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火事の匂いを消すのに効果のある光触媒成分は銅ドープ酸化チタン

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火事の匂いを消すのに効果のある光触媒成分は銅ドープ酸化チタン

火事の後は、部屋の中をスケルトン状態にして、クリーニングを行います。

火事の匂いはクリーニングを行ってもらっても残ってしまい、なかなか消えなくて困ってしまう場合があります。

火事の匂いが部屋に残っていたら、その部屋は住めたものではありませんし、誰かに貸すとしても借り手がつきにくくなります。

火事の保険では、消臭までは保証されないことになっている場合が多いため、自費での消臭が求められることが多いと聞きます。

この記事では、火事の匂いが消臭できる消臭剤としておすすめの、光触媒を使った消臭コーティング剤のメリットや施工方法などをご紹介したいと思います。

火事の匂いの消臭に効果的な消臭剤をお探しの方は、光触媒を使った消臭コーティングをぜひご検討ください。

火事の後のクリーニング後にも残る匂いの消臭

木造住宅が火事に遭ってしまい、全焼してしまったら、そこに住むことは不可能になります。鉄筋コンクリートの建物であれば躯体が残るので、部屋をクリーニングしたらまた利用できます。

火事の後のクリーニング

鉄筋コンクリートのマンションをクリーニングする場合、室内をスケルトンの状態にします。スケルトンとは、打ちっぱなしコンクリートがむき出しで、それこそ何もない状態にすることです。スケルトンの状態にしただけでは、コンクリートに付着した煤の匂いが部屋の中に漂っている状態です。

火事のリフォームは、火災保険によって費用が賄われますが、匂いの消臭までは保険でまかなえない場合が多いようです。その理由は、匂いは人によって感じ方が異なるからです。

火事後のクリーニングによって、かなり匂いが消臭されますが、それでもまだ匂いが残っていいて、匂いが気になる場合には、リフォーム前に消臭業者に依頼することになります。

火事の匂いの消臭方法

火事の匂いを消臭する方法は、主に次の3種類の方法があります。

  • オゾン脱臭
  • 消臭剤
  • 消臭コーティング塗装

オゾン脱臭とは、オゾン発生装置を室内に設置し、火事の匂いが消えるまで装置を動かし続ける方法です。オゾンは、酸素原子が3つくっついたもので、触れるものを酸化分解する性質があります。それによって、火事の匂いを酸化分解して消臭する方法です。

火事の煤の匂いを消臭できる消臭剤があります。無臭のものもあれば、強烈な臭いのあるものもあるようです。強烈な匂いのあるものは、火事の匂いが消臭できたとしても、消臭剤の匂いが消えるまでそこに住むことができません。

消臭コーティング塗装は、消臭効果のあるコーティング剤を壁面や天井などに塗布する方法です。匂いを抑え込む方法と、匂いを分解できるものがあり、後者の方が効果が高いと言えます。

この記事では、光触媒コーティング剤による分解コーティングをご紹介したいと思います。

火事の消臭に効果的な光触媒コーティング

光触媒とは、光が当たることで火事の匂いを酸化分解する性質のある物質のことです。主にアナターゼ型酸化チタンが用いられています。

アナターゼ型とは、酸化チタンの結晶構造の一種で、アナターゼ型酸化チタンは、紫外線が当たることでそれに触れているものを酸化分解する性質を持ちます。そして、光触媒のメリットは、酸化分解し続けてくれることにあります。

光触媒コーティングのメリット

消臭剤であれば、匂いの成分と結合して匂いが消えると同時に、消臭効果も無くなってしまいます。ところが、光触媒は匂いを消臭したあとも光触媒は化学変化を起こさずに、ずっと残り続けるため、火事の匂いを消臭し続けてくれます。

火事の匂いは、壁や天井からずっと出続けるため、オゾン脱臭や消臭剤を用いた場合には、匂いが消えるまで消臭をし続ける必要があります。それに対して光触媒コーティング塗装は、コーティング塗装を行えば、その後ずっと匂いを消臭し続けてくれるので、消臭のための工期が圧倒的に身近くなる可能性があります。

火事の匂いを消臭できる光触媒の種類は?

光触媒によって火事の匂いを消臭し続けてくれますが、光触媒であれば何でも良いわけではありません。光触媒にはたくさんの種類があります。

消臭用の光触媒コーティング剤として実用化されている光触媒の種類は、主に次のものがあります。

  • 酸化チタン
  • 銅ドープ酸化チタン
  • 窒素ドープ酸化チタン
  • 鉄ドープ酸化チタン
  • 酸化タングステン

酸化チタンは、先ほどご説明したアナターゼ型酸化チタンを使ったものです。この成分は、紫外線が当たることで消臭効果を発揮します。酸化チタンを使った光触媒コーティング剤は、火事の匂いの消臭にほとんど効果がありません。なぜなら、室内には紫外線が当たらないからです。

そのため、少なくとも室内の光で消臭効果を発揮する光触媒の種類を選ぶことが大切です。その種類は、上記の中で酸化チタン以外の光触媒です。酸化チタン以外のものは、すべて蛍光灯やLED照明などの室内の光で消臭効果を発揮する成分です。

では、「酸化チタン以外の光触媒を利用したら、何でも良いのか?」と言われると、そうではありません。上記の中でも、効果の高いものと、ほとんど効果の無いものがあるからです。さらに、スケルトンの状態で消臭コーティングを行ったとしても、リフォーム後は壁紙や什器などで光が遮られてしまって、消臭効果を発揮しないものもあります。

上記のリストの中で、火事の匂いを消臭するのに最適なものは、銅ドープ酸化チタンです。

銅ドープ酸化チタンが最適な理由

銅ドープ酸化チタンは、室内の光でも火事の匂いが消臭できる光触媒なのですが、明るさが200lx程度の薄暗い光でも消臭ができます。その効果の高さは、酸化タングステンなどと比べると10~20倍ほどの効果の高さがあります。

銅担持酸化チタンの効果を100としたときの他の光触媒との効果比較

さらには、光が当たっていなくても匂いが消臭できます。この効果は、他の光触媒には存在しない効果です。

銅ドープ酸化チタンをスケルトン時にコーティング塗装することで、リフォーム後に壁紙クロスが貼られるなどして光が当たらなくなったとしても、残っている僅かな火事の匂いも分解し続けてくれます。

銅ドープ酸化チタンを使うことによって、火事の匂いを強力に消臭してくれることが期待できるわけです。

銅ドープ酸化チタンを使った消臭コーティング剤

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)

銅ドープ酸化チタンを使った消臭コーティング剤は、製造技術が特殊ですから、国内で製造しているメーカーは限られます。弊社はその中の1社です。

弊社製品であれば、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)という業務用製品です。

屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)の特徴

この製品の特徴をまとめると、次のようになります。

  • 光触媒成分に銅ドープ酸化チタンを使用
  • バインダー成分にアモルファス酸化チタンを使用
  • 完全な無臭
  • 無機塗料
  • クリア塗装が可能
  • ベンゼン環の匂いを分解できるので、おそらくダイオキシン類の分解も可能(将来的に試験を予定)

バインダーとは、接着剤のことです。銅ドープ酸化チタンを塗装面に接着させるための成分になります。バインダー成分によっても、火事の消臭での相性が関わります。

バインダー成分と火事の消臭での相性

光触媒コーティング剤に使用されるバインダー成分には、主に次の2種類があります。

  • アモルファス酸化チタン
  • フッ素樹脂

アモルファス酸化チタンとは、結晶構造を持たない酸化チタンのことです。結晶構造がありませから、光触媒としての機能は果たしませんが、液剤になったものを塗布して乾燥すると、塗装面に強固に付着する成分です。耐久性はとても高く、弊社の実績では20年以上効果が持続している物件もあります。

フッ素樹脂は、フッ素が含まれる有機物です。光触媒は、火事の匂いを分解する性質もありますが、実はバインダー成分も分解する性質があります。フッ素樹脂は、光触媒によって分解されにくい成分でもありますが、耐久性がアモルファス酸化チタンより劣ります。

アモルファス酸化チタンは無機成分ですから、光触媒によって分解されることはありません。

さらに、付け加えると、フッ素樹脂は何でも弾く性質があります。テフロン加工されたフライパンが焦げ付かないことは、皆様はご存知のことでしょう。テフロンはフッ素樹脂の一種です。その性質は、実は壁紙クロスを貼るときの糊も弾いてしまう可能性があります。つまり、フッ素樹脂ですと、壁紙クロスが経年ではがれやすくなる可能性があるわけです。

火事の消臭では、光触媒成分に銅ドープ酸化チタンを、バインダー成分にアモルファス酸化チタンを使った光触媒コーティング剤を利用することが求められます。弊社の業務用光触媒コーティング剤「屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)」であれば、そのどちらも満たしています。

特定建築物の消臭の場合

さらに、火事になった施設が、特定建築物の場合もあります。特定建築物には防炎規制があり、無機成分のものを利用しないと、法律違反になる可能性もあります。

銅ドープ酸化チタンとアモルファス酸化チタンは、どちらも無機成分ですから、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は防炎規制の対象とはならない成分で構成されています。

特定建築物の火事の後にも、屋内用光触媒コーティング剤(BX01-AB1)は安心してご利用いただけます。

火事の消臭での光触媒コーティング剤の施工方法

火事の消臭で光触媒コーティング剤を塗装する場合の施工の方法についてご説明いたします。

施工の流れ

塗装の様子

光触媒コーティング剤の塗装は、火事の後のクリーニングを行った後に、スケルトンの状態で行います。流れは次の通りです。

  1. 塗装前の臭気測定
  2. 塗装面の清掃
  3. 光触媒コーティング塗装
  4. 塗装直後の臭気測定
  5. 塗装から1週間後の臭気測定

塗装作業の前後で臭気測定を行い、火事の匂いが消臭できたかどうかを確認します。銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング塗装を行うと24時間、匂いを元から分解してくれるので、時間とともに火事の匂いが収まってきます。

塗装面の清掃では、壁面に付着している埃などを拭き掃除します。埃が付着している状態で光触媒コーティング塗装をすると、埃が落ちるときに、その部分に塗装した光触媒コーティング剤も落ちてしまうからです。

塗装直後でもほとんど匂いが消えることが多いですが、念のため1週間ほど置いてから再度計測すると、臭気測定器では臭気が検出限界以下になることがほとんどです。

塗装方法

ABAC温風低圧塗装機とスプレーガン

光触媒コーティング剤の塗装方法は、専用の塗装機械とスプレーガンを用います。それらにはABAC温風低圧塗装機のご利用をおすすめしています。その理由は、次の通りです。

  • 温風が噴き出すので光触媒コーティング剤が乾きやすい
  • 小口径のノズルでも安定して光触媒コーティング剤が噴き出し、壊れにくい
  • スプレーガンのエアカーテン機能により、光触媒コーティング剤が塗装面に付着しやすい

スプレーガンのノズル口径は0.5mmを利用します。一般的な室内の光触媒コーティング塗装よりも、若干ゆっくりと塗装し、光触媒コーティング剤を多く塗布することがコツです。塗装は上下左右を1セットとして、2セット行います。

光触媒コーティング塗装するときのスプレーガンの操作。左右の塗装後に上下に塗装する。

このように専用の塗装機械とスプレーガンを用いて塗装を行うので、光触媒コーティング施工は専門の業者にご依頼いただくことになります。弊社の製品を扱う施工代理店は、火事の消臭の光触媒コーティング施工代理店をご覧ください。

リフォーム後の再塗装

スケルトン時に光触媒コーティング塗装をしておけば、ほとんどの場合、火事の匂いが消臭できると思いますが、敏感な人もいるので、リフォーム後も念のため光触媒コーティング塗装を行う場合があります。

特に、物件を販売したり賃貸に出したりする場合は、購入者や入居者に配慮することが求められます。

スケルトンの状態で光触媒コーティング塗装を行い、リフォーム後に再度光触媒コーティング塗装を行えば、二重で火事の匂いをブロックしてくれます。

コンクリート表面の1回の消臭コーティングでは火事の臭いが残ることがある。リフォーム後に2回目の消臭コーティングで臭いを二重ブロック

リフォーム後の塗装では、部屋の抗菌や消臭もできます。また、壁紙クロスが汚れにくくなりますし、汚れても掃除がしやすくなります。そういったことで、賃貸マンションではリフォーム後の再塗装をおすすめしています。

以上、火事の匂いを消すのに効果の高い光触媒成分「銅ドープ酸化チタン」をご紹介いたしました。まとめると次のようになります。

  • 光触媒コーティングは効果が半永久的に持続する
  • 効果のある光触媒成分は銅ドープ酸化チタンのみ
  • バインダー成分にアモルファス酸化チタンが使われたものを利用すること
  • 塗装はABAC温風低圧塗装機を用いること
  • スケルトン時に塗装し、1週間ほど置いておくこと

要するに、「弊社の業務用製品を扱う施工代理店にご相談ください」ということです。製品のことや施工のご依頼などは、弊社もしくは弊社の施工代理店までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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