を用います。
2つ目の理由は、単純に「儲かるから」です。
10年以上も耐久性のある光触媒コーティング剤は、1回施工したら、自動車を売ってしまうまで、再塗装を必要としません。そして、快適な車内空間が当たり前となり、光触媒コーティングをしていることを、忘れてしまうくらいです。
ですから、半年ほどでリピートしてもらえるくらいの製品の方が、業者としては都合が良いと言えます。10年といった長期間長持ちする製品だと、売上が下がってしまいます。
この辺り、自動車整備業者様の経営判断によります。効果が10年以上ある光触媒コーティング剤を選ぶ場合には、お客様が望まれることではありますが、高い塗装技術が求められることや、リピートがほとんど無いことで、収益としては悪くなる可能性があります。
動画の塗布量から推定される成分量
先ほどの動画を見ていると、業務用のエアスプレーを使って光触媒コーティング剤を塗装していましたが、塗布量がまるでミストシャワーのようにジャバジャバに噴き出ていました。
これだけたくさんの量を噴き出すということは、おそらくは液剤の中に添加されている光触媒の成分量は、とても微量であると思われます。
使用している光触媒成分は「酸化チタン」と言っていましたから、光触媒成分量の多い液剤であれば、動画にあったくらいにジャバジャバに塗布すると、酸化チタンの白色が出てしまいます。シートや床面が白っぽくなってしまうはずです。
ところが、そのようなことが無かったので、光触媒の添加量が極めて少ないと思います。
なぜジャバジャバに塗布する製品なのか?
この動画のメーカーさんは、なぜ光触媒コーティング剤をジャバジャバに塗布する製品を開発したのか、その理由は次の3点だと思われます。
- 自動車整備工場のエアシステムを活用できること
- 光触媒コーティング塗装に不慣れな人でも塗装ができること
- ジャバジャバ吹いていると、お客様から「塗装している」と感じてもらいやすいこと
自動車整備工場のエアシステムは、高圧エアで塗装をしますから、塗布量がどうしても多くなってしまいます。そのジャバジャバの塗布量でも、塗布面が白っぽくならないように、光触媒の添加量を抑えていると思います。
なおかつバインダーが入っていないと思われるので、間違ってガラス面に塗布してしまっても、ふき取ったら良いわけですから、光触媒コーティング塗装に不慣れな人でも扱えるということです。
また、ジャバジャバ吹いていると、お客様から「塗装している」と思ってもらいやすいです。
ちなみに弊社の光触媒コーティング剤は、後ほどご紹介させていただきますが、温風低圧塗装機を使って吹いていると、液剤がほとんど肉眼で見えませんから、エンターテイメント性に欠けた製品だと言えます。
半年の効果は短いのか?
さて、動画でPRされていた光触媒を使った抗菌コーティングは、半年しか効果が持ちませんでした。弊社としては、その「半年の効果は短いのか?」と問われると、一見すると短いように思いますが、そうとは考えません。
なぜなら、短いかどうかを判断するのはお客様だからです。
お客様が、半年を長いと思われるようでしたら、長いのです。弊社のように、10年以上長持ちする製品もありますが、「10年でも短い」と考える方もいらっしゃいます。
そして、効果の長さは、費用対効果で考えると良いと思います。

弊社製品を使った抗菌コーティングの施工費用は、自動車1台当たり、おおよそ5万円~10万円です。内装の清掃やフィルター交換が入ると、もう少し高くなるかもしれません。それで10年以上長持ちするわけです。
仮に施工費用が10万円かかったとして、10年以上持つわけですから、半年で換算すると単純計算で1年当たり5,000円です。
お客様としては長持ちする方が良いはずですが、半年しか持たない抗菌コーティングの施工費用が5,000円以下でしたら、それは価値があると言えます。
そもそも酸化チタンは、車内で抗菌・消臭効果があるのか?
次に、動画で使用されていた光触媒成分は酸化チタンでした。ここで、本音で語りたいと思いますが、「酸化チタンを使っているが、車内で抗菌・消臭効果があるのか?」ということです。
その理由は、酸化チタンの性質にあります。酸化チタンは、紫外線が当たることで、高い抗菌・消臭効果を発揮します。紫外線が当たらない環境では、効果がほとんどありません。
自動車の車内はどうでしょうか?
直射日光が当たるので、紫外線が入ってきていると思いますが、ほとんどの自動車ではUVカットガラスが用いられています。最近の自動車では、99%以上紫外線をカットしてくれるガラスが採用されているので、直射日光が当たるところと比べると、紫外線量が1/100以下になるわけです。

酸化チタンは紫外線で効果があるとは言え、紫外線がほとんどなくても、わずかに効果があります。ですが、酸化チタンで真っ白になるくらいに塗布しないと効果がありませんから、自動車の内装には、酸化チタンの抗菌コーティングはおすすめできません。
では、「どのような光触媒を選んだら良いのか?」「抗菌効果の高い光触媒は存在しないのか?」ということですが、抗菌効果の高い光触媒は存在し、その成分は銅ドープ酸化チタンと言われる成分です。後ほど解説いたしますので、もう少しお待ちください。
高い効果が10年以上長持ちする製品開発の技術について
ここまでご覧になられた自動車のオーナー様の中には、「効果が高く、なおかつ耐久性が10年以上持つ抗菌コーティングを選びたい」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。
そういったオーナー様は、単刀直入に述べるならば、抗菌コーティング施工をしてくれるところに行って、「イリスの銅ドープ酸化チタンを使った抗菌コーティング剤を使って欲しい」とご依頼ください。弊社の力不足で、弊社の製品を扱う施工代理店はまだまだ少ないので、施工代理店になってもらえるように促していただけたら幸いです。
ここでは、高い効果が10年以上長持ちする製品を開発するための技術について、少し専門的にご説明いたします。抗菌コーティング事業を始めたいとお考えの方は、大切な内容ですので覚えておいてください。
光触媒の性質
光触媒は、光エネルギーを受けるとOHラジカルと言われる活性酸素を発生させます。OHラジカルは強い酸化力を持つ活性酸素で、それに触れた有機物を酸化分解する性質があります。すべての細菌類、臭い成分の多くは有機物ですから、OHラジカルによって酸化分解されるので、抗菌や消臭ができるわけです。

酸化分解されるものであれば、何でも分解しますが、小さなものに限られます。分解対象としては、条件はありますが、新車の臭い成分であるVOCの臭いも分解できます。花粉も分解対象ですが、花粉自体は大きなものですから、実質的に分解ができません。花粉のアレルゲンでしたら、分解ができます。
さて、光触媒によって分解される対象物は、細菌類や臭い成分、アレルゲンだけではありません。抗菌コーティング剤に含まれるバインダーや、抗菌コーティング塗装する自動車シートやフロアマットなども、有機物であれば分解対象となります。
バインダー成分の劣化対策
効果の高い光触媒成分を使った抗菌コーティング剤には、バインダー成分として次の2種類のどちらかが利用されていることを、先ほどご説明しました。
- アモルファス酸化チタン
- フッ素樹脂
アモルファス酸化チタンは、非結晶の酸化チタンです。フッ素樹脂とは、フライパンなどでも利用される樹脂成分です。
この2種類のうち、有機物はフッ素樹脂になります。アモルファス酸化チタンは無機物です。つまり、フッ素樹脂は光触媒によって分解される対象となります。フッ素樹脂の中には、ナフィオンのように光触媒によって分解されにくいものもありますが、分解されるものが多いです。
なお、酸化チタンを使った抗菌コーティング剤の場合は、フッ素樹脂を使っていても分解されません。なぜなら、車内では効果が著しく弱いからです。そういったことで、「耐久性が5年以上」とか「10年以上長持ちする」と言っている抗菌コーティング剤もありますが、もちろん耐久性は高くても効果のほどは期待できません。
効果の高い光触媒を利用し、長持ちする抗菌コーティング剤は、バインダーにアモルファス酸化チタンを用いることが求められます。
車内で抗菌・消臭効果のある光触媒の種類は?
自動車の車内で抗菌・消臭効果のある光触媒の種類ということですが、少なくとも可視光応答型光触媒を選ぶことが大切です。
可視光応答型光触媒とは、紫外線ではなく目に見える光(可視光)で効果を発揮する光触媒の総称です。
抗菌コーティング剤として実用化されている可視光応答型光触媒の種類は、次のものがあります。
- 銅ドープ酸化チタン
- 窒素ドープ酸化チタン
- 鉄ドープ酸化チタン
- 酸化タングステン
これらの名称の中にある「ドープ」とは、「添加した」とか「加えた」という意味になりますが、光触媒では「結合させた」という意味になります。
例えば、銅ドープ酸化チタンであれば、アナターゼ酸化チタン結晶の表面にナノサイズの酸化銅を結合させた光触媒です。
酸化チタンにはいくつかの結晶構造の種類があります。その中で、光触媒として利用される結晶構造の名称が「アナターゼ型」と言われるものです。今まで酸化チタンについて述べてきましたが、このアナターゼ型を指します。
アナターゼ酸化チタンは紫外線にしか反応しないことを、上述いたしましたが、このナノサイズの結晶の表面に銅や窒素、鉄などを結合させることで、可視光でも抗菌や消臭といった効果を発揮するようになります。
酸化タングステンは、それ単体で可視光応答型光触媒です。
それぞれが反応する光の種類は、次の表の通りです。
可視光応答型光触媒 | 反応する光の種類 |
---|---|
銅ドープ酸化チタン | 紫外線、紫色、青色、水色(シアン) |
窒素ドープ酸化チタン | 紫外線、紫色、青色 |
鉄ドープ酸化チタン | 紫外線、紫色、青色 |
酸化タングステン | 紫外線、紫色、青色、水色(シアン) |

さて、これらの可視光応答型光触媒は、どれを利用しても良いというわけではありません。これらの中から、もっとも効果の高いものを選ぶことが大切です。
もっとも効果の高い可視光応答型光触媒は銅ドープ酸化チタン

銅ドープ酸化チタンは、何度か出てきた光触媒ですが、この光触媒が抗菌コーティング剤として実用化されている光触媒の中で、もっとも効果が高いことが知られています。
何を根拠に、銅ドープ酸化チタンがもっとも効果が高いと言えるのでしょうか?
それは、可視光応答型光触媒としても効果がありますが、添加されているナノサイズの酸化銅が、光がなくても触媒効果を発揮するからです。つまり、夜でも抗菌・消臭効果があるのです。
自動車の車内で直射日光が当たるようなオープンカーであれば、酸化チタンでも抗菌・消臭ができます。そもそも「オープンカーは抗菌や消臭が必要なのか?」と問われるかもしれません。
可視光応答型光触媒で、例えば酸化タングステンを使った抗菌コーティング剤であれば、「1,000lxの蛍光灯の光を当てて試験した」と書いてあることがあります。確かに、日差しの強い昼間の車内であれば、1,000lxほどはあると思います。
しかし夕方や夜間はどうでしょうか?
そういった時間帯の日光は、青色や水色の光が少なくなり、可視光応答型光触媒といえども効果が著しく落ちてしまいます。また、夜間には光すらありませんから、効果はゼロと言っても良いほどです。
ところが、銅ドープ酸化チタンだけは夕方や夜間でも抗菌・消臭効果を発揮します。そのため、エアコン内部の防カビや消臭にも効果があります。

クリア塗装ができる抗菌コーティング剤か?
クリア塗装とは、透明な塗装のことです。先ほど、「酸化チタンを濃く塗装したら、少しは効果が出るかもしれないが、自動車シートやフロアマットなどが真っ白になってしまう」ということを解説いたしました。
銅ドープ酸化チタンはいくら効果が高いと言っても、自動車に抗菌コーティングをする場合にクリア塗装が出来なければ、その抗菌コーティング剤は使用できません。銅ドープ酸化チタンも酸化チタンと同様に、たくさんの分量を添加したら効果が高くなりますが、クリア塗装ができなくなります。しかし、添加量が少なすぎると効果が落ちてしまいます。
自動車の車内を抗菌や消臭が十分にできて、シートやフロアマットなどの塗布面が白くなりにくい防カビコーティング剤を開発するために、弊社では何度も試験を繰り返しました。
クリア塗装ができることと効果の高さがあることの両立は、バインダーの添加量とも兼ね合いもあって難しいものがあります。
バインダーの添加量について
抗菌コーティング剤としての効果の高さは、銅ドープ酸化チタンとバインダーとの分量にもよります。
銅ドープ酸化チタンをたくさん添加すると、効果が高くなります。それと相対的にバインダーの分量も多くしないと、耐久性が悪くなります。
ところが、銅ドープ酸化チタンの分量に対してバインダーをたくさん入れ過ぎると、バインダーが銅ドープ酸化チタンを覆ってしまって、銅ドープ酸化チタンが効果を発揮しにくくなり、効果が落ちてしまいます。
反対に銅ドープ酸化チタンの添加量に対して、バインダーの分量が少なければ、効果は高くなりますが、耐久性が悪くなってしまいます。
シートやフロアマットなどの劣化防止
効果の高い光触媒は、シートやフロアマットなどの有機物も分解の対象とすることを述べました。分解すると言っても、光触媒成分からするとシートの繊維は巨大なものですから、分解し切ることはできません。分解はできませんが、劣化させてしまう恐れがあります。
光触媒による劣化防止方法は簡単です。抗菌コーティング塗装をする前に、下地保護剤を塗装しておきます。その上から、抗菌コーティング塗装をします。
下地保護剤を先に塗装しておけば、光触媒成分がシートやフロアマットなどに直接触れることがありませんから、劣化を防止することができます。
さて、YouTube動画で施工していたジャバジャバの塗装では、下地保護剤を塗装していませんでした。酸化チタンなどの効果の弱い光触媒成分を使った抗菌コーティング剤は、下地保護剤を必要としません。
効果の高い抗菌コーティング塗装は、下地保護剤の塗装を必要とします。その分だけ工程が増えてしまいます。そのため、1種類だけを塗装する抗菌コーティング剤と比べると、施工費用が高くなってしまう傾向があります。
施工費用は安いが効果の低い「1回の塗装」のものと、施工費用は高くなるが効果の高い「2回の塗装」ものものどちらを選ぶのかは、お任せしたいと思います。
高い効果を10年以上長持ちさせるポイント
話が長くなっていますが、高い効果が10年以上持つ製品開発の技術については、これが最後です。
抗菌コーティングをしたときに、高い効果が10年以上長持ちさせるためには、抗菌コーティング剤の銅ドープ酸化チタンとバインダーの添加量が関わっていることをお伝えしました。
そして、それをクリア塗装するためには、塗装装置とスプレーガンの質や塗装技術にもよります。
弊社が開発した、銅ドープ酸化チタンを使った自動車用抗菌コーティング剤は、ABAC温風低圧塗装機とスプレーガンに最適化して製造しています。ABACは、ドイツの塗装装置メーカーで「アバック」と呼びます。

なぜABAC温風低圧塗装機を選んだのかと言いますと、この製品は光触媒を使った抗菌コーティング剤を、細かい霧で安定的に塗装ができるからです。
いくら高い塗装技術を持っていたとしても、自動車修理工場のエアシステムを使ってしまったら、スプレーガンから液剤がジャバジャバに噴き出すので、塗装面が白っぽくなってしまい、クリア塗装ができません。
高い効果が10年以上長持ちする抗菌コーティングは、次の条件が求められます。
- 銅ドープ酸化チタンといった暗所でも効果の高い有効成分の開発
- 効果の高さとクリア塗装を両立した、アモルファス酸化チタンを使った製品の開発
- 専用の塗装機材と塗装技術
銅ドープ酸化チタンを使った抗菌コーティング剤
「車用光触媒コーティング剤BXR02-C」

弊社の銅ドープ酸化チタンを使った自動車用抗菌コーティング剤「車用光触媒コーティング剤BXR02-C」をご紹介いたします。
上記のような開発を経て誕生した抗菌コーティング剤です。
車用光触媒コーティング剤BXR02-Cの仕様と特長
車用光触媒コーティング剤BXR02-Cの仕様は次の通りです。
形状 | 液体 |
---|---|
光触媒 | 銅ドープ酸化チタン |
バインダー | アモルファス酸化チタン |
その他 | 界面活性剤、水、その他 |
pH | 弱塩基性 |
臭い | 無臭 |
塗装面積 | 50m2/L |
サイズ(重量、容器) | 10L(約10kg、バロンボックス) 5L(約5kg、バロンボックス) 1L(約1kg、ボトル) |
使用期限 | 製造から1年以内 |
保管方法 | 常温(5~30℃)の暗所にて保管 |
車用光触媒コーティング剤BXR02-Cの特長は次の通りです。
- 銅ドープ酸化チタンを使用し、夜間でも抗菌・消臭ができる
- クリア塗装ができる
- 効果の持続期間は10年以上
- 劣化防止剤もある
何度もご説明いたしましたが、銅ドープ酸化チタンを使用した世界初の抗菌コーティング剤です。効果の高さや特長が認められ、大手自動車メーカーで販売されている高級車の純正品として採用され続けています。
効果の持続期間は10年以上ということですが、この10年以上という数字は、加速試験ではなく、実際に10年以上利用されて効果が実感されている期間です。
消臭効果のある臭い
車用光触媒コーティング剤BXR02-Cを塗装することで消臭効果のある臭いの種類は、次のものがあります。
- タバコの臭い
- 新車の臭い(VOCの臭い)
- ペットの臭い
- 介護の臭い
- エアコンの臭い
なお、エアコン内部をもっと強力に防カビ・抗菌・消臭をしたい場合には、屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1を用いることをおすすめしています。
屋内用光触媒コーティング剤BX01-AB1は、車用光触媒コーティング剤BXR02-Cよりも銅ドープ酸化チタンの添加量が多いからです。エアコン内部はクリア塗装が気にならない場所ですから、多量に塗布ができます。
施工のご依頼方法
施工のご依頼は、弊社の施工代理店にご相談ください。自動車の抗菌コーティング施工に対応している施工代理店一覧は、こちらのページです。
お近くに施工代理店が無い場合には、抗菌コーティング施工をしている業者に「イリスの抗菌コーティング剤を使って施工してほしい」とお伝えください。
そのようにお伝えされることで、施工代理店になるためのご相談をいただく企業様もあります。
銅ドープ酸化チタン使った光触媒スプレー「アキュートクリーン」

手軽に銅ドープ酸化チタンを試したい方は光触媒スプレー「アキュートクリーン」をご利用ください。
アキュートクリーンは、バインダーが入っていない光触媒スプレーですから、自動車の車内に手軽にご利用いただけます。
半年しか効果が持たない酸化チタンを使った抗菌コーティングよりは、アキュートクリーンをご利用いただいた方が効果があると思います。
タバコ臭い自動車の場合は、何度も何度もスプレーしてみてください。タバコの臭い成分が銅ドープ酸化チタンによって少しずつ分解されていって、臭いが減ってくると思います。
車用光触媒コーティング剤BXR02-Cの施工には施工費用がかかりますから、「施工する前に銅ドープ酸化チタンの実力を試したい」という方にもご利用いただいています。
品名 | アキュートクリーン® |
---|---|
型番 | AC01-01 |
JAN | 4580630840093 |
形状 | 外観:スプレーボトル 内容物:液体 |
容量 | 200mL |
サイズ | 高さ:約21cm、幅:約6cm、厚み:約4cm |
有効成分 | 銅ドープ酸化チタン |
その他 | 水、界面活性剤 |
香り | 無香料 |
アルコール分 | ノンアルコール |
材質 | 容器,ボトルキャップ:プラスチック ラベル:紙 |
価格 | ¥2,200(税込) (詰め替えは税込¥1,980) |
保管方法 | 常温(5~30℃)の暗所にて保管。 |

車用光触媒コーティング剤BXR02-Cを扱う
施工業者になりたい方へ
最後に、車用光触媒コーティング剤BXR02-Cを扱う施工業者になる方法をご説明いたします。
施工代理店になる方法
車用光触媒コーティング剤BXR02-Cを扱う施工代理店になるための条件は、次の条件が満たされた企業様、もしくは個人の方です。
- 車用光触媒コーティング剤BXR02-Cの施工方法を習得されている
- 車用光触媒コーティング剤BXR02-Cを施工する専用の塗装機械を持っている
- 企業人としての常識やコミュニケーション力をお持ちの方
弊社では、有料となりますが施工講習会の開催を行っていますから、まったく初めての方でも施工技術の習得が可能です。また、弊社の施工代理店とのお取引きがあり、施工代理店からのご紹介があれば、「施工方法を習得されている方である」とみなすこともあります。
また、施工代理店になっていただいた企業様や個人の方には、弊社にご相談いただいたお客様を斡旋したり、弊社ホームページでPRしたり、チラシなどのデザインを無償にてご提供したりと、さまざまな支援サービスを行っています。
詳細は、光触媒コーティング施工代理店募集のご案内をご覧ください。
こういった業者様におすすめ
車用光触媒コーティング剤BXR02-Cを扱っての抗菌コーティング施工は、次のような業者様からのご相談が多いです。
- 中古車販売店
- 自動車整備工場
- 自動車ディーラー
中古車を販売するときに、車内がタバコや芳香剤の臭いが残っていて、値段を下げても売れない場合があると聞きます。そういった場合の消臭にも、車用光触媒コーティング剤BXR02-Cが効果を発揮してくれます。
また、光触媒コーティング施工をされている企業様が、ご近所の自動車整備工場と提携して施工されるケースも見受けられます。「施工代理店にはならないけれども、すでに施工代理店になっているところと提携したい」とお考えの企業様もお気軽にご相談ください。
以上、自動車内装の抗菌コーティングについて、いろいろとご説明いたしました。
まとめると、次のことがポイントです。
- 効果が半年しか持たない製品は、バインダーが入っていない
- 酸化チタンを使った抗菌コーティングは、抗菌効果が弱い
- 銅ドープ酸化チタンを使った抗菌コーティングがおすすめ
- 高い効果が10年以上長持ちする抗菌コーティング剤もある
抗菌コーティングの種類によっては、半年しか効果が持たないものもあります。しかし、半年しか持たなくても費用が安いのであれば、それを利用しても良いかもしれません。ただし、酸化チタンを使ったものは、ほとんど効果がありませんから、弊社としては「やるだけムダだ」と考えています。
効果の高い自動車用抗菌コーティングなら、イリスまでお気軽にご相談ください。
この記事の著者/責任者

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)
私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。