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銅イオン光触媒とは?ハイブリッド光触媒や銅ドープ酸化チタンとの違い

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銅イオン光触媒とは?ハイブリッド光触媒や銅ドープ酸化チタンとの違い

光触媒には、材料としての光触媒の種類の多さに加え、製品の種類の多さもあります。

室内の抗菌や消臭で光触媒を利用したいとお考えの方の中には、「いったいどれが良い製品なのか?」「どの製品を選べば良いのか?」と疑問を持たれる方は多いことでしょう。

この記事では、銅イオン光触媒の解説をしつつ、ハイブリッド光触媒や銅ドープ酸化チタンとの違いをご説明いたします。

銅イオン光触媒とは?

銅イオン光触媒とは、銅イオンが光触媒なのではなく、光触媒を使った液剤の中に銅イオンを混ぜたものです。光触媒を使った液剤とは、多くの場合が酸化チタン液剤です。

銅イオン光触媒の「光触媒」とは?

「銅イオン光触媒は、酸化チタン液剤に銅イオンを混ぜたもの」と覚えていただいてかまいません。

酸化チタン液剤は、紫外線が当たることで、抗菌力や消臭力を持つ物質です。光が当たることで細菌類や臭い成分を酸化分解させますが、酸化チタン自体は変質しないため、紫外線がある場所にて半永久的に抗菌力や消臭力を発揮します。

紫外線は光の一種ですから、酸化チタンは光が当たることで触媒効果を発揮するため「光触媒」と言われています。

なぜ銅イオンを混ぜるのか?

酸化チタンは、紫外線が当たることで抗菌力や消臭力を発揮する成分ですから、室内でそれを利用した場合には、ほとんど効果がありません。なぜなら、室内では紫外線がほとんど存在しないためです。

ですから、「酸化チタンを使った光触媒スプレー」というものが売られていたとしたら、その製品は「室内では抗菌や消臭が出来ないのではないですか?」と問うべきです。光触媒スプレーとは、光触媒を使った除菌・消臭スプレーのことです。

そこで、酸化チタンを使った光触媒スプレーに、室内でも除菌や消臭の効果がある銅イオンを混ぜているのです。銅イオンは、それ自体で除菌や消臭の効果を発揮する成分です。ですから、銅イオン光触媒を使ったスプレーは、室内でも除菌や消臭の効果が出るわけです。

酸化チタンは紫外線にしか反応しませんから、「銅イオンだけを使用した方が良いのではないか?」とさえ思います。

銅イオン光触媒はコーティング剤にすると少し問題がある

光触媒コーティング剤とは、光触媒成分を塗布面に定着させられる接着剤入りの成分のことです。

光触媒スプレーは、光触媒成分をスプレーして、一時的に除菌や消臭をする効果があります。それに対して光触媒コーティング剤は、光触媒成分を塗装面に定着させることができるので、塗装面の抗菌や消臭ができるわけです。

銅イオン光触媒は、コーティング剤にすると少し問題が出てきます。その問題の1つは、「効果の持続期間の短さ」です。

銅イオン光触媒は、銅イオンが溶けだすことで効果があるのですが、銅イオンが溶けだして無くなってしまったら、効果がそこで終わりになります。効果が無くなる前に、再塗装を行います。

もう一つの問題点とは、接着成分(バインダー)にフッ素樹脂を用いていることです。フッ素樹脂は水を弾く性質があるので、再塗装をするときに、銅イオン光触媒の液剤を弾いてしまって、均一に塗装ができない可能性があります。

メーカーによっては、持続期間の短さや再塗装での問題点を克服した製品を開発されていることと思います。銅イオン光触媒の施工を依頼するときはそのことを確認しておいた方が良いです。

ハイブリッド光触媒とは?

ハイブリッド光触媒とは、光触媒液剤に別の金属イオンを混ぜ合わせた液剤のことです。これも、光触媒スプレーとコーティング剤が存在します。

銅イオン光触媒はハイブリッド光触媒の一種

ハイブリッド光触媒の「光触媒」とは、銅イオン光触媒と同様に、主に酸化チタンのことです。酸化チタン液剤に銅イオンや銀イオンを混ぜたものを、ハイブリッド光触媒といいます。ですので、銅イオン光触媒はハイブリッド光触媒の一種と言えます。

酸化チタンを使った光触媒液剤に銅イオンを混ぜたら、ハイブリッド光触媒である「銅イオン光触媒」になります。

銅イオンを銀イオンがハイブリッドされた液剤は効果が高い?

近年、銀イオンがデオドラントに利用されており、テレビCMでも有名になったためか、「銀イオンは消臭効果が高い」と思っている人が多いです。

弊社にて銀イオンがどれほどの消臭効果があるのか試験したところ、「塗装面が黒くなるくらいでないと高い消臭効果が得られない」という結論に至りました。つまり、実のところ銀イオンはほとんど消臭効果がありません。「銀イオンに消臭効果がある」ということが広まった理由には、何か別の意図があるようにさえ思います。

ともあれ、銀イオンが入っているものは消臭効果が高いというイメージがあるため、銀イオンが添加された消臭剤は多いです。

銅ドープ酸化チタンとは?

最期に銅ドープ酸化チタンについて解説いたします。銅ドープ酸化チタンとは、酸化チタン結晶の表面にナノサイズの酸化銅を結合させた可視光応答型光触媒です。

結合させることを「ドープ」といいますが、別名として「担持」ともいわれるので、銅ドープ酸化チタンは「銅担持酸化チタン」とも呼ばれます。

酸化チタンに銅を結合させるとどうなるのか?

酸化チタン結晶にナノサイズの酸化銅を結合させると、それまで紫外線にしか反応しなかった酸化チタンが可視光にも反応するようになり、室内でも触媒効果を発揮する「可視光応答型光触媒」に変化します。つまり、室内の光でも抗菌や消臭ができる成分に変化します。

また、ナノサイズの酸化銅は触媒効果を発揮するため、光が当たっていなくても抗菌や消臭ができます。この効果は、銅イオン光触媒と同じ性質です。

銅イオン光触媒は銅イオンが溶けだしていって、いずれ効果がなくなることをご説明しました。ところが、銅ドープ酸化チタンの銅は酸化チタンに結合されているため、溶けだすことがありません。つまり、銅イオン光触媒よりも圧倒的に効果の持続期間が長いのです。

銅イオン光触媒の効果は3年ほど、長くても5年ほどと思われます。ところが、銅ドープ酸化チタンは10年以上、環境によっては20年以上も効果が持続します。

銅ドープ酸化チタンを使ったコーティング剤

銅ドープ酸化チタンを使った光触媒コーティング剤には、バインダー成分としてアモルファス酸化チタンが用いられています。

アモルファス酸化チタンとは、非結晶の酸化チタンです。銅ドープ酸化チタンを酸化チタンで接着させるわけですから、接着の相性がとても良いのです。

銅イオン光触媒のバインダーはフッ素樹脂を使っているので、相性の悪さをお伝えしました。銅ドープ酸化チタンを使ったコーティング剤のバインダーにはアモルファス酸化チタンを使っているので、再塗装をするときにも接着性が高いのです。

以上、銅イオン光触媒とは何か、ハイブリッド光触媒や銅ドープ酸化チタンとの違いについて解説いたしました。

銅イオン光触媒は、酸化チタンを使う必要性が疑問ですし、効果の持続期間が短いという問題があります。

それに対して銅ドープ酸化チタンは、ナノサイズの酸化銅と可視光応答型光触媒のハイブリッド効果によって高い抗菌力や消臭力を持っています。また、バインダーにアモルファス酸化チタンを使っているので効果の持続期間が圧倒的に長いという特長を持ちます。

室内の抗菌や消臭、防カビをしたい場合には、銅ドープ酸化チタンの利用をおすすめします。

銅ドープ酸化チタンを使った光触媒スプレーやコーティング剤をご利用になられたい方は、弊社までお気軽にご相談ください。

この記事の著者/責任者

島田幸一

株式会社イリス 代表取締役
島田 幸一 (Shimada Koichi)

私はもともと、地元農業のソリューション提供を事業としていたが、野菜や果物の劣化を促進させるエチレンガスの分解を研究したことで、光触媒の可能性を感じ起業いたしました。運よく可視光でも効果のある酸化チタン光触媒を世界で初めて開発して脚光を浴び、さまざまな業種のお客様から注文をいただける企業にまで成長できました。現在弊社は、可視光応答型光触媒を使ったコーティング剤を始め、外壁やガラス、石材、自動車の車内にクリア塗装ができる光触媒コーティング剤や、酸化チタンから下地を守るプライマーの開発。その後も、さまざまな材質に光触媒を定着するための研究を続け、多くの企業で採用されています。

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